なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要になる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
調剤薬局業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大による患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制により受付回数減少の影響を受ける等厳しい状況が続いております。国内の状況につきましては新型コロナウイルスに対するワクチン接種の普及が進み新規感染者数が減少し徐々に回復の兆しが見受けられましたが、感染力の強いオミクロン株による感染者が増加し、再び先行き不透明となっております。
当社グループではこのような激変した社会においても患者さまにいちばん近い会社であり続けるため、新型コロナウイルスから患者さま・従業員を守る経営を最優先してまいりました。全社戦略についてはウィズコロナの時代の中で中期目標を実現するために、「規模の拡大」「利益の最大化」「デジタル化」に全事業一体となって取り組みました。また、多くのステークホルダーの皆さまにとって魅力ある安定成長企業となるため、環境、社会、ガバナンスの各分野において、企業価値を向上させる取り組みを行ってまいりました。その一環として、患者さまと環境にやさしい薬局を目指して、2022年3月より店舗の緑化運動『Green Smile Project』を開始いたしました。店舗美化に加えて、環境保全への貢献やSDGs理解の深化を進めてまいります。
保険薬局事業においては、積極的なM&A、新規出店を進める他、新たな事業の柱として在宅・施設調剤の推進を図っており、地域医療の安定化及び患者さまの利便性向上に寄与する体制を構築しております。
また、離島など医療アクセスが不十分な地域における医療の充実に貢献するために、2022年2月より瀬戸内海の周辺地域において、ドローンによる実際の患者さまへの処方箋を使用した医薬品配送の実証実験を行っております。今後は、実証実験から得られた知見や課題などの整理を行い、災害時を含めたラストワンマイルを補強する運送手段としての事業展開を進めてまいります。
医療関連事業においては、引き続き主力事業であるCSO事業、紹介派遣事業、医薬品製造販売事業の拡大に尽力し、総合ヘルスケアカンパニーへと前進するための安定した基盤構築を図ってまいります。
このような環境のもと、当連結会計年度における当社グループ連結業績は、売上高166,199百万円(前年同期比 2.7%増加)、営業利益9,855百万円(前年同期比33.8%増加)、経常利益10,094百万円(前年同期比36.4%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,489百万円(前年同期比63.1%増加)となりました。また、EBITDAについては、14,588百万円(前年同期比21.2%増加)となりました。
セグメント別の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、セグメント利
益の算定方法を変更しております。前連結会計年度の業績においても同様の変更をしたうえで比較分析しており
ます。
a. 保険薬局事業
保険薬局事業の事業戦略については、M&Aや新規出店による規模の拡大、コスト構造改革による利益の最大化、次世代薬局等のデジタル化に取り組みました。
当連結会計年度において、出店状況は、新規出店16店舗、事業譲受3店舗、子会社化による取得12店舗の計31店舗増加した一方、閉店により8店舗減少した結果、当事業全体で店舗数は834店舗となりました。今後も付加価値の高い薬局を展開していくためにM&A基準の厳格化等、戦略的出店による規模の拡大を図ってまいります。
また、在宅・施設調剤の推進については、在宅医療に特化した「在宅医療専門調剤薬局」の展開に取り組んだ結果、調剤薬局業界で初となる『日経優秀製品・サービス賞日経MJ賞』を受賞いたしました。
薬局運営においては、自社スマホアプリにて処方箋事前予約サービスを展開しておりますが、2022年4月からは、処方箋事前予約や健康情報をLINEで提供するサービス『クオールおくすり便』を開始し、薬剤師との双方向のコミュニケーションを通して更なる安心の提供を目指します。
業績につきましては、前期に実施したM&Aや新規出店の寄与と、在宅・施設調剤の推進により受付回数や薬剤料収入、技術料収入が増加しております。後発医薬品調剤体制加算や地域支援体制加算の取得店舗数や、かかりつけ薬剤師指導料の算定件数が増加し、技術料単価が上昇いたしました。また、コスト構造改革においては、前期に実施した不採算店の整理、賃料等の固定費の見直し及び人員配置の適正化により、コストが減少いたしました。
その結果、売上高は153,104百万円(前年同期比2.9%増加)、営業利益は11,865百万円(前年同期比23.5%増加)となりました。
また、当連結会計年度末の資産合計は、87,868百万円となり、前連結会計年度末から22百万円減少しており
ます。
当社グループの属する保険薬局業界においては、調剤報酬・薬価改定が行われ、調剤報酬及び薬価の点数、金
額等が変更になった場合や関連する法令が改正された場合等において、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
詳細については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
【新型コロナウイルス感染症対策】
当社グループは、コロナ禍において「医療の継続」を最優先に薬局の運営を続けてまいりました。引き続き全従業員にマスクの着用等の基本行動を徹底し、アクリルパーテーションやオゾン除菌・脱臭器『AIR BUSTER(エアバスター)』を設置する等、感染症拡大防止に最大限努めた薬局運営を行ってまいりました。
当社グループの薬剤師は、新型コロナウイルスワクチン集団接種に積極的に参画し、予診票の確認・薬剤調製業務を実施するとともに、当社保険薬局においてワクチン接種前の予診票記入サポートや接種後の体調管理を継続して実施しております。また、2021年8月より東京ドームにて行われたワクチン大規模接種においても当社グループの薬剤師が参画いたしました。
b. 医療関連事業
CSO事業においては、2021年4月よりMR派遣需要が着実に増加しており、専門領域MRの育成プログラムの拡大や、幅広い経験を持った人財の採用強化、継続した教育による質の向上等、医療現場から求められる優秀な人財の育成に引き続き注力してまいります。
紹介派遣事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で依然として薬局等への薬剤師紹介派遣市場は低迷しておりますが、健康経営推進への関心の高まりから産業医・産業保健師の派遣需要は回復傾向を見せており、成約件数及び売上高が増加いたしました。また、健康経営優良法人の認定取得をサポートするサービスや、ストレスチェック及びヘルスケアセミナーといったコンテンツ提供サービス等、サービスラインナップの拡大に取り組んだ結果、薬局・医療機関・ドラッグストア・企業・学校等、取引先数が拡大いたしました。なお、当該事業を展開するアポプラスキャリア株式会社は、2022年3月に『健康経営優良法人2022』を取得いたしました。
医薬品製造販売事業においては、大手提携製薬企業との共同プロモーションによる売上が好調に推移いたしました。引き続き自社製品の販売促進を行うとともに、製造工程を可視化し作業者への指示や支援を行う生産実行システムの更新に向けて準備を進めてまいります。
その結果、売上高は13,094百万円(前年同期比0.1%減少)、営業利益は1,190百万円(前年同期比19.4%減少)となりました。
また、当連結会計年度末の資産合計は、10,631百万円となり、前連結会計年度末から267百万円減少しており
ます。
当社グループが行う医療関連事業の運営においては、法令による規制を受けており、各都道府県等の許可・
登録・指定・免許を受けることができない場合や、関連する法令に違反した場合、または法令が改正された場合等
において、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
詳細については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
a. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 処方箋応需実績
当連結会計年度における保険薬局事業の処方箋応需実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが10,112百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが3,087百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが10,006百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,981百万円減少し16,516百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益9,687百万円及びのれん償却額3,168百万円、法人税等の支払額3,287百万円等により、10,112百万円の収入(前年同期12,912百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,855百万円及び有形固定資産の取得による支出1,540百万円等により、3,087百万円の支出(前年同期3,065百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出11,230百万円及び長期借入れによる収入6,100百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,845百万円等により、10,006百万円の支出(前年同期6,114百万円の支出)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規出店及びM&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、多額な資金需要が発生した場合にはエクイティファイナンス等による調達手段を検討し対応することを基本としております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
①のれんの減損の兆候に関する判断について
保険薬局事業においてのれんを含む、より大きな単位について減損の兆候に該当する事象がある場合には、のれんを含む、より大きな単位で減損を認識するかどうかの判定を行いますが、当社グループにおいては営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているかどうかだけでなく、経営環境の著しい悪化に該当するかどうかの検討も重要となります。
経営環境の著しい悪化に該当するかどうかの検討は、主として、のれんを含む、より大きな単位ごとに重要な指標である売上高及びその見積りにおける主要な仮定の処方箋枚数について、当連結会計年度における傾向分析及び当連結会計年度の実績と将来の見積りの整合性を検討することにより実施されます。
②新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積り
保険薬局事業においては新型コロナウイルス感染症により、2023年3月期においても患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制の影響が一定程度継続するものと想定しております。
当社グループにおいては、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき、固定資産の減損会計及び繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として不透明な状況であり、その経済環境への影響が変化した場合には、2023年3月期の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
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