業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 

 当事業年度の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の第5波及び第6波による感染拡大により、感染拡大を防止するための対策が優先された結果、経済活動が停滞する状況のなか推移してまいりました。ワクチン接種が進むにつれ、重症化リスクは減少傾向をみせるものの、感染者数は下げ止まりの状況にありますが、今後も経済活動への影響が強く懸念される状況にあります。また、ロシア・ウクライナ情勢による経済不安の拡大により、原油価格の高騰や商品価格の上昇が個人消費に影響を与えるなど、国内における消費活動は依然として厳しい状況にあります。

 外食産業におきましては、緊急事態宣言の発令を受け感染防止に対する社会的な要請への協力が強く求められるなか、店舗休業や時間短縮営業等の対応を行ってまいりました。秋季には感染者数も一旦は減少傾向を示したものの、第6波オミクロン株の発生により冬季に入り当該感染症の感染拡大が再燃し、営業活動の抑制をあらためて求められる状況となりました。また、原材料価格の上昇をはじめ、資源価格の上昇が加わり依然として予断を許さない状況が続いております。

 当社におきましても、社会的要請に従いアルコール提供の自粛をはじめ営業時間の短縮、店舗休業を行い、営業再開後に向け新たな業態開発を行ってまいりました。特に夜型の飲食需要自体が低迷する非常に厳しい状況にあるため、新たにラーメン業態及びイタリアン業態を開発し、今後の新たな柱へと育てる計画であります。そのような状況のもと、次の新規出店、業態変更及び店舗閉鎖を実施いたしました。

 

 ○新規出店店舗4店舗

  大釜もつ煮五右衛門業態1店舗・肉寿司業態1店舗、

  らぁ麺ふじ田業態(新業態)1店舗・ボンジョルノ食堂業態(新業態)1店舗

 ○業態変更店舗5店舗

  しゃぶ将軍田なべ業態2店舗・うま囲業態1店舗・チェゴ業態2店舗

 ○店舗閉鎖2店舗

  忍家業態1店舗・益益業態1店舗

 

 以上により、当事業年度末の店舗数は90店舗となり、前事業年度末に比べ2店舗増加いたしました。

 業績につきましては、売上高は2,160,716千円となり前事業年度に比べ606,719千円(21.9%)の減少となりました。また、販売費及び一般管理費は店舗休業に伴う変動費の減少及び不動産賃料の一時的な引き下げ等の固定費削減により、2,658,883千円と前事業年度に比べ349,532千円(11.6%)減少しました。これらにより、営業損失は1,121,601千円となりましたが、新型コロナウイルス感染症対策への協力に対する公的な補助金828,107千円を営業外収益に計上したことにより損失は圧縮され、経常損失は289,571千円となりました。
 なお、店舗休業に伴い発生しました休業手当306,996千円を特別損失に計上し、当該損失への補填として申請しました雇用調整助成金254,079千円を特別利益に計上いたしました。また、業績不振店舗にかかる減損損失28,679千円を計上し、店舗閉鎖の決定に伴い発生が見込まれる損失6,086千円を店舗閉鎖損失引当金繰入額として計上いたしました。

 以上の結果、当期純損失は391,020千円となりました。

 

当事業年度の経営成績は次のとおりであります。

 

 

前事業年度

当事業年度

増減対比

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

売上高

2,767,435千円

 

2,160,716千円

 

△606,719千円

△21.9%

販売費及び一般管理費

3,008,415千円

108.7%

2,658,883千円

123.1%

△349,532千円

△11.6%

営業損失(△)

△989,721千円

△35.8%

△1,121,601千円

△51.9%

△131,880千円

経常損失(△)

△775,462千円

△28.0%

△289,571千円

△13.4%

485,890千円

当期純損失(△)

△1,054,926千円

△38.1%

△391,020千円

△18.1%

663,905千円

 

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

 

売上高

営業損失(△)

金額

前年同期増減対比

金額

前年同期増減対比

北関東エリア

1,053,523千円

△211,583千円

△237,274千円

△78,871千円

(△16.7%)

(―)

首都圏エリア

625,759千円

△306,189千円

△345,218千円

△41,843千円

(△32.9%)

(―)

東北エリア

481,433千円

△88,236千円

△121,290千円

△39,089千円

(△15.5%)

(―)

その他

― 千円

△710千円

△417,818千円

27,923千円

(―)

(―)

 

 

① 北関東エリア

 当セグメントは、茨城県・栃木県・群馬県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、過半数が郊外に立地する店舗であり、それらの店舗は比較的長期保有の店舗となっております。これら、郊外型店舗に対する家族での食事利用を想定した業態への変更を進めてきたことで、一定の効果が表れてきたものと考えております。

 しかしながら、1月以降感染力の高い新たな変異株の発生により若年層への感染が拡大し、学校をはじめ家庭内での感染拡大等により、家族での利用機会も減少、更には、まん延防止等重点措置の対象地域となり、店舗の休業を3月下旬迄継続いたしました。

 そのような状況の中、水戸市にラーメン業態「ふじ田」及び本格ナポリピッツァとイタリアンの業態「ボンジョルノ食堂」をそれぞれオープンし、今後の新たな業態確立に向けた取組を開始いたしました。その他、居酒屋業態につきましては、アルコール提供及び営業時間の短縮要請は継続され、極めて厳しい営業環境を強いられてまいりました。

 以上により、当事業年度末の店舗数は40店舗と、前事業年度末から1店舗増加しました。

 

② 首都圏エリア

 当セグメントは、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、駅前に立地する店舗が大半を占めております。当該地域は集散人口が比較的多く広告宣伝に対する感度が高い地域であります。

 また、当セグメントは新型コロナウイルス感染者が最も多い地域であり、まん延防止等重点措置及び緊急事態宣言の影響を受け、4月から9月にかけて大半の店舗が休業を実施いたしました。10月より営業を再開できたものの、感染力の高い新たな変異株の発生により1月下旬から3月下旬にかけては再びまん延防止等重点措置の対象エリアとなり、アルコール提供及び営業時間の短縮要請が継続されたことで、店舗の休業を行いました。当セグメントは当社が出店する地域において最も厳しい営業環境を強いられたエリアであります。

 以上により、当事業年度末の店舗数は33店舗となり、前事業年度末からの増減はありません。

 

③ 東北エリア

当セグメントは、宮城県・福島県・山形県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、北関東エリアと同様に郊外に立地する店舗が多数を占めております。

 また、当セグメントは新型コロナウイルス感染者が比較的少ない地域ではありますが、県独自の感染拡大防止措置による、休業要請により8月上旬から9月下旬にかけて店舗の休業を実施いたしました。その後順次全店舗の営業を再開し、11月には肉寿司業態の2号店目となる「郡山肉寿司」を駅前にオープンいたしましたが、他のエリア同様極めて厳しい営業環境を強いられております。

 以上により、当事業年度末の店舗数は17店舗と、前事業年度末から1店舗増加しました。

 

④ その他

当セグメントは、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、各報告セグメントに配分されていない全社費用を管理しております。

 本部における管理費用は、店舗休業や店舗閉鎖等により減少いたしました。

 

 

仕入及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

① 仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

茨城県

219,950

84.3

栃木県

75,073

93.7

群馬県

8,354

79.5

北関東エリア

303,378

86.3

東京都

34,684

62.6

埼玉県

73,264

80.8

千葉県

41,687

72.3

神奈川県

24,441

79.4

首都圏エリア

174,077

74.2

福島県

82,527

88.9

宮城県

49,661

94.7

山形県

13,671

105.9

東北エリア

145,861

92.2

合計

623,317

83.8

 

 

② 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

茨城県

749,275

80.8

栃木県

268,978

92.3

群馬県

35,269

76.2

北関東エリア

1,053,523

83.3

東京都

133,996

59.8

埼玉県

252,483

68.5

千葉県

145,719

66.4

神奈川県

93,560

78.2

首都圏エリア

625,759

67.1

福島県

264,928

80.9

宮城県

171,964

86.4

山形県

44,540

102.7

東北エリア

481,433

84.5

その他

合計

2,160,716

78.1

 

(注) 1 その他は、本部における売上高であります。

 

 

(2) 財政状態

 

 総資産は、2,655,907千円となり前事業年度末に比べ197,014千円(8.0%)増加しました。当事業年度における各項目別の状況は次のとおりであります。

 

① 流動資産

 

流動資産は、1,767,060千円となり前事業年度末に比べ206,764千円(13.3%)増加しました。

当社の事業形態においては、販売代金の決済は大半が現金による決済であります。クレジットによる決済は漸増傾向にありますが、全体的には依然として現金決済が主体であり、流動資産の構成においても「現金及び預金」が大半(76.4%)を占めております。

なお、主要な項目別の増減は次のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のための協力要請への対応に伴う給付金増加により「現金及び預金」は180,019千円の増加、売上高は減少したものの「売掛金」は5,565千円の増加となりました。

 

② 固定資産

 

固定資産は、888,846千円となり前事業年度末に比べ9,749千円(1.1%)減少しました。

当社の事業形態は、店舗への投資による利益獲得を図る装置産業としての側面を持っております。よって、固定資産の構成は、大半が店舗に係るもの(有形固定資産・敷金及び保証金等)であります。また、投資姿勢においては店舗出店への投資が最大の効果を発揮すると考え、その他の金融資産等への投資は積極的には行っておりません。

なお、既存店舗の業況改善と並行し、業績不振店の閉鎖による損失の切り離しも継続して実施してまいりました。  また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業被害が当社の将来の業績に与える影響は当面は継続することが予想されており、減損損失の判定及び測定にあたり当該影響を加味した結果、減損損失を計上いたしました。

主要な項目別の増減は次のとおりであります。

期末評価額の増加による「投資有価証券」の3,438千円増加に対し、新店及び業態変更に伴う「有形固定資産」が60,366千円の増加、店舗閉鎖に伴い「敷金及び保証金」が17,921千円の減少、返戻の進捗に伴い「長期貸付金」が27,103千円の減少、「長期預金」が23,500千円の減少等であります。

 

 ③ 流動負債及び固定負債

 

流動負債は、1,890,489千円となり前事業年度末に比べ596,373千円(46.1%)増加しました。

固定負債は、376,496千円となり、前事業年度に比べ10,959千円(2.8%)減少しました。

負債の構成は、大半が金融負債であります。

当事業年度末における負債比率は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害により繰越利益剰余金が減少し、612.8%と(前事業年度221.0%)と大幅に増加しました。

今後においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害が見込まれておりますので、コミットメントライン契約を締結し、機動的かつ潤沢な資金確保に当たる方針であります。

なお、主要な項目別の増減は次のとおりであります。
 流動負債においては、「短期借入金」の増加1,000,000千円、仕入高の減少に伴う「買掛金」の減少23,155千円、社会保険料の納付猶予制度の支払による「未払金」の減少309,817千円、「未払法人税等」の減少28,633千円、「未払消費税等」の減少41,900千円等によるものであります。

 

 ④ 純資産の部

 純資産合計は、388,921千円となり前事業年度末に比べ388,399千円(50.0%)減少いたしました。

これは「当期純損失」391,020千円及び「その他有価証券評価差額金」の増加2,621千円によるものであります。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、651,035千円となり、前事業年度末に比べ150,519千円(30.1%)増加いたしました。

当社は、運転資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を原資としており、投資活動に要する資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」の範囲内に留め、過剰な投資による財政状態の悪化を未然に防止しつつ、毎期安定的な成長を確保するものとしております。しかしながら、当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により甚大な営業被害を被る状況のなか、「営業活動によるキャッシュ・フロー」はマイナスとなりました。

今後も同様の営業被害の発生が見込まれる状況にありますので、コミットメントライン契約を締結し機動的かつ潤沢な運転資金を確保できる体制を図っております。

 

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 

営業活動によるキャッシュ・フローは△741,045千円となり前事業年度に比べ6,189千円増加いたしました。

当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済活動の停滞により、極めて大きな営業被害を被っております。なお、営業時間の短縮による経費削減、雇用調整助成金の利用等により現金支出の抑制に努めてはおりますが、引き続き厳しい営業環境のなか税引前当期純損失を計上するに至っております。

主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。

 ○主な現金増加要因

 ・「雇用調整助成金の受取額」254,868千円(111,086千円増加)

 ○主な現金減少要因

 ・「税引前当期純損失」が△377,357千円(668,017千円増加)

 ・「未払金の増減額」が△304,570千円(533,568千円減少)

 ・「休業手当の支払額」が△306,996千円(39,501千円減少)

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 

投資活動によるキャッシュ・フローは△105,746千円となり前事業年度に比べ213,336千円減少いたしました。

当事業年度において、主な設備投資としまして、4店舗の新規出店及び5店舗の業態変更を実施いたしました。

主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。

 ○主な現金増加要因

 ・「定期預金の払戻による収入」120,000千円(190,000千円減少)

 ・店舗閉鎖に伴う「敷金及び保証金の回収による収入」が47,285千円(6,459千円増加)

 ○主な現金減少要因

 ・「有形固定資産の取得による支出」△139,148千円(77,956千円減少)

 ・「定期預金の預入による支出」△126,000千円

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 

財務活動によるキャッシュ・フローは997,312千円となり前事業年度に比べ522,574千円増加いたしました。

当事業年度において、厳しい営業状況のなか不足する資金への対応として、コミットメントライン契約を活用した資金調達を実施いたしました。

主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。

 ○主な現金増加要因

 ・「短期借入れによる収入」が1,000,000千円(500,000千円増加)

 

 (資本の財源及び資金の流動性)

 

 当社の運転資金需要の主なものは、食材等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 投資に対する資金需要は、主に店舗の出店若しくは業態変更に要する設備投資及び預託保証金の支出によるものであります。また、株主の皆様への還元については、投資余力及び財務の健全性を確保しつつ、配当政策に基づき実施するものとしております。

 上記のそれぞれの資金需要に対しては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローにより蓄積した内部留保により賄うことを原則としております。また、臨時的かつ多額な資金需要に対しては、コミットメントライン契約又は当座借越契約を利用した短期資金により対応するものとしております。

 なお、回収期間が長期に及ぶ投資支出につきましては、投資を実施する事業年度に見込まれる営業活動によるキャッシュ・フローにより得られる資金の範囲内に抑えることとし、外部資金に過剰に依存する投資は行わないものとしております。

 社会情勢としましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞が今後も一定期間継続するものと思われ、当社におきましても店舗休業や時間短縮営業等の感染防止への対応を要するものであり、厳しい経営環境を強いられるものと考えております。運転資金を含む臨時的な資金需要の増大に対しては、コミットメントライン契約の締結により機動的な資金供給を可能とする体制を整えております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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