有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 感染症拡大に伴う営業被害について
新型コロナウイルス感染症が、我が国の経済活動や当社の事業活動に与える影響は甚大であり、また、先行きの不透明感は拭えません。
当社におきましても新型コロナウイルス感染症拡大防止への社会的な要請を踏まえ、政府及び地方公共団体から何らかの営業活動の自粛を求められる場合があります。そのような状況においては、当社におきましても社会的な要請への対応、及びお客様と従業員の感染防止を目的として、店舗休業若しくは時間短縮営業等を実施する場合があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染拡大が収束したと判断された場合においても、経済活動が正常化するまでの間において、来店数の回復に時間を要するものと考えられ、同様に当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした事態への対応として、当社は既存の店舗内営業においては、お客様の来店時の検温、従業員の出勤時の検温、小まめな手洗い、手が触れる部分の消毒を徹底するとともに、テイクアウト及びデリバリーを開始し、新型コロナウイルス感染症に限らず新たな感染症が発生した場合においても、営業被害を局限する方策を常に模索してまいります。
(2) 外食産業の動向及び競合の激化について
当社の属する外食市場は成熟した市場となっており、激しい競合状態にあります。加えて、個人消費支出における選別強化が進むなか外食利用は相対的に縮小傾向にあり、価格競争の激化も相まって厳しい経営環境を強いられております。
このような環境の中、当社は隠れ家的和風ダイニングをコンセプトとした「忍家」業態を開発し、「上質の癒しとくつろぎ」を追求した個室空間を前面に押し出した店舗づくりや産地にこだわった食材の選定などにより、気の合う仲間との食事を楽しむ空間の提供で競合他社との差別化を図ってまいりました。
しかしながら、今後、外食市場の縮小、競合の激化、または消費者ニーズ・嗜好の変化等により、当社が顧客ニーズに合致した商品・サービス等を適時適切に提供できず、当社の運営する各業態の集客力が低下した場合、とりわけ、当社の主力業態である「忍家」の店舗の集客力が低下した場合には、売上高が減少すること等により当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 店舗展開について
① 店舗展開の基本方針について
当社は新規出店を行う一方、既存店につきましては不採算店の撤退等による効率化を図ってまいりました。今後の中期的な出店地域の選定においては、相対的に集散人口が多く、かつ費用管理面における優位性を考慮し、地域の拡大は行わず同エリア内の出店を中心に進める方針であります。
その場合において、当社の出店基準・条件に合致する物件が適時適切に確保できないこと等により計画通りに出店できない場合、あるいは競合等により出店後の販売状況が芳しくない場合等には、当社の事業展開および業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は現在、北関東エリア(茨城県・栃木県・群馬県)及び首都圏エリア(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)を中心に出店を行っており、2022年3月期の売上高に占める同エリアの割合は次に示しました表のとおり77.7%(前事業年度79.4%)と高い水準にあります。従いまして、天候、流行、又は自然災害等、何らかの理由により当該エリアの経済状況が悪化した場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社は収益性改善のため、業績の改善が見込めない店舗を閉鎖しておりますが、店舗閉鎖時においては、減損損失、並びに賃貸借契約等の解約に伴う損失等が発生するため、大量に店舗を閉鎖した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
セグメント別の売上構成は次のとおりであります。
※その他(本部における食料品等の販売)は含まれておりません。
② 敷金・保証金・建設協力金について
当社は、賃借物件により出店を行うことを基本方針としております。2022年3月末現在における90店舗に加え、本社建物等を賃借しております。これらの賃借物件においては、賃貸人に対し、敷金・保証金・建設協力金を差し入れる場合があり、2022年3月末時点の敷金及び保証金の金額は430,985千円となっております。なお、当社は、建設協力金を長期貸付金勘定で処理しており、2022年3月末時点の長期貸付金62,281千円は全て建設協力金であります。
したがって、当社店舗の賃借先の経営状況等によっては、これら敷金・保証金・建設協力金の回収や店舗営業の継続に支障等が生じる可能性があります。
また、当社店舗の不採算等により、当社が賃貸借契約終了前に契約の解除を行った場合には、当該契約に基づき敷金及び保証金の一部又は全部が返還されないことがあるほか、将来において当該賃借先が保有するその他の物件について賃借することが困難となる可能性があります。
③ 主要業態への依存及び新業態の開発について
現在、当社の収益の大半は「忍家」及び「もんどころ」等のオリジナル業態(以下、主要業態という。)によるものであり、当面は主要業態を中心とした事業構造になると想定しております。なお、当社の主要業態は酒類販売が売上に占める割合が比較的高く、当該消費の動向が店舗収益を大きく左右する傾向があります。
したがって、酒類消費が減退傾向を強める場合、主要業態の需要の低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、主要業態による展開が想定どおりに推移しない場合、または上記の例に限らず主要業態の需要が低下する事象が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
業態開発に対しては、業態構成の適正化による安定的な収益構造を構築するため、毎期1業態以上の開発を行うことを基本方針としておりますが、当該新業態の展開が当社の想定どおりに推移しない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
業態別の売上構成は次のとおりであります。
※その他(本部における食料品等の販売)は含まれておりません。
(4) 人材の育成及び確保について
当社の事業の柱である店舗運営においては、高品質の商品とサービスを顧客に提供するための優秀な人材を必要としており、特に店舗責任者については、時間を掛けて教育・育成することが必要であると考えております。そのため当社では、独自のカリキュラムに沿って研修を行うことにより、商品知識や接客技術の習得をはじめとする人材の育成に継続的に取り組んでいるほか、従業員の技能・経験を考慮し、一定の基準に達していると考えられるパート・アルバイト従業員を積極的に正社員として登用する等の中途採用を実施しております。
しかしながら、これら店舗責任者等の人材育成が順調に進まなかった場合、もしくは必要な人材を適時適切に確保できなかった場合等には、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 原材料価格の高騰について
商品市況の高騰に見舞われた場合には、販売価格への転嫁を要する可能性があり、来店数の減少により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、販売戦略上の要請、若しくは価格競争力低下の防止等により、原料価格の値上分を販売価格へ転嫁することが困難な状況となる場合が有り得ますので、その場合において利益率の悪化を来たす可能性があります。
(6) 食品の安全性について
BSE(狂牛病)や鳥インフルエンザ等のような疾病や食品衛生管理上の問題等、食品の安全性に関する問題が生じた場合は、食品に対する消費者の不安が高まる一因となるため、一時的な来店客数の減少により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 商品表示について
外食産業においては、一部企業の産地偽装や賞味期限の改ざん等が発生するなど、食の安全性だけではなく、商品表示の適正性、信頼性等においても消費者の信用を失墜する事件が発生しております。当社は、適正な商品表示のため社内体制の整備・強化に努めておりますが、食材等の納入業者も含めて、万一、表示内容に重大な誤りが発生した場合には、社会的信用低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 株式会社ホリイ物流に対する当社仕入れの依存等について
当社は、店舗で使用するドリンク、調味料及び食材等の多くを、株式会社ホリイ物流から仕入れております。2022年3月期の総仕入高に占める同社からの仕入割合は78.1%(前事業年度77.1%)と高い水準にあり、特に、酒類をはじめとしたドリンクの大半は同社からの仕入によるものであります。
当社は、株式会社ホリイ物流との間において仕入取引に関する基本契約を締結しており、1990年5月の取引開始(当時は「株式会社ケイアンドケイ」)から現在に至るまで良好な取引関係にあります。株式会社ホリイ物流の総売上高のほぼ100%が当社向けとなっており、当社と同社は相互に密接な関係にありますが、今後、同社との売買条件が変更になった場合、同社との契約更新が円滑に進まなかった場合、又は同社の酒販免許が取り消される等、何らかの理由で同社からの仕入につき支障が生じた場合には、当社の店舗運営や業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 法的規制について
① 食品衛生法について
当社は飲食店として食品衛生法により規制を受けております。食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発 生防止、並びに公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としており、飲食店を営業するにあたっては、食品衛生責任者を置き、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければなりません。また、食中毒を起こした場合等、食品衛生法の規定に抵触した場合、同法第54条・第55条・第56条の規定により、食品等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等処分を命じられることがあります。
当社は食中毒等の事故防止に努めていきますが、万一、何らかの当社固有の衛生管理上の問題が発生した場合、又は、他の外食事業者による衛生管理の不手際に基づく連鎖的風評被害が発生した場合等には、当社の事業展開・業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 食品循環資源の再利用等の促進に関する法律について
当社は食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(以下「食品リサイクル法」)による規制を受けております。
この食品リサイクル法により、食品関連事業者は、食品廃棄物の発生抑制、減量化、又は食品循環資源の再利用に取り組まなければならないと義務付けられております。このため、食品リサイクル法の規制が強化された場合等には、当社設備の増強等の新たな経済的負担・費用が発生・増加する可能性があり、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
③ 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大について
現在の短時間労働者に対する社会保険については、一日または一週間の労働時間及び一ヶ月の労働日数が、通常の業務に従事する者の概ね4分の3以上である場合には加入が義務付けられております。当社において該当するパート・アルバイトなどの短時間労働者は全て加入しております。
しかしながら、今後、短時間労働者に対する社会保険の適用基準が拡大された場合には、保険料の増加、短時間労働の就労希望者の減少等により、当社の事業展開・業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 飲酒運転の社会的問題化と取り締まりの強化について
飲酒運転に対する問題が社会的にクローズアップされております。飲食店へのイメージ悪化により客足が遠のくことが考えられ、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下、当社は飲酒運転予防のために以下の対策を講じております。
・ 運転される方へのアルコール提供をお断りしていることのポスターの掲示やメニュー表示
・ 飲酒されたお客様に対し運転代行業者やタクシーの利用を促すためのポスターの掲示やメニュー表示
・ 口頭での告知の実施
スタッフによる口頭でのお客様への周知等を徹底しており、来店客の飲酒運転を防止するための施策を行っております。これらの当社施策の実施等により、来店客数の減少等による減収を招くことが考えられます。さらに当社の努力にもかかわらず、当社の店舗が飲酒運転者に酒類を提供した飲食店として飲酒運転の教唆・幇助により摘発を受ける可能性があります。その場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 役職員による法令違反について
当社は、コンプライアンスガイドラインを定め、各部門の部室長で構成するコンプライアンス委員会の設置等、社内の法令遵守体制の整備に注力しております。
しかしながら、万一、役職員等により法令違反等の行為が発生した場合には、社会的信用低下により円滑な業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 商標権について
当社は、自社開発業態のブランドを当社の事業にとって重要なものと位置付けており、識別性がない等の理由により、その性質上商標の登録が困難なものを除き、全て商標の登録を行う方針としております。「隠れ庵忍家」「宵隠忍庵」「海鮮忍ぶ家かいらく」「壱豆」「豆十」「月豆」「楽ダイニング 月の詩」「忍家」「しゃぶしゃぶ三昧 巴」「常陸乃國 もんどころ」「串・海鮮・ホルモン かどでや」「益益」「東京ナポリ」「ジャパニーズダイニング味斗」「華蔵」「はれかの」「串三昧」「みんなの和食村」「串市場」につきましては、登録済みであります。
しかしながら、何らかの理由により当社が使用している商標が第三者の登録済の商標権を侵害していることが判明した場合には、店舗名の変更等に伴い費用が発生する可能性があるほか、当該第三者から、当社の商標の使用差止、使用料および損害賠償等の支払請求をなされる可能性もあり、かかる場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 自然災害等による営業被害について
当社は、東日本大震災の被災地である茨城県に本社を置いており、東日本大震災発生の際には直接的・間接的な営業被害を被りました。今後発生の可能性がある余震による被害はもとより、首都圏直下型の巨大地震の発生も予測されており、これらの自然災害により当社店舗の営業が困難または不可能となる可能性があり、かかる場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等について
第2(事業の状況)1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①新型コロナウイルス感染症への対応 をご参照ください。
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