研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、新素材及び新製品の開発等を中心とした研究開発活動を行っております。

研究開発は、当社の技術研究所を中心に実施しており、研究スタッフは、グループ全体で101名であります。

当連結会計年度の研究開発費は2,024百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題及び研究成果は、次のとおりであります。

(1)繊維事業

繊維事業部では、テキスタイルイノベーションセンターを中心に、社会課題を解決するためのデジタル技術の応用や、紡織技術や加工技術など繊維製造技術を生かしたサステナブル商品の開発を行っております。

当連結会計年度は、繊維製品とAI・IoT技術の融合として研究開発に取り組んできた暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム(スマートフィット®)については、アルゴリズムの精度向上、マルチデバイス機能の構築、ユーザビリティーの向上に取り組みました。販売は着実に拡大しています。

次に、サステナブルな取り組みの推進として、廃棄している裁断屑を再度原料にし、衣料を製造するシステム(L∞PLUS®:ループラス)の開発の推進は、裁断屑の再利用で取り組みが拡大しておりますが、それに加えて、回収衣料の再利用にも展開を進めることが出来ました。

また、サステナブル原料であるコットンに、グラフト重合技術を活用して、原料段階で機能を付与する商品(NaTech®:ネイテック)の開発については、生産ラインの新設を実施し、更なる機能開発も引き続き行いました。

当事業に係る研究開発費は204百万円であります。

 

(2)化成品事業

住宅建材、機能フィルム、精密製品及び高機能複合材料の製品開発を行っております。

当連結会計年度は、住宅建材分野では、不燃無機材料による造形材用途の開発とともに建設用3Dプリンタを導入し、これを活用した建築材料への適用可能性について外部パートナーとの共同研究に着手しました。機能フィルム分野では、半導体・自動車・電子部品用途での新規機能性付与や生産技術の開発に取り組みました。精密製品分野では、半導体分野向け製品の生産技術向上、高性能化に取り組みました。また、炭素繊維強化複合材料用基材(クラパワーシート®)の加工技術、生産技術の開発に取り組みました。

当事業に係る研究開発費は504百万円であります。

 

(3)環境メカトロニクス事業

(エレクトロニクス分野)

画像処理技術及び情報処理技術を活用したマシンビジョンシステムやロボットビジョンシステム、光応用計測技術を用いた半導体洗浄システムや膜厚計測システムについて、これら各種システムの市場調査・研究開発・商品開発を行っております。当連結会計年度は、微細化・多機能化が進行する半導体パッケージ用プリント基板の需要拡大に向けた検査装置の開発継続と、半導体洗浄プロセス向けに新規濃度計アプリケーションを開発しました。また、スマートフォン組立工程のコネクタ接続ロボットシステムや車載部品の製造でケーブル扱うことができるロボットビジョンシステムを技術研究所と共同で開発しました。

(エンジニアリング分野)

排ガス、廃水の浄化システムや廃プラスチックや古紙を由来とするRPF燃料を使用するボイラ・燃焼装置の開発を行っております。また、バイオマス発電の発電効率の向上と自動制御化に関する研究開発を行っております。当連結会計年度は、RPF燃焼装置を組み込んだFUNTO(家畜排せつ物処理設備)の季節変動データの採取と設備改良を行いました。また、徳島バイオマス発電所における発電効率の向上と自動制御化を図るため、技術研究所と共同で、主にボイラ等の運転データの収集・分析を継続して行っています。収集したデータを用いてボイラ内の燃焼やタービンのシミュレーションを行い、燃焼の最適化と発電効率を向上させる取り組みにより、自動制御化を検討しています。

(バイオメディカル分野)

遺伝子検査や解析に用いるサンプルを各種生体試料から分離するシステムやプロトコルに関する研究開発をメンブレンフィルター法の核酸分離システム(QuickGene®-Auto12S/24S)を活用して行っております。当連結会計年度は、がん関連の検査に利用される核酸のFFPE(組織切片)のDNAならびにRNAや細胞遊離DNAの分離自動化用のプロトコルと試薬キット開発を技術研究所と共同で行いました。更に臨床検査項目を拡げるために、miRNA(マイクロRNA)やFFPE(組織切片)からのオールプレップ(DNAとRNAの核酸全体)のアプリケーション開発を進め、がん検査の前処理自動化のラインナップ充実を図ります。

(工作機械分野)

主力製品の横中ぐりフライス盤をはじめとする金属加工機械及びソフトウェアの高機能化の研究開発を行っております。

当連結会計年度は、金属加工機械分野では大型で複雑な形状の部品を加工可能なマシニングセンタを、主に航空機部品業界向けに開発いたしました。また、主力機種について速度および精度を向上させたモデルチェンジを行いました。ソフトウェア分野では主力のCAD/CAMについて、機能を強化したバージョンアップを行いました。

当事業に係る研究開発費は221百万円であります。

 

(4)食品・サービス事業

真空凍結乾燥技術による加工食品の研究開発を行っております。当連結会計年度では、畜肉代替食として植物性由来のフリーズドライによる食材を開発いたしました。畜肉を使用することなく、その食感を再現し、おいしさを表現する食材の製品化に至りました。

当事業に係る研究開発費は78百万円であります。

 

(5)その他(全社研究開発)

当社グループの研究開発組織である技術研究所は、各事業分野の競争力強化を図るために、「数理科学」、「情報工学」、「物理科学」、「光電工学」、「物質科学」、「生命科学」の6つの分野をコア技術領域と定めて研究活動を行っております。これらのコア技術の深耕により、Society5.0へ対応する事業基盤を継続的に整備し、技術イノベーションによる業容の拡大と収益力の強化、さらに社会課題の解決や環境に配慮した技術の研究開発に取り組みました。また、当社グループの将来を担う新規事業の創出をめざして、ロボット産業用のセンシングデバイスを開発する「ロボットセンシング」、半導体産業用の薬液を精密に計測・制御する機器ユニットを開発する「セミコンソリューション」、革新的な核酸抽出手法や高度遺伝子解析の分野でバイオメディカル市場向けの次世代製品を開発する「ライフサイエンス」、各種樹脂と強化繊維との複合素材やスーパーエンプラフィルムを応用した新規素材を開発する「マテリアルソリューション」、の4つのプロジェクトを推進しました。

全社研究開発に係る研究開発費は1,014百万円であります。

 

 

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