業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度において、日本国内では、コロナ禍による行動制限が継続され、実店舗における消費に大きな回復が見られないでいる一方、コロナ禍1年目となった前連結会計年度に大きな盛り上がりを見せたEC市場の拡大に対する大きな反動減は見られませんでした。また世界経済に目を向けると、急激な円安、世界的な半導体不足に端を発したサプライチェーンの乱れ、コンテナ不足やロックダウンに伴う労働力不足に起因する海上運賃の高騰、原油価格をはじめとした資源価格高騰など、一年を通じて逆風を強く感じる年でもありました。

 

セグメントごとの状況は次のとおりであります。

a.コマース事業

(a) 国内事業

当連結会計年度第1四半期において、前連結会計年度に見られたiPhone SE2発売等による需要増のような後押しが無く厳しいスタートとなったものの、9月における新型iPhone商戦において、iFaceシリーズを中心とした新製品のリリースも順調に進み、市場動向を的確にとらえた販売・マーケティング施策が功を奏し、前期を超える水準で推移し、改めてiFaceのブランド力の高さに自信を持つことができました。小売では、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021」スマートフォン・タブレット・周辺機器ジャンル大賞を3年連続で受賞、また卸販売では新規キャリアとの本格取引開始等、それぞれの販路においても今後に繋がる実績を残すことができました。当連結会計年度第4四半期においては、コロナ禍における行動制限期間が新生活商戦期間にまで延長される状況が逆風となり、小売は前期を下回って推移しましたが、一方で4月に入りリアル消費が回復して卸販売はその勢いを取り戻すことができました。卸販売、小売、2つの販売チャネルをバランス良く維持し、iFaceという強いブランドを維持する当社事業の安定した収益性を示すことができた期でありました。iFaceは今年で発売から10周年を迎えることができました。今後も主力ブランドとしてしっかりと成長させていきます。

また、当連結会計年度より開始したゲーミングアクセサリー事業は、当連結会計年度上半期においては世界的な半導体不足等の影響による供給不足によって需要に対応できない状況が続きましたが、同下半期より供給が回復し、月平均売上で5千万円以上まで立ち上がりました。また当連結会計年度第3四半期に立ち上げましたコスメティクス事業においては、当面はマーケティング、ブランディング施策を積極的に行っていくため、投資が先行する状況が続きますが、コマース事業の卸販売等の販売チャネルを活かした販路を拡大しつつあり、しっかりと翌年度に繋げていきます。

(b) 海外事業

最大の市場である米国において、従前より取り組んでいたEC販売に関する組織力強化により各種EC販売施策が功を奏し、オタマトーンを中心とする売上の押し上げに寄与しました。また、米国市場へローカライズ商品を展開できるほどに組織力が成長したことで、キャラクター展開されたスクイーズを中心に販売が好調に推移し、その展開に合わせてiFaceを中心とするテックアクセサリーの展開も加速することができました。

これらの結果、コマース事業の売上高は10,189,693千円(前連結会計年度比4.8%増)、営業利益は2,186,985千円(同12.5%減)となりました。

 

b. プラットフォーム事業

(a) ネクストエンジン

自社開発のクラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」については、コロナ禍によるEC特需のあった前連結会計年度と比較するとユーザー獲得のペースは落ち着きをみせたものの、継続的にカスタマーサクセス活動を強化、9月には契約社数5,000社を達成し、コロナ禍前と比べ獲得数は引き続き高い水準を維持しております。サーバー運用の効率化及び安定稼働のためのインフラ投資を行っており、当該投資が若干利益率に影響が出ているものの、それを上回る契約社数の獲得による増収が寄与し、営業利益においてしっかりとした成長を示すことができました。

(b) Hameeコンサルティング株式会社(以下、Hameeコンサルティング)

EC事業者向け販売支援コンサルティングを提供するHameeコンサルティングにおいて、大手顧客とのECコンサルティング契約を継続的に獲得することができ、売上のベースが大きく伸びたことに加え、また注力領域として下半期より新たに事業部として立ち上げた新規店舗制作やリニューアル等の制作案件が加わり、大幅な増収・増益となりました。

これらの結果、プラットフォーム事業の売上高は2,769,297千円(前連結会計年度比20.0%増)、営業利益は1,144,063千円(同19.8%増)となりました。

 
c. その他

コマース事業、プラットフォーム事業のいずれにも明確に分類できない新たなサービスに係るものであり、「ふるさと納税支援サービス」や小学生向け見守りモバイル端末「Hamic POCKET(はみっくポケット)」、エシカルネットショップ「RUKAMO」等が含まれます。

ふるさと納税支援事業は、期首より取り組んでいる返礼品や返礼品事業者の新規開拓を中心とした営業活動や、ネクストエンジンの活用や機能強化、自治体のポータルサイトのコンバージョンや改修、広告製作等のフロントサイドに関する取り組みを強化したことに加え、ふるさと納税市場の拡大の後押しもあったこともあり、大幅な増収増益となりました。

Hamic POCKETについては、期初より販売を開始していたHamic POCKETのバッテリー課題を解決するため、2022年2月に電池容量を大きくしたHamic POCKET Lの販売を開始しましたが、自社によるスマートフォンの開発・製造は難易度が高く、ユーザーの期待を超えるプロダクトの開発に未だ至っていない状況が続いております。年度ごとに投資上限を設定した上で、その範囲内で引き続き開発を継続していきます。

当連結会計年度の売上高は454,490千円前連結会計年度比37.9%増)、セグメント損益(営業損益)は「ふるさと納税支援サービス」以外、先行投資フェーズであるため営業損失は231,659千円前連結会計年度は273,208千円の営業損失)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は13,413,481千円(前連結会計年度比8.5%増)、営業利益は2,202,385千円(同1.0%増)、経常利益は2,329,611千円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,743,821千円(同12.0%増)となりました。

なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。

 

 

d. 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,701,502千円増加し、8,158,236千円(前年度比26.4%増)となりました。これは主に、借入等により現金及び預金が671,141千円増加したこと、売上高の増加等により受取手形及び売掛金が76,900千円増加したこと、商品が465,794千円増加したこと及び前渡金が366,427千円増加したこと等の結果によるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ477,936千円増加し、2,359,956千円(同25.4%増)となりました。これは主に、Hamee Global Inc.のオフィス移転等により建物及び構築物が500,109千円並びに土地が331,201千円それぞれ増加した一方、のれんが203,907千円減少したこと等の結果によるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ486,253千円増加し、2,232,316千円(同27.8%増)となりました。これは主に、短期借入金が487,822千円増加したこと及び未払金が91,291千円増加した一方で、未払法人税等が117,133千円減少したこと等によるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ31,677千円減少し、32,960千円(同49.0%減)となりました。これは主に、長期借入金が43,853千円減少したこと等の結果によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,724,864千円増加し、8,252,916千円(同26.4%増)となりました。これは主に、利益剰余金が1,585,501千円増加及び為替換算調整勘定が120,758千円増加したこと等の結果によるものであります

 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ671,141千円増加し、4,025,758千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,186,178千円(前連結会計年度は1,941,111千円の収入)でありました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,462,979千円、減価償却費432,421千円、のれん償却額205,197千円等の収入要因に対し、棚卸資産の増加425,444千円、前渡金の増加356,306千円、法人税等の支払い919,631千円等の支出要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は886,457千円(前連結会計年度は412,081千円の支出)でありました。これは主に、関係会社株式の売却による収入182,354千円等の収入要因に対し、有形固定資産の取得824,443千円、無形固定資産の取得193,183千円等の支出要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は298,055千円(前連結会計年度は1,736,346千円の支出)でありました。これは主に、短期借入金の増加500,000千円等の収入要因に対し、長期借入金の返済48,036千円及び配当金の支払い158,776千円等の支出要因があったことによるものであります。

 

 

③  生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年5月1日
 至 2022年4月30日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

コマース事業

1,322,969

133.8

 

(注) 金額は、当期総製造費用によっております。

 

b. 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年5月1日
 至 2022年4月30日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

コマース事業

4,219,265

115.8

プラットフォーム事業

その他

35,984

64.8

合計

4,255,250

115.0

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

c.  受注状況

当社グループのコマース事業においては受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。またプラットフォーム事業においては、ユーザーのシステム内における受注件数に応じた従量課金制の手数料収入が主であるため、受注残高は発生しません。そのため、受注状況には重要性がなく、記載を省略しております。

 

d.  販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年5月1日
 至 2022年4月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

コマース事業

10,189,693

104.8

プラットフォーム事業

2,769,297

120.0

その他

454,490

137.9

調整額

合計

13,413,481

108.5

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 4、会計方針に関する事項」及び「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による会計上の見積り及び仮定への影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

②  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  経営成績等の状況

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要  ①  財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

b.  キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要の主なものは、コマース事業における卸販売の拡大に伴い発生する商品仕入資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用支払いに充当するための資金であります。設備投資資金の主なものは、プラットフォーム事業における主要なサービスであるネクストエンジンの機能向上に資するための開発、ソフトウエア等無形固定資産への投資資金、この他企業買収等、企業価値向上に資する投資に関する資金需要があります。

当該資金需要のうち運転資金につきましては、取引銀行6行との間で総額1,950,000千円の当座貸越枠を設定しており、必要に応じて機動的な資金調達が可能な体制を整えております。また、投資資金につきましては、案件ごとに、手持ち資金の状況を勘案しながら、長期借入金により資金調達を行っております。

なお、企業買収について、今後多額の買収資金が必要となるような案件が発生した場合、資本効率やコスト等のバランスと、株主利益への影響を十分に勘案したうえで、資本市場での調達、金融機関からの調達の双方を慎重に検討のうえ資金調達を実施してまいります。

 

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