文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度における売上高は、577,249百万円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。これは、主に、医薬品の需要が前連結会計年度に比べて大きく戻ったことと、新型コロナ関連商品の販売等が好調に推移したことによるものです。
差引売上総利益は、43,976百万円(同15.1%増)となりました。これは、主に、上述の販売増によるものと、国や自治体から受託した新型コロナワクチンの配送業務等の収益を計上したことによるものです。
販売費及び一般管理費は、41,030百万円(同1.4%増)となりました。これは、全般的にコストの削減に努めた一方、前連結会計年度が営業損失のため役員や従業員の人件費を一部削減しましたが、当連結会計年度は業績が回復したため、以前の水準にまで戻したことによります。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度2,260百万円の営業損失から一転、当連結会計年度は2,945百万円を計上することができました。
経常利益は、製薬企業からの受取事務手数料や受取配当金等の営業外収益を3,100百万円計上したことで5,834百万円(前連結会計年度比741.4%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に投資有価証券売却益からなる特別利益2,873百万円と減損損失等の特別損失1,059百万円を計上したことで、最終的に4,770百万円(同307.1%増)となりました。
なお、当連結会計年度中も新型コロナウイルス感染拡大による若干のマイナスの影響はあったものの、上述のとおり、新型コロナ関連商品の売上や新型コロナワクチンの配送受託収益の計上により、売上高及び売上総利益に対し、プラスの作用を及ぼしました。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は1,106百万円減少しましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益への影響はありません。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
(a)医薬品卸売事業
当社の主たる事業である医薬品卸売事業においては、前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による患者の受診抑制や手術等の治療延期により、医薬品の需要が大きく減少しましたが、当連結会計年度では、当初予想を上回る回復をしました。また、新型コロナ関連商品の販売やレンタルが好調に推移いたしました。前連結会計年度は市場競争が激化しただけではなく新型コロナ禍の影響もあり、お得意先との価格交渉期間が十分に確保できず、これまで取り組んできた流通改善の一つである単品単価交渉が推進できませんでした。当連結会計年度では、安定供給体制を維持していくためにも、流通改善ガイドラインの趣旨に沿って、単品単価交渉の推進や医薬品の価値を踏まえた適正価格での取引に全力で取り組みました、加えて、業務プロセス見直しによるコスト削減にも注力しました。そのような中、国や自治体から受託した新型コロナワクチンの配送業務、基本型接種施設、小分け業務に注力し、新型コロナの収束に向けた社会的使命を果たしております。
その結果、当連結会計年度の医薬品卸売事業セグメントの外部顧客への売上高は544,249百万(前連結会計年度比7.5%増)となり、セグメント利益は2,443百万円(前連結会計年度は2,542百万円のセグメント損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、外部顧客への売上高は1,107百万円減少しましたが、セグメント利益への影響はありません。
ここで、医薬品卸売事業の主たる事業子会社の株式会社バイタルネットと株式会社のケーエスケーについても主な業績の概況を説明します。
ア)株式会社バイタルネット
東北・新潟を主な商圏とする㈱バイタルネットでは、当連結会計年度の売上高は273,658百万円(前連結会計年度比5.7%)の増収となりました。営業利益は、主として複数の自治体から受託した新型コロナワクチン配送業務等収益を計上した結果、1,776百万円(前連結会計年度は1,606百万円の営業損失)となりました。
イ)株式会社ケーエスケー
近畿2府4県を商圏とする㈱ケーエスケーでは、当連結会計年度の売上高は280,736百万円(前連結会計年度比9.5%)の増収となり、結果として、582百万円の営業利益(前連結会計年度は1,129百万円の営業損失)となりました。
(b)薬局事業
薬局事業においては、連結会社が1社増えたことと、前連結会計年度に比べて受取処方箋枚数が増えたことで、外部顧客への売上高は18,397百万円(前連結会計年度比9.7%増)となり、セグメント利益は205百万円(前連結会計年度は19百万円のセグメント損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による外部顧客への売上高とセグメント利益への影響はありません。
(c)動物用医薬品卸売事業
動物用医薬品卸売事業においては、市場の回復により外部顧客への売上高は10,399百万円(前連結会計年度比6.0%増)となったものの、セグメント利益は物流費等の増加により371百万円(同7.5%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、外部顧客への売上高は0百万円増加しましたが、セグメント利益への影響はありません。
(d)その他事業
(注)その他事業は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、農薬等の卸売業、運送業、介護サービス業、医療機関に対するコンサルティング業、スポーツ関連施設運営事業等を含んでおります。
その他事業においては、介護サービス業の収益が改善されたものの、コロナ禍でスポーツ関連施設運営事業等の業績が振るわず、外部顧客への売上高は4,201百万円(前連結会計年度比3.6%増)であったものの、セグメント損失は131百万円(前連結会計年度は156百万円のセグメント損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による外部顧客への売上高とセグメント利益への影響はありません。
①連結財政状態の概況
流動資産は前連結会計年度末比7,897百万円(4.1%)増加の198,532百万円となりました。これは主に、売上高が大きく伸びたことで受取手形及び売掛金が4,933百万円、棚卸資産が2,469百万円、収益認識会計基準の適用により返品資産をその他流動資産に計上したことなどで3,306百万円増加したことによります。
固定資産は前連結会計年度末比6,265百万円(5.2%)減少の114,501百万円となりました。これは主に、支店の移転新設等により有形固定資産合計が1,074百万円増加したものの、投資有価証券の売却と含み益が減少したことなどで投資その他の資産合計が7,785百万円減少したからです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末比1,632百万円(0.5%)増加の313,033百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末比11,666百万円(6.5%)増加の190,092百万円となりました。これは主に、一年内返済予定長期借入金を約定返済したことなどで短期借入金が4,610百万円減少したものの、売上伸長により支払手形及び買掛金が9,711百万円増加、収益認識会計基準の適用による返金負債の計上や未払法人税等の増加等によりその他流動負債合計が6,564百万円増加したことによります。
固定負債は前連結会計年度末比6,159百万円(21.2%)減少の22,898百万円となりました。これは主に、長期借入金から一年内返済予定長期借入金への振替え970百万円のほかに、一部の事業子会社が退職給付信託へ3,000百万円拠出したことと繰延税金負債が2,554百万円減少したことで、その他固定負債合計が5,189百万円減少したことによります。
その結果、負債合計は前連結会計年度末比5,506百万円(2.7%)増加の212,991百万円となりました。
純資産は前連結会計年度末比3,874百万円(3.7%)減少の100,041百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより株主資本が2,561百万円増加したもの、上述のとおり、投資有価証券の売却と含み益が減少したことなどでその他の包括利益累計額合計が6,543百万円減少したからです。
以上の結果、負債及び純資産合計は前連結会計年度末比1,632百万円(0.5%)増加の313,033百万円となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動による収入を投資活動による支出と財務活動による支出の合計額が上回ったため、前連結会計年度末比3,013百万円減少し、23,239百万円となりました。
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は7,487百万円(前連結会計年度は1,389百万円の減少)となりました。これは売上債権の増加額4,933百万円(前連結会計年度は716百万円の減少)、退職給付に係る負債の減少額3,323百万円(前連結会計年度は1,772百万円の減少)等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益7,648百万円(前連結会計年度は2,432百万円)、仕入債務の増加額9,624百万円(前連結会計年度は1,632百万円の減少)、減価償却費2,780百万円(前連結会計年度は2,876百万円)等の増加要因によるものです。
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は2,013百万円(前連結会計年度は549百万円の増加)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入2,588百万円(前連結会計年度は3,935百万円)等の増加要因があったものの、有形固定資産の取得による支出3,415百万円(前連結会計年度は3,312百万円)、投資有価証券の取得による支出885百万円(前連結会計年度は38百万円)等の減少要因があったことによるものです。
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は8,486百万円(前連結会計年度は2,516百万円の減少)となりました。これは長期借入金の返済による支出5,370百万円(前連結会計年度は400百万円)、自己株式取得による支出1,559百万円(前連結会計年度は0百万円)等の減少要因があったことによるものです。
当社グループの資金調達の方法は、通常の事業活動の展開や支店・倉庫の新設や更新投資等においては、営業活動から得られる資金で賄うことをベースに考えますが、必要に応じて、銀行借入で賄うこともあります。一方、大型の物流センターの建設やM&A等の実施の場合には、銀行借入の他に、社債発行や株式発行等による調達方法も選択肢に加え柔軟に検討いたします。
当社グループは、営業活動から得られた資金と外部調達から得られた資金を事業の運転資金や設備・システムの新設・更新・維持投資、それに新規事業投資やM&A等に振り向けるほか、株主還元も経営の重要な課題であると認識し、必要な手許資金を残して、余剰資金を適切に株主還元に充当していく考えです。
繰り返しになりますが、当社グループは、株主還元を経営の重要課題と位置付け、継続的かつ安定的な配当を行うと共に、不定期ですが必要に応じて自己株式の取得も実行していく考えです。このうち、配当については、連結配当性向25%以上を目標に実施していきます。
この基本方針のもと、当連結会計年度における株主還元につきましては、次のとおり実行しています。
まず、自己株式取得につきましては、2021年6月18日から2022年1月31日までの期間において、発行済み株式総数(自己株式を除く)の3.6%に当たる200万株(総額1,559百万円)を市場から買い付けしました。
次に、配当金につきましては、中間配当金を1株につき12円、期末配当金は1株につき普通配当12円に予想を上回る業績を上げることができたことで特別配当2円を加え14円とし、年間で1株につき26円(連結配当性向29.6%)とさせて頂きました。
次期につきましては、中間配当金は1株につき12円、期末配当金も1株につき12円とし、年間で1株につき24円(連結配当性向28.4%)を予定しています。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づいて作成しています。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。
会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりです。
新型コロナウイルス感染拡大による2022年3月期の連結業績への影響につきましては、前連結会計年度(2021年3月期)は患者の受診抑制や手術等の治療延期により医薬品の需要が大きく減少しましたが、2022年3月期には、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には達しないものの医薬品市場は大きく回復しています。新型コロナウイルス感染はまだ続いていますが、今後は医薬品市場への影響は少ないと見込んでいます。
のれんについては、毎年、四半期ごとに、薬局事業内ののれんの発生元における事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等を考慮しながら、減損の必要性を自社内で確認しています。もし、減損の必要があると判定された場合には、独立した外部の評価機関に適正な割引率の算定を委託し、これをもとに減損損失を計上することにしています。
新型コロナウイルスの影響を加味した事業計画に基づき割引前将来キャッシュフローを算定した結果、減損の認識は不要であるとし、連結貸借対照表にのれんを2,874百万円計上しています。
以下に示すその他の重要な会計方針の見積り項目につきましても、上記①に記載した当社の仮定に基づき評価等をしております。
個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。
回復可能性等を考慮して必要と認められる額につきまして減損処理を行っております。
将来の課税所得を見積り、回収可能と判断しております。
支給見込額に基づき計上しております。
国債の市場利回り等の経済状況を勘案して決定しております。
(5) 生産、受注及び販売の状況
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上に該当するものはありません。
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