以下に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態等については遡及処理を行っていない前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、前連結会計年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況が続いております。さらには、ウクライナ情勢に起因した原油価格の高騰、日米金利差拡大を背景とした急激な円安の進行など、先行きは依然として不透明な状況にあります。
そのような状況の中、当社グループは、2021年5月に2024年度を最終年度とする新たな中期経営計画「Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”」(IP24)を公表いたしました。IP24では①LNG戦略(事業エリアの拡大)の推進、②TLCの進化、③DX戦略の本格化、④経営資源の最適配分、⑤SDGsに向けた取り組み強化と、5つのキーメッセージを掲げております。
IP24の初年度は、それらキーメッセージを実現していくための基盤作りの年度であり、既存事業の成長やM&Aの推進はもとより、新たにカーボンニュートラルを目指すグリーン成長戦略やワークスタイル改革などにも取り組みました。
営業活動については、感染防止対策を徹底しながら積極的な顧客獲得を推進した結果、当連結会計年度末における継続取引顧客件数は、前連結会計年度末から95千件増加し3,194千件、TLC会員サービスの会員数は同107千件増加し1,086千件となりました。
これらにより当社グループの当連結会計年度における業績については、売上高は210,691百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業利益は15,794百万円(同3.7%増)、経常利益は15,907百万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,969百万円(同1.7%増)となりました。なお、売上高については5期連続の増収、各利益項目については4期連続で増益となり、いずれも過去最高を更新いたしました。
当連結会計年度におけるトピックスとしては、2021年4月に株式会社TOKAIベンチャーキャピタル&インキュベーション(東京都港区)を設立いたしました。同社は既存事業とのシナジーや新たな生活関連サービスの創出など、TLCの進化を実現してまいります。
また、同月に建築設備不動産事業においてマンションなどの大規模修繕工事を営む株式会社マルコオ・ポーロ化工(愛知県豊田市)、情報通信事業においてシステム開発事業を営む株式会社クエリ(東京都豊島区)、それぞれの株式を取得し、連結子会社化いたしました。
また、2021年10月には熊本県熊本市へ、2022年1月には広島県福山市へ新たなLPガス販売の営業拠点を開設しました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(エネルギー)
LPガス事業につきましては、引き続き顧客獲得を推進した結果、需要家件数は前連結会計年度末から34千件増加し715千件となりました。また、仕入価格に連動した販売価格の上昇等により、売上高は73,769百万円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。
都市ガス事業につきましては、需要家件数は前連結会計年度末から7千件増加し70千件となりました。また、産業用ガス販売量の増加や原料費調整制度の影響等により、売上高は13,000百万円(同10.7%増)となりました。
これらにより、当セグメントの売上高は86,770百万円(同12.1%増)となりましたが、顧客獲得費用の増加等により営業利益は6,059百万円(同0.9%減)となりました。
(建築設備不動産)
建築設備不動産事業につきましては、当連結会計年度から連結子会社化した株式会社マルコオ・ポーロ化工(愛知県豊田市)が寄与した他、既存の建築設備工事や土木工事の受注も順調に推移したことで、当セグメントの売上高は27,780百万円(同19.9%増)、営業利益も1,706百万円(同35.7%増)と増収増益となりました。
(CATV)
CATV事業につきましては、地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携する等、コロナ禍でも快適に過ごせるようコンテンツの充実に努めてまいりました。また、各エリアの実情に応じて慎重かつ着実に営業活動を持続させたことで、放送サービスの顧客件数は前連結会計年度末から12千件増加し887千件、通信サービスの顧客件数は前連結会計年度末から22千件増加し344千件となりました。
一方、「収益認識に関する会計基準」を当連結会計年度の期首から適用したことで、当セグメントの売上高は32,572百万円(同3.5%減)となりましたが、営業利益は顧客件数の増加により5,189百万円(同10.0%増)となりました。
(情報通信)
コンシューマー向け事業につきましては、顧客純増への転換に努め、ISP事業については大手携帯キャリアとの提携によるメニューの拡充、モバイル事業についてはサービスメニューの適宜見直しや、固定回線とのセットプラン等により、顧客獲得を推進しました。これら施策の結果、ブロードバンド顧客は前連結会計年度末から2千件の減少に抑え654千件、LIBMOについては同2千件増加し55千件となり、売上高は24,400百万円(同7.2%減)となりました。
法人向け事業につきましては、クラウドサービスが順調に進捗、活況である受託開発案件の増加等により、売上高は26,997百万円(同10.5%増)となりました。
これらにより、当セグメントの売上高は51,398百万円(同1.3%増)、営業利益は3,355百万円(同8.7%増)となりました。
(アクア)
アクア事業につきましては、大型商業施設等での催事営業が順調に推移したほか、テレマーケティング等の非対面営業も実施し、顧客件数は前連結会計年度末から3千件増加し165千件となりました。
これらにより、当セグメントの売上高は7,629百万円(同0.1%増)となりましたが、顧客獲得費用の増加により営業利益は46百万円(同82.1%減)となりました。
(その他)
その他の事業のうち、介護事業につきましては、利用者数が増加したことにより売上高は1,353百万円(同2.9%増)となりました。造船事業につきましては、船舶修繕の隻数が増加したことにより、売上高は1,673百万円(同11.1%増)となりました。婚礼催事事業につきましては若干の回復がみられ、売上高は646百万円(同54.9%増)となりました。
これらにより、当セグメントの売上高は4,540百万円(同11.7%増)、営業損失は103百万円(前連結会計年度は244百万円の営業損失)となりました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末における資産合計は184,473百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,499百万円の増加となりました。これは主として、デリバティブ評価差額資産の減少等により流動資産「その他」が1,787百万円減少した一方で、有形固定資産が4,216百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が2,243百万円、投資その他の資産が811百万円、無形固定資産が306百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債合計は105,527百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,609百万円の増加となりました。これは主として、ヘッジ取引にかかる預り保証金の減少等により流動負債「その他」が3,027百万円減少した一方で、短期借入金が2,350百万円、固定負債「リース債務」が1,540百万円、支払手形及び買掛金が1,441百万円増加したこと等によるものであります。
純資産合計は78,946百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,890百万円の増加となりました。これは主として、剰余金の配当を4,072百万円実施したことに加え、繰延ヘッジ損益が1,918百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益8,969百万円を計上したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末から688百万円減少し4,447百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、20,808百万円の資金の増加(前連結会計年度比△11,414百万円)となりました。これは法人税等の支払、売上債権の増加及び預り金の減少等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益、仕入債務の増加及び非資金項目である減価償却費等の要因により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、14,592百万円の資金の減少(同+2,476百万円)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得に加え、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6,905百万円の資金の減少(同+7,159百万円)となりました。これは借入金による資金調達等の一方で、借入金及びリース債務の返済、配当金の支払等を行ったことによるものであります。
また、前連結会計年度に比べて財務活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加しておりますが、これは短期借入金の増加等によるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
エネルギー |
40,338 |
130.4 |
建築設備不動産 |
9,099 |
128.0 |
CATV |
16 |
68.1 |
情報通信 |
2,712 |
122.1 |
アクア |
860 |
113.9 |
その他 |
480 |
116.2 |
合計 |
53,507 |
129.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前連結会計 |
受注残高 (百万円) |
前連結会計 |
エネルギー |
3 |
10.8 |
83 |
106.6 |
建築設備不動産 |
13,222 |
97.1 |
4,046 |
69.4 |
CATV |
- |
- |
- |
- |
情報通信 |
17,338 |
116.6 |
1,326 |
154.1 |
アクア |
- |
- |
- |
- |
その他 |
787 |
74.0 |
67 |
50.9 |
合計 |
31,352 |
106.0 |
5,525 |
80.1 |
(注)1.当社グループは一部を除き受注生産を行っておりません。「エネルギー」はガス関連機器等の請負工事、「建築設備不動産」は住宅及び土木建築等の請負工事、「情報通信」はソフトウェア開発、「その他」は船舶修繕の受注高を記載しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
エネルギー |
86,770 |
112.1 |
建築設備不動産 |
27,780 |
119.9 |
CATV |
32,572 |
96.5 |
情報通信 |
51,398 |
101.3 |
アクア |
7,629 |
100.1 |
その他 |
4,540 |
111.7 |
合計 |
210,691 |
107.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
ⅰ.財政状態
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、210,691百万円(前連結会計年度比7.1%増)となりました。売上高の主な内訳をセグメント別でみると、下記のとおりであります。
エネルギー事業におきましては、顧客増加や仕入価格に連動した販売価格の上昇等により、86,770百万円(同12.1%増)となりました。
建築設備不動産事業におきましては、当連結会計年度から連結子会社化した株式会社マルコオ・ポーロ化工(愛知県豊田市)が寄与した他、既存の建築設備工事や土木工事の受注も順調に推移したことで、27,780百万円(同19.9%増)となりました。
CATV事業におきましては、顧客件数が順調に増加したものの、「収益認識に関する会計基準」を当連結会計年度の期首から適用したことで、32,572百万円(同3.5%減)となりました。
情報通信事業におきましては、法人向け事業でストックビジネス及び受注開発案件が好調に推移し、51,398百万円(同1.3%増)となりました。
アクア事業におきましては、大型商業施設等での催事営業が順調に推移したほか、テレマーケティング等の非対面営業も実施し、7,629百万円(同0.1%増)となりました。
その他の事業におきましては、介護事業での利用者数の増加、造船事業での船舶修繕工事量の増加及び婚礼催事事業で若干の回復がみられた等により、4,540百万円(同11.7%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、エネルギー事業のガス仕入価格の上昇等により11,622百万円増加し、125,479百万円(同10.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は、LPガス事業及びアクア事業の顧客獲得費用が増加したこと等により1,774百万円増加し69,418百万円(同2.6%増)となりました。以上により、営業利益は567百万円増加し、15,794百万円(同3.7%増)となりました。
(営業外損益)
営業外損益は113百万円の利益(同31.5%増)となりました。なお、支払利息は前連結会計年度から21百万円減少し、268百万円となりました。これらにより、経常利益は15,907百万円(同3.9%増)となりました。
(特別損益)
特別損益は、固定資産除却損、周年事業費用を計上したこと等により、916百万円の損失(前連結会計年度は741百万円の損失)となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は14,990百万円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の負担(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、8,969百万円(同1.7%増)となりました。1株当たり当期純利益は68円49銭(前連結会計年度は67円32銭)となりました。
ⅲ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
当社グループは2021年5月に、2021年度(2022年3月期)から2024年度(2025年3月期)までの4ヵ年を対象とする「TOKAIグループ中期経営計画「IP24」(Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”)」を策定しました。
「IP24」で掲げた4年間の目標及び2022年3月期実績、2023年3月期予想については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの指標の推移は下記のとおりであります。
|
第7期 (2018年3月期) |
第8期 (2019年3月期) |
第9期 (2020年3月期) |
第10期 (2021年3月期) |
第11期 (2022年3月期) |
フリー・キャッシュ・フロー (百万円) |
9,421 |
9,161 |
10,403 |
15,155 |
6,216 |
自己資本比率(%) |
36.3 |
37.4 |
38.0 |
41.6 |
41.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
85.0 |
71.8 |
72.2 |
70.0 |
61.1 |
債務償還年数(年) |
2.4 |
2.3 |
2.1 |
1.3 |
2.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍) |
46.6 |
58.2 |
72.3 |
108.2 |
75.4 |
(注)フリー・キャッシュ・フロー : 営業活動キャッシュ・フロー+投資活動キャッシュ・フロー
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
債務償還年数 : 有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業活動キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。なお、当社は、「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株式時価総額の算定上使用する発行済株式数から控除する自己株式については、株式給付信託(BBT)によって株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式を含めております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、社債及び借入金を対象としております。
また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第8期の期首から適用しており、第7期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
b.財務政策
ⅰ.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、2021年度から2024年度までの4ヵ年を対象とする「TOKAIグループ中期経営計画「IP24」(Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”)において、キーメッセージの1つとして「経営資源の最適配分」を掲げており、事業から生み出したキャッシュ・フローを中心とした経営資源を、事業の将来成長や株主価値の向上に向けて最適配分を図る方針であります。
こうした方針を実現するため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり経営指標の目標数値を定めて、今後創出するキャッシュ・フローを事業基盤拡大に向けた成長投資や株主還元に活用する考えです。なお、手許資金につきましては足許の資金需要に耐えられる必要最小限に留めております。
ⅱ.資金需要の主な内容
当社グループにおける主な資金需要は仕入代金や人件費といった営業上の支出のほか、事業基盤拡大に向けた成長投資(M&A及びアライアンス投資等)に係る資金や、顧客へのサービス提供のために継続的な設備投資を実施することに伴う支出であります。設備投資の例としては、エネルギー事業における供給権や供給設備等、情報通信事業におけるネットワーク設備等、CATV事業における放送設備や伝送設備等が挙げられます。
ⅲ.資金調達
当社グループにおける資金調達の方法は、内部資金に加え、設備投資資金や長期運転資金は銀行からの長期借入や社債、短期的な運転資金は銀行からの短期借入や短期社債(CP)及び売掛債権流動化によって調達しております。
各連結子会社の必要資金を当社が一括して調達した上で各社に貸し付ける体制をとり、加えてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金の一元管理を行うことで、調達コストの削減と効率的な資金管理を行っております。また、取引銀行とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。また、取引銀行3行と貸出コミットメント契約60億円を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループに与える影響につきましては、事業全体への大きな影響はなく、感染症の拡大が当社グループに与える影響は軽微であるとの仮定をもとに、会計上の見積りを行っております。
a.収益の認識
当社グループの売上高は、主力のガスは計量販売についてはガスメーターの検針時に計上(ただし、最終検針時より期末までの分については推計計上)しており、器具等の商品は引渡時点、住宅等の建築工事は工事進行基準を適用しているものを除き検収引渡時点、役務サービスについては役務の提供が完了した時点で計上しております。なお、ガスについては商品の性格上季節的要因を受け易く、最終検針後の推計計上分については最終検針までの一定期間のガス使用量・平均気温の推移等を基に期末までの使用量を推定しておりますが、特に、推定気温より高めに推移した場合には実質消費量が推計消費量に比べ減少する可能性があります。
b.棚卸資産の評価
当社グループは、主として先入先出法により評価し、営業循環過程から外れた場合や正味売却価額が著しく下落した場合には、収益性の低下に伴う簿価切下げを行っております。将来の市況悪化または滞留在庫が増加した場合等には更なる評価損の計上が必要となる可能性があります。なお、主力のガスは実勢価格により評価し、最終検針時より期末までの使用量を推計し、期末時点の在庫を計上しております。
c.貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるために貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
d.投資有価証券の減損
当社グループは、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合及び時価のない株式については、銘柄別に回復可能性を考慮して、必要と認められた額について減損処理を行っておりますが、将来の市況悪化または投資先の業績不振により更なる減損損失の計上が必要となる可能性があります。
e.固定資産の減損
減損の兆候がある資産グループの内、回収可能価額が帳簿価額を著しく下回った場合に、その差額を減損損失に計上しますが、回収可能価額は、資産グループの正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、今後、業績の顕著な低下、不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合等には減損損失の計上が必要となる可能性があります。
f.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を検討しております。回収可能性は、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高いタックスプランニングをもとに検討しますが、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、繰延税金資産を計上しない、または取り崩すことが必要となる可能性があります。
g.退職給付に係る資産及び負債
当社グループは、退職給付会計に基づいた退職給付費用及び退職給付に係る資産・退職給付に係る負債を計上しております。前提条件として年金資産に係る長期期待運用収益率、割引率等を計算に用いており、これらが著しく変動した場合は大きく影響を受けることが考えられます。当社グループは日本の優良債券の期末時点の固定利回りを参考に割引率を決定しております。長期期待運用収益率は年金資産が投資されているファンドの予想収益率と過去の実績収益率をもとに決定されます。
当社グループは毎期退職給付債務の計算の基礎となる前提条件を見直しており、割引率の低下等、将来市場環境が悪化した場合、退職給付に係る負債の追加計上が必要となる可能性があります。
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