文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) グループの基本理念「TOKAI-WAY」
当社は、2011年4月、「企業理念」、「ミッション」、「ビジョン」、「バリュー」の4層から成る「TOKAI-WAY」を理念体系として策定し、当社グループ全体で共有することで、新たなスタートを踏み出しました。
社会環境や顧客ニーズが急速に変化する中で、当社グループが一体となって運営し、「顧客力」、「総合力」、「機動力」を十分に活かし、グループ全体で持続的成長を図ってまいります。
① 企業理念(当社グループの信条)
「お客様の暮らしのために。地域とともに、地球とともに、成長・発展し続けます。」
私たちは暮らしを総合的に支える企業体として、創業以来培ってきた自らの力と可能性を原動力に、地域そして地球とのつながりを深めながら、お客様の幸せへの貢献を続けていきます。
② ミッション(当社グループが社会・顧客・株主に対して果たすべき使命)
「変革し、挑戦し、実現する。」
私たちは、お客様のお役に立つ強い信念のもと、自己変革に絶えず挑戦して暮らしのニーズを先取りし、「安心・安全」「便利・快適」「喜び・生きがい」のご提供を実現します。
③ ビジョン(当社グループが目指すべき長期事業目標)
「全国展開から世界への持続的な歩みを通してお客様の求める商品サービスをワンストップで提供するTLC(トータルライフコンシェルジュ)へ。」
グローバル化する社会環境の中でグループの総合力をさらに強化し、生活密着・地域密着の多彩なサービスを次々とお届けして、21世紀の日本を代表するトータルライフコンシェルジュを目指します。
④ バリュー(当社グループの社員が行動する上で大切にするべき共通価値観)
「ずっと、あなたとともに笑顔と感動を。」
・みんなをつなぐコミュニケーションで。
身近なパートナーとして、大切にするのはコミュニケーション。チームの力を活かして、皆様に新たな感動を生みだします。
・安心・安全・充実をあなたのそばに。
安心・安全を第一に、常に感謝の心と、最善のサービスをお届けします。
・心にいつもプロの熱意と誇りを持って。
いつまでも選ばれ続けるプロフェッショナルであるために、日々自己を磨き、自由な発想で仕事を面白くしていきます。
・地域と共に未来につなぐ成長を。
子供からお年寄りまで安心して暮らせる地域環境、自然環境づくりや地域活性化に貢献します。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2021年度(2022年3月期)から2024年度(2025年3月期)までの4ヵ年を対象とする「TOKAIグループ中期経営計画「IP24」(Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”)」を策定しました。
「IP24」のキーメッセージは5つです。①LNG戦略(事業エリアの拡大)の推進、②TLCの進化、③DX戦略の本格化により、さらに顧客基盤の強化・拡大を推し進めるとともに、④経営資源の最適配分や⑤SDGsに向けた取り組み強化にも努めてまいります。
「IP24」で掲げた指標の実績と2023年3月期の予想については、以下の通りとなります。
①2021年5月「IP24」公表時点計画
(単位:億円)
|
2021年3月期 実績 |
2022年3月期 計画 |
2023年3月期 計画 |
2024年3月期 計画 |
2025年3月期 計画 |
売上高 |
1,967 |
2,070 |
2,210 |
2,320 |
2,450 |
営業利益 |
152 |
152 |
156 |
165 |
186 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
88 |
88 |
90 |
95 |
110 |
営業CF* |
224 |
218 |
230 |
240 |
260 |
|
|||||
配当性向 |
44.6% |
40%~50% |
|||
ROE |
12.7% |
→ |
13%以上 |
||
ROIC |
9.2% |
→ |
9.9%以上 |
||
|
|||||
自己資本比率 |
41.6% |
→ |
40%程度 |
||
|
|||||
顧客件数 |
310万件 |
320万件 |
332万件 |
344万件 |
356万件 |
* 営業CF=営業利益+減価償却費-リース料支払-税金支払
②2022年3月期実績、2023年3月期予想について
(単位:億円)
|
2021年3月期 実績 |
2022年3月期 実績 |
2023年3月期 予想 |
売上高 |
1,967 |
2,107 |
2,230 |
営業利益 |
152 |
158 |
145 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
88 |
90 |
83 |
営業CF* |
224 |
218 |
― |
|
|
|
|
配当性向 |
44.6% |
46.7% |
50.5% |
ROE |
12.7% |
11.8% |
― |
ROIC |
9.2% |
9.2% |
― |
|
|
|
|
自己資本比率 |
41.6% |
41.9% |
― |
|
|
|
|
顧客件数 |
310万件 |
319万件 |
330万件 |
* 営業CF=営業利益+減価償却費-リース料支払-税金支払
2022年3月期の連結業績は、「収益認識に関する会計基準」等を適用したことによる減収があったものの、エネルギー及びCATVの顧客件数増加、仕入価格に連動した販売価格の上昇及び情報通信法人向けストックビジネスの拡大等による増収により、売上高が2,107億円となり、前連結会計年度比140億円(7.1%)増と5期連続の増収となり、過去最高を更新しました。
利益面についても、LPガス、アクアで積極的な顧客獲得を推進した結果顧客獲得費用が増加しましたが、顧客件数増加に伴う月次課金件数の増加等による増益及び法人向け情報通信事業の増益等で補い、営業利益が158億円と同6億円(3.7%)増、親会社株主に帰属する当期純利益90億円と同2億円(1.7%)増と、4期連続の増益を果たし、各利益項目が過去最高を更新しました。
営業CFは、営業利益が増加したものの、税金支払額の増加等により、218億円と同6億円(2.7%)の減少となりました。
顧客件数については顧客獲得及び解約防止に努めた結果、同9万件増の319万件となりました。
2023年3月期の連結業績は、売上高については引続き顧客件数や受注案件の増加を図る一方、利益面については原油高と円安の進行によるガス仕入価格の高騰が懸念されますが、価格競争力を維持した料金施策等により引き続き顧客獲得を積極的に推進し、売上高2,230億円(前連結会計年度比123億円(5.8%)の増収)、営業利益145億円(同13億円(8.2%)の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益83億円(同7億円(7.5%)の減益)、期末顧客件数330万件(同10万件の純増)を計画しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題
当社グループにおいて認識している対処すべき課題及びそれらの課題に対する取り組みについては、以下に記載する通りであります。
(全社共通)
これまで社会は、脱炭素の実現など、SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関し、世界規模での取り組みが進み始めたところでありました。ところが、未だ収束の見えないコロナ禍に加えて、ロシアによるウクライナへの侵攻、日米金利差による急激な円安、またそれらに起因した資源の高騰・調達不安など、今後の国内経済や国民生活へ与える影響は厳しいものになるといった懸念も出てまいりました。
このような状況下にありますが、当社は2021年12月にTOKAIグループ「サステナビリティ宣言」を公表しました。ここには、以下6つのマテリアリティ(重要課題)、それに紐づく19の取組課題と2030 年までに達成すべき目標を定めております。今後は、この宣言に従い、事業活動を通じて社会課題の解決に努めていく所存です。また、目標達成に向けた取り組み状況を評価・検証すべく、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」を新たに設置しました。
~TOKAIグループ マテリアリティ~
① 脱炭素とクリーンエネルギー
② スマート社会の実現
③ 暮らしの基盤づくり
④ 地域共存と社会貢献
⑤ 働きがい、やりがいの高い職場環境
⑥ ガバナンス
また、当社グループが10年後の目指す姿として「Life Design Group(LDG)」構想を掲げました。
これは、お客様の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案することを通じ、社会課題の解決に貢献していくことを目指す新たなグループ構想となりますが、TLC会員を基盤として新たなステージに繋がるよう、取り組み・検討を開始したところであります。
各分野の対処すべき課題は以下のとおりであります。
① エネルギー事業
LPガス・都市ガスにつきましては、当社グループは、2021年5月「カーボンニュートラル ビジョン」を公表しました。当ビジョンは、ガスの小売販売事業者の立場から、脱炭素化に向けて積極的に取り組み、寄与していくことを掲げております。その方針に従い、都市ガス事業においては、2021年8月よりJクレジットを活用したカーボンニュートラル都市ガスを自治体・公共施設向けに販売開始し、LPガス事業においても、2022年1月よりカーボンニュートラルLPGの取り扱いを開始しました。今後もエネルギー事業者として培ったノウハウや技術力を活かしながら、再生可能エネルギー、高効率ガス機器の販売等と掛け合わせて、持続可能な低炭素社会の実現に向け努力してまいります。
また、気候温暖化以外にも、人口の減少やエネルギー事業者間での競合など事業環境は厳しく、これらへの対応が課題と認識しております。そのため、「ABCIR+S(アブサーズ)*」を活用し、業務の効率化やコスト低減、顧客の利便性向上による差別化などに取り組んでまいります。
* アブサーズ 当社グループの技術革新へ向けた戦略のこと。AI(A)、Big Data(B)、Cloud(C)、IoT(I)、Robotics(R)、Smart Phone(S)、それぞれの頭文字を繋げた造語。
② 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業につきましては、災害時でも安心・快適・便利を提供する生活水と電気の完全自給自足をコンセプトに掲げた住宅「OTSハウス」や介護リフォームを展開するなど、お客様の暮らしの基盤づくりに取り組んでおります。また建築土木の分野は、災害復興には不可欠であり、地域の皆様が安心出来るよう今後も万全な体制を整備してまいります。
③ CATV事業
CATV事業につきましては、大手通信事業者との競合が年々激しさを増している状況にあります。
このような状況に対し、当社グループは、コミュニティチャンネルについて、お客様の暮らしに寄り添う番組作りを念頭に、行政と連携した地域の日々の出来事から災害情報の発信、地元を巡る視聴者参加型番組、イベント・スポーツの生中継など、地域と一体となって取り組んでおります。今後も地域の皆様の暮らしを支える、地元の活性化に繋がる番組作りに取り組んでまいります。
また当社グループは、放送・通信セット加入による割引サービス、大手携帯キャリアとの連携によるスマホセット割引、大手動画配信事業者との提携による番組コンテンツの充実などに取り組んでおりますが、今後も顧客ニーズに合わせたサービスを取り込み、CATV事業者としての価値を醸成し、顧客基盤の強化、拡充にも取り組んでまいります。
④ 情報通信事業
コンシューマー向け事業につきましては、ブロードバンド、スマホについては日常生活に不可欠であるがゆえ、市場は成熟期を迎えており、現在は切替などによる事業者間競争が激化しております。当社グループにおいては、お客様のニーズに合わせた最適プランの提案、獲得ルートの開拓や解約率の低減に努めるなど、顧客基盤の維持・拡大に取り組んでおります。
法人向け事業につきましては、技術革新の変化への対応とそれを実現する技術者の確保が課題と認識しております。当社グループにおいては、従来からの自社光ファイバーネットワークとデータセンター、システム開発を三位一体で提供するソリューションサービスに加え、クラウドサービスを取り込むなど、ストックサービスの拡充に取り組んでまいりました。また、発展著しいAI・IoT・ビッグデータを活用したサービスの商品化についても進めております。このような新しい技術に対応するため、技術者の確保・育成については、教育・研修プログラムを充実させるなど、より一層力を入れて取り組んでまいります。
⑤ アクア事業
アクア事業につきましては、顧客先より引き上げたウォーターサーバー、ボトルの取り扱いをマテリアリティに紐づく19の取組課題の1つにあげております。環境に配慮した材質の使用、自社再生工場による循環再利用の促進に努めております。
また、宅配事業者からの配送単価の値上げ要請や製造原価の上昇等、コスト管理についても事業課題と捉え、顧客獲得の強化と並行して同業他社とのアライアンス等、コストの抑制に努めてまいります。
⑥ 内部統制・コンプライアンスに関する取り組み
2021年7月に判明した当社子会社元従業員の不正行為につきましては、当社グループを挙げて再発防止に取り組み、改めてグループ全役職員に対しコンプライアンス意識の更なる徹底を図る等、今後とも信頼の回復に努めてまいります。
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