業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)は、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染の拡大が収まらず、期初に発出された緊急事態宣言は6月に一旦解除されるも1ヶ月未満で再び発出、その後ワクチン接種促進等により9月末に緊急事態宣言が全面解除され、百貨店やショッピングモールなどへの客足も一旦少し戻りました。しかしながら、11月下旬の新たな変異株出現により、感染が再び急拡大することとなり、年明けに発出されたまん延防止等重点措置は結局殆ど期末まで解除されず、当連結会計年度も新型コロナウイルス感染症の収束と再拡大を繰り返す不安定な状況が続きました。また、期を通してジワジワと進行し続けた円安に伴う原油や原材料の高騰、中国の停電施策に伴う商品の納品遅延に加え、北京オリンピック直後からは中国の感染者急増に伴い物流が大きく混乱し、春物商品の入荷が一部3月に間に合わないなど、全般的に企業収益の圧迫要因が多い事業環境でした。

 

 このような厳しい環境下、当社グループにおいては、各社共に上期から取り込んでまいりました販売戦略の見直し等の効果が下期から徐々に出始め、下期は損益を大幅に改善し上期のマイナス分を挽回する形となりました。年間の繁忙期の入口である9月末に緊急事態宣言が解除されたことも後押しとなり、10月から2ヶ月間程度各商業施設が概ね通常営業に戻ったことなどから、実店舗を有するアパレル事業子会社及びジュエリー事業子会社にも少し客足が戻りました。また、EC専業の当社についても、秋口の気温が例年より低下したことも幸いして、秋冬のヒット商品が着実に売上を牽引いたしました。トイ事業は引き続き主要販売先である国内小売の不振に伴い苦戦いたしましたが、グループ中核のアパレル事業がメリハリをつけた販売戦略などにより粗利率が大幅に改善したことなどにより、グループ全体では下期に111百万円の営業利益を積み上げ、その結果、通期でも営業損益はプラスに転じました

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上収益は4,949百万円(前期比17.8%減少)、営業利益は26百万円(前期は営業損失450百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は49百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期損失507百万円)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

(アパレル事業)

 アパレル事業は、EC専業の当社及び実店舗とEC店舗を有する連結子会社であるナラカミーチェジャパン株式会社が担っている事業です。当連結会計年度は第1~2四半期は両社共に苦戦しましたが、第3四半期はマイナス要因が多い厳しい環境にも拘らず、様々な戦略的施策により収益を大幅に改善することが出来ました。第4四半期は、年明けにまん延防止等重点措置が再び発出されたり、当社は3月に本店サイトのシステム移行を控え一時的なお客様離れが懸念されたりと、引き続き厳しい環境ではありましたが、辛うじて両社とも持ちこたえて営業利益を更に積み増し、グループ全体の通期営業黒字化に貢献することができました。

 

 当社は売上至上主義を全面的に見直して利益確保を優先した結果、また、ナラカミーチェジャパン株式会社は前期より不採算店舗からの撤退を進めたことなどから、共に収益構造が大きく改善し、前期比減収とはなりましたが、結果、損益は大幅に改善いたしました。当社は、商品毎のメリハリのある販売価格政策により、不必要な値引きを抑制することなどで粗利率の水準を地道に引き上げ、また、引き続き業務効率化や事務所・倉庫の効率的運用に伴う面積圧縮等により販売費及び一般管理費の削減も進めてまいりました。ナラカミーチェジャパン株式会社は不採算実店舗を前期21店舗、当連結会計年度4店舗閉鎖したこと等により損益構造を改善させると共に、実店舗とEC店舗を両方有する強みを生かした双方の在庫連携による実店でのEC在庫販売の取組みや、実店舗への新たなアプリ導入による販促実施など、販売店舗数の減少に伴う減収対策も同時に進めてまいりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度のアパレル事業の売上収益は3,220百万円(前期比18.6%減少)、営業利益は170百万円(前期は営業損失243百万円)となりました。

 

(ジュエリー事業)

 ジュエリー事業は、連結子会社である株式会社トレセンテが行っている事業であり、婚約指輪・結婚指輪等のブライダルジュエリーを中心とする宝飾品の販売を行っております。当連結会計年度においては、前期同様、消費者の外出自粛、実店舗の休業など、新型コロナウイルス感染症拡大の大きな影響を受けましたが、下期から徐々にブライダル市場の復調の兆しも見え始め、前期比増収となりました。

 以上の結果、当連結会計年度のジュエリー事業の売上収益は954百万円(前期比11.2%増加)、営業利益は50百万円(前期比16.4%減少)となりました。

 

(トイ事業)

 トイ事業は、当社及び香港と中国の連結子会社が行っている事業であり、国内玩具メーカーや小売店に玩具や雑貨を卸しております。当連結会計年度は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響に加え、依然として少子化や消費者ニーズの多様化、中華圏における人件費高騰などの課題も抱えており、3月に入ってからは急激な円安進行に伴い為替差損の計上も余儀なくされました。このような厳しい環境下、第3四半期までは主要卸し先の国内メーカーや小売店等の苦戦が続いたことなどから売上が大幅に減少いたしましたが、第4四半期は主要取引先からの注文が一部復活したことなどから前年同四半期比増収となり、徐々に回復の兆しが見え始めております。

 

 以上の結果、当連結会計年度のトイ事業の売上収益は774百万円(前期比35.4%減少)、営業損失は24百万円(前期は営業利益59百万円)となりました。

 

(その他)

 その他の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、物流管理業務、EC事業推進支援等のコンサルティング業務を行っております。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経営資源をアパレル事業に集中させたため、コンサルティング事業を一時的に休止しております。新型コロナウイルス感染症の収束時期及びこれに伴うコンサルティング事業の再開時期に関しては、依然として不確実性を伴っており、報告セグメントにおける量的基準等を勘案した結果から、従来コンサルティング事業として報告セグメントに開示していた情報を、当連結会計年度より「その他」として開示しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度のその他の売上収益は-百万円(前期は3百万円)、営業利益は1百万円(前期は営業損失101百万円)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ264百万円減少し、1,092百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は95百万円(前期比52百万円減少)となりました。これは主に、引当金が51百万円減少したものの、棚卸資産の減少が156百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は72百万円(前期比71百万円増加)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入が67百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が59百万円、定期預金の純増額が32百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は280百万円(前期は獲得した資金が423百万円)となりました。これは主に、株式の発行による収入が97百万円あったものの、リース負債の返済による支出が159百万円、短期借入金の純減額が112百万円あったことによるものであります。

 

 ③生産、受注及び販売の状況

(1)生産実績

  当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2)商品仕入実績

  当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

アパレル事業

1,385,543

△19.4

ジュエリー事業

298,087

28.2

トイ事業

666,855

△34.6

その他

合計

2,350,487

△20.9

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(3)受注状況

 当社は受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。また、アパレル事業においては、一部需要動向を見込んだ商品仕入を行っております。そのため、受注状況に重要性がないため、記載を省略しております。

 

(4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

アパレル事業

3,220,459

△18.6

ジュエリー事業

954,622

11.2

トイ事業

774,659

△35.4

その他

合計

4,949,741

△17.8

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

株式会社タカラトミー

668,994

11.1

533,149

10.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2の「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 4 見積り及び判断の利用」に記載しております。

 

 ②財政状態の分析

 当連結会計年度末における財政状態の分析につきましては、次のとおりです。

(ⅰ) 総資産

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ224百万円減少し、3,244百万円となりました。

 

(ⅱ) 流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて375百万円減少し、2,845百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が226百万円、棚卸資産が156百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 

(ⅲ) 非流動資産

 当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末に比べて151百万円増加し、398百万円となりました。この主な要因は、その他の非流動資産が43百万円減少したものの、有形固定資産が192百万円増加したこと等によるものであります。

 

(ⅳ) 負債合計

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ298百万円減少し、2,972百万円となりました。

 

(ⅴ) 流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて238百万円減少して2,285百万円となりました。この主な要因は、有利子負債が141百万円、その他の流動負債が57百万円、引当金が49百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 

(ⅵ) 非流動負債

 当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末に比べて59百万円減少して687百万円となりました。この主な要因は、有利子負債が35百万円、引当金が19百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 

(ⅶ) 資本

 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて74百万円増加して271百万円となりました。この主な要因は、当期損失を49百万円計上したものの、新株予約権の行使による新株の発行等により資本金・資本準備金が合計で96百万円増加したこと等によるものであります。

 

 ③経営成績の分析

 経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」の項をご参照ください。

 

 ④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項をご参照ください。

 

 ⑤資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品購入資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用支払いに充当するための資金であります。設備投資資金の主なものは、新店舗の出店や業務効率化のためのシステム投資資金などであります。また、このほか企業買収等、企業価値向上に資する投資に関する資金需要が発生します。

 上記資金調達に対応するために、資本効率やコスト等のバランスと、株主利益への影響を十分に勘案したうえで、資本市場での調達、金融機関からの調達の双方を慎重に検討のうえ資金調達を実施してまいります。

 

 ⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

 ⑦経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。当連結会計年度においては、以下のとおりとなりました。

(売上総利益率)

 売上原価は2,452百万円となり、前連結会計年度に比べ853百万円減少(前期比25.8%減少)いたしました。売上原価率は前連結会計年度に比べ5.4ポイント低下し、49.5%となりました。この結果、売上総利益は2,497百万円となり、前連結会計年度に比べ216百万円減少(前期比8.0%減少)し、売上総利益率は前連結会計年度に比べ5.4ポイント上昇し、50.5%となりました。

(営業利益率)

 営業利益は26百万円となり、前連結会計年度に比べ利益が476百万円増加(前連結会計年度は営業損失450百万円)し、営業利益率は0.5%となりました。

 

 当目標の達成に向けた取り組みについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。

 

 

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