(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、政府より度重なる緊急事態宣言の発出や各自治体によるまん延防止等重点措置の実施が長期間に渡り継続したことにより、国内消費は大きく落ち込みました。外食産業におきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置下において外出自粛が呼びかけられるとともに、政府や各自治体からの要請を受け、営業時間短縮や酒類提供停止の対応を行ったことから、依然として極めて厳しい経営環境となりました。
このような状況の中、当社におきましては、「To Entertain People ~より多くの人々を楽しませるために~」という企業理念のもと、「楽しみに溢れた豊かなライフスタイルをより多くの人々に提案する」という経営方針を掲げ、飲食サービスの健全な成長、コンテンツ企画サービスの拡大を進めてまいりました。
(飲食サービス)
飲食サービスにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が昨秋解除された以降、当社店舗の営業時間を概ね通常どおりに戻し酒類提供の再開を行ったことで、緩やかにご来店客数が増加し既存店売上高もそれに比例して回復いたしました。しかしながら、昨年末頃より新型変異株が世界的に感染拡大し、日本国内においても2022年1月に再びまん延防止等重点措置が適用され、当社店舗の売上高が低調となる等の影響がありました。また、当事業年度においては、IPコンテンツ(アニメやゲーム、漫画、アイドル、音楽アーティスト等)を活用した常設のコラボカフェを1店舗出店したことで売上高増加に貢献しておりますが、当該コラボカフェの出店地域においても、上記非通例的な事象が生じたことで営業活動に支障をきたしました。他方、上記感染症の感染拡大に伴う経営合理化施策として不採算店舗の退店を推進しており、当サービスに係る当事業年度末の総店舗数は、前事業年度末比で9店舗減の36店舗となっております。
これらの結果、当事業年度における当サービスの売上高は1,907百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
(コンテンツ企画サービス)
コンテンツ企画サービスにつきましては、他社店舗の開業支援業務及び運営業務の受託等、いわゆる企業間取引(BtoB)のビジネスモデルであるプロデュース領域を主軸としておりますが、当事業年度においては新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、運営受託店舗における店舗休業や店舗営業時間の短縮等の対応がなされたことや一部受注案件の契約終了により、前事業年度と比較して当サービスに係る売上高は減少しております。他方、当サービスの売上高の一部を構成している当社公式ネットショップ(『kawara CAFE at Home』、『CheeseTable at Home』)の継続的に運営を行い、また、当該ネットショップにて取り扱っている商品を主要駅内や商業施設内の催事出店にて販売を行いました。このように主軸のプロデュース領域のみならず、他の取り組みによる規模の拡大を図ってまいりました。
これらの結果、当事業年度における当サービスの売上高は、525百万円(前年同期比13.8%減)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は2,432百万円(前年同期比5.1%増)となりました。利益面につきましては、店舗における従業員シフト管理の徹底による人件費の削減、各種契約の見直し等による経費の削減、また、過年度より実施している業務改善による本社費削減等による販売費及び一般管理費の適正化を推進しているものの、主に上記感染症の感染拡大に伴う飲食サービス売上高への影響により、営業損失は685百万円(前事業年度は営業損失744百万円)となりましたが、政府及び各自治体が要請した時短営業に伴う協力金(助成金収入)748百万円を営業外収益に計上したことにより、経常利益は59百万円(前事業年度は経常損失620百万円)となりました。また、上記感染症の影響を踏まえ、退店の意思決定を行った直営店舗及び収益性が低下した店舗に係る減損損失35百万円を計上したこと等により当期純利益は13百万円(前事業年度は当期純損失740百万円)となりました。
①当期の財政状態の概況
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して302百万円減少し、1,294百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比較して255百万円減少し、899百万円となりました。これは主に、現金及び預金255百万円の減少等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して63百万円減少し、378百万円となりました。これは主に、退店の意思決定を行った直営店舗及び収益性が低下した店舗に係る固定資産の減損等に伴う有形固定資産20百万円の減少、敷金及び保証金42百万円の減少等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して1,116百万円減少し、813百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比較して1,173百万円減少し、616百万円となりました。これは主に、当社の親会社に該当する株式会社DDホールディングス(以下「DDHD」といいます。)が当社に対して有する貸付金債権の現物出資(デット・エクイティ・スワップ、以下「DES」といいます。)及び一部返済等による短期借入金1,054百万円の減少、預り金12百万円の減少、未払金58百万円の増加等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末と比較して56百万円増加し、196百万円となりました。これは主に、長期借入金43百万円の増加等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して813百万円増加し、481百万円となりました。これは主に、DDHDに対する現物出資(DES)の方法で割り当てた新株式の発行に伴う、資本金及び資本準備金それぞれ400百万円の増加等によるものです。なお、これに伴う欠損填補を目的とした減資により、資本金400百万円及び資本準備金600百万円を減少し、その他資本剰余金へ振り替えた後に、その他資本剰余金から繰越利益剰余金に740百万円を振り替えております。この結果、資本金48百万円、資本剰余金415百万円、繰越利益剰余金13百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して255百万円減少し、477百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は12百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益24百万円、助成金の受取額764百万円の影響により増加したものの、助成金収入△748百万円の影響により減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は4百万円となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入52百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出14百万円、資産除去債務の履行による支出26百万円等を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は272百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出250百万円等を計上したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社は、「音楽」、「アート」、「食」等をはじめとする様々なカルチャーコンテンツを企画・融合させさせ、直営店舗(飲食サービス)、自社又は他社主催イベント及び顧客企画(コンテンツ企画サービス)を通じて、一般消費者へこれらを提供する単一セグメントでの事業を営んでおり、販売実績の記載は、サービス別の事業によっております。
なお、当社に置ける事業は、提供するサービスの性格上記載になじまないため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
a.サービス別販売実績
当事業年度におけるサービス販売実績は、次のとおりであります。
サービス別 |
当事業年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
飲食サービス |
1,907,139 |
11.8 |
コンテンツ企画サービス |
525,335 |
△13.8 |
合計 |
2,432,475 |
5.1 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.ブランド別直営店舗数(財務ベース)及び売上高
当事業年度のブランド別直営店舗数(財務ベース)及び売上高を示すと、以下のとおりであります。
ブランドの名称 |
当事業年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|||
店舗数 (財務ベース) |
売上高 (千円) |
売上構成比 (%) |
前年同期比 (%) |
|
kawara CAFE&DINING 及び kawara CAFE&KITCHEN |
20店舗 |
875,812 |
45.9 |
2.2 |
hole hole Cafe&Diner |
1店舗 |
2,594 |
0.1 |
△93.7 |
Cafe&Dining ballo ballo |
3店舗 |
85,642 |
4.5 |
△1.0 |
atari CAFE&DINING |
3店舗 |
149,395 |
7.8 |
8.7 |
HangOut HangOver |
2店舗 |
108,686 |
5.7 |
22.3 |
LOOP |
1店舗 |
3,108 |
0.2 |
△61.9 |
他ブランド |
12店舗 |
681,900 |
35.8 |
40.2 |
合計 |
42店舗 |
1,907,139 |
100.0 |
11.8 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.直営店舗数(財務ベース)では、同一区画内の複数店舗を収支処理の関係上、代表ブランド1店舗として集計しております。
3.店舗数には、期中に退店している店舗が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたって、当事業年度末における資産・負債及び当事業年度の収益・費用の報告数値、並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しましては、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる要因等に基づき行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性により、実際の結果は異なる場合があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 」において記載しておりますが、その主な要因といたしましては、当事業年度において緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返され、当社の事業活動に多大な影響を与えたことによります。飲食サービスにおいては、第1回目の緊急事態宣言が発出され概ね全ての当社直営店舗が休業対応を行った前事業年度と比較すると、売上高は増加しているものの、新型コロナウイルス感染症拡大前である2020年2月期と比較すると低調となりました。コンテンツ企画サービスにおいては、一部運営受託(プロデュース)案件が終了していることにより売上高に影響を与えました。
以上の結果、売上高は、前事業年度と比較し117百万円増加の2,432百万円、営業損失685百万円(前年同期は744百万円の営業損失)、経常利益59百万円(前年同期は620百万円の経常損失)、当期純利益13百万円(前年同期は740百万円の当期純損失)となりました。
当社の事業は、飲食サービス及びコンテンツ企画サービスで構成されており、各々の業界環境が当社の経営成績に重要な影響を与える要因となります。
まず、飲食サービスに関わる業界環境については、個人消費の低迷や人口減少、採用賃金の上昇傾向等に加え、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う消費者行動の変化や感染予防対策も合わせた対応を行う必要がある等、引き続き厳しい経済環境にあると認識しております。このような環境の下、当社においては、事業成長の可能性の高いビジネスモデルであるコラボカフェの展開を拡大・推進を行うとともに、各店舗の状態を随時モニタリングを行い、横展開できる可能性がある店舗、あるいは採算の取れない店舗の精査を徹底して、サービス全体として収益性を確保し成長できるよう図ってまいります。
他方、コンテンツ企画サービスではIPコンテンツの活用を主軸においており、当該活用の成否が当社の経営成績に重要な影響を与える要因となります。大局的にはインターネットやスマートフォン等の普及により世の中のコモディティ化を受け、個人消費者が「コト消費」を求める体験経済の時代へ遷移していると認識しております。特に我が国ではゲーム、アニメ、音楽、スポーツ等多くのIPコンテンツに溢れており、こうした「コト消費」に対する個人消費者のニーズがIPコンテンツの領域において非常に高まっているものと考えております。また、広告市場においては、展示や映像に係るリアルプロモーション領域が近年成長を続けており、広告企業においては顧客とのリアルな接点の場を持つというニーズも高まっております。これらを踏まえ、当該サービスに関わる市場規模については、成長性が高いと考えております。このような業界環境の下、当社においては、他社店舗の開業支援業務及び運営業務の受託等のプロデュース領域を主軸としつつ、IPコンテンツと消費者を結びつけるサービスを提供することで持続的に成長・拡大を図ってまいります。
当社の資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、当社の運転資金需要の主なものは、商品、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、店舗又は設備の修繕・新規開発等の投資等であります。当該運転資金と投資資金については、営業キャッシュ・フローでの充当を基本とし必要に応じて資金調達を実施しております。
当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、営業利益を重要な経営指標として位置付けております。上述の施策等を講じることにより、更なる業績改善を図り安定的な営業利益を確保することが最重要であると考えております。
お知らせ