業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、一時持ち直しの動きがみられたものの、変異株による感染拡大で再び経済活動が制限されるなど、依然として厳しい状況で推移しました。また、ウクライナ情勢の緊迫化や世界経済の回復基調に伴う需要増により資源価格や原材料価格が上昇するなど、先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは、賃貸事業において、令和4年1月に「(仮称)第2名古屋三交ビル」建設工事に着手したほか、三重県四日市市における既存商業施設の用地取得や名古屋市内で売却型賃貸マンションの建設を進めました。また、ビジネスホテル事業において、ノウハウを活かしたアパートメントホテルの運営受託を開始するなど、注力分野を中心に事業を推進しつつ、設備投資の見直しや費用削減に努め、収支の改善に取り組みました。

この結果、当期における当社グループの営業収益は843億51百万円(前連結会計年度(以下「前期」という。)比31億72百万円、3.9%増)となり、営業利益は29億96百万円(同25億92百万円、642.2%増)、経常利益は助成金等の計上もあり41億80百万円(同21億86百万円、109.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失にて固定資産の減損損失を計上したことなどにより、22億10百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失17億46百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。

 なお、当期より、報告セグメントの一部を変更しており、前期との分析・比較は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(運輸セグメント)

一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)では、学校の休校や企業の出社制限の影響が少なかったことなど、行動制限緩和に伴う人流の回復により、営業収益は増加しました。一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)では、三重とこわか国体・とこわか大会が中止となったものの、オリンピック・パラリンピック関係者の輸送があったことや、修学旅行等の学生団体の需要を取り込んだことにより、営業収益は増加しました。一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)では、ビジネス需要等の回復が進んだことにより、営業収益は増加しました。

この結果、運輸セグメントの営業収益は197億6百万円(前期比10億71百万円、5.8%増)となり、2億91百万円の営業損失(前期営業損失11億89百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、営業収益が7億50百万円増加しております。

 

業種別営業成績

区分

営業収益(百万円)

前期比(%)

一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)

9,925

7.6

一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)

3,492

55.2

旅客運送受託事業

4,662

1.0

一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)

554

9.3

貨物自動車運送事業

188

△4.6

自動車整備事業

430

△12.6

その他

2,324

△19.8

小計

21,578

6.9

内部取引の消去

△1,871

合計

19,706

5.8

 

(注)一般旅客自動車運送事業における営業成績は下記のとおりであります。

区分

単位

一般乗合
旅客自動車
運送事業

前期比
(%)

一般貸切
旅客自動車
運送事業

前期比
(%)

一般乗用
旅客自動車
運送事業

前期比
(%)

営業日数

365

0.0

365

0.0

365

0.0

期末在籍車両数

809

△0.7

267

1.1

127

△3.8

営業キロ

km

6,921

0.9

実働走行キロ

千km

28,374

△3.6

4,964

35.9

1,197

12.9

旅客人員

千人

38,711

7.0

1,307

22.4

337

5.8

旅客運送収入

百万円

9,565

7.2

2,627

31.8

544

9.2

運送雑収

百万円

359

19.2

865

238.0

10

15.1

 

 

(不動産セグメント)

分譲事業では、マンション販売戸数の減等により、営業収益は減少しました。賃貸事業では、三重県四日市市における既存商業施設の用地取得等により、営業収益は増加しました。建築事業では、注文住宅やリフォーム工事の完工増により、営業収益は増加しました。環境エネルギー事業では、令和2年8月より順次運転を開始した「津メガソーラー杜の街中勢バイパス発電所」の売電収入が期を通じて寄与し、営業収益は増加しました。ビルやマンションの管理等を行う不動産管理事業では、新規物件の受注により、営業収益は増加しました。仲介事業では、大型事業物件の取引により、営業収益は増加しました。

この結果、不動産セグメントの営業収益は339億83百万円(前期比82百万円、0.2%減)となりましたが、賃貸事業の利益貢献等もあり、営業利益は60億75百万円(同8億17百万円、15.6%増)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、営業収益が4億6百万円減少しております。

 

業種別営業成績

区分

営業収益(百万円)

前期比(%)

分譲事業

11,464

△8.0

賃貸事業

9,430

6.4

建築事業

4,961

4.8

環境エネルギー事業

5,257

1.6

不動産管理事業

2,351

9.7

仲介事業

1,071

4.1

その他

69

△12.7

小計

34,606

0.4

内部取引の消去

△622

合計

33,983

△0.2

 

(注)1 分譲事業における営業成績は下記のとおりであります。

区分

土地
(ロット)

前期比
(%)

建物
(戸)

前期比
(%)

営業収益
(百万円)

前期比
(%)

戸建分譲

134

24.1

57

△1.7

2,595

16.3

マンション分譲

197

△17.6

7,521

△21.7

(持分換算後)

(197.0)

(△15.1)

土地売却他

1,347

117.3

 

 2 建築事業における受注状況は下記のとおりであります。

区分

受注高
(百万円)

前期比
(%)

受注残高
(百万円)

前期比
(%)

建築事業

4,516

△1.0

2,779

△11.9

 

 

(流通セグメント)

石油製品販売事業では、原油価格高騰に伴うガソリン等の販売価格上昇により、営業収益は増加しました。生活用品販売事業では、フランチャイズ展開する東急ハンズにおいて、令和3年10月にANNEX店の営業を終了したことなどにより、営業収益は減少しました。自動車販売事業では、車両整備や中古車・部品販売が順調に推移したものの、世界的な半導体不足の影響等による新車販売台数の減により、営業収益は減少しました。

この結果、流通セグメントの営業収益は285億28百万円(前期比14億7百万円、5.2%増)となり、6億77百万円の営業損失(前期営業損失6億49百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、営業収益が1億72百万円減少しております。

 

業種別営業成績

区分

営業収益(百万円)

前期比(%)

石油製品販売事業

10,856

23.3

生活用品販売事業

6,260

△5.9

自動車販売事業

11,446

△2.0

小計

28,562

5.3

内部取引の消去

△34

合計

28,528

5.2

 

 

(レジャー・サービスセグメント)

ビジネスホテル事業では、需要が回復傾向にある中、コロナ下に対応した商品の販売に取り組んだことなどにより、営業収益は増加しました。旅館事業では、三重県によるおもてなし施設認証を取得するなど、感染対策を徹底し、修学旅行等の需要を取り込んだことにより、営業収益は増加しました。ドライブイン事業では、イベント会場での出店や旅行会社と提携した商品の販売に取り組みましたが、収益認識会計基準の適用等により、営業収益は減少しました。索道事業(ロープウエイ)では、冬季の集客が堅調に推移したことにより、営業収益は増加しました。ゴルフ場事業では、積雪による休場等の影響により、営業収益は減少しました。旅行事業では、収益認識会計基準等の適用等により、営業収益は増加しました。自動車教習所事業では、学生等の入校者数減により、営業収益は減少しました。

この結果、レジャー・サービスセグメントの営業収益は73億31百万円(前期比8億36百万円、12.9%増)となり、21億98百万円の営業損失(前期営業損失31億20百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、営業収益が1億94百万円増加しております。

 

業種別営業成績

区分

営業収益(百万円)

前期比(%)

ビジネスホテル事業

2,711

27.0

旅館事業

1,144

0.5

ドライブイン事業

714

△12.4

索道事業(ロープウエイ)

600

2.9

ゴルフ場事業

434

△0.9

旅行事業

571

386.2

自動車教習所事業

887

△8.5

その他

270

△9.0

小計

7,333

12.9

内部取引の消去

△1

合計

7,331

12.9

 

 

(財政状態)

当連結会計年度末(以下、「当期末」という。)における財政状態は、資産は販売用不動産の増加等がありましたものの、固定資産の減価償却が進んだことや投資有価証券の時価が下落したことなどにより1,651億53百万円(前連結会計年度末(以下、「前期末」という。)比5億39百万円減)となりました。負債は借入金の減少等により1,167億58百万円(同11億83百万円減)となりました。純資産は利益剰余金の増加等により483億94百万円(同6億43百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の計上等により、87億32百万円の収入(前期比5億16百万円収入減)となりました。
  投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により、51億52百万円の支出(同67億71百万円支出減)となりました。
  財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により、38億58百万円の支出(同77億68百万円支出増)となり、この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、53億23百万円(前期末比2億78百万円減)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、運輸業及び不動産業を中心としているため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示しておりません。
 そのため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

イ.営業収益及び営業利益

当期業績は、新型コロナウイルス感染症拡大により発出された緊急事態宣言等で厳しい制限を受けた前期に比較すると運輸、レジャー・サービスの両セグメントにおいて、回復傾向にあったことから、営業収益は前期に比較して31億72百万円、3.9%増の843億51百万円となり、営業利益は、前期に比較して25億92百万円、642.2%増の29億96百万円となりました。

当期における新型コロナウイルス感染症拡大による営業収益への影響につきましては、グループ全体で約153億円の減収要因となりました。セグメント別では、運輸セグメントにおいて、乗合バス事業で路線バスの利用者減や中距離高速バスの減便・運休等、貸切バス事業で団体旅行の需要減等により約41億円の減収、不動産セグメントにおいて、賃貸事業で施設の稼働低下等により約1億円の減収、流通セグメントにおいて、生活用品販売事業で休業や時間短縮営業を行ったことに加え、外出自粛に伴う来店客数の減少もあり約58億円の減収、レジャー・サービスセグメントにおいて、ビジネスホテル事業や旅館事業でビジネス、レジャーともに需要減による宿泊者数の減少、ドライブイン事業で観光バス立寄り台数の減少、旅行事業で個人・団体旅行の需要減等により、約53億円の減収となりました。

なお、各セグメントの営業収益及び営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

ロ.経常利益

経常利益は、前期に比べ営業利益が増加したことや、営業外収益に雇用調整助成金等の助成金収入を計上したこともあり、前期に比較して21億86百万円、109.7%増の41億80百万円となりました。

ハ.親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は22億10百万円となり、2期ぶりの利益計上となりました。

 

(財政状態の分析)

当期末における資産は、前期末に比較して5億39百万円減少の1,651億53百万円となりました。これは、販売用不動産が増加したものの、固定資産の減価償却が進んだことや投資有価証券の時価が下落したことなどによるものであります。負債は、前期末に比較して11億83百万円減少の1,167億58百万円となりました。これは、主に借入金の減少等によるものであります。純資産は、利益剰余金の増加等により、前期末に比較して6億43百万円増加の483億94百万円となり、自己資本比率は29.1%(前期末28.7%)となりました。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因)

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

当期のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの主な資金需要は、各事業の運転資金に加え、販売用不動産等の棚卸資産の取得並びに既存設備の維持更新、バス車両の新造、賃貸不動産の取得、所有不動産の建替えや改装等の設備投資に関するものであります。また、株主還元については、財務健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

当社グループの運転資金、設備投資資金及び株主還元のための資金は、主として営業活動により獲得した資金より充当し、必要に応じて銀行等からの借入による資金調達を実施しております。このうち、借入による資金調達につきましては、運転資金は短期借入金で、設備投資等の資金は、長期借入金での調達を基本としております。当期末における借入金残高は、823億10百万円で、前期末に比較して31億36百万円減少しました。新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、期末において急な支出に対応できる十分な水準の手元資金は引き続き確保しており、営業活動によるキャッシュ・フロー等を考慮すると、今後の成長に必要となる資金の調達及び有利子負債の返済に対し、適正に対応できる水準であると考えております。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性と資本効率性の向上を両立させながら積極的に対応していく方針です。

なお、当社グループでは、一般旅客自動車運送事業を中心に日々の収入金があることから、日常の流動性資金は十分な水準を確保しており、これらの資金をキャッシュ・マネジメント・システムを通じて集中管理することで、グループ内資金の有効活用と有利子負債の圧縮に努めております。また、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行との当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結することにより、機動的な資金調達を可能にしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等による不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが困難な要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。

 

イ.固定資産の減損

当社グループは、運輸セグメント及び不動産セグメントを中心に多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、事業計画や市場環境の変化により前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。

 

ロ.退職給付債務及び費用

当社グループは、退職給付債務及び費用について、数理計算上で設定される諸条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。

 

ハ.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際し、将来の課税所得やタックスプランニングを合理的に見積っております。将来課税所得の見積り額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額または減額される可能性があります。

 

 

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