当社は、2020年12月24日開催の臨時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、当連結会計年度の経営成績に関する前期比較の記載は省略しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15,116百万円増加の86,337百万円となりました。これは主に大手リース会社等への販売用不動産の売却を進めた中、順調に仕入れを行い、保有する販売用不動産の残高が3,607百万円増加したこと、長期賃貸事業を推し進めるべく有形固定資産(土地)を新規取得したことから14,111百万円増加したこと等によります。
負債の部は、前連結会計年度末に比べ12,176百万円増加の58,555百万円となりました。これは主に販売用不動産の仕入に伴い、借入金の総額が6,541百万円増加したこと、未払法人税等が3,747百万円増加したこと、繰延税金負債が766百万円増加したこと等によります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,940百万円増加の27,781百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,124百万円を計上したこと及び剰余金の配当457百万円を実施したこと等によります。
なお、当連結会計年度末の自己資本比率は32.2%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が、長期間に渡って継続されたことにより、依然として厳しい状況でありましたが、新型コロナウイルスワクチンの普及により個人消費や企業収益、経済活動などに持ち直しの動きもあり、一部に明るい兆しもみられました。一方で一部の国でロックダウンが実施されたほか、半導体や電子部品をはじめとする材料の供給が国際的にひっ迫し、物流も滞ったことで、全体としては先行きへの不透明感が未だ残る中で推移いたしました。
不動産及び不動産金融業界におきましては、一部の商業施設や宿泊施設においては引き続き収益が低迷し、オフィスの空室率も高い水準で推移したものの、不動産投資マーケット全体では、低金利等を背景に、投資家の旺盛な投資マインドが継続し、引き続き安定した市場を形成しております。
なお、当社が展開するJINUSHIビジネスのテナントは、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアをはじめとした生活必需品を取扱う業種(物流を含む)で約8割を構成しており、このようなテナントは、コロナ禍でも概ね経営成績は好調に推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、2021年5月に優良な不動産を所有する株式会社ツノダの発行済株式の全てを取得して子会社化するなど、販売用不動産の仕入を推し進めました。また、コロナ禍でもテナントの退店や賃料の減額などが発生していない長期安定収益を生み出すJINUSHIビジネスに対する評価が、金融機関や投資家を中心に高まり、販売用不動産の包括的な売買取引に係る枠を設定する基本協定書(以下、「包括的売買枠」といいます。)に基づき、大手リース会社等への売却が進みました。
財務戦略といたしましては、リーマンショックの教訓を活かし、借入金の返済期間は概ね5〜30年超の長期借入金であり、開発案件にかかる借入金は財務制限条項が付いておらず、途中弁済(約定弁済を除く)も求められません。なお、当社グループにおける当連結会計年度末の現金及び預金残高(連結)は17,264百万円であり、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を高めております。
また、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品の一部を、自己資金の活用により、売却せずに保有することで、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業を拡大し、当連結会計年度末の固定資産(土地)残高(連結)は16,994百万円となりました。当社は独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」により、追加投資がかからず、安定的な収益が長期にわたって見込める不動産金融商品を開発し、売却する、いわゆるフロービジネスによって大半の売上、利益を計上してきました。自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができる当社商品へのニーズは根強く、底地マーケットは更に拡大していくものと考えております。一方、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備え、より安定した事業構造への変革を図る必要があると考え、保有する現預金を一部活用することで、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な収益の拡大により事業構造の安定化を推し進めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は56,177百万円、営業利益は5,475百万円、経常利益は5,002百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,124百万円となりました。
当社は、地主アセットマネジメント株式会社及び地主プライベートリート投資法人(以下、「地主リート」といいます。)との間でスポンサーサポート契約を締結しており、地主リートのスポンサー会社であります。このスポンサーサポート契約に基づいて、地主リートへ2022年1月7日にJINUSHIビジネスによる不動産金融商品を3物件売却(売却価格4,915百万円)しております。
地主リートは、機関投資家を対象とした第6回目の増資で25物件を取得し、運用資産規模は1,515億円となりました。今後は中期で3,000億円以上の規模を目指していきます。
当社の新しいブランディングといたしまして、2022年1月10日付で商号を「日本商業開発株式会社」から「地主株式会社」へ変更いたしました。テレビCMの制作及び放映、新聞広告を掲載するなど、引き続き市場において、自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができるJINUSHIビジネスをより一層広めてまいります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
不動産投資事業
当連結会計年度も優良案件の仕入れを順調に拡大させ、包括売買取引契約に基づいて大手リース会社をはじめとする機関投資家等へ案件を売却し、安全な不動産金融商品を提供してまいりました。
不動産投資事業におきましては、売上高は55,157百万円、セグメント利益は8,319百万円となりました。
サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業
サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業におきましては、安定した資産管理フィーが売上に寄与し、売上高は996百万円、セグメント利益は656百万円となりました。
企画・仲介事業
企画・仲介事業におきましては、企画業務が売上に寄与し、売上高は23百万円、セグメント利益は15百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当社グループは、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を意識した経営をしております。当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、大手リース会社を主な売却先として販売用不動産を順調に売却したこと、優良案件の仕入や長期賃貸事業を目的とする有形固定資産の取得に伴う金融機関からの資金調達が引き続き順調に行えたこと等により、17,178百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、税金等調整前当期純利益が4,927百万円となり、販売用不動産が5,364百万円減少したこと等により、増加した資金は11,373百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、有形固定資産や子会社株式の取得による支出等により、減少した資金は17,513百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、保有する販売用不動産の売却により長期借入金の返済による支出は35,078百万円となり、一方で新規販売用不動産の仕入に伴う資金調達を順調に行った結果、増加した資金は2,363百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、不動産投資事業、サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業及び企画・仲介事業を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における各セグメントの売上高は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期増減比(%) |
不動産投資事業(百万円) |
55,157 |
- |
サブリース・賃貸借・ ファンドフィー事業(百万円) |
996 |
- |
企画・仲介事業(百万円) |
23 |
- |
合計(百万円) |
56,177 |
- |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.前連結会計年度は、決算期の変更により2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前期増減比については記載しておりません。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
エムエル・エステート株式会社 |
10,023 |
33.5 |
- |
- |
芙蓉総合リース株式会社 |
7,182 |
24.0 |
- |
- |
株式会社九州リースサービス |
4,014 |
13.4 |
- |
- |
地主プライベートリート投資法人 |
- |
- |
13,161 |
23.4 |
DREAMプライベートリート投資法人 |
- |
- |
8,790 |
15.6 |
SMFLみらいパートナーズ株式会社 |
- |
- |
7,480 |
13.3 |
4.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
5.前連結会計年度における地主プライベートリート投資法人、DREAMプライベートリート投資法人、SMFLみらいパートナーズ株式会社については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
6.当連結会計年度におけるエムエル・エステート株式会社、芙蓉総合リース株式会社、株式会社九州リースサービスについては、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループによる会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。当社グループは、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、当社グループが採用する会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
特に、収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなった資産の帳簿価格については、正味売却価額まで減額する会計処理を適用しております。
なお、今般の新型コロナウィルスの感染症の影響につきまして、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社の業績は順調に推移しているため、その仮定に基づいて見積りをしております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
財政状態の分析
(資産)
総資産は、前連結会計年度末に比べ15,116百万円増加の86,337百万円となりました。これは主に大手リース会社等への販売用不動産の売却を進めた中、順調に仕入れを行い、保有する販売用不動産の残高が3,607百万円増加したこと、長期賃貸事業を推し進めるべく有形固定資産(土地)を新規取得したことから14,111百万円増加したこと等によります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ12,176百万円増加の58,555百万円となりました。これは主に販売用不動産の仕入に伴い、借入金の総額が6,541百万円増加したこと、未払法人税等が3,747百万円増加したこと、繰延税金負債が766百万円増加したこと等によります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,940百万円増加の27,781百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,124百万円を計上したこと及び剰余金の配当457百万円を実施したこと等によります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は32.2%となりました。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、56,177百万円となりました。これは主に地主リートほか、包括売買取引の契約に基づいて大手リース会社等へ販売用不動産を売却したことによります。
セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、9,263百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、3,788百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は5,475百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、285百万円となりました。営業外費用は、758百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は5,002百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益はありません。特別損失は、子会社整理損により73百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,124百万円となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、当連結会計年度におきましても、販売用不動産や長期賃貸事業を目的とする有形固定資産を新規取得するために自己資金を戦略的に活用するとともに、資金の機動的かつ安定的な調達に資する金融機関5行とコミットメントライン契約10,000百万円、及び金融機関3行と借入枠設定契約29,600百万円をそれぞれ締結しております。これにより大口の不動産投資案件にも対応できるため、取得の幅を広げるとともに、また、取得への高い機動性を確保しております。
また、前連結会計年度に引き続き、金融機関や投資家を中心としたJINUSHIビジネスへの高い評価の裏付けとして、大手リース会社等への物件売却が進展しております。一方、取得も順調であることから、資金調達は好循環を継続しており、健全な財務基盤を維持しております。
この結果、当連結会計年度においては複数の有力金融機関から総額48,593百万円の借入を行ったことに加え、株式会社ツノダの連結子会社化があった一方で、総額45,743百万円の借入を返済しており、当期末における当社グループの借入金総額は49,730百万円と、前期末比6,541百万円の増加となりました。
なお、当連結会計年度末における現金及び預金は17,264百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度の進捗状況は以下のとおりです。
2020年12月24日に開催の臨時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、2020年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、対前期増減率については記載しておりません。なお、前連結会計年度は、当社及び国内子会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算の海外子会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間を連結対象期間としておりました。
売上高総利益率は16.5%、経常利益率は8.9%、ROEは11.9%となりました。
|
2021年12月期 (計画) |
2021年12月期 (実績) |
2021年12月期 (計画比) |
売上高 |
51,000百万円 |
56,177百万円 |
5,177百万円 (10.2%増) |
経常利益 |
4,200百万円 |
5,002百万円 |
802百万円 (19.1%増) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
2,900百万円 |
3,124百万円 |
224百万円 (7.8%増) |
売上高総利益率 |
19.0% |
16.5% |
- |
売上高経常利益率 |
8.2% |
8.9% |
- |
自己資本利益率(ROE) |
11.0% |
11.9% |
- |
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①
財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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