当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年12月1日から2021年11月30日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、変異株の急激な拡大、医療体制のひっ迫による緊急事態宣言の再発出など、依然として厳しい状況下にありました。また、ワクチン接種が促進される中、感染症流行の収束への期待や動向が国内外の経済に与える影響について慎重に見定めなければならない状況が続いております。
このような状況の中、当社グループはPhil=共存共栄を企業理念として、土地オーナー・入居者・地域にとって三方良しとなる企画である「空中店舗フィル・パーク」及びガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」を事業展開してまいりました。土地オーナーに土地活用商品の企画提案をする「請負受注スキーム(既存土地オーナー向けサービス)」と、不動産投資家に当社が土地を購入し土地活用商品の開発から販売までを行う「開発販売スキーム(不動産投資家向けサービス)」の両スキームでソリューションサービスを提供しております。
a. 当期の売上総利益率(31.4%)が上場来最高値を更新
当連結会計年度における「請負受注スキーム」の竣工引渡件数は16件、「開発販売スキーム」の販売引渡件数は3件となりました。「開発販売スキーム」においては、大型案件3件の販売用不動産の販売引渡が完了し、販売額も当初計画を上回る金額で売却することができました。この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高5,432,354千円(前年同期比36.8%増)、売上総利益1,705,785千円(前年同期比96.1%増)、営業利益724,912千円(前年同期比456.5%増)、経常利益713,276千円(前年同期比626.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益407,470千円(前年同期は19,660千円)となりました。経営指標の中では売上総利益率が31.4%となり、上場来最高値を更新しました。
b. 金融機関からの問い合わせ件数(440件)が過去最高値を更新
前連結会計年度において、コロナ禍後を見据え金融機関とのビジネスマッチング契約を強化した結果、当連結会計年度の金融機関からの問い合わせ件数は440件と過去最高値を更新しました(従来の最高問い合わせ件数は2019年11月期の345件)。特にプレミアムガレージハウスに関する問い合わせ件数が239件と、全問い合わせ件数の50%を超えております。プレミアムガレージハウスにおいては、車庫としてだけでなく趣味や仕事の場所として多様なニーズを満たす「新しい生活様式を実現できる空間」として認知され、当社独自の入居待ち登録システムへの登録件数は増加し続け、需要に対し供給が追い付いていない状況が続いております。
c. プレミアムガレージハウスの受注高(13億6,000万円)が前期比4.6倍
当連結会計年度における「請負受注スキーム」の請負受注件数は31件、受注高は3,054,069千円となりました。内訳は、空中店舗フィル・パークの請負受注件数が5件、受注高が1,693,900千円(前年同期は981,202千円)、プレミアムガレージハウスの請負受注件数が26件、受注高が1,360,169千円(前年同期は294,077千円)と、プレミアムガレージハウスの受注高は前期比4.6倍となりました。
空中店舗フィル・パークにおいては、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の発出の影響を受けて、土地オーナーを紹介する金融機関側の様子見姿勢が強まり問い合わせ数は横ばいとなっており、受注件数の本格的な回復には依然として時間がかかっております。一方で、ワクチン接種が促進される中で持ち直しの動きが続くことが期待され、前期の受注高と比べ回復基調となっております。
プレミアムガレージハウスにおいては、2019年1月の連結子会社化した当時は建築機能を有しておりませんでしたが、前連結会計年度のコロナ禍において、当社グループの設計・建築業務を担う株式会社フィル・コンストラクションにて設計・建築工程の見直しを行い、空中店舗フィル・パークと同水準の収益を生み出せる仕組みに改善いたしました。このことによりプレミアムガレージハウスが金融機関経由で土地オーナーに対して提案できる水準の土地活用商品となり、またコロナ禍におけるガレージ付賃貸住宅に対する需要の拡大も追い風となって、当連結会計年度の金融機関経由でのプレミアムガレージハウスに関する問い合わせが増加し、受注高も増加傾向となっております。
ガレージ付賃貸住宅は昨今のライフスタイルの多様化や価値観の変化から、ガレージの利用方法も車を置くだけの場所から趣味や仕事も楽しむ場所へと変化を遂げております。このような環境下で、当社連結子会社である株式会社プレミアムガレージハウスは、マーケットの変化に対応し新しい時代に向かってライフスタイルを提案する企業としての進化を目指しており、「ガレージのある生活のワクワク感」を表現したロゴマーク(「街」×「多様性」×「ガレージ」)への変更やホームページのリニューアルに向けた取り組みを行ってきました。また、ホームページを起点に、入居待ち登録システム上の入居検討者、問い合わせのあった土地オーナー、工務店の情報を統合し、オンラインプラットフォームのベースとしてまいります。
設計・建築面においては全国展開に向けて拡販・量産できる供給体制づくりのため、独自工法の認定取得を計画しております。
当連結会計年度の「請負受注スキーム」並びに「開発販売スキーム」における、竣工引渡件数及び販売引渡件数は、下表のとおりとなります。
「請負受注スキーム」
「開発販売スキーム」
次に、当連結会計年度の営業状況及び成長力・成長性を表す指標である「請負受注スキーム」における受注高、受注件数及び受注残高の状況につきましては、下表のとおりとなります。
「請負受注スキーム」
※1 受注高とは、上記連結会計期間における空中店舗フィル・パーク事業「請負受注スキーム」(内装工事等の追加工事の受注含む)の新規受注金額の合計(売価ベース)となります。
※2 受注残高とは、上記時点における空中店舗フィル・パーク事業「請負受注スキーム」(内装工事等の追加工事の受注を含む)の竣工引渡前の受注金額の残高合計(将来の売上見込金額)となります。
また、土地の購入及び土地活用商品の開発から販売までを行う取り組みである「開発販売スキーム」における、当連結会計年度の開発状況を表す指標である開発プロジェクト総額見込及び用地取得契約件数の状況につきましては、下表のとおりとなります。
「開発販売スキーム」
※3 開発プロジェクト総額見込とは、「開発販売スキーム」において用地取得契約後プロジェクトを開始した土地活用商品の、上記時点における土地及び建物の完成にかかる見込額の合計(将来の売上原価見込金額)となります。
重点課題の1つとして掲げております人材補強につきましては、当連結会計年度末時点で連結従業員数が48名(2020年11月期末時点は45名)となりました。直近3年間は全国採用イベントへの参加や大学との連携により新卒採用に注力し企画開発人材を拡充すると共に、新規事業領域や専門領域におけるフォロー体制を充実させるためプロフェッショナル人材の中途採用を重視いたします。
新卒人材とプロフェッショナル人材で構成されたチームにより高い業務水準の維持と人材育成を両立しながら、3年間で100名超の人材採用を目標としております。
なお、財政状態につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 c.財政状態の分析」をご参照ください。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、4,193,330千円となり、前連結会計年度末と比較して2,127,064千円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は3,291,115千円(前年同期は2,438,611千円の支出)となりました。これは主として、たな卸資産の減少1,542,654千円、税金等調整前当期純利益の計上639,342千円、前受金の増加542,446千円などの増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は6,229千円(前年同期は43,502千円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出8,076千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は1,157,820千円(前年同期は559,021千円の収入)となりました。これは主として、自己株式の取得による支出489,174千円、長期借入金の返済による支出435,506千円、短期借入金の純減少額228,000千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、単一セグメントであるため、生産実績及び受注実績については、スキームごとの実績を記載しております。
当連結会計年度における生産実績については、土地の購入及び空中店舗フィル・パークの開発から販売までを行う取り組みである「開発販売スキーム」の開発プロジェクト総額見込を記載しております。
(注) 1.開発プロジェクト総額見込とは、「開発販売スキーム」において用地取得契約後プロジェクトを開始した空中店舗フィル・パークの、当連結会計年度末時点における土地及び建物の完成にかかる見込額の合計(将来の売上原価見込金額)となります。
当連結会計年度における受注実績については、「請負受注スキーム」の受注高及び受注残高を記載しております。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.受注高とは、当連結会計年度における空中店舗フィル・パーク事業「請負受注スキーム」(内装工事等の追加工事の受注を含む)の新規受注金額の合計(売価ベース)となります。
3.受注残高とは、当連結会計年度末時点における空中店舗フィル・パーク事業「請負受注スキーム」(内装工事等の追加工事の受注を含む)の竣工引渡前の受注金額の残高合計(将来の売上見込金額)となります。
当連結会計年度における販売実績については、空中店舗フィル・パーク事業の単一セグメントであるため、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
4.A社、B社、C社、D社及びE社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えさせていただきます。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は5,432,354千円(前期比36.8%増)となりました。これは主に、「開発販売スキーム」において大型案件3件の販売用不動産の販売引渡が完了し、販売額が当初計画を上回る金額で売却できたことによるものであります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費980,873千円の計上により、当連結会計年度における営業利益は724,912千円(前期比456.5%増)となりました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、役員報酬301,262千円、給料及び手当194,393千円、株式給付引当金繰入額33,497千円であります。
(経常利益)
営業外収益3,409千円、営業外費用15,045千円計上により、当連結会計年度における経常利益は713,276千円(前期比626.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当社が保有する投資有価証券について減損処理による投資有価証券評価損55,794千円計上し、当社が所有する有形固定資産について減損損失18,138千円を特別損失に計上しました。その計上に伴い当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は639,342千円となりました。法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を加減した、親会社株主に帰属する当期純利益は407,470千円(前年同期は19,660千円)となりました。
b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、経済情勢の変動や各種法規制等による影響、自然災害の発生、感染症等の影響などが外的要因として挙げられます。また、内的要因としては、物件の竣工引渡時期の変動や、組織体制の充実に充分な対応ができない場合の事業展開への影響などが挙げられます。詳細については、「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」をご参照ください。
c. 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて301,009千円増加し、5,450,312千円になりました。これは主として、現金及び預金等の増加、販売用不動産及び仕掛販売用不動産等の減少により流動資産が358,398千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて381,735千円増加し、2,676,197千円になりました。これは主として、前受金が542,446千円、未払法人税等が264,927千円増加し、一年内返済予定の長期借入金が398,226千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて80,726千円減少し、2,774,114千円になりました。これは主として、自己株式の取得による自己株式の増加489,174千円、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加407,470千円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2〔事業の状況〕3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、「開発販売スキーム」における土地仕入資金の機動的な調達を行うため、株式会社みずほ銀行と特別当座貸越契約(借入極度額1,000百万円)を締結しております。また、機動的な資金調達を行うため、株式会社三菱UFJ銀行との間で500百万円の当座貸越契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において、当座貸越契約の借入枠については使用しておりません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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