業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、繰り返し押し寄せる新型コロナウイルス感染症拡大の波に翻弄され、昨年度に引き続き経済活動や社会活動への制限により、国民の生活と行動に大きな影響が及んだことにより、景況は不安定な状況で推移しました。特に、当年度前半における再三の緊急事態宣言の影響が大きく、個人消費を中心に厳しい状況が続きました。国内におけるワクチン接種率の向上や感染者数の減少等により、当年度後半には経済活動は回復に向かい、少しずつ活気を取り戻しつつあったものの、国際的な半導体不足による製造業への影響、円安や原油高による各種製品・サービスの価格上昇など、経済活動の先行きには不透明さが残る状況が続いております。

 このような状況のもと当社グループは、2021年からの5ヵ年を対象とする中期経営計画として策定した「JPMC2025」のもと、「コロナ禍における運用戸数の拡大」と「Back to normal における収益性改善」を基本戦略として事業を推進してまいりました。

 当社グループのコア事業であるプロパティマネジメント事業の収益向上に向けては、運用戸数の増加が不可欠となりますが、滞納保証事業や保険事業、リフォーム事業等を併せ持つ当社グループの強みが、1戸当たりの収益性をさらに高め、付加価値向上と成長の加速を実現させていくための原動力となります。

 そのための基盤作りとして、物件運用により得られるストック収益を拡大し、持続的かつ安定した成長を実現させるため、まずは運用戸数の増加に重点をおいて全社一丸となって事業を推進しました。

 また、2021年7月にM&Aで子会社化した株式会社JPMCシンエイは、多摩エリアを中心に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県で約9,000戸の賃貸住宅の管理・運用を行っております。運用戸数約9,000戸の増加に加え、当社グループで展開しているリフォーム事業、滞納保証事業、保険事業を提供することで収益性向上を図ってまいります。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,003百万円増加し17,406百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,652百万円増加し10,644百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ350百万円増加し6,762百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高53,416百万円(前期比13.2%増)、営業利益2,300百万円(同11.5%増)、経常利益2,305百万円(同11.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,161百万円(同7.4%増)となりました。

 

 売上区分別の経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より売上区分の名称を変更しております。従来「不動産収入」「不動産付帯事業収入」として表示していたものを「プロパティマネジメント収入」「PM付帯事業収入(PMはプロパティマネジメントの略)」へと変更しております。

 

 プロパティマネジメント収入につきましては、株式会社JPMCシンエイのM&Aにより、運用戸数が増加した一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、人の移動の制限による空室リスクの高まりから一括借上に対するニーズが高まりましたが、当連結会計年度においてはほとんどの期間が緊急事態宣言下にあり、新規オーナーへの訪問営業の機会は大きく制限されました。

 この結果、当連結会計年度におきまして、運用戸数は106,640戸(前期末比11,842戸増)となり、プロパティマネジメント収入は49,567百万円(前期比11.0%増)となりました。

 

 PM付帯事業収入につきましては、滞納保証事業が順調に推移しました。

 この結果、PM付帯事業収入は2,302百万円(前期比9.5%増)となりました。

 

 その他の収入につきましては、「スクラップアンドビルドを繰り返さない」という当社グループの方針のもと、リフォーム事業が順調に推移しました。また販売用不動産の売却を行いました。

 この結果、その他の収入は1,546百万円(前期比234.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,883百万円増加し、当連結会計年度末には7,228百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,448百万円の収入(前連結会計年度は2,059百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,013百万円、法人税等の支払が788百万円、減損損失が707百万円、前受金の増加が325百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,032百万円の支出(前連結会計年度は741百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,373百万円、投資有価証券の売却による収入が500百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,467百万円の収入(前連結会計年度は27百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が2,600百万円、長期借入金の返済による支出が414百万円、配当金の支払額が759百万円あったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業は、プロパティマネジメント事業及びその付随業務の単一セグメントであるため、売上区分別に記載しております。

 

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績を売上原価区分別に示すと、次のとおりであります。

売上原価区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

仕入高(百万円)

前期比(%)

プロパティマネジメント収入原価

45,217

10.8

PM付帯事業収入原価

1,534

8.8

その他の原価

967

1,090.5

合計

47,719

12.8

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

プロパティマネジメント収入

49,567

11.0

PM付帯事業収入

2,302

9.5

その他の収入

1,546

234.3

合計

53,416

13.2

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績の分析

 当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 (1) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。

 

2017年

12月期

2018年

12月期

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

自己資本比率(%)

44.2

49.1

50.3

47.8

38.8

時価ベースの自己資本比率(%)

290.2

131.8

190.6

155.7

101.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

0.7

0.9

0.7

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

424.8

480.9

467.8

662.7

290.2

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 (2) 資金の需要

 さらなる企業価値の向上を図るための事業投資、運転資金及び債務の返済、並びに株主還元策の実施の資金需要に備え、資金調達及び流動性の確保に努めています。

 

 (3) 資金の調達

 運転資金及び債務の返済、株主還元策の実施に関しては基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当することにより対応する方針であります。

 また、企業価値の向上を図るための事業投資につきましては自己資金や借入金だけでなく、多額の資金が必要となる場合には、財務健全性に配慮しつつ、長期的に安定した資金を得るため証券市場から資金調達を行うことも選択肢としております。こうした観点から2020年9月23日に収益性向上のためのM&A資金の調達を目的として、自己株式を活用した第三者割当による第7回新株予約権及び第8回新株予約権を発行しています。

 

 (4) 資金の流動性

 当社グループは、取引銀行4行とコミットメントライン契約を設定しておりましたが、当連結会計年度末現在、解約しております。

 

③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは2021年12月期から5年間を対象とする中期経営計画「JPMC2025」を策定し、「コロナ禍における運用戸数の拡大」と「Back to normal における収益性改善」を基本戦略として事業を推進してまいりました。

 中期経営計画「JPMC2025」では、最終年度である2025年12月期において、KPIとして「運用戸数16万戸」「新規申込戸数5ヵ年累計110,000戸」「売上高770億円」「ROE(自己資本利益率)目標水準20%以上維持」「配当性向目標水準40%維持」を目標としております。

 当連結会計年度におきましては、運用戸数106,640戸、新規申込戸数8,884戸、売上高534億円、ROE(自己資本利益率)17.6%、配当性向66.9%となりました。

 

 ◇経営指標

 

2021年12月期

2022年12月期

予想

2025年12月期

目標

2030年12月期

目標(参考)

運用戸数

106,640戸

113,700戸

160,000戸

250,000戸

新規申込戸数

8,884戸

14,000戸

5ヵ年累計

110,000戸

5ヵ年累計

154,000戸

売上高

534億円

560億円

770億円

1,110億円

ROE(自己資本利益率)

17.6%

20%以上

20%以上

20%以上

配当性向

66.9%

40%以上

40%以上

40%以上

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得