課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営環境

 創業以来の繊維(麻)事業から業態転換を進めていた当社は、阪神淡路大震災が契機となって、消防防災(官需防災)を顧客基盤とする防災事業へと一気に業態転換を図ることができました。また、東日本大震災以降は、国による国土強靭化政策をはじめとする防災関連政策の推進を背景に、原子力発電所の再稼働にあたりシビアアクシデントに対応する安全対策を必須とする電力各社、石油コンビナート施設を保有しBCPの観点から自主防災の強化に取り組む石油精製各社など民需防災事業への進出を果たし、さらにN.Y.同時多発テロ発生等を起因にセキュリティ対策が急務となった空港施設・航空各社を対象とするセキュリティ事業分野にも顧客基盤を拡げてまいりました。

 2020年度からスタートした第五次中期経営計画「帝国繊維(テイセン)2022」では、急激な気候条件の変化を背景に、毎年のように繰り返される豪雨や暴風が、河川の氾濫や土砂災害などにより、国民生活、企業活動に大きな混乱を生じさせている状況を踏まえ、水害対策として、国土交通省及び自治体の他主要基幹産業に対し、大量送排水システム(ハイドロサブシステム)を販売することを最重要テーマに掲げ、取り組んでおります。同システムは、高揚程・遠距離での排水が可能となる点に、他社製品との差異があり、洪水被害にあった様々な場所でかかる機能が発揮され、一刻も早い復旧に貢献できるものと考えております。中期経営計画初年度において、国土交通省及び自治体からの受注獲得に成功するなど、水害対策市場の開拓は着実に進展しております。
 現在、コロナ禍により訪日外国旅行客は大幅に減少しておりますが、今後もテロ対策などの必要性は高まると予想され、セキュリティビジネスは今後も拡大するものと認識しております。これまで拡大してきた空港セキュリティビジネスをさらに発展させるとともに、空港以外の膨大な市場のポテンシャル掘り起こしに向けて、新たな市場開拓を進行させてまいります。

 また、災害現場では、高度かつ特殊な機能が装備された防災車輌が重要な役割を発揮します。多発化・多様化・激甚化する災害の備えとして、機能性や操作性が高く、かつ環境にも配慮された革新的な防災車輌が求められると考えております。当社は、このような考えから、ホース工場としての鹿沼工場に次ぐ第二の拠点として、下野工場を新設し、防災車輌の製造拠点として、2021年8月より稼働を開始いたしました。また、下野工場における防災特殊車輌の開発・製造拠点機能拡充のための設備新設(第Ⅱ期工事)及び鹿沼工場におけるホース生産新ラインの増設ならびに施設整備にも着手し、今後の当社事業を支える生産体制の刷新・再構築に取り組んでおります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

中期経営計画

 第五次中期経営計画「帝国繊維(テイセン)2022」では

  ≪先進的防災事業を確立・発展させ

          多発化・激甚化する自然災害・気候変動による脅威から

                     社会や事業の安心・安全を守る!≫を目標に、

 

 1.大量送排水システムによる新たな市場開拓

     基幹産業のBCP対策、国土交通省・自治体による水害対策への貢献

 2.セキュリティビジネスの新たなフロンティアを切り拓く

     セキュリティビジネスにおける商材開発強化と空港を足掛かりとする市場拡大

 3.防災特殊車輌ビジネスの確立

     革新的な防災特殊車輌により、消防防災・産業防災の装備刷新・充実に貢献する

 4.当社事業の基盤である足元の事業を固め、一層磨き上げる

     消防ホース・防災車輌・資機材・防火衣等特殊被服の4事業分野で確固たる

     業界No.1の地位を確保する

 5.消防ホース・防災車輌生産体制の刷新

 6.収益力の持続的強化を目指す

 

 などのテーマを掲げ、グループ一丸となって取り組んでおります。

 

 

 ≪大量送排水システムによる新たな市場開拓≫

 近年、スーパー台風や記録的な豪雨により、甚大な水害被害が日本各地で発生しています。洪水や高潮などによる被害の最小化は、国・地方自治体・企業が取組むべき共通の課題となっています。大量送排水システム(ハイドロサブシステム)による新たな市場開拓を通じ、水害対策に貢献してまいります。優れた商材と強力な営業力(体制)で、市場席捲を目指します。

 

 ≪セキュリティビジネスの新たなフロンティアを切り拓く

 爆物検知器やボディスキャナーなどにより、空港向けセキュリティビジネスは大きく発展いたしました。テロは世界的な拡がりを見せており、コロナ禍により訪日外国人旅行客は大きく減少していますが、今後もテロ対策などへの必要性は高まるものと思われます。セキュリティ商材の開発を強化し、空港を足掛かりとして、その先にある膨大なポテンシャルを秘めたセキュリティビジネスの新たなフロンティアを切り拓いてまいります。

 

 防災特殊車輌ビジネスの確立

 多発化・激甚化する災害に備えるための消防・企業の防災対応力強化に対し、水利確保・水害対策用車輌や救助工作車を中心とした革新的な防災特殊車輌の開発・拡販をもって、消防防災・産業防災の装備刷新・充実に貢献してまいります。

 

 ≪当社事業の基盤である足元の事業を固め、一層磨き上げる≫

 消防防災を対象とする消防ホース・防災車輌・資機材・防火衣等特殊被服は、当社防災事業の根幹をなす事業基盤です。技術を磨き、新たな商材を投入し、業界No.1の地位を確固たるものにすることを目指します。市町村消防の広域化、緊急消防援助隊の増設と機動力の強化など、消防防災の役割拡大・機能強化に貢献することを目指してまいります。

 

 ≪消防ホース・防災車輌生産体制の刷新≫

 消防ホース・防災車輌の生産にかかわる人材・設備・生産技術に磨きをかけ、商品開発力向上・品質改善・コスト低減を進めてまいります。事業の発展を支える生産体制の刷新・高度化が緊急の課題であり、これを推進してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、2「事業等のリスク」に述べる各項目の影響を受けますが、当連結会計年度末において当社経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の指標が重要であると考えます。

① 連結経常利益

 当社及び連結子会社の経営成績を把握する指標として、連結経常利益を重視しております。ただし、当社は大型案件の受注獲得有無及びその売上計上時期により業績が上下する為、単年度における利益額ではなく、3年程度の中期的なレンジでその水準を拡大させることを目指しております。「帝国繊維(テイセン)2022」では、連結経常利益の水準を50億円台に拡大させることを目標としています。

② 受注残

 当社のビジネスは受注先行型であり、前期末の受注残が、翌期の売上の先行指標として有用であり、かかる指標を重視しています。また、各々の事業分野で、毎期確実かつ安定的に受注残を確保することを目指しております。

③ テーマに掲げた新たな市場開拓の状況

 防災事業における新たな市場開拓は、長期的視点から当社が最重要と考えるテーマであり、新たな市場分野における受注の進捗状況等が重要と考えています。

 

(4)新型コロナウイルス感染症拡大の影響

 新型コロナウイルス感染症拡大に関して当社が想定するリスクは、2「事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、かかるリスクは現時点においては顕在化しておらず、業績への影響は、軽微であります。地方財政の逼迫など今後共、経済動向やサプライチェーンへの影響等も含め動向注視しつつ、「帝国繊維(テイセン)2022」で掲げた先進的防災事業の確立・発展を通じ、収益力の持続的拡大と企業価値の向上への取り組みに鋭意注力してまいります。

 

 

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