文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものである。
(1) 会社の経営理念
当社グループの経営理念は、以下の通りである。
・人類の活動に不可欠な資源や素材と高付加価値技術を社会に供給し続けることにより、存在価値のある企業と
して、よりよい社会環境の構築に貢献するとともに、人類社会の永続的発展に寄与する。
・独自の企画・提案力によるソリューションビジネスの展開
・社会的に信頼される新しい企業文化の創造
・企業活動を通じた、働く社員の自己実現と生活の安定・充実
(2) 会社の経営の基本方針
当社グループは、上記の経営理念に基づき、環境保全への配慮、地域社会との共生および企業倫理の徹底など、社会を構成する一員として求められる責任を果たし、取引先、株主、地域社会からの一層の信頼を得られる企業を目指していく。
ESG経営への取り組み(安全・環境対策、働き方改革・ダイバーシティ、等)も引き続き強化し、2050年カーボンニュートラルに向けては、具体的な方法を掲げ、積極的に取り組む。
また、主力であるコークス事業のより一層の競争力強化を図り、市況等に左右されない事業基盤を確立するとともに、非コークス事業の事業基盤を強化・安定化させ、多面的な利益構造を確立することを目指している。
(3) 経営戦略等
上記の経営方針に基づく当社グループの経営戦略は、次のとおりである。
[コークス事業]
・安全・環境・防災体制の強化
・2A炉老朽化更新投資(パドアップ)の着実な実行
・安全・安定操業の維持
・国内外の安定的な需要家の確保と収益力の強化
[非コークス事業]
(燃料・資源リサイクル事業)
・自社石炭ヤード等のインフラの効果的活用
・需要家の燃料転換に対応した商品の拡大
・廃棄物の有効活用と適正処理による安定した収益の確保
(総合エンジニアリング事業(化工機事業))
・製品の付加価値向上(新製品の開発強化と既存製品のブラッシュアップ)
・粉体処理ソリューションビジネスモデルへの転換
・海外(主に中国)への販路拡大
・テスト体制・生産体制の強化
[ESG経営への取り組み]
・安全・環境・防災体制の確立を目指した生産・操業現場の構築
・カーボンニュートラルも含めた地球環境の保全や循環型社会構築のための環境課題への対処
・人権の尊重・ダイバーシティへの対応等
・ステークホルダーとのコミュニケーション・コンプライアンスの徹底によるガバナンスの向上
(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢による資源価格の変動や需給バランスの変化等、先行きが極めて不透明な状況に置かれている。
このような状況のなかで、当社グループは、それぞれの事業において、次のような経営環境の認識のもとに、収益力の改善などに向け、各事業で様々な施策を推進していく。
なお、新型コロナウイルス感染症は依然として終息の見通しが立っていないものの、提出日現在、当社グループが関係する取引先や、各事業の生産現場等においては事業活動に重要な影響は出ていない。
今後、海外において、新型コロナウイルス感染症対策のためのロックダウン等が発生した場合は、当社グループの事業活動に重要な影響が出る可能性がある。
(コークス事業)
コークス事業については、新型コロナウイルス感染症による海外の物流の停滞・ロックダウンの影響等やウクライナ情勢により、原料炭市況やコークス市況は極めて不透明な状況にあるが、代替原料の確保等により、操業や製造コストへの影響を最小化するべく取り組んでいく。
このような状況のもと、2022年4月に当社取締役会にて決議した2Aコークス炉更新工事の着実な実行と、安全・安定操業を最優先としつつ、
①環境対策工事の実施などによる各種環境規制の遵守及び地域社会との共生
②その他のコークス炉の健全性維持
③工場各設備への継続的な設備投資やメンテナンスの実施
④更なるコスト削減への取り組み(原料配合の改善など)
等を推し進めていく。
(燃料・資源リサイクル事業)
脱炭素のため、需要家の燃料転換へ向けた動きが進んでいる中で、当社グループは、新規取引先の開拓に向けて、バイオマス燃料などカーボンニュートラルに向けた商品の取扱いの拡大を進めていく。
また、燃料の調達・販売から廃棄物処理までを一貫して取り扱う体制の下、安定した収益の確保を目指す。
(総合エンジニアリング事業)
化工機事業については、産業全般に渡る基礎技術である粉粒体処理技術において、長年のノウハウをもとに、自社の独自性や優位性を発揮して事業を行っている。
技術開発面では、当社が蓄積する粉体処理技術や、粉体技術センターで実施する粉体テストから得られる知見を活用し、顧客のニーズに対応する処理プロセスの提案や新製品の開発、変化する顧客のニーズに沿うための既存製品のブラッシュアップを推進する。
営業面では、顧客対応力の向上、中国における機器製造及びメンテナンス体制の構築などにより、海外展開の強化を図る。
また、カーボンニュートラルでニーズが高まる電池・電子材料の製造機器開発・販売を推進する。
産業機械事業を担う有明機電工業株式会社については、コスト削減や生産性向上、製品およびメンテナンスの高付加価値化などに注力するとともに、機械工事・電気工事のノウハウを併せ持つ特徴を活かし、大型工事案件の受注拡大を目指す。
併せて、グループ内の連携強化を図るため、当社グループ案件の受注拡大にも取り組んでいく。
(その他)
港湾運送事業を営む三池港物流株式会社については、これまでに更新した港湾設備や倉庫を活用し、三池港(福岡県大牟田市)における貨物取扱数量増加ならびにコスト削減を図る。
不動産事業については、非事業用不動産の売却に加え、賃貸事業についても積極的に推進していく他、非事業用不動産への太陽光発電設備の設置などカーボンニュートラルに向けた取り組みも推進する。
(ESG経営への取り組み)
当社グループは、企業に対するサステナビリティ経営や脱炭素に対する取り組みへの期待の高まりを背景に、大きな変革を迫られていると認識している。
そのため、サステナビリティ推進委員会の設置を柱とするサステナビリティ推進体制を構築し、
①休業災害の撲滅、各種環境規制の遵守及び災害リスクの徹底排除
②原燃料系調達過程におけるサプライヤーの人権遵守状況等の調査やバイオマス燃料サプライチェーン全般に係る国際第三者認証の取得
③在宅勤務などの多様な働き方や人材活用の多様化(中途採用・女性・障害者雇用等)の推進
④広報・IR活動の活発化やホームページを通じた情報発信などによる積極的な情報開示
などに取り組むこととしている。
また、脱炭素に対する取り組みとしては、
①コークス炉から発生するガスの自家消費や回収した熱の電力・蒸気への変換などのエコプロセスによるCO2の削減
②グループ会社所有森林(北海道に約4千2百ヘクタールの森林を所有)によるCO2吸収やCCUS(CO2の 回収・利用・貯留)技術の利用によるカーボンオフセット
③水素製造・販売や太陽光発電等のカーボンフリーエネルギー事業の検討
などにより、2050年カーボンニュートラルに向けて挑戦していく。
(5) 目標とする経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、企業価値を高めるための各施策や安定的な配当の実施のため、中期的には、連結経常利益を50億円以上確保することを、経営指標としている。
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