(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が都市部を中心とした多くの都道府県で実施されるなど、厳しい状況で推移しました。国内においてはワクチン接種が徐々に進み、経済の正常化に向けて大きく動き始めておりますが、依然として先行き不透明な状況が続いております。
紳士服市場におきましては、スーツ着用人口が減少していることに加えて外出自粛やテレワークの導入促進に伴いワークスタイルの多様化が一層進んでおり、依然として厳しい状況が続いております。
こうした状況の中で、当社グループは、「笑顔」、「感謝」、「清掃・整頓」を行動理念に掲げ、顧客満足の最大化を目指して、以下のとおり取り組んでまいりました。
商品面につきましては、2020年秋冬は「Your Own Colors(自分色を纏う)」をテーマに「色」に注目した商品を展開しました。ビジネスを逸脱しない絶妙な配色の生地を取り扱い、スーツの新モデルも投入することによって、高感度の顧客層の獲得や買上単価の増加に取り組みました。2021年春夏は、ビジネスウェアの多様化に対応して、スーツとしてだけではなくジャケットとパンツをそれぞれ単品としても着回せるセットアップスーツを強化いたしました。オーダースーツにおいては納期の短縮に取り組みました。テーラーメイドスーツの納期は約3週間を約2週間に、ミニマルオーダースーツの納期は約2ヶ月を約6週間に短縮いたしました。
販売店舗につきましては、2021年4月の緊急事態宣言発出に伴い、東京、大阪を中心に当社グループが出店する商業施設に休業要請が行われました。これにより当社グループにおいても、休業や営業時間短縮を実施いたしました。店舗数につきましては、本社を置く京都市に新規開業する商業施設へオーダースーツを強化した新店舗を出店したこともあり、「オンリー(オンリープレミオ東京、オンリープレミオ、オンリーウィメン、エディットアンドオンリーを含む)」は2店舗の出店、5店舗を閉店して31店舗、アウトレット販売等を行う「スーツアンドスーツ」は6店舗の出店、4店舗を閉店して25店舗となりました。
以上により、当連結会計年度末の当社グループの店舗数合計は56店舗となりました(前期末比1店舗減)。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、商業施設の休業や外出自粛による個人消費の縮小の影響もあり46億79百万円(前期比12.5%減)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、家賃の減額や販促費の抑制等、経費全般の削減に努めたことにより29億71百万円(同6.7%減)となりました。
利益面につきましては、営業損失は2億75百万円(前期は営業利益30百万円)となりました。営業外収益に受取賃貸料2億48百万円、助成金収入35百万円を計上しましたが、経常損失は50百万円(前期は経常利益2億21百万円)となりました。また、4月以降の商業施設の休業期間に発生した地代家賃の減額等を特別利益に臨時休業等による収入として63百万円計上、一方で休業期間における固定費(人件費・地代家賃・減価償却費)を特別損失に臨時休業等による損失として49百万円、減損損失を45百万円、それぞれ計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、32百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億1百万円)となりました。
なお、当社グループは紳士服、婦人服及び関連商品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、30億82百万円となり、前年同期と比べ1億62百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億76百万円(前年同期は3億7百万円の使用)となりました。これは、主に減価償却費2億40百万円の計上とたな卸資産の減少額3億50百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は3億91百万円(前年同期は2億40百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の売却による収入2億34百万円、投資不動産の賃貸による収入2億61百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億5百万円(前期同期は16億56百万円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出6億72百万円、配当金の支払額33百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、紳士服、婦人服及び関連商品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、生産及び販売の状況につきましては、品目別の情報を記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目別 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
スーツ |
(千円) |
307,589 |
76.3 |
合 計 |
(千円) |
307,589 |
76.3 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目別 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
メンズスーツ |
(千円) |
431,328 |
76.6 |
メンズシャツ・ネクタイ |
(千円) |
234,774 |
62.9 |
ウィメンズ |
(千円) |
87,801 |
63.0 |
その他 |
(千円) |
341,587 |
85.4 |
合 計 |
(千円) |
1,095,492 |
74.2 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.原材料仕入実績
当連結会計年度の原材料仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目別 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
スーツ生地 |
(千円) |
182,121 |
81.3 |
付属品 |
(千円) |
37,882 |
97.4 |
合 計 |
(千円) |
220,003 |
83.7 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
d.受注状況
該当事項はありません。
e.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目別 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
メンズスーツ |
(千円) |
2,397,026 |
84.7 |
メンズシャツ・ネクタイ |
(千円) |
789,555 |
90.3 |
ウィメンズ |
(千円) |
400,225 |
85.1 |
その他(修理代収入含む) |
(千円) |
1,092,777 |
93.1 |
合 計 |
(千円) |
4,679,584 |
87.5 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.上記販売実績のうち、メンズスーツ及びウィメンズに含まれているオーダースーツの当連結会計年度における売上高は次のとおりであります。
|
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
オーダースーツ(メンズ) (千円) |
907,145 |
76.2 |
オーダースーツ(ウィメンズ)(千円) |
100,336 |
67.1 |
合 計 (千円) |
1,007,481 |
75.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6億66百万円減少し、88億95百万円となりました。
流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3億94百万円減少して45億6百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が1億62百万円増加した一方で、商品及び製品が3億11百万円、流動資産のその他が2億8百万円、それぞれ減少したことによるものであります。また、固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2億72百万円減少し、43億89百万円となりました。主な変動要因は、不動産の売却等により建物及び構築物が1億14百万円、土地が1億5百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億円減少し22億17百万円となりました。
流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ75百万円増加し11億69百万円となりました。主な変動要因は、未払法人税等が27百万円、ポイント引当金が12百万円、それぞれ増加したことによるものであります。また、固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億75百万円減少し10億47百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金が6億72百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ65百万円減少し、66億78百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失を32百万円計上し、前期の期末配当33百万円を実施したことにより利益剰余金が65百万円減少したことによるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、商業施設の休業や外出自粛による個人消費の縮小の影響もあり46億79百万円(前期比12.5%減)となりました。
(売上原価・販売費及び一般管理費)
売上原価は19億84百万円(同7.0%減)、販売費及び一般管理費は、家賃の減額や販促費の抑制等、経費全般の削減に努めたことにより29億71百万円(同6.7%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益に受取賃貸料2億48百万円、助成金収入を35百万円計上しましたが、経常損失は50百万円(前期は経常利益2億21百万円)となりました。また、4月以降の商業施設の休業期間中に発生した地代家賃の減額等を特別利益に臨時休業等による収入として63百万円計上、一方で特別損失に休業期間における固定費(人件費・地代家賃・減価償却費)を臨時休業等による損失として49百万円、減損損失を45百万円、それぞれ計上しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、32百万円(前期は純利益1億1百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、財務基盤を強化するとともに、成長のための資金を確保するため、投資計画とリスク対応を考慮したうえで保有すべき現預金水準を設定しております。当社グループの主な資金需要は、商品・原材料の仕入や新規出店等の投資であり、これらは自己資金で対応しますが、自己資金で不足する投資や突発的な資金需要が発生する場合には、金融機関からの借入れで対応していくこととしております。なお、翌期の新規出店にかかる投資については、当連結会計年度と同様に自己資金で対応する予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
(固定資産の評価)
当社グループは、各店舗で計上される固定資産は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位である店舗毎にグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。減損の兆候があると認められる場合には、各店舗から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失に計上しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、2021年12月に向けて徐々に収束し回復に向かい、2022年1月以降は例年並の売上高が見込まれることを前提としております。
固定資産の減損損失の認識・測定に利用する見積りは、今後の新型コロナウイルス感染症の状況に加え、他の将来の不確実な経済状況や市場価格の変動によって影響を受ける可能性があり、将来の経営成績等が見積りと乖離した場合には、固定資産の評価に影響を与え、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
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