業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係るまん延防止等重点措置が全国的に解除され、徐々に経済活動が正常化に向かう一方、円安の進行やウクライナ情勢等に起因して物価が上昇する等、景気の先行きは依然として不透明な状況であります。外食業界におきましては、2022年3月以降営業制限の要請が解除されたものの、前期に引き続いて新型コロナウイルス感染症の影響により、外食を控える傾向による大幅な来客数の落ち込みや原材料や水道光熱費の高騰等、厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループでは、当期より新たな成長戦略として「イノベーティブシナジー戦略」を掲げ、従来の「レストラン事業」におけるバッドロケーション戦略での出店で培ったノウハウや知見をもとに、食をベースに総合的なエリア開発を行うことで活性化した不動産の流動化により新たな収益を見込む「エステートビルドアップ事業」を2つ目の成長戦略の柱とし、「食から始まる日本創再生」に取り組んでおります。レストラン事業においては、ニューノーマルのライフスタイルにおける新しい外食時間として、時間の概念にとらわれず楽しんで頂けるメニューの提案や空間づくりに取り組むことで、新たな付加価値創出を図っております。エステートビルドアップ事業においては淡路島北西海岸を舞台に展開する食を通じた地方創再生プロジェクト「Frogs FARM ATMOSPHERE」におきまして、地元企業との共同運営による回転すし店や外部企業を淡路島に誘致し新たな滞在の楽しみを提案する宿泊施設の展開等、地域の皆さまや賛同者との協業を推進しております。また同エリアにおきまして、2014年に閉校となった淡路市立尾崎小学校の跡地をリノベーション開発し、地域コミュニティの中心であった学校という場において、近隣住民や地元生産者と共に「雇用の創出、定住人口・交流人口の増加、地元交流」を目的に食を始めとした周辺環境と調和する施設構成により、住みたくなる街づくりを推進しております。また昨今の経営環境に対応するため、店舗運営子会社ごとの適切かつきめ細やかなオペレーションの実施により、人件費の見直しや家賃、広告宣伝費を中心とした経費の見直し等にも取り組み、収益性の改善に努めております。

当連結会計年度における当社及び連結子会社の店舗の増減といたしましては、レストラン事業の不動産デベロッパーにおいて1店舗を賃貸し、2店舗をクローズ、大学・その他において期間限定で1店舗をオープン、エステートビルドアップ事業においては7店舗をオープンし、当連結会計年度末における当社グループの運営する店舗数は96店舗となっております。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ526,051千円増加し、8,892,967千円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ380,987千円増加し、6,525,384千円となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ145,064千円増加し、2,367,582千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における当社グループの売上高は9,969,720千円(前年同期比23.9%増)、営業損失は447,322千円(前年同期は営業損失1,212,820千円)、経常利益1,185,333千円(前年同期は経常損失622,138千円)、親会社株主に帰属する当期純利益123,784千円(前年同期比65.4%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数字を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較分析しております。なお、レストラン事業のバッドロケーションから3店舗、大学・その他から1店舗、計4店舗をエステートビルドアップ事業へ変更しております。

 

(a)レストラン事業

店舗運営におきましては、店舗運営子会社における各店舗の状況に合わせたきめ細かい店舗運営に取り組み、ビアガーデンやバーベキュー、こたつテラス等季節に応じた店舗運営、営業企画やイベントの立案、コロナ禍におけるソーシャルディスタンスを保った安心安全なテラスの活用や、中食需要の高まりから店舗外商品の販売強化目的にECサイトの充実など、顧客満足度の向上と収益性を安定させる取り組みを実施しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は8,680,752千円(前年同期比12.8%増)となり、セグメント損失は732,838千円(前年同期はセグメント損失1,284,136千円)となりました。

 

ⅰ バッドロケーション

バッドロケーションにおきましては、大型・複合型物件の開発を進める一方で、行政や大手デベロッパーとの連携により様々なソーシャルプロジェクト等へ参画を行うことで、食をベースに複合的な店舗開発を推進しております。また引き続きバッドロケーションエリアの店舗の運営安定化を目的に不動産定期借家契約による退店リスクのある物件につきましては土地、建物、借地権取得等不動産保有を推進し、店舗運営の安定化による収益性確保、不動産価値向上による財務体質の改善に努めております。

この結果、当連結会計年度末におけるバッドロケーションの店舗数は、関東地区21店舗、関西地区7店舗、その他地域2店舗の計30店舗となり、当連結会計年度における売上高は2,706,970千円(前年同期比14.0%増)となりました。

 

ⅱ 不動産デベロッパー

不動産デベロッパーにおきましては、好立地、特別な店舗家賃での誘致や初期投資の軽減等好条件での物件獲得を行うことができ、売上規模、収益性、話題性の高い物件を選定することで当社グループの個性を活かした店舗開発を推進しております。2021年11月には東京都新宿区の「クッチーナカフェ オリーヴァ」を転貸、2022年1月には千葉県舞浜市の「パラディ イクスピアリ店」、「アリンコ イクスピアリ店」をクローズしております。

この結果、当連結会計年度末における不動産デベロッパーの店舗数は、関東地区19店舗、関西地区13店舗、その他地域2店舗の計34店舗となり、当連結会計年度における売上高は3,881,914千円(前年同期比15.5%増)となりました。

 

ⅲ 行政・公共機関

行政・公共機関におきましては、新たな地方自治体との取り組みにおいて、その街ならではのオリジナルな業態の開発、地域活性化イベントの開催等を行い、地方創再生ネットワークの形成を推進しております。

この結果、当連結会計年度末における行政・公共機関の店舗数は、関西地区11店舗、その他地域1店舗の計12店舗となり、当連結会計年度における売上高は1,466,137千円(前年同期比12.4%増)となりました。

 

ⅳ 大学・その他

大学・その他におきましては、学生のみならず近隣住民へのターゲット層の拡大及びコストコントロールによる収益性改善を進めております。また、顧客の消費動向の変化により拡大した中食需要の取り込みを目的とした通販サイト「CANDLE TABLE」の展開等、顧客満足度の向上と収益性を安定させる取り組みを行っております。2021年10月には新潟県魚沼郡湯沢町のかぐらスキー場において期間限定店舗である「ぶなキッチン/スープ ステーション田代」をオープン、2022年5月にクローズしております。

この結果、当連結会計年度末における大学・その他の店舗数は、関東地区1店舗、 関西地区3店舗、その他地域2店舗の計6店舗となり、当連結会計年度における売上高290,431千円(前年同期比3.5%増)となりました。

 

ⅴ その他の事業

その他の事業におきましては、企業、行政機関等に対して、地域ブランド振興、カフェやレストランの企画・開発等のコンサルティングを行っております。

この結果、当連結会計年度における売上高は223,597千円(前年同期比22.3%減)となりました。

 

(b)エステートビルドアップ事業

当社グループでは、兵庫県淡路島における食をベースとした地方創再生プロジェクト「Frogs FARM ATMOSPHERE」を筆頭に島根県出雲市における「出雲エリア開発プロジェクト」、石川県羽咋郡における「千里浜なぎさドライブウェイプロジェクト」等に取り組むことで、地方創再生ネットワークの形成を推進しております。兵庫県淡路市におきまして、2021年8月に「淡路島 回転すし 悦三郎」をオープン、2021年10月に「酒場 ニューライト」をオープン、2022年3月には2020年4月に開業した「ピクニックガーデン」を拡張し、同エリア内に「ロング」をオープン、2022年4月に「しまのねこ」、「Awaji Blue Coast icecream」をオープン、2022年7月に「きる かか」をオープンいたしました。兵庫県洲本市におきまして、2022年6月に期間限定で「オオハマ ビーチテラス」をオープンしております。また、きめ細やかな店舗運営を行い、集客力を上げたことで不動産価値が上がった大阪市中央区の販売用不動産におきまして、当面の間、引き続き当社グループが賃貸借にて店舗運営を継続することを前提とした売却を行っております。

この結果、当連結会計年度末におけるエステートビルドアップ事業の店舗数は14店舗となり、当連結会計年度における売上高は1,400,667千円(前年同期比220.4%増)となり、セグメント利益は285,516千円(前年同期比300.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ379,717千円増加し、2,681,246千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,207,379千円(前年同期は101,305千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益249,458千円、減価償却費454,723千円、減損損失939,935千円、法人税等の支払額214,088千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は△448,816千円(前年同期は1,829,192千円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出437,527千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は△379,681千円(前年同期は1,203,164千円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入600,000千円、長期借入金の返済による支出913,631千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第31期連結会計年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

レストラン事業

2,299,336

110.0

バッドロケーション

757,767

108.1

不動産デベロッパー

1,051,407

110.3

行政・公共機関

390,970

112.8

大学・その他

91,363

102.7

その他の事業

7,827

2,220.9

エステートビルドアップ事業

179,831

197.9

合計

2,479,167

113.7

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第31期連結会計年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

レストラン事業

8,569,052

112.6

バッドロケーション

2,706,970

114.0

不動産デベロッパー

3,881,914

115.5

行政・公共機関

1,466,137

112.4

大学・その他

290,431

103.5

その他の事業

223,597

77.7

エステートビルドアップ事業

1,400,667

320.4

合計

9,969,720

123.9

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(a)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における流動資産は5,236,916千円となり、前連結会計年度末と比べ1,139,513千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が379,717千円、売掛金が153,296千円、販売用不動産が436,967千円、未収還付法人税等が51,845千円及び未収消費税等が52,406千円増加したことによるものであります。固定資産は3,656,050千円となり、前連結会計年度末と比べ613,461千円減少いたしました。これは主に繰延税金資産が282,702千円増加したものの、建物及び構築物が503,768千円、土地が255,728千円及び建設仮勘定が119,172千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は、8,892,967千円となり、前連結会計年度末と比べ526,051千円増加いたしました。

 

(負債合計)

当連結会計年度末における流動負債は4,230,309千円となり、前連結会計年度末と比べ975,478千円増加いたしました。これは主に未払消費税等が42,351千円減少したものの、買掛金が78,456千円、短期借入金が600,000千円及び未払法人税等が240,823千円増加したことによるものであります。固定負債は2,295,075千円となり、前連結会計年度末に比べ594,491千円減少いたしました。これは主に資産除去債務が414,107千円増加したものの、長期借入金が952,155千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は、6,525,384千円となり、前連結会計年度末と比べ380,987千円増加いたしました。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は2,367,582千円となり、前連結会計年度末と比べ145,064千円増加いたしました。これは主に資本金が41,690千円、資本剰余金が41,690千円及び利益剰余金が59,538千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は25.3%(前連結会計年度末は25.1%)となりました。

 

(b)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は9,969,720千円となり、前連結会計年度と比較して23.9%の増加となりました。レストラン事業におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う営業自粛等の影響により低迷基調であり、出店エリアごとの内訳は、バッドロケーションは、2,706,970千円(前年同期比14.0%増)、不動産デベロッパーは、1店舗を転貸、2店舗をクローズし、3,881,914千円(前年同期比15.5%増)、行政・公共機関は、1,466,137千円(前年同期比12.4%増)、大学・その他におきましては期間限定で1店舗オープンしたことにより290,431千円(前年同期比3.5%増)、その他の事業は、企業、行政機関などに対して、地域ブランド振興、レストランの企画・開発等のコンサルティングを行ったことにより、223,597千円(前年同期比22.3%減)となっております。エステートビルドアップ事業におきましては、兵庫県淡路島における食をベースとした地方創再生プロジェクト「Frogs FARM ATMOSPHERE」において6店舗、兵庫県洲本市において夏季限定で1店舗オープンしたことにより、1,400,667千円(前年同期比220.4%)となっております。

 

 

(営業損益及び経常損益)

当連結会計年度は、店舗家賃の減免交渉や人件費などのコストコントロールを行ったものの、利益については営業損失447,322千円(前年同期は営業損失1,212,820千円)となり、さらに営業外収益として消費税差額及び助成金収入の計上、営業外費用として支払利息及びシンジケートローン手数料の計上により、経常利益1,185,333千円(前年同期は経常損失622,138千円)となっております。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失939,935千円の計上もあり123,784千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益357,908千円)となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営陣は、最大限入手可能な情報に基づき現状の事業環境を確認し、最善の経営戦略を立案し、実行できるよう努めております。

その中でも、当社グループが持続的に成長するために、最も重要となる問題は事業規模の拡大に合わせたリーダーシップを有する人材の確保と育成にあると認識しております。

今後の方針といたしましては、常に社内外からの人材の発掘に努めるとともに、その中からリーダーシップを有する人材を育成するために、店長やシェフの経験だけではなく、運営子会社の幹部に登用して、計数管理、人材採用や人材配置、新規出店、複数店舗のマネジメント、コンプライアンスに関する見識など運営子会社の経営陣として必要な様々な能力を獲得できる成長機会を設けることで、経験の豊かなリーダーを育成してまいります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、レストラン事業における国内外を含む店舗展開、エステートビルドアップ事業における新規事業開発に伴う不動産等取得等に伴うものとなっております。

 

財務政策

当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達をおこなっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などによる事業運営に対する長期的な影響の可能性を鑑み、運転資金として機動的かつ安定的な調達を行うために、主要取引銀行との間でシンジケーション方式によるコミットメントラインを締結しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは企業価値を継続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などを経営指標として重視しております。

当連結会計年度における売上高成長率は23.9%(前年同期比38.6ポイント増)、営業利益率は△4.5%(前年同期比10.6ポイント増)となりました。昨今の情勢を踏まえてこれらの指標が改善されるように取り組んでまいります。

 

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