(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは、前連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を前連結会計年度末日としていることから、前連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。
そのため、経営成績及びキャッシュ・フローに関する記載につきましては、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により鈍化の動きがみられたものの、経済・社会活動に対する制限の緩和により、徐々に正常化に向かう動きを見せつつあります。一方で、世界的には長期化するウクライナ情勢、ゼロコロナ対策に伴う中国経済の停滞、急激なインフレの懸念など、先行きの不透明感が強まっております。
このような経済環境のもと当社グループは、オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業及びその他事業(電子科学株式会社を含む)という独自の技術を利用した3つの事業により、経営基盤の強化と拡充に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ155,010千円減少し、3,227,032千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ124,755千円減少し、999,315千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ30,254千円減少し、2,227,717千円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における経営成績は、売上高1,150,981千円、営業損失71,221千円、経常損失26,981千円、親会社株主に帰属する当期純損失32,127千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
オプティカル事業は、売上高は779,892千円、セグメント利益は245,422千円となりました。
ライフサイエンス・機器開発事業は、売上高は262,552千円、セグメント利益は5,795千円となりました。
その他事業は、売上高は108,537千円、セグメント損失は60,973千円となりました。
なお、2021年6月期連結会計年度より電子科学株式会社を株式の取得により子会社化し、連結の範囲に含めております。2021年6月30日をみなし取得日としており、かつ連結決算日との差異が3か月を超えないことから、当連結会計期間の経営成績においては同社の2021年7月から2022年3月までの9か月分の業績を計上しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、当連結会計年度末には732,324千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は284,185千円となりました。これは主に、棚卸資産の増加108,870千円及び未払費用の減少33,292千円による支出があった一方で、売上債権の減少160,343千円及び契約負債の増加167,850千円による収入があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は132,592千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出112,873千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は273,583千円となりました。これは主に、短期借入金の純減少額200,000千円及び長期借入金の返済による支出75,456千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
|
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
オプティカル事業 |
957,635 |
- |
ライフサイエンス・機器開発事業 |
292,232 |
- |
その他事業 |
154,734 |
- |
合計 |
1,404,601 |
- |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.前連結会計年度は、貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
オプティカル事業 |
1,105,305 |
- |
919,636 |
- |
ライフサイエンス・機器開発事業 |
182,425 |
- |
2,616 |
- |
その他事業 |
272,217 |
- |
191,272 |
- |
合計 |
1,559,948 |
- |
1,113,526 |
- |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.前連結会計年度は、貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
オプティカル事業 |
779,892 |
- |
ライフサイエンス・機器開発事業 |
262,552 |
- |
その他事業 |
108,537 |
- |
合計 |
1,150,981 |
- |
(注)1.前連結会計年度は貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
国立研究開発法人理化学研究所 |
230,565 |
20.0 |
(注)販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のものについては記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、前連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を前連結会計年度末日としていることから、前連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。
そのため、経営成績及びキャッシュ・フローに関する記載につきましては、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,301,395千円となり、前連結会計年度末に比べ170,644千円減少いたしました。これは主に、仕掛品が91,757千円増加した一方で、売掛金が162,224千円及び現金及び預金が115,376千円減少したことによるものであります。固定資産は1,925,636千円となり、前連結会計年度末に比べ15,634千円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が33,763千円減少した一方で、土地が21,450千円及び機械装置及び運搬具が20,022千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は3,227,032千円となり、前連結会計年度末に比べ155,010千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は385,654千円となり、前連結会計年度末に比べ50,278千円減少いたしました。これは主に、受注増に伴う前受金の増加等により契約負債が129,680千円増加した一方で、短期借入金が200,000千円減少したことによるものであります。固定負債は613,661千円となり、前連結会計年度末に比べ74,476千円減少いたしました。これは主に、約定返済が進んだことにより長期借入金が75,456千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は999,315千円となり、前連結会計年度末に比べ124,755千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,227,717千円となり、前連結会計年度末に比べ30,254千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失を32,127千円計上したことによるものであります。
b. 経営成績
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度における売上高は、1,150,981千円となりました。これは主に、オプティカル事業において、放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設用のⅩ線ナノ集光ミラーの売上が牽引したことによります。また、当連結会計年度より、子会社の電子科学株式会社の売上が寄与しております。この結果、売上総利益は699,906千円となりました。また、販売費及び一般管理費は771,128千円となり、当連結会計年度における営業損失は71,221千円となりました。
(経常利益)
営業外収益では、経済産業省による戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)における補助金収入等を計上しました。また、営業外費用では、支払利息等を計上しました。これらの結果、当連結会計年度における経常損失は26,981千円となりました。
(当期純利益)
特別損失を1,041千円計上したこと、また、繰延税金資産の取り崩しにより法人税等調整額が減少したこと等により、当連結会計年度における当期純損失は32,127千円となりました。
c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(オプティカル事業)
当第4四半期は、アメリカ(施設:APS、LCLS)向け、国内(施設:Nano Terasu:旧称SLit-J)向け、中国(施設:IHEP、SSRF)向け、スウェーデン(施設:MAX Ⅳ)向け等の売上が業績を牽引しました。
Ⅹ線ナノ集光ミラーの主な販売先である国内外の放射光施設やⅩ線自由電子レーザー施設においては、コロナ禍の影響で一部の運用に制限があるものの、概ね通常稼働状態に戻ってきております。国内の次世代放射光施設Nano Terasu(旧称SLiT-J)をはじめ、中国及び欧米の放射光施設のバージョンアップや新設計画により、多くの受注を獲得することができました。
しかしながら、中国のゼロコロナ政策に伴う4月からの上海の長期ロックダウンの影響によって中国全土にて混乱が生じ、輸入手続きが事実上ストップとなりました。その後も輸入制限がかかった影響に伴い、中国向けの多くの製品において納入に至らない結果となりました。また、アメリカ向けにおいては、急な仕様変更依頼に対応したため、納品にまで至らない案件がありました。いずれにつきましても、オプティカル事業は受注生産方式をとっているため失注となることはなく、現在作業を継続しており翌期に売上がずれる見込みであります。
このような状況ではありますが、現在、中国では他に類を見ない規模の放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設の建設や既設のバージョンアップの計画が進んでおり非常に有望な市場であります。北京市に建設中の次世代大型放射光施設「IHEP」は世界最大規模の施設となる見込みであり、すでに昨年度より大型受注を取得している状況であります。
さらに中国においては、複数施設にて第4世代へのアップグレードの他、上海市、深圳市、武漢市においては大型放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設の新設が同時に計画されており、さらなる超高精度ミラーの需要の拡大が見込まれております。
営業活動につきましては、中国への渡航制限は続いているものの新規受注は増えてきており、引き続き重点地域として注力してまいります。また、欧米各国においては渡航による対面営業活動を再開しており、きめ細かな営業活動によって更なる需要の掘り起こしを行ってまいります。
この結果、売上高は779,892千円、セグメント利益は245,422千円となりました。
(ライフサイエンス・機器開発事業)
当第4四半期は、韓国の放射光施設(PAL)向け集光装置、再生医療分野における受託研究開発に係る売上、高密度培養装置、グラビア印刷試験機(GP-10)による売上が業績を牽引しました。
一方で、水晶振動子ウエハ加工システムにおいては、国内のパイロットユーザーに続いて海外の水晶振動子メーカーへの拡販を進めておりましたが、コロナ禍の影響により導入計画が遅れたことにより成約に至りませんでした。
この結果、売上高は262,552千円、セグメント利益は5,795千円となりました。
(その他事業)
その他事業は子会社の電子科学株式会社であります。電子科学の売上構成は、装置販売(TDS:昇温脱離分析装置)、装置のメンテナンス業務、受託分析業務の3つに分かれますが、主力である装置販売において売上が予定を大きく下回る結果となりました。装置販売につきましては受注生産であり設置・導入作業が必須となりますが、主なユーザー企業のある韓国及び台湾においてコロナ禍の影響により入国が制限されていたため、作業が行えず売上計上に至りませんでした。これらにつきましては、作業を再開する翌期に売上がずれる見込みであります。
この結果、売上高は108,537千円、セグメント損失は60,973千円となりました。
なお、2021年6月期連結会計年度より電子科学株式会社を株式の取得により子会社化し、連結の範囲に含めております。2021年6月30日をみなし取得日としており、かつ連結決算日との差異が3か月を超えないことから、当連結会計期間の経営成績においては同社の2021年7月から2022年3月までの9か月分の業績を計上しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造のための材料及び部品の購入費、人件費や研究開発費のほか、借入金の返済や法人税等の支払いです。このほか、会社の成長に必要な設備投資やM&A投資等を含め、収入と支出のバランスを考慮して資金運用を実施することを主たる方針としています。
一方、販売には季節的要因の影響は少ないものの、販売先の決算月に納期を指定されることや製品の受注から完成までに1年前後の期間が必要であるため、受注及び販売の状況によっては一時的な売上債権、仕入債務、棚卸資産等の増減があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
運転資金、設備投資資金及びM&A投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしておりますが、多額の設備投資資金やM&A投資資金が必要となった場合は、必要資金の内容に応じて金融機関からの借り入れや資本市場からの直接調達を検討する方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は674,063千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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