業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、予断を許さない状況が続く中、経済活動は停滞と再開を繰り返し、出口の見えない状況が続きました。先行きについては、政府による各種支援策や新型コロナワクチン接種の一段の浸透に伴い、順次景気が持ち直していくことが期待されていますが、今後も国内外の感染症動向、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

当社グループの主要事業領域である新築マンション市場におきましては、2020年11月から2021年10月までの1年間での契約率が首都圏で68.3%(前年比3.0%増)、当社主要取扱物件エリアである東京23区で70.0%(同7.2%増)と東京23区においては、好調の目安と言われる70%となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、生活様式の変化による住居用物件の需要が高まったこと等が要因として考えられます(株式会社不動産経済研究所調べ)。

当社グループにおきましては、このような経営環境のもと、東京23区を中心に「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズの新築マンションとして、「GENOVIA green veil(ジェノヴィア グリーンヴェール)」、「GENOVIA skygarden(ジェノヴィア スカイガーデン)」及び「GENOVIA skyrun(ジェノヴィア スカイラン)」の企画・開発及び販売の拡大、顧客サポート体制の充実、ブランド力の強化等に取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の拡大によりホテルやオフィスの稼働率が低下している中、投資用マンションについては、特にホールセールにおいて、安定的な投資商品として評価され、1棟単位での販売が大きく増加している状況を背景として、売上高及び利益は過去最高を更新いたしました。また、お客様に利便性を提供するため、電子契約の利用を開始する等、紙媒体からWeb媒体へのシフトを図り、デジタル(DX)化を推進する取り組みを実施してまいりました。

これらにより、当連結会計年度においては37棟、全1,109戸を販売し、仕入につきましても、9棟、全760戸の仕入を行いました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は34,216百万円(前期比30.0%増)、営業利益は3,437百万円(同21.5%増)、経常利益は3,164百万円(同19.7%増)となりました。また、株式会社ルームバンクインシュアの連結子会社化の際に発生したのれんの減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,962百万円(同7.4%増)となりました。

また、当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、総資産20,446百万円(前期比21.1%減)、負債11,237百万円(同35.9%減)、純資産9,208百万円(同9.7%増)となり、自己資本比率は45.0%となりました。

 

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

これに伴い、以下の前期との比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で記載しております。

 

A.ホールセール

当連結会計年度では、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを924戸販売いたしました。特に1棟単位での販売が増加しております。

以上の結果、売上高は26,185百万円(前期比52.1%増)、セグメント利益は3,115百万円(同46.8%増)となりました。

B.リテールセールス

当連結会計年度では、個人投資家に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを185戸販売いたしました。

以上の結果、売上高は6,534百万円(前期比17.3%減)、セグメント損失は141百万円(前期は212百万円のセグメント利益)となりました。

 

C.リアルエステートマネジメント

当連結会計年度では、建物管理戸数、賃貸管理戸数の堅調な増加に加え、毎月の月末入居率9割超を達成し、2020年9月に子会社化した株式会社ルームバンクインシュアにより売上は増加したものの、のれんの償却により減益となりました。

以上の結果、売上高は1,545百万円(前期比28.8%増)、セグメント利益は517百万円(同6.3%減)となりました。

D.Good Com Fund

当連結会計年度では、不動産小口化商品の販売実績はありませんでした。

以上の結果、売上高の計上はなく、セグメント損失は77百万円(前期は75百万円のセグメント損失)となりました。

なお、前年の売上高については、販売実績がないため前期比を記載しておりません。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前年度末に比べ1,375百万円増加し、7,953百万円(前年度末比20.9%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、9,700百万円の資金増加(前年度は6,112百万円の資金減少)となりました。主な要因は、たな卸資産の減少額が6,844百万円、税金等調整前当期純利益が2,982百万円それぞれあったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、90百万円の資金減少(前年度は582百万円の資金減少)となりました。主な要因は、敷金の差入による支出が49百万円、有形固定資産の取得による支出が37百万円それぞれあったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、8,234百万円の資金減少(前年度は8,312百万円の資金増加)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入が9,235百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が15,049百万円、短期借入金の純減額が1,395百万円、自己株式の取得による支出が656百万円、配当の支払額が501百万円それぞれあったことによるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

A.生産実績

該当事項はありません。

B.受注実績

該当事項はありません。

C.販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売戸数(戸)

金額(千円)

 

前年同期比(%)

ホールセール

924

26,185,685

152.1

リテールセールス

185

6,534,863

82.7

リアルエステートマネジメント

1,545,697

128.8

Good Com Fund

合計

1,109

34,266,246

130.0

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年11月1日

至 2020年10月31日)

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

ピーピーエフエー・ジャパン・

スリー特定目的会社

9,706,800

36.9

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で算出しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮した上で行っておりますが、見積もりには不確実性が伴うため、結果としてこれらの見積りと実績が異なる場合があります。また、特に以下の重要な会計方針及び見積りの適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

(販売用不動産の評価)

当社グループが保有するたな卸資産のうち、主なものは販売用不動産であり、販売用不動産の評価は、個別法による原価法を採用しており、事業計画上の販売見込額から販売経費見込額を控除した正味売却価額が取得原価を下回るものについては、その差額を費用処理しております。なお、当連結会計年度において、簿価の切り下げは行っておりません。

当該販売見込額の見積りにおいて、過去の販売実績や、市場動向を反映した賃料収益を割引計算する収益還元法を基礎に算定した価格を参考にしているため、想定賃料、還元利回りを主要な仮定としております。

なお、将来の市況悪化や大規模な自然災害による販売用不動産の被災等により、市場価格の著しい下落が発生し、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

販売用不動産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

(のれんの評価)

当社グループは、のれんにつき減損の兆候があると認められる場合には、のれんが帰属する事業から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として計上しております。なお、当連結会計年度において、182,148千円の減損損失を計上しております。

減損損失の認識の要否の判定及び回収可能価額の算定は、事業計画の基礎となる株式会社ルームバンクインシュアの将来キャッシュ・フロー、割引率から算定されるため、将来売上予測及び営業損益予測を主要な仮定としております。

なお、将来の事業環境の変化等により、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

のれんの評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「追加情報」に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、34,216百万円となり、前連結会計年度の26,323百万円に比べ30.0%増加いたしました。

ホールセールの売上高は、924戸を販売し、26,185百万円(前期比52.1%増)となりました。これは、投資用マンションが安定的な商品として法人等より評価され、1棟単位での販売が増加したためであります。

リテールセールスの売上高は、185戸を販売し、6,534百万円(同17.3%減)となりました。これは、年間を通して緊急事態宣言が発令され、個人投資家への販売活動に制限がかかったことにより、前連結会計年度の販売戸数220戸に比べ、35戸減少したことによるものであります。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、6,109百万円となり、前連結会計年度の4,790百万円に比べ27.5%増加いたしました。これは主に、売上高の増加によるものであります。

また、売上総利益率は、前連結会計年度の18.2%に比べ、0.3ポイント低下し、17.9%となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,672百万円となり、前連結会計年度の1,961百万円に比べ36.3%増加いたしました。これは、本社事務所拡張、大阪支店新設に伴う賃借料及び1棟単位での販売に係る費用の増加や株式会社ルームバンクインシュアの子会社化に伴うのれん償却費用の発生等によるものであります。

 

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外費用は、326百万円となり、前連結会計年度の220百万円に比べ47.8%増加いたしました。これは主に、1棟単位での販売において、販売用不動産取得のための借入を行ったことに伴う支払利息及び支払手数料が増加したためであります。

 

(特別損失)

当連結会計年度の特別損失は、182百万円となりました。これは、株式会社ルームバンクインシュアの連結子会社化の際に発生したのれんの減損損失を計上したことによるものであります。

 

B.財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は19,652百万円となり、前年度末に比べ5,283百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が1,375百万円、前渡金が271百万円それぞれ増加した一方で、販売用不動産が6,923百万円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は793百万円となり、前年度末に比べ185百万円減少いたしました。主な要因は、のれんが290百万円減少したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は7,236百万円となり、前年度末に比べ5,689百万円減少いたしました。主な要因は、その他の流動負債に含まれる未払消費税等が727百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が4,988百万円、短期借入金が1,554百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は4,001百万円となり、前年度末に比べ591百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金が667百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は9,208百万円となり、前年度末に比べ811百万円増加いたしました。主な要因は、配当の支払により利益剰余金が501百万円減少し、自己株式が656百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,962百万円増加したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は12.6ポイント上昇し、45.0%となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、経済状況、法的規制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループは、これらのリスク要因について注視するとともに、リスクを低減できるよう適切な対応を行ってまいります。

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに借入条件を勘案し、金融機関から借入れております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財務能力の健全性の維持が重要であると認識しておりますので、金融機関からの借入れや社債の発行、新株式発行による増資等、手許資金とのバランスを考慮し、成長原資である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財務能力の健全性を確保いたします。

なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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