事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)仕入に関するリスク

① 仕入物件の立地及び価格について

当社グループでは、東京23区を中心に最寄駅から徒歩10分圏内の新築マンションの用地又は建物の仕入れに努めております。

しかしながら、他社との競合や地価上昇により計画どおりの仕入が行えない場合又は仕入を行ったとしても仕入価格に見合った価格で販売できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② マンション建築事業主からの仕入リスク

一般的な新築マンションの仕入は、用地を取得し、マンションを建築しますが、当社ではマンション建築事業主(以下「事業主」といいます。)からマンションを1棟単位で仕入れることを主としております。具体的には、当社仕様の自社ブランドマンションとするため、当社は、初期段階で手付金等の自己負担のみで、先行的な用地取得資金やその後の建築資金を負担せずに、仕入物件の確保ができることになります。

しかしながら、事業主の都合等で当該物件の建築中の事故等予期せぬ事態が発生し、建築工期が遅延した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)不動産引渡時期等による業績の変動及び偏重リスク

当社グループのホールセール及びリテールセールスの売上計上基準は、顧客へ物件を引渡した(所有権の移転)時点で売上高を計上する引渡基準としております。

したがって、外注先との調整不足や近隣住民の反対運動や天災等の不測の事態により物件の竣工・引渡しが遅延した場合には、通期及び四半期ごとの売上高や利益が大きく変動するなど特定の四半期に偏重する可能性があり、当社グループの業績を判断する際には留意する必要があります。

 

(3)販売に関するリスク

① ホールセールに関するリスク

当社グループは、法人等に1部屋から1棟まで幅広く販売しており、その際は、当該販売先を十分調査しております。

しかしながら、販売先の投資意欲の減退及び不測の事態が発生した場合には、販売戸数が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② リテールセールスに関するリスク

当社グループは、将来の年金対策や生命保険の代替商品、相続税対策として、個人投資家の方々に物件を購入いただいております。

しかしながら、経済の変動状況や災害が発生した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 「Good Com Fund」事業に関するリスク

新規事業として、不動産小口化商品をクラウドファンディングで販売する「Good Com Fund」事業に取り組んでおり、その他の販売手法とは異なり、システム投資や広告宣伝費等が費用計上されております。「Good Com Fund」事業が計画通りに進捗しない場合、これらの費用が回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)賃貸に関するリスク

① 販売前の管理物件の空室時のリスク

当社グループは、物件の竣工引渡後に不動産賃貸会社や社宅希望会社と賃貸借契約もしくは当社子会社の株式会社グッドコムにて入居募集を行い、顧客への引渡前に、入居者がいる状態での販売に努めております。物件の購入を検討される方は、入居者が既にいることから、安定的に賃料収入が得られる安心感もあり、購入意欲が促進される場合があります。

したがって、不動産賃貸会社等に賃貸借契約に応じてもらえない場合や支払能力に支障が生じた場合、もしくは入居募集の効果が得られなかった場合は、販売に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 販売後の賃貸管理物件の空室時のリスク

当社グループでは、販売したマンションを購入した個人投資家等との契約により、当該マンションの空室時に家賃保証をしております。当社グループでは、空室率を軽減するため、積極的に不動産賃貸会社や社宅希望会社と賃貸借契約を締結もしくは当社子会社の株式会社グッドコムにて入居募集をしております。

しかしながら、施策の効果が得られずに空室が多くなった場合には、空室保証費用が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 代位弁済時の信用リスク

当社グループは、当社子会社の株式会社ルームバンクインシュアにて不動産賃貸契約時に借主の保証人となる賃貸保証業務を行っており、保証委託契約を締結した賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際に賃貸人に対して代位弁済をしております。代位弁済額を抑制するため、保証委託契約前に行う審査の実施においては、自社の審査システムに基づき審査の適性の確保に努めております。

しかしながら、経営環境や雇用環境が著しく悪化した場合には、代位弁済の増加や回収率の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 貸倒引当金の信用リスク

当社グループは、代位弁済立替金について、会計方針に基づき貸倒引当金を計上し、今後予想される貸倒れ等に備えております。

しかしながら、経営環境や雇用環境が著しく悪化し、実際の貸倒れが貸倒引当金見込額を上回り、当該金額以上の損失が計上される場合及び貸倒引当金の算定方法、区分等を見直す必要が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)資金繰りに関するリスク

当社グループでは、事業主や金融機関に対する不動産仕入資金の支払期限を竣工引渡し後数ヵ月に設定しており、戸別に支払いをしておりますが、採算を考慮して借換えを行い、販売期間を延長する場合があります。これらは、財務体質の充実や堅調な不動産市況及びそれに基づく金融機関の積極的な融資姿勢も背景にあります。

しかしながら、不動産市況が悪化し、金融機関の融資姿勢が消極的になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性及び資金繰りが悪化する可能性があります。

 

(6)有利子負債の依存と金利変動のリスク

当社グループでは、不動産仕入資金を手付金等の自己負担のみとするなど、金融機関からの借入を少なくし、有利子負債依存度の低減に努めておりますが、販売期間延長等により、一定の借入が必要となると認識しており、資金調達手段の多様化を推進しております。

しかしながら、有利子負債は一定の水準で推移すると想定され、金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2020年10月31日)

当連結会計年度末

(2021年10月31日)

有利子負債残高(a)

16,075

9,001

総資産額(b)

25,915

20,446

有利子負債依存度(a/b)

62.0%

44.0%

(注)有利子負債残高は、短期及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務(1年内返済予定のリース債務を含む)、社債(1年内償還予定の社債を含む)の合計であります。

(7)在庫に関するリスク

当社グループは、マンション市況を考慮し、金融機関からの借り入れによりマンションの販売期間を延長する場合があります。販売期間の延長中に自然災害等の事故により、時価が取得原価を下回る等の場合は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 平成18年7月5日)が適用され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業の多角化に関するリスク

① 新規事業に関するリスク

当社グループは、事業拡大や収益の多様化を図るため、新規事業に積極的に取り組む方針であります。

しかしながら、新規事業に着手したものの、想定通りに進捗しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② M&Aに関するリスク

当社グループは、今後の業容拡大等の施策として、既存事業の拡大や、新規事業への参入を目的としたM&Aを選択肢の一つとしております。

M&Aの実施にあたりましては、対象企業の財務、法務、ビジネス面等について、外部専門家の助言を含めた詳細なデューデリジェンスに加え、当社とのシナジー効果等を考慮した将来価値の測定について十分な検討を実施することにより各種リスクの低減に努めております。

しかしながら、事業環境の変化による事業の悪化や当初想定したシナジーや事業拡大の効果が得られず、当該のれんにかかる減損損失が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材に関するリスク

当社グループの企業成長及び業容拡大のためには、人的資本の充実が必要であります。そのため、新卒採用や経験者の中途採用などによる人員拡大や研修による社員教育等を積極的に行い、人的資本の充実を図っております。

しかしながら、人員が十分に確保できない場合や退職者が著しく増加した場合のサービス提供力の低下、また、人員拡大が収益に貢献しない場合のコスト増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法的規制等に関するリスク

当社グループが属する不動産業界は、国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、建設業法、建築士法、借地借家法、建物の区分所有等に関する法律、消防法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及び賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律等により、法的規制を受けております。

当社グループの事業活動の継続にあたっては、下表に掲げる免許の保有が前提となります。

宅地建物取引業者免許につきましては、宅地建物取引士について一定人数を確保すること等の要件が、法律上要求されております。また、台湾における許認可については、不動産經紀業管理条例第6条に該当する場合、不動産特定共同事業の許認可については、不動産特定共同事業法第36条に該当する場合に取り消されることがあります。

なお、現状において、これらの当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。

しかしながら、関連法令等の規制が遵守できず、今後これらの許認可が取り消された場合又はこれらの法的規制の大幅な変更があった場合には、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

取得・登録者名

取得年月・許認可等の名称及び所管官庁等

許認可等の内容及び有効期限

主な許認可等の取消事由

株式会社グッドコムアセット

(当社)

 

2021年7月9日

宅地建物取引業者免許

国土交通省

宅地建物取引業に関する許可

国土交通大臣

(1)第9957号

2021年7月10日から

2026年7月9日まで

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

第5条、第66条及び第67条

2019年7月11日

不動産特定共同事業許可

東京都

不動産特定共同事業に関する許可

東京都知事

第124号

不動産特定共同事業法

第36条

 

株式会社グッドコム

(連結子会社)

2009年7月24日

宅地建物取引業者免許

東京都

宅地建物取引業に関する許可

東京都知事

(3)第90768号

2019年7月25日から

2024年7月24日まで

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

第5条、第66条及び第67条

 

2011年7月11日

マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録

国土交通省

マンション管理業者に関する許可

国土交通大臣

(2)第033780号

2016年7月12日から

2021年7月11日まで

以後5年ごとに更新

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

第83条

2021年9月2日

賃貸住宅管理業者登録

国土交通省

賃貸住宅管理業者に関する登録

国土交通大臣

(01)第000911号

2021年9月3日から

2026年9月2日まで

以後5年ごとに更新

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

第23条及び第24条

臺灣家得可睦股份有限公司

(連結子会社)

中華民国104年6月1日

(2015年6月1日)

不動産經紀業

臺北市政府地政局

不動産經紀業に関する許可

 

不動産經紀業管理条例

第6条

 

 

(11)訴訟のリスク

当社グループは、投資を目的とした新築マンションを販売しており、入居率の悪化や家賃相場の低下による賃貸収入の下落、金融機関の貸出金利の上昇による借入金返済負担の増加等、収支の悪化につながる様々な投資リスクが存在します。当社グループは、顧客に対し、これらの投資リスクについて十分説明を行い、理解していただいた上で売買契約を締結することにより、訴訟リスクの軽減を図っております。また、当社グループでは、経営におけるコンプライアンスの重要性について強く認識しており、役職員に対するコンプライアンス教育を徹底する等、コンプライアンス経営を推進することで、訴訟リスクの軽減に努めております。

しかしながら、顧客からのクレームや訴訟等が発生した場合、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)瑕疵担保責任に関するリスク

当社グループは、販売物件について瑕疵担保責任を負っており、瑕疵に備え住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。

しかしながら、建設会社等の破綻により保険で賄いきれない補修工事費用等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)個人情報の漏えいリスク

当社グループは、多くの顧客(潜在顧客を含みます。)や入居者の個人情報を保有しております。個人情報の管理については、関連する社内規程を制定し、社内入退室管理やPC等の持ち出し・持ち込みの管理等を徹底の上、社内情報管理システムのセキュリティー強化に取り組むとともに、役職員に対する個人情報保護に関する教育・研修を実施すること等により、個人情報保護法よりも厳しい要件であるプライバシーマークを取得し、情報管理の徹底に努めております。

しかしながら、昨今、サイバー攻撃は高度化かつ巧妙化していること等から、これらの対策にもかかわらず、当該情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)経済状況等の変動リスク

景気動向、経済情勢、金利動向、販売価格動向、住宅税制等の各種税制及び建設業者の不正等の影響を受け、販売価格の変動や個人消費の低迷、顧客購買意欲の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)災害発生のリスク

東京で地震等の自然災害が発生した場合、不動産投資マインドの低下による販売機会の損失、空室の長期化による空室保証費用の増加、開発物件の被災に伴う補修等による工事費上昇や完成遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、昨今の新型コロナウイルスに関して、最新情報の収集や社員の健康を重視した社内環境を整えることを重視し、職場の衛生管理及び可能な限りオンライン等の非対面での対応を行うなど、感染防止対策等を実施することで事業への影響を最小限に抑えられるように努めております。

しかしながら、感染が再拡大した場合、金融機関の融資引き延ばしによる引渡時期の遅延や建築工事の遅延等が発生する可能性があります。さらに、緊急事態宣言発令により、販売活動が制限された場合、契約手続き等が遅延し、当社グループの事業に影響を及ぼすとともに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)潜在株式に関するリスク

当社は、業績向上への意欲と士気を一層高めること及び経営への参加意識を高めることを目的として、当社グループの役職員を対象に新株予約権(以下「ストック・オプション」といいます。)を付与しております。具体的には本書提出日の前月末現在の発行済株式総数15,229,200株に対してストック・オプションによる潜在株式数は42,400株であり、発行済株式総数の0.3%に相当いたします。なお、自己新株予約権は潜在株式数に含めておりません。

今後ストック・オプションが行使された場合には、当社の1株当たりの株式の価値は希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使によって発行された当社株式の売却によって、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

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