経営成績等の状況の概要
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の断続的な感染再拡大により停滞が続いておりました。度重なる緊急事態宣言の発出等により経済社会活動が制限された結果、製造業や情報通信業が比較的堅調な一方、個人向けサービスの低迷が続くなど、業種による二極化が鮮明になりました。ワクチン接種の拡がりに伴い外出行動の抑制度合は段階的に縮小しており、消費も持ち直しに転じる見通しではあるものの、更なる感染再拡大への懸念等、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループの主たる顧客層である学生の動向におきましては、大学(大学院を含む)の学生数は291.8万人と前年より3千人増加(文部科学省「令和3年度学校基本調査(速報値)」)し、前年度の減少から一転、増加へ転じることとなり、当社グループを取り巻く市場環境につきましては追い風となる状況となっております。
このような環境の中で、当社グループにおきましては、2030年長期ビジョン『Grow Together 2030』に基づく新中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)の計画実践初年度にあたる当連結会計年度において、主力の不動産賃貸管理事業では計画策定時点での低調な見通しから、前年を上回る入居率に至るなど、一転して好調な状況で推移しました。また、2021年7月26日の取締役会決議に基づき、新株式の発行及び株式売出しを行い、調達資金による成長投資の加速と、投資家層の拡大、市場株式の流動性向上を図ってまいりました。
次年度以降につきましても中期経営計画の超過達成を通じてより一層の成長を目指し、積極的な新規物件開発による収益基盤の底上げや、高水準の入居率確保へ向けた募集力、斡旋力の強化に努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は52,787百万円(前年同期比9.8%増)、経常利益は5,203百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,252百万円(同17.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
① 不動産賃貸管理事業
物件管理戸数は順調に増加しました。(前期比3,462戸増 75,946戸 ※4月末現在)借上・自社所有物件の入居率は前述のとおり、低調な予測から一転して前年を上回る水準を確保しました。(前期99.8% 当期99.9% ※4月末現在)この結果、学生マンションの家賃収入をはじめとする各種不動産賃貸関連サービスにおける売上高は順調に推移しました。
費用面では、借上物件の管理戸数増加による保証家賃の増加、人員数の増加による人件費負担の増加、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加、食事付き学生マンションの積極展開による食材仕入等の増加がありました。
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学生支援策として全国500室を対象とした学生支援特別プランを実施いたしましたが、当連結会計年度での経営成績への大きな影響はありません。
以上の結果、売上高49,519百万円(前期比10.2%増)、セグメント利益6,642百万円(同21.6%増)となりました。
② 高齢者住宅事業
2021年10月1日に食と運動による健康寿命延伸を目指すことをコンセプトとしたサービス付き高齢者向け住宅『グランメゾン迎賓館 豊中刀根山』がオープンしました。
また、その他の既存施設においても、営業力強化や損益改善施策等、各種取り組みにより当セグメント全体の事業収益は順調に推移いたしました。
費用面では新拠点のオープンに向け、施設内の備品類調達費用の増加、広告宣伝活動を積極的に行ったことによる広告宣伝費の増加がありました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響について、当連結会計年度での経営成績への大きな影響はありません。引き続き、入居者、施設スタッフへのワクチン接種をはじめ、感染防止を徹底した各種取り組みを継続的に行ってまいります。
以上の結果、売上高2,802百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益353百万円(同15.5%増)となりました。
③ その他
当セグメントのうち、日本語学校事業では、新型コロナウイルス感染症の断続的な感染再拡大に伴う入国制限の長期化の影響を受け、待機留学生の発生、受け入れ時期の遅延も比例して長期化することとなりました。足もとでは、政府よりビジネス関係者、留学生、技能実習生らに対する入国制限を条件付きで緩和するといった動きはあるものの、更なる感染再拡大への懸念等、依然として不透明な状況が継続しております。
グループ会社のハッカソン運営を展開する株式会社Mewcketについて、同社への投資回収時期の不確実性から第3四半期連結会計期間において、のれん等の減損損失を計上しました。しかしながら、同社の運営するハッカソンを通じたIT、AIの学習機会の創出を軸とした事業分野では継続的に引き合いは強く、運営受注も順調に積み上がっております。そのため、投資回収時期の遅れは発生したものの、将来的な投資回収は可能であると考えております。
グループ会社の第0新卒事業を展開する株式会社スタイルガーデンでは、インターンシップを中心とした事業展開により、当初計画を上回る経営成績で推移しており、当セグメントの事業収益に貢献するとともに学生支援におけるグループシナジーの発揮に努めております。
その結果、売上高466百万円(前期比13.5%増)、セグメント損失172百万円(前期はセグメント損失106百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて3,383百万円増加し、12,682百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、資金の増加は4,910百万円(前年同期5,003百万円 資金の増加)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益5,050百万円、非資金項目である減価償却費1,028百万円及び法人税等の支払額1,777百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は7,221百万円(前年同期5,542百万円 資金の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出6,818百万円及び敷金及び保証金の差入による支出285百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、資金の増加は5,694百万円(前年同期1,232百万円 資金の増加)となりました。これは、主に長期借入れによる収入4,540百万円、株式の発行による収入3,078百万円、長期借入金の返済による支出1,249百万円及び配当金の支払額326百万円によるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
前年同期比(%) |
不動産賃貸管理事業(千円) |
49,519,310 |
110.2 |
高齢者住宅事業(千円) |
2,802,188 |
103.2 |
報告セグメント計(千円) |
52,321,499 |
109.8 |
その他(千円) |
466,479 |
113.5 |
合計(千円) |
52,787,978 |
109.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づき分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、実際の経営成績等は異なることがあります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては前述の「(1)経営成績の状況」をご参照ください。
2030年長期ビジョン『Grow Together 2030』に基づく中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)に掲げる経営数値目標と実績との比較分析は以下のとおりとなっております。
『GT01』の計画策定時点において、主力の不動産賃貸管理事業では、新型コロナウイルス感染症感染拡大による、学生の動向や大学等教育機関の動向を考慮の上、全国各エリアにおいて一定の入居率の低下を見込んでおりました。しかしながら、計画実践初年度である2021年10月期の賃貸入居需要の繁忙期に当たる第2四半期連結会計期間(2月~4月)において、当初の見込みを一転し、前年実績を上回る入居水準に達するといった好調な状況となりました。また、その後の入居状況についても底堅く推移したことに加え、オンラインを通じ非対面を中心とした営業戦略推進による運営効率化によって、コスト圧縮も想定以上に進んだこともあり、初年度における当初の計画数値を大幅に超過するに至りました。
さらに、2021年7月26日の取締役会決議に基づき、新株式の発行及び株式売出しといった資本政策を実施し、調達資金による成長投資の加速と、投資家層の拡大、市場株式の流動性向上を図りました。
以上のことから、2021年12月14日の取締役会において、『GT01』における2023年10月期目標数値の一部について引き上げることを決定いたしました。
■ 『GT01』2023年10月期 経営数値目標
売上高 |
622億円 (当初目標:619億円) |
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営業利益 |
67億円 (当初目標:60億円) |
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経常利益 |
65億円 (当初目標:58億円) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
43億円 (当初目標:38億円) |
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資本効率 |
ROE |
15%以上 (変更なし) |
ROIC |
8%以上 (変更なし) |
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財務安全性 |
自己資本比率 |
40%以上 (変更なし) |
流動比率 |
120%以上 (変更なし) |
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入居関連指標 |
管理戸数 |
85,000戸 (変更なし) |
契約決定件数 |
30,000件 (変更なし) |
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成長投資 |
自社物件 |
250億円 (当初目標:200億円) |
システム投資 |
7億円 (当初目標:6億円) |
■ 実績及び達成率
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GT01 |
2021年10月期 |
達成率 (%) |
2022年10月期 |
達成率 (%) |
2023年10月期 |
達成率 (%) |
売上高 (千円) |
62,255,647 |
52,787,978 (52,017,025) |
101.5
|
- (57,290,107) |
-
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- (62,255,647) |
-
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営業利益 (千円) |
6,743,437 |
5,337,935 (4,268,167) |
125.1
|
- (5,881,160) |
-
|
- (6,743,437) |
-
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経常利益 (千円) |
6,564,473 |
5,203,523 (4,123,011) |
126.2
|
- (5,741,181) |
-
|
- (6,564,473) |
-
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親会社株主に帰属する当期純利益 (千円) |
4,358,213 |
3,252,963 (2,698,673) |
120.5
|
- (3,817,684) |
-
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- (4,358,213) |
-
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(注)1.( )内は単年度計画
2.2021年10月期( )内は、前連結会計年度策定時点の当初単年度計画を表示
3.2022年10月期、2023年10月期( )内は、見直し後の単年度計画を表示
4.達成率は各連結会計年度の単年度計画に対する比率を表示
■ 資本効率
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GT01 |
2021年10月期 (実績) |
2022年10月期 (実績) |
2023年10月期 (実績) |
ROE (%) |
15%以上 |
16.1 |
- |
- |
ROIC (%) |
8%以上 |
10.5 |
- |
- |
■ 財務安全性
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GT01 |
2021年10月期 (実績) |
2022年10月期 (実績) |
2023年10月期 (実績) |
自己資本比率(%) |
40%以上 |
46.0 |
- |
- |
流動比率 (%) |
120%以上 |
155.4 |
- |
- |
■ 入居関連指標
|
GT01 |
2021年10月期 (実績) |
進捗率 (%) |
2022年10月期 (実績) |
進捗率 (%) |
2023年10月期 (実績) |
進捗率 (%) |
管理戸数 (戸) |
85,000 |
75,946 |
89.3 |
- |
- |
- |
- |
契約決定件数(件) |
30,000 |
29,146 |
97.2 |
- |
- |
- |
- |
(注)1.管理戸数は4月末現在の不動産賃貸管理事業に係る数値
2.契約決定件数は11月~10月決定数値
■ 成長投資
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GT01 |
2021年10月期 (実績累計) |
進捗率 (%) |
2022年10月期 (実績累計) |
進捗率 (%) |
2023年10月期 (実績累計) |
進捗率 (%) |
自社物件 (千円) |
25,000,000 |
6,736,301 |
26.9 |
- |
- |
- |
- |
システム投資 (千円) |
700,000 |
249,499 |
35.6 |
- |
- |
- |
- |
(注)1.自社物件の実績累計は連結貸借対照表計上額を集計
2.システム投資の実績累計は連結貸借対照表計上額に同投資に係る維持管理費用を加算
b. 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は50,335百万円となり、前連結会計年度末の40,245百万円から10,089百万円の増加(前期比25.1%増)となりました。
(流動資産)
流動資産につきましては、14,371百万円となり、前連結会計年度末の10,840百万円から3,531百万円の増加(前期比32.6%増)となりました。これは、主として現金及び預金が3,383百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産につきましては、35,964百万円となり、前連結会計年度末の29,405百万円から6,558百万円の増加(前期比22.3%増)となりました。これは、主として有形固定資産が6,065百万円及び投資有価証券が272百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債につきましては、9,245百万円となり、前連結会計年度末の8,360百万円から884百万円の増加(前期比10.6%増)となりました。これは、主として前受金及び営業預り金が483百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債につきましては、17,890百万円となり、前連結会計年度末の14,649百万円から3,241百万円の増加(前期比22.1%増)となりました。これは、主として長期借入金が3,117百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、23,199百万円となり、前連結会計年度末の17,235百万円から5,963百万円の増加(前期比34.6%増)となりました。これは、主として公募増資及び新株予約権の権利行使等により資本金が1,539百万円、資本剰余金が1,554百万円それぞれ増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が2,926百万円増加したこと、また、自己株式の取得により自己株式が224百万円増加したことによるものであります。
c. キャッシュ・フローの状況の分析
前述の(2)キャッシュ・フローをご参照ください。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。また、これらの連結財務諸表の作成にあたって、一部見積り数値を利用しておりますが、これらの見積り数値の妥当性については、継続的に評価を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性のため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
また、当連結会計年度における会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(減損会計における回収可能価額)
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、固定資産の減損につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。
当該見積り及び仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出に努めるとともに、当社グループの成長戦略推進に不可欠となる新規物件開発等に係る設備投資などの長期的な資金需要については、自己資金及び金融機関からの借入金でまかなうことを基本方針としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は15,952百万円となっており、また、現金及び現金同等物の残高は12,682百万円となっております。
なお、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」をご参照ください。
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