文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「安心・安全・快適・環境・健康・福祉」に配慮した豊かな生活空間の創造を目指し、健全な若者の育成と魅力溢れる社会の実現に、おもてなしの心と笑顔で貢献することを経営理念としております。
また、この経営理念に立ち返り、未来を開拓する「健全な若者の育成」を通じて、魅力溢れる社会を創造するグローバルトップブランド『UniLife』という存在目的(Purpose:パーパス)を定義し、「豊かな生活空間」のディスラプション(創造的破壊(Disruption))として「学び・成長・つながり」を生むリアル空間へ再創造することを掲げ、これを2030年における当社グループのありたい姿、長期ビジョン『Grow Together 2030』としました。そして、この長期ビジョンの実現に向けた最初の3か年を第一フェーズと位置付け中期経営計画『GT01』を策定しました。
これにあわせ、新しい領域に挑戦する「探索」と、既存の事業の一層成長を図る「深化」という活動が、高い次元でバランスよく調和していることを目指す『両利きの経営』と、規模の大きさで競合相手を圧倒する消耗戦から、社員一人一人が知識を機動的に生み出す力を発揮するかたちへと転換し、組織の学習スピードを高めることを目指す『社員全員の経営』の2つを経営の基本方針としました。
(2)経営環境
文部科学省「令和3年度学校基本調査(速報値)」によりますと、大学(大学院を含む)の学生数は291.8万人と前年より3千人増加し、前年度の減少から一転、増加へ転じることとなり、当社グループを取り巻く市場環境につきましては追い風となる状況となっております。
しかし一方では、新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たない中、学生のライフスタイルの変化やその動向、また、教育機関の動向につきましても引き続き注視が必要であり、加えて、刻々と変化する経営環境に応じた柔軟な対応・対策の必要性も増加傾向にあります。
当社の推計では、18歳人口の減少とともに学生マンション需要は2019年から2040年にかけて年平均1.1%減少すると見込んでおりますが、学生マンション需要に対する当社グループ管理戸数の市場シェアは5%程度であると考えております。
また、学生マンション事業への特化や、これまで蓄積してきた学生マンションの運営ノウハウ、学生のニーズの早期把握、大学及び大学生協との連携等を通じて、市場における一定の優位性は確保しているものと考えております。
今後もこの優位性を維持しつつ、市場シェアの拡大を図り、長期的な成長を目指してまいります。
(3)中長期的な経営戦略
長期ビジョン『Grow Together 2030』では、見えない資産(無形資産)が持続的な企業価値向上の源泉であるということを重視し、①「アビリティ(総合的人間力)」の芽を育て、社会課題の解決に貢献する、② 人間性とテクノロジーの融合による当社グループだけの価値の創出、③ 当社グループブランドである「UniLife」のグローバル・トップブランドへの進化を成長シナリオとし、グループ全体においてこの存在目的(パーパス)を通して価値観を共有し、人材の育成・成長を通じた価値創造を目指します。また、その価値創造は若者が成長することによって実現するものと定義しております。
長期ビジョン実現への取り組みの要旨は以下のとおりです。
■人的資本への投資
・創造する組織へ進化するための人材育成
・社員ロイヤリティ(絆)の向上と組織エンゲージメント(求心力)強化
・経営層及び後継者育成計画策定実施
■知的資本への投資
・DX戦略を推進するための組織編成
・DX関連ベンチャーへの投資
・CVC(Corporate Venture Capital)組成・運営
■ブランド・顧客基盤の構築
・最高のエンゲージメントを持つチームが、顧客成功体験(CX:Customer Experience)を支援
・顧客ロイヤリティ(絆)を確立
・顧客が他者へ推奨する状態(ロイヤルカスタマー)の確立
■企業内外の組織づくり
・「両利きの経営」と「社員全員の経営」を可能とする組織戦略
・UniLifeが、情報ネットワークのハブとして社内外でつながり、互恵互助のもと、ロイヤリティ(絆)を獲得し、お互いの知が結合することによりイノベーションを起こし続ける。
■成長時間を短縮する方策
・オープンイノベーション、アライアンス、ジョイントベンチャーの活用
・M&Aによる既存事業の拡大とシナジーの見込める新規事業投資
中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)では新型コロナウイルス感染症の終息後を見据えた新型コロナウイルス感染症との共存を背景としてDX(デジタルトランスフォーメーション)を最重要課題として取り組みます。
(4)目標とする経営指標等
中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)で掲げる主な経営指標等は以下のとおりです。
経営成績
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
622億円 |
67億円 |
65億円 |
43億円 |
資本効率及び財務安全性
ROE |
ROIC |
自己資本比率 |
流動比率 |
15%以上 |
8%以上 |
40%以上 |
120%以上 |
入居関連指標
管理戸数 |
契約決定件数 |
85,000戸 |
30,000件 |
成長投資
自社物件 |
システム投資 |
250億円 |
7億円 |
なお、上記の数値は、当初、2020年12月17日に中期経営計画として公表した後、2021年12月14日に目標数値等の一部見直しを行い再度公表いたしました。将来に関する前提・見通し・計画については、再度公表した時点における仮定等に基づくものであり、実際の経営成績は今後さまざまな要因によって異なる可能性があります。従いまして、その実現を保証あるいは約束するものではありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、近年の社会システムの大きな変化が新型コロナウイルス感染症拡大を契機にさらに加速し、昨日までの「近未来」が眼前の現実となっています。こうした環境変化に対応し、当社グループが更なる成長を実現するため、変わらぬ軸として持ち続ける経営理念「豊かな生活空間の創造」に立ち返り、存在目的(Purpose:パーパス))を定義し、「豊かな生活空間」のディスラプション(創造的破壊(Disruption))のもと、2030年における当社グループのありたい姿、長期ビジョン『Grow Together 2030』としました。そして、この長期ビジョンの実現に向けた最初の3か年を第一フェーズと位置付ける新中期経営計画『GT01』を策定しました。これら中長期的な戦略を実行する上で、当社グループの優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。
<不動産賃貸管理事業>
■新型コロナウイルス感染症の終息後を見据えた、新型コロナウイルス感染症との共存対応
マンション内や店舗における感染防止対策を徹底するとともに、入居者様に感染者が発生した場合の迅速な対応、従業員が感染した場合のBCP(事業継続計画)も策定し、影響を最小限に抑えられるよう取り組んでおります。また、コロナ禍を背景とした学生支援キャンペーンも適宜実施に努めております。
■新たな価値提供により、学生マンション分野で唯一無二の存在に
・住まうことが新たな価値を生み出す学生マンションづくり
・ニーズを創る多様なラインナップの提供
・学生向けサービス総合プラットフォーマーとして新しいマーケットを創造する「カテゴリーキング」を追求
なお、不動産賃貸管理事業における管理戸数及び入居率は以下のとおりであります。
|
2017年4月30日現在 |
2018年4月30日現在 |
2019年4月30日現在 |
2020年4月30日現在 |
2021年4月30日現在 |
|
管理戸数 (戸) |
59,685 |
62,183 |
66,064 |
72,484 |
75,946 |
|
|
借上物件 (戸) |
29,694 |
31,569 |
34,438 |
38,590 |
41,317 |
管理委託物件(戸) |
28,131 |
28,591 |
29,270 |
31,064 |
31,167 |
|
自社所有物件(戸) |
1,860 |
2,023 |
2,356 |
2,830 |
3,462 |
|
入居率(%)(注) |
99.9 |
99.9 |
99.9 |
99.8 |
99.9 |
(注)入居率は、借上物件及び自社所有物件を対象としております。
<高齢者住宅事業>
■多様なQOL(Quality Of Life)の向上を目指すスマートコミュニティを実現
・不動産活用や在宅生活支援、リアルとオンラインのハイブリッド型による公民館化といった地域社会のインフラとなる取り組みを実践
・看護サービスの充実やウェアラブル端末を通じたモニタリングシステムの導入等、ヘルステックの活用による安心と生産性の向上
<その他>
■UniLifeでしかできない学びを提供し続ける
・学び・体験・つながりと一体化した、新たな住まい概念を実現
・社会で活躍・貢献できる人材育成を通じ、社会インフラの役割を果たす
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