(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当社は「空室のない元気な街を創る」という企業理念の下、入居率や賃料水準の低下等により、収益の改善が必要となった中古不動産を取得し、リノベーションやリーシング(賃貸募集活動)を実施し、収益改善による収益不動産としての資産価値を高めた上で不動産投資家へ販売するという不動産販売事業を中心に事業を展開しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延が長期化したまま推移した一方で、社会的抑制は徐々に緩和され、部分的に持ち直しの動きが見られております。先行きについては、各種政策による感染症の沈静化が期待されるものの、変異株拡大の可能性や、不安定な世界情勢を背景とした金融不安により依然として不透明な状況です。
当社の属する不動産業界においては、金融緩和が継続していることにより金融機関の融資姿勢に大きな変化が無いこと、レジデンス物件についてはコロナ禍においても安定的な稼働が得やすいと見られたことから、不動産投資家の投資意欲は高まっており、堅調に推移しています。オフィスについても集約や縮小の動きによる空室率上昇傾向に歯止めがかかりつつある状況です。但し、不安定な社会・経済情勢による後退可能性もあるため引き続き注視する必要があります。
このような事業環境下におきまして当社は、主力事業である不動産販売事業において、力を入れている取扱商品の多様化や高価格化、利益率の向上など、営業戦略の遂行に努めてきました。不動産販売事業においては、仕入れた物件を次々と販売し、売上が過去最高となり、利益率も従来から向上したことで、売上高総利益も大きく伸ばすことができました。一方で、不動産賃貸事業については、稼働が大きく下がった東北ホテルの運営稼働をとめ、時間をかけて再活用の方法を検討・選択するために減損処理をする決断をいたしました。
この結果、当事業年度の業績として、売上高は9,592,554千円(前年同期比27.1%増)、営業利益は359,487千円(同721.4%増)、経常利益は303,761千円(前年同期は経常利益1,037千円)、当期純損失は526,674千円(前年同期は当期純利益10,386千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(不動産販売事業)
不動産販売事業におきましては、主に中古物件を購入しリノベーションやリーシング(賃貸募集業務)を行い、付加価値を高めたうえで不動産投資家への販売を手掛けてまいりました。当事業年度は、レジデンス8棟、店舗付きレジデンス5棟、ビル3棟、戸建2棟、区分レジデンス1件を売却いたしました。その結果、当事業年度における売上高は8,924,136千円(前年同期比31.0%増)、セグメント利益は646,334千円(同95.2%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業におきましては、従来より安定的に収益を上げていた貸しコンテナ、コインパーキング、事業用・居住用サブリースに加え、不動産販売事業において取得した販売用不動産賃料収入等の獲得にも努めてまいりました。しかし、一部宿泊事業領域の物件において移設による収益転換を検討しており、稼働を一時停止しております。その結果、当事業年度における売上高は474,084千円(前年同期比17.6%減)、セグメント損失は116,644千円(前年同期はセグメント損失99,229千円)となりました。
(不動産管理事業)
不動産管理事業におきましては、既存顧客に対する管理サービスの向上に努めるとともに、安定収入を増やすべく、新たに販売した不動産の管理受託にも取り組んでまいりました。その結果、当事業年度における売上高は194,333千円(前年同期比22.2%増)、セグメント利益は42,726千円(同7.2%増)となりました。
②財政状態の状況
当事業年度末における財政状態は、総資産3,988,851千円(前年同期比27.1%減)、負債3,006,830千円(前年同期比24.2%減)、純資産982,020千円(前年同期比34.8%減)となりました。また、自己資本比率は24.6%(前事業年度末は27.5%)となっております。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は3,557,260千円となり、前事業年度末に比べ715,873千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が226,285千円増加したものの、販売用不動産が992,291千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は431,590千円となり、前事業年度末に比べ766,909千円減少いたしました。これは主に、減価償却費を66,887千円、減損損失を742,118千円計上したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は1,182,662千円となり、前事業年度末に比べ153,055千円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が73,169千円減少したものの、短期借入金が127,100千円、未払法人税等が134,557千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は1,824,168千円となり、前事業年度末に比べ1,110,706千円減少いたしました。これは主に、社債が13,000千円、長期借入金が1,088,849千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は982,020千円となり、前事業年度末に比べ525,131千円減少いたしました。これは主に、当期純損失を526,674千円計上したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ54,179千円増加し、2,132,346千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,275,563千円となりました(前年同期は1,584,002千円の獲得)。
これは主に、税引前当期純損失441,817千円、減価償却費66,887千円、減損損失742,118千円、たな卸資産の減少額991,562千円が生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は177,263千円となりました(前年同期は155,929千円の使用)。
これは主に、定期預金の預入による支出187,700千円が生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,044,120千円となりました(前年同期は1,328,980千円の使用)。
これは主に、長期借入れによる収入4,055,000千円、社債の発行による収入195,868千円、短期借入金の純増加額127,100千円が生じた一方、長期借入金の返済による支出5,217,018千円、社債の償還による支出202,500千円が生じたこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
不動産販売事業(千円) |
8,924,136 |
131.0 |
不動産賃貸事業(千円) |
474,084 |
82.4 |
不動産管理事業(千円) |
194,333 |
122.2 |
合計(千円) |
9,592,554 |
127.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
当事業年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社ボルテックス |
1,511,054 |
20.0 |
- |
- |
株式会社ロイヤルコーポレーション |
938,967 |
12.5 |
- |
- |
株式会社マルパソ赤坂 |
- |
- |
1,719,120 |
17.9 |
有限会社エステート興業 |
- |
- |
995,602 |
10.4 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態及び経営成績の状況
当社の当事業年度の財政状態に関する認識及び分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
経営成績の状況
(売上高)
当事業年度の売上高は、9,592,554千円(前年同期比27.1%増)となりました。これは不動産賃貸事業の売上高が101,548千円減少の474,084千円(同17.6%減)となったものの、不動産販売事業の売上高が2,114,192千円増加の8,924,136千円(同31.0%増)、不動産管理事業の売上高が35,240千円増加の194,333千円(同22.2%増)となったことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、8,483,241千円(前年同期比25.9%増)となりました。不動産賃貸事業の売上原価が56,538千円減少の493,378千円(同10.3%減)となったものの、不動産販売事業の売上原価が1,776,709千円増加の7,880,047千円(同29.1%増)、不動産管理事業の売上原価が25,052千円増加の109,815千円(同29.6%増)となったことによるものであります。
その結果、当事業年度の売上総利益は、1,109,312千円(同37.5%増)となり、売上高に対する売上総利益の比率は前事業年度から0.9ポイント増加し11.6%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、749,824千円(前年同期比1.7%減)となりました。これは主として、人件費の減少によるものであります。
その結果、当事業年度の営業利益は359,487千円(同721.4%増)となり、売上高に対する営業利益の比率は前事業年度から3.2ポイント増加し3.7%となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、4,239千円(前年同期比42.2%減)となりました。これは主として、補助金収入の減少によるものであります。また、営業外費用は59,965千円(同19.8%増)となりました。これは主として、支払利息及び社債発行費の増加によるものであります。
その結果、当事業年度の経常利益は303,761千円(前年同期は経常利益1,037千円)となり、売上高に対する経常利益の比率は前事業年度から3.2ポイント増加し、3.2%となっております。
(特別損益、当期純損失)
前事業年度に特別利益として発生した70,217千円は、当事業年度では発生しておりません。また、当事業年度の特別損失は、745,578千円(前年同期は35,376千円)となりました。これは主として、東北のホテル事業に関する複数の固定資産に関して減損損失が発生したことによるものであります。また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額をあわせた税金費用は、84,857千円(前年同期比232.9%増)となりました。
その結果、当事業年度の当期純損失は526,674千円(前年同期は当期純利益10,386千円)となっております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり様々なリスク要因が考えられます。
当社は、それらのリスクに対しての対応策を講じ、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び課題等」に記載した事項を推進し、主力事業である不動産販売事業を更に成長させるとともに、不動産賃貸事業、不動産管理事業においては安定収益の獲得に努め、成長性を取りつつ安定性も兼ね備えたバランスのよい事業構成を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当社の当事業年度のキャッシュ・フローの分析とそれらの要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社の資金需要のうち主なものは、運転資金、販売用不動産購入資金、設備資金であります。
運転資金は、原則として手許資金で賄っておりますが、金融機関からの総合的提案があった場合は調達を行い、手元流動性を高め緊急な販売用不動産の取得にも対応できる体制を整えております。
販売用不動産購入資金は、主に金融機関からの借入れにより調達しており、物件毎の販売計画に基づいて長期借入金または短期借入金で調達しております。
設備資金は、設備投資計画に基づき、案件ごとに手持ち資金で賄えるか、不足するかの検討を行います。不足が生じる場合は、長期借入金にて調達を行っております。
なお、当事業年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は2,479,761千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,132,346千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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