課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、『空室のない元気な街を創る』の経営理念のもと、不動産販売事業、不動産賃貸事業及び不動産管理事業を展開しております。当社の最大の強みは空室の改善力であり、今後も、①不動産販売事業においては、その力を活かして収益力の落ちた投資用不動産を生まれ変わらせて不動産投資家へ再販するビジネスを深化させていきます。東京本社開設から7年ほどで大きな収益源へと成長しており、今後も不動産販売事業を中心として、会社全体の事業規模を拡大してまいります。また、②不動産賃貸・管理事業については、営業活動の強化と、ITを活用した管理業務の効率化により、スケール(受託戸数)の拡大も行い、空室・遊休地に対する多様なソリューションについても深化させていきます。

 

(2)経営環境

 当社を取り巻く事業環境は、継続する金融緩和を背景に、堅調に推移してまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、緊急事態宣言が繰り返し発出されるなど、長期化している一方で、ワクチン接種が進んだこともあり、社会的抑制は徐々に緩和されている状況です。不動産業界においては、金融緩和を背景に、金融機関の融資姿勢に大きな変化が無いこと、レジデンス物件についてはコロナ禍においても安定的な取引ができたことから、不動産投資家の投資意欲は高まっており、堅調に推移しております。オフィスについても集約や縮小の動きによる空室率向上傾向に歯止めがかかりつつある状況です。当社としましても、主要事業である不動産販売事業においては、引き続き優良な収益不動産を選定し、取扱う限り、環境は良好であると想定しております。

 一方で、依然として新型コロナウイルス感染症の終息時期の見通しが立たない状況が続いており、半導体不足、原材料価格の高騰、エネルギー不足、ウクライナ情勢等、経済環境の先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。

 

(3)経営戦略等

 当社の事業別の戦略は、以下のとおりであります。

(不動産販売事業)

①仕入競争力の確立

 上記環境のとおり収益不動産の売買に関しては活発な動きを取り戻しつつある状況ですが、仕入価格目線としては依然として高止まり感があります。当社では、空室等により収益性が低下し価格競争力が落ちている収益不動産をバリューアップ後を想定した価格で購入できるため、価格優位性があると認識しております。この強みを活かし仕入競争力を高めてまいります。

 

②取扱物件の大型化と多様化

 依然として不動産投資家に対する金融情勢の厳しさは続いている状況です。当社においては、以前は3億円以下の収益不動産の仕入販売を中心に行ってまいりましたが、販売ターゲットとなる不動産投資家層の拡大のため3億円を超える価格帯の収益不動産や、さらに大きな価格帯の収益不動産の仕入販売の構成を戦略的に高めております。また、不動産投資家からの様々なニーズに応えるために取得物件の大型化のほかに、アセットタイプ(レジデンス、店舗、オフィス、区分、受益権等)も多様化してまいります。加えて、販売手法の多様化として、不動産特定共同事業法の許可に基づく収益不動産の小口化販売商品組成・販売の推進も図ってまいります。

 

(不動産賃貸事業・不動産管理事業)

 不動産賃貸事業、不動産管理事業からの収益は、安定収益として位置付けており、その安定収益で固定費を賄える規模まで成長を図ってまいります。具体的には、管理受託件数の増大が想定されますが、不動産販売事業において保有する販売用不動産を増やすことによる保有期間中の賃料収入の拡大や、販売用不動産を販売した後の管理受託の獲得に努めるなど、安定収益の拡充を図ってまいります。また、不動産賃貸事業の宿泊事業領域で行っている東北ビジネスホテルは、当初想定していた復興支援について一定の貢献ができたこともあり、現在運営を停止しております。移設できる特徴を活かし、収益が見込めるエリアへの移設やコンバージョンによる施設の再活用で、収益の増大を図ってまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の事業別の課題は、以下のとおりであります。

①不動産販売事業

 付加価値を生み出す開発力を高めることが当面の課題であると認識しております。物件の付加価値を向上させて収益力を高めるには、難易度の高いバリューアップが必要となるため、ノウハウの蓄積及び人材育成、組織力強化を進めてまいります。また、当該事業においては資金需要が旺盛であり、かつ機動的な資金も必要であるため、多様な資金調達手段を確保し、更なる財務基盤の強化を進めてまいります。

 

②不動産賃貸事業

イ.不動産賃貸領域

 中古物件を借り上げ、又は取得し、リニューアルにより高収益が得られる不動産に再生する力を継続的に高めることが当面の課題であります。そのためには、企画力・開発力・デザイン力を強化し、バリューアップできる対象物件・手法の拡大をしてまいります。

ロ.空間再生領域

 賃貸住宅の空室率が増加する中で、他物件と差別化できるリノベーション提案力、物件の選定力を高めることが当面の課題であります。そのためには、取引先との関係を強化しリノベーション提案力を高めることと、物件選定力を高めるための人材育成を進め、長期不稼働になっている建物や遊休地を保有する不動産所有者から所有不動産の再生利用を受託できる能力の強化を進めてまいります。

ハ.宿泊事業領域

 東北のビジネスホテルにつきましては、岩手県の3施設について現在運営を止め、次の活用方法を検討しております。このため、収益力のある活用方法の開発力、企画力が重要であります。モジュール工法による移設可能である性質から、柔軟な形態での販売・賃貸などの検討をしてまいります。

 民泊施設につきましては、現状は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けておりますが、インバウンド需要が戻った際に、当社の施設を選んでいただけることが課題だと認識しております。その為にも、一般的な宿泊施設としてだけでなく、他社とは異なる明確なコンセプトを持った宿泊施設とするべく企画力を強化してまいります。

 

③不動産管理事業

 顧客である不動産所有者より信頼して不動産管理を任せて頂けるよう、不動産関連知識のさらなる向上に努めてまいります。

 

 

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