(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度期首より、販売用不動産及び固定資産に係る控除対象外消費税及び地方消費税の会計処理の変更を行っており、遡及適用後の数値で前連結会計年度末及び前年同期との比較を行っております。詳細は「第5 経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい状況が続いているものの、各種政策の効果によって基調としては持ち直しており、企業収益や業況感は全体として回復傾向となりました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、資源価格をはじめとする広範囲での大幅な物価上昇、為替市場における歴史的な円安の進行等により、景気の先行きについて依然として不透明な状況が長期化しております。
当社グループが属する不動産業界におきましては、賃貸市場は、新型コロナウイルス感染症の影響により企業の人事異動や雇用に一時的な停滞があったものの、その後は回復基調にあり需要は安定化へと推移しております。販売市場は、政府による住宅取得支援策や低金利の住宅ローンなどにより住宅取得環境は依然として良好であり、新設住宅着工戸数は、持家における減少傾向が続いているものの分譲一戸建てについては、増加傾向となっております。また、テレワーク需要の高まりによって郊外立地の戸建住宅が好調に推移する一方で、東京都心のオフィス需要は減少し空室率が高くなるなどの動きも出ております。そのような中、当社の自社企画投資用不動産においては、鉄筋コンクリート造の物件に加え、小型の木造賃貸住宅の用地取得、建設にも注力してまいりました。また、新規事業である不動産ファンド事業については2つのプロジェクトを募集し、運用中となっており、引き続き商品開発を行っております。当社グループにおいては、全体の賃貸管理戸数が増加したことにより、安定収益基盤が強化され、茨城県を中心とした、物件情報の収集、仲介件数の拡大、管理物件の入居率向上及び管理戸数の更なる拡大が可能となっております。
この結果、売上高8,713,191千円(前期比11.7%増)、営業利益794,247千円(同32.3%増)、経常利益794,749千円(同26.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益493,053千円(同26.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
不動産流通事業
不動産売上高においては、自社企画投資用不動産のレーガベーネ白梅(茨城県水戸市)に加え、木造のレーガベーネシリーズ3棟が販売となりました。また、東新橋の事業用物件(東京都港区)が売上に大きく寄与する形となっております。その他、土地、戸建、区分所有建物の仕入れ、販売においても計画に対し好調に推移しました。仲介事業収益について賃貸は、新型コロナウイルス感染症により、企業の人事異動への影響から、前期売上及び計画を下回る結果となりました。販売においては、前期売上を上回ったものの計画を下回る結果となっております。
これらの結果、不動産流通事業の売上高は6,452,726千円(前期比18.5%増)、セグメント利益は693,237千円(同39.7%増)となりました。
不動産管理事業
不動産管理事業については、当社の安定的な収益基盤であり、不動産の新規取得により自社の賃料収入は、計画を上回る形となりました。また、自社不動産以外の賃料収入については、「収益認識に関する会計基準」等の適用による影響を計画に織り込んでいなかったことから、売上高は計画を下回りましたが、利益は計画通りに推移しております。管理事業収益においては、賃貸管理戸数が21,532戸、駐車場台数8,580台と前期比増加となりました。全体的には、前期売上を上回ったものの計画を下回る結果となっております。コインパーキングは、新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの運営台数が1,306台となったことから、前期売上を上回り回復傾向となっております。また、太陽光売電収益については、一部パワーコンディショナーの故障及び銅線の盗難により計画を下回る形となっております。
これらの結果、不動産管理事業の売上高は2,278,574千円(前期比4.0%減)、セグメント利益は767,206千円(同2.1%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は11,511,224千円となり、販売用不動産の増加等によって前連結会計年度末に比べて1,947,200千円増加致しました。当連結会計年度末における負債合計は7,465,785千円となり、長期借入金の増加等によって前連結会計年度末に比べて1,551,486千円増加致しました。当連結会計年度末における純資産合計額は4,045,439千円となり、前連結会計年度末に比べて395,713千円増加致しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて246,028千円減少し、976,410千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び増減の要因は、次のとおりであります。
営業活動により使用した資金は319,937千円(前期は609,284千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益737,275千円及び減価償却費265,440千円の計上があったものの、棚卸資産の増加1,287,650千円、法人税等の支払215,527千円によるものであります。
投資活動により使用した資金は1,043,139千円(前期は185,163千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出949,925千円及び投資有価証券の取得による支出53,415千円によるものであります。
財務活動により獲得した資金は1,117,048千円(前期は81,052千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出831,404千円及び配当金の支払額89,924千円があるものの、長期借入れによる収入1,459,000千円及び短期借入金の純増加による収入490,600千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 不動産管理事業の仕入実績については金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
不動産流通事業においては、受注販売を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。
不動産管理事業の修繕及びリフォームについて受注を行っておりますが、いずれも受注から売上高計上まで期間 が短期であるため、受注実績は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社グループはこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
正味売却価額は、見積売却価格から見積追加投資額及び見積直接経費を控除して算出しております。正味売却価 額のうち、見積売却価格については、不動産市況のほか近隣物件及び同種物件の実際の成約価格及び現時点における販売状況等を勘案して見積りを行っております。また、見積追加投資額及び見積直接経費については、契約書又は見積書等の金額を基礎に見積りを行っております。
正味売却価額の見積りに用いた仮定は、実際の売却価格、追加投資額及び直接経費とは異なる可能性があり、その実現には不確実性があります。また、正味売却価額の見積りに用いた仮定について見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、棚卸資産評価損を計上する可能性があります。
b.固定資産の減損処理
減損の兆候があると認められた固定資産については、当該固定資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額とを比較し、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損損失の認識が必要と判断し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握や減損損失の認識の判断において用いた仮定は、実際のキャッシュ・フローとは異なる可能性 があり, その実現には不確実性があります。また、減損損失の認識の判断に用いた仮定について見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、減損損失を計上する可能性があります。
c.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を
計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とし
た条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高の分析
当連結会計年度における売上高は、8,713,191千円(前期比11.7%増)となりました。これは、東京都港区の事業用物件の売却を行ったことにより不動産売上高が5,015,822千円(同27.7%増)となったものの、当連結会計年度より自社不動産以外の賃料収入については、「収益認識に関する会計基準」等を適用したことを主な要因とし、賃貸事業収益が917,697千円(同12.6%減)となったことによります。なお、ストックビジネスのメインである管理事業収益については、管理戸数の積み上げにより1,079,511千円(同2.5%増)となっております。
以上の結果、事業セグメント別売上高は、不動産流通事業の売上高は6,452,726千円(同18.5%増)、不動産管理事業の売上高は2,278,574千円(同4.0%減)となりました。
b.売上原価、売上総利益の分析
当連結会計年度における売上原価は、5,264,051千円(前期比14.6%増)となりました。これは不動産売上高に付随する不動産売上原価が増加したことによるものであります。
以上の結果、事業別セグメント売上原価は、不動産流通事業の売上原価は4,275,586千円(同25.6%増)、「収益認識に関する会計基準」等を適用したことを主な要因とし、不動産管理事業の売上原価は994,665千円(同13.0%減)となったことによるものであります。
その結果、当連結会計年度における売上総利益は、3,449,140千円(同7.6%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益の分析
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,654,892千円(前期比1.9%増)となりました。これは主として人件費が増加したものの、保有不動産に係る修繕費が減少したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度における営業利益は、794,247千円(同32.3%増)となりました。
d.営業外損益、経常利益の分析
当連結会計年度における営業外収益は、32,641千円(前期比40.1%減)となりました。これは主として受取保険金の減少によるものであります。また、営業外費用は32,140千円(同28.0%増)となりました。これは主として支払利息の増加によるものであります。
その結果、当連結会計年度における経常利益は、794,749千円(同26.2%増)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益の分析
当連結会計年度における特別利益は、4,580千円(前期比43.2%減)となりました。これは主として前連結会計年度で計上した投資有価証券売却益は発生しなかったものの、ソフトウエア導入に係る国庫補助金が計上されたためであります。また、特別損失は62,053千円(同12.6%増)となりました。これは主として前連結会計年度で計上した固定資産売却損が発生しなかったこと及び減損損失が前連結会計年度より減少したものの、子会社である株式会社KASUMICとの合併に係る費用及び高田町太陽光発電機器の盗難が発生したことにより、設備復旧費用等が発生したことによるものであります。また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額をあわせた税金費用は、244,222千円(同27.7%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、493,053千円(同26.0%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要のうち主なものは、運転資金、販売用不動産購入資金、自社企画投資用不動産プロジェクト資金、設備資金であります。
運転資金は、基本的に手許資金で賄っております。
販売用不動産購入資金は、小型物件については手許資金、大型物件については、物件毎の販売計画に基づいて金融機関からの長期借入金または短期借入金で調達しております。
自社企画投資用不動産プロジェクト資金は、物件毎の企画書に基づいて金融機関からの長期借入金または短期借入金で調達しております。
設備資金は、設備投資計画に基づき手許資金で賄っております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、4,369,937千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、976,410千円となりました。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年3月16日に資本政策を制定し、自己資本比率は30%台を維持し40%を目指す、ROEは10%以上を維持する、配当性向は30%以上を当面の目標とするとし、また、年間管理戸数増加目標は1,000戸としております。
当期における実績につきましては、自己資本比率35.1%、ROE(自己資本利益率)12.8%、連結配当性向19.6%、年間管理戸数1,088戸増加となっております。連結配当性向につきましては目標値には達してはおりませんが、毎期、増配を行いたいと考えております。
また、2027年9月期に売上高100億超えを目標とする中期計画「KORYO2027」を公表しております。上記の達成に向け、ストックビジネスの強化を進め、安定収益をより強固なものにしつつ、新規事業等により業容の拡大、成長を目指してまいります。
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