業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

(経営成績の状況)

 当社グループは、新中期経営計画「VALUES 2025」において掲げた『“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ』をスローガンに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けた前年度からの業績回復に加え、既存の事業モデルの拡充、新しい共創価値の追求、財務価値の維持拡大を図ってまいりました。

 

 当連結会計年度における外食産業は、昨年より続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた政府及び各自治体からの営業時間短縮等の要請による影響を受けました。緊急事態宣言が解除された10月以降は一時的に消費者マインドに持ち直しの動きが見られたものの、1月以降のオミクロン株の感染拡大によるまん延防止等重点措置の再発令や原材料等資源価格の高騰の影響から、先行き不透明な状況が続いております。

 このような事業環境のもと、当社グループは、地域密着の社会インフラとしての役割を果たすべく、引き続きお客様の安全を第一に感染防止対策を徹底して店舗運営を継続いたしました。特に、前年度にご好評をいただいた「コメ牛」のほか、ピスタチオ、大豆ミートなど話題性のある食材を使用した季節限定メニュー・新商品を発売し、またテレビ番組やSNS等への露出機会が増加したことにより、多くのお客様にご来店いただくことができました。この結果、当連結会計年度の卸売売上は、既存店売上高前年比が110.5%(前々年比98.7%)、全店売上高前年比が115.2%(前々年比105.3%)となり、コロナ禍の影響を強く受けた前年度に対して大きく伸長しました。

 また、コメダ珈琲店について、東日本や西日本エリアにおける積極出店に加え、海外でも台湾において高雄市まで出店エリアを拡大するなど、新規に49店舗を出店しました。おかげ庵は1店舗、BAKERY ADEMOKは2店舗を出店しました。これらの結果、当連結会計年度末の店舗数は956店舗となりました。

 

区分

エリア

前連結会計

年度末

新規出店

閉店

当連結会計

年度末

コメダ珈琲店

東日本

274

(22)

20

(3)

1(-)

293

(21)

中京

313

(3)

(-)

6(-)

310

(3)

西日本

294

(7)

15

(2)

1(-)

308

(9)

海外

18

(9)

11

(2)

-(-)

29

(11)

おかげ庵

全国

11

(6)

(-)

-(-)

12

(6)

やわらかシロコッペ

石窯パン工房ADEMOK

KOMEDA is □

全国

(3)

(2)

2(1)

(4)

合計

914

(50)

52

(9)

10(1)

956

(54)

注1.( )内の数値は直営店舗数であり、内数で記載しております。

2.コメダ珈琲店の東日本エリアにおいて、直営店5店舗をFC化し、FC店1店舗を直営化しております。

3.やわらかシロコッペについては、一部のコメダ珈琲店及び短期催事での販売に切り替えております。

 

 以上の取り組みの結果、当連結会計年度の売上収益は33,317百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。また、売上収益の回復に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は7,305百万円(前連結会計年度比32.6%増)、税引前利益は7,179百万円(前連結会計年度比33.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,934百万円(前連結会計年度比37.4%増)となりました。

 

 また、当社グループは、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組むべき13項目のマテリアリティ(重要課題)を特定し、さらにこれらを「品質とお客様」、「人と働きがい」、「環境」、「地域コミュニティ」の4つのテーマに分類しました。この分類ごとに、当社グループが経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく、当連結会計年度に実施した主な取り組みは次のとおりです。

 

品質とお客様に関するテーマ

商品・サービスの安全・安心の追求

安全・安心な食品の生産のため、作業要領書を再整備し、OJTツールとして短編動画を作成

店舗スタッフが最新の「衛生マニュアル」を随時参照できるよう電子化するとともに、「店舗衛生小テスト」を実施することにより、店舗衛生に関する知識レベルの向上を促進

店舗拡大に対応するため、「沖縄コーヒー工場」、台湾の「汐止コーヒー工場」が新たに稼働

10月26日を「安全・安心の日」に制定し、過去1年間、製造現場で労災防止と衛生管理において一番貢献した従業員を讃える「まごころ杯」を創設

多様な消費者

ニーズへの対応

女性に人気のピスタチオを使用した季節のシロノワール「ぜいたくピスタチオ」を発売

食べ応え抜群の「コメ牛」を季節限定キャンペーンにより再発売

より濃厚でまろやかな味わいへうまさを一新した「自慢のドミグラスバーガー」、5種のチーズを使用した「グラクロ」をリニューアルし再発売

大豆ミートでハムの風味や食感を再現した“まるでお肉な”「大豆ハムカツバーガー」を発売

KOMEDAis□東銀座店でアーモンドミルクソフトを使用した「プラントベース シロノワール」を発売

コロナ下における「おうちでコメダ」のニーズにお応えするべく、テイクアウトメニューの拡充、デリバリー対応店舗を拡大

オラム様のアーモンドを使用した「サステナブルなマヌカハニーアーモンド」を販売

若年層のお客様へアプローチするために、ビームス様やウィムジー様とコラボアパレルを販売

DX準備室を新設し、お客様の利便性を飛躍的に向上させる新アプリの開発に着手するとともに、店舗スタッフの生産性を向上させるタブレットPOSの導入テストを一部直営店で開始

個人の時間や空間を大切にされるお客様のために、パーソナルブース(個室)設置店舗を開店

TVアニメ「鬼滅の刃」とコラボした「コメダでド派手にくつろげ!」キャンペーンを実施

「世界の山ちゃん」様監修「本場手羽先」を含むクリスマスBOXを販売

「シェ・シバタ」様監修のスペシャルケーキ(「塩キャラメルミルクレープ」「ミルクティミルクレープ」)を数量・地域限定で発売

「ゴディバ」様監修のコメダ初のハート型「シロノワール きゅんハート」を数量限定で発売

持続可能な消費に関する教育と啓発

コメダのサステナビリティ活動を紹介するために、アニメ「くつろぎのサステナブル物語 “いつものコメダで、”」を経済産業省の補助金を活用して制作し、YouTubeでデジタル配信

名古屋市内の小学校にて「名古屋の喫茶店文化とおもてなし」についての食育授業を実施

人と働きがいに関するテーマ

人財の確保と成長を支える環境整備

店舗スタッフの接客や調理スキル及びモチベーション向上のため「接客コンテスト2021」及び「オペレーションコンテスト」を開催

コロナ下においても接客研修を推進するため「コメダ流おもてなし動画」を店舗向けに配信

多様な人財の

活性化

ダイバーシティ推進の一環として、取締役がメンターとなり女性管理職の育成を推進

障がいをお持ちのアーティストによる豆菓子パッケージのデザインをリニューアル

良好な雇用関係と適正な労働条件

働き方改革の一環として、コアタイムが無い完全フレックスタイム制を導入

FC加盟店のスタッフに対しても満足度調査を実施

環境に関するテーマ

廃棄物削減と資源循環の推進

アイスコーヒーの仕様変更により大量の紙ごみを削減

公式オンラインショップで環境に配慮した「シリコンストロー」等を販売

一部店舗でバイオマス入りの持ち帰り用スプーン及びフォークの使用を開始

 

 

 

気候変動

への対応

「コメダの森」の規模を拡大し、ファンサイト「さんかく屋根の下」会員であるコメダ部の皆様やFC加盟店と一緒に森林保全活動を実施

直営店12店舗(コメダ珈琲店10店舗、おかげ庵2店舗)、工場1カ所への再生可能エネルギー導入を皮切りに、FC加盟店にも導入を推進

持続可能なコーヒー生産を支援するため、全国のコメダ珈琲店でお客様参加型の「くつろぎの持続化投票」を実施するとともに「Imperfect表参道」様店舗内にポップアップストアを開設

地産地消の推進とフードマイレージの短縮を目的に北海道でパンのOEMを開始

地域コミュニティに関するテーマ

コミュニティ

への参画と投資

コメダ発祥の地である中京エリアにおいて、世界の洋食器ブランド「ノリタケ」様の本社工場跡地に則武新町店を、空港内初となるセントレア店を、信用金庫と全国初のコラボ店舗となる東濃信用金庫土岐中央店を、旧東海銀行本店ビルにおかげ庵栄広小路店を開店

「“くつろぎ”で人と地域と社会をつなぐ」という理念を体現する浮間公園店を開店し、都立公園の魅力を引き出す様々な取り組みを実施

BAKERY ADEMOK1号店の南風原店のご好評を受け、サテライト販売所をコメダ珈琲店沖縄糸満店に併設し、2号店としてBAKERY ADEMOKうるま店を開店

おやこ食堂や子ども食堂、学童保育へ食材を寄贈するなど「地域密着店舗」の模範となる店舗に贈る「地元に貢献したで賞」の表彰を実施

一宮市の私立高校と地元食材を使用した特別メニューを共同開発し、近隣の百貨店で販売

コメダ部の皆様がお家でくつろぎながらご参加いただけるオンラインイベントを開催

地域経済に貢献するため、9種類の地域限定ジャムをモーニングで提供

 

(財政状態の分析の状況)

 当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は次のとおりです。

 流動資産は、新型コロナウイルス感染症拡大による当社事業への影響に備えて実行した借入を返済したことによるその他の金融資産の減少等により前連結会計年度末に比べ12,543百万円減少し、15,395百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産の増加等により前連結会計年度末に比べ438百万円増加し、82,036百万円となりました。その結果、資産は、前連結会計年度末に比べ12,105百万円減少し、97,431百万円となりました。

 また、流動負債は、借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ12,077百万円減少し、11,694百万円となりました。非流動負債は、借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ2,810百万円減少し、48,122百万円となりました。その結果、負債は、前連結会計年度末に比べ14,887百万円減少し、59,816百万円となりました。

 資本は、前連結会計年度末に比べ2,782百万円増加し、37,615百万円となりました。これは主に当期利益を4,946百万円計上した一方で、剰余金の配当2,121百万円を実施したことによるものです。

 

(キャッシュ・フローの状況)

 当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ1,096百万円減少し、6,205百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による収入は8,148百万円(前連結会計年度比2,211百万円減)となりました。これは主に、税引前利益7,179百万円(前連結会計年度比1,788百万円増)を計上した一方で、法人所得税等について、前連結会計年度において納税猶予制度を利用したことによる2020年2月期に係る法人所得税等を含めて3,697百万円(前連結会計年度比2,769百万円増)の納税を行ったことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による収入は9,712百万円(前連結会計年度は11,556百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の純減11,000百万円(前連結会計年度は10,000百万円の支出)によるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による支出は18,984百万円(前連結会計年度は1,889百万円の収入)となりました。これは主に借入金の返済による支出27,407百万円(前連結会計年度比24,272百万円増)及び借入による収入14,000百万円(前連結会計年度比3,870百万円増)、親会社の所有者への配当金の支払額2,117百万円(前連結会計年度比87百万円増)によるものです。

(生産、受注及び販売の実績)

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

FC事業(百万円)

3,223

126.0

合計(百万円)

3,223

126.0

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントです。

2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。

3.金額は製造原価によっております。

 

② 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

FC事業(百万円)

13,095

115.5

合計(百万円)

13,095

115.5

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントです。

2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。

 

③ 受注実績

 当社グループは見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。

 

④ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

FC事業(百万円)

33,317

115.5

合計(百万円)

33,317

115.5

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントです。

2.金額は外部顧客に対する売上収益を示しております。

3.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

① 重要な会計方針並びに重要な見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループは、IFRSに基づき連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表作成にあたって必要となる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針並びに重要な見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の分析

 経営成績等の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、2021年4月14日に開催された取締役会において決議された、2026年2月期を最終年度とする新中期経営計画「VALUES 2025」に基づき、『“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ』をスローガンとして、お客様を含む全てのステークホルダーの皆様の多様化する価値観(VALUES)に沿った提供価値の共創を行ってまいります。新中期経営計画においては、2026年2月末までに店舗数を1,200店舗とする目標を掲げるほか、財務価値の維持拡大として、2021年2月期を起点とした基本的1株当たり利益(EPS)の年平均成長率を10%以上、最終年度における投下資本利益率(ROIC)を10%以上、自己資本比率を40%以上、株主還元として総還元性向を中期経営計画期間累計で50%以上とする目標を掲げており、社会課題の解決と併せて事業を行ってまいります。

 当連結会計年度における各経営指標の進捗は次のとおりです。

 

 

2022年2月期
(当連結会計年度)

2026年2月期
(計画最終年度)

成長性

基本的1株当たり当期利益(円)

107.02

125.46 以上

 

年平均成長率10%以上

37.4%

10.0% 以上

収益性

ROIC※

中期経営計画最終年度に10%以上

8.8%

10.0% 以上

財務健全性

自己資本比率

中期経営計画最終年度に40%以上

38.5%

40.0% 以上

株主還元

総還元性向

中期経営計画期間累計で50%以上

49.7%

50.0% 以上

※ROIC:税引後営業利益÷(リース負債を除く有利子負債期首期末平均+資本の期首期末平均)

 

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言が2021年9月末に解除されたものの、新たな変異株の登場によりその収束時期が未だ見通せないため、引き続き不確定要素も多く、次期についても厳しい経営環境が続くと予測されます。また、ウクライナ情勢の行方や原材料の高騰やエネルギーコストの上昇も当社の事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 そのような経営環境の下、新型コロナウイルス感染症による影響からの業績回復だけでなく、中期経営計画「VALUES 2025」の実現に向け、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した取組みを実施してまいります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載のとおりであり、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度末に比べ1,096百万円減少し、6,205百万円となりました。

 また、当社グループの資金は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しているほか、資金の流動性確保にあたり取引金融機関と総額500百万円の当座貸越契約を締結しております。

 なお、2020年4月30日付で新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するリスクに備え、当社グループは、運転資金の確保を目的として、国内金融機関より10,000百万円の借入を実施しましたが、当連結会計年度に到来した返済期限である2021年4月30日にその全額を返済しました。

 また、当連結会計年度においては、より有利な借入条件への変更等を目的として、2015年2月20日付で締結したシンジケートローンを解約し、2022年2月28日付で取引金融機関4行から総額140億円の長期借入金にて資金調達を行いました。

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