文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針及び経営環境
当社グループはこれからの成長を見据えて、50周年を契機に2018年度から“心にもっとくつろぎを”プロジェクトを開始いたしました。これは、「くつろぐ、いちばんいいところ」を進化させるための、「KOMEDA COMES TRUE.with YOU」を合言葉にしたコメダ式サステナビリティ活動です。また、経営方針を店舗運営にとって一番大切なQSCのそれぞれの概念を進化させ、Q:もっといいもの、S:もっといいこと、C:もっといいところ、と定め経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく企業活動を行っております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりお客様の行動・価値観が大きく変化するとともに、サステナビリティに対する意識の高まりも顕著になる中で、当社グループは、2021年4月に策定した2026年2月期を最終年度とする5ヵ年の新中期経営計画「VALUES 2025」において掲げた『“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ』をスローガンに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けた2021年2月期からの業績回復に加え、既存の事業モデルの拡充、新しい共創価値の追求、財務価値の維持拡大を図ってまいりました。
(中期経営計画「VALUES 2025」で掲げる重点戦略・財務目標)
1.既存事業モデルの拡充
・QSCの向上:“くつろぐ、いちばんいいところ”をご提供する人財の育成
・出店の拡大 :ポストコロナの地政変動を背景にした出店
・DXの推進 :顧客ロイヤルティ向上、業務効率化及び省人省力化
2.新しい共創価値の追求
・新規事業開発:ブランドと顧客ベースを活用した新サービスの開発
・M&A :既存モデルとのシナジーを目的とした提携・買収の推進
・SDGs対応:サステナビリティ活動を通じた、ブランドエクイティの強化
3.財務目標
・成長性 :EPS(1株当たり利益) 年平均成長率10%
・収益性 :ROIC(投下資本利益率) 中期経営計画最終年度に10%以上
・財務健全性 :自己資本比率 中期経営計画最終年度に40%以上
・株主還元 :総還元性向 中期経営計画期間累計で50%以上
このような経営環境の中、当社グループは、ニューノーマルと言われる時代に、より多様化していくお客様のご要望にお応えするために、中期経営計画「VALUES 2025」で掲げる重点戦略・財務目標の実現を目指すと同時に、コメダの経営方針QSC(Q:もっといいもの、S:もっといいこと、C:もっといいところ)のもとで、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、特定した優先的に取り組むべき13項目のマテリアリティ(重要課題)を「品質とお客様」、「人と働きがい」、「環境」、「地域コミュニティ」の4つのテーマに分類し、これらを日常の活動に浸透させることによって、中長期的な企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.進化するコメダブランド
当社グループでは、経営理念に掲げる「くつろぐ、いちばんいいところ」の実現に向け、地域に密着したお店づくりを通して、お客様を含む全てのステークホルダーの皆様の多様化する価値観(VALUES)に対応するため、提供価値の共創を行ってまいります。なお、4つのテーマごとの対処すべき課題は次のとおりです。
「品質とお客様に関するテーマ」
食の安全・安心に関する社会からの要請が非常に高まっている中、お客様に安全・安心なくつろぎを提供するために、当社グループが製造・仕入する食材におきましては、当社で定めている食品品質保証規程に基づき、食品衛生法やその他の関連法規及び条例を遵守しております。一部の仕入商品については、採用前の規格書の取得とその後の更新、製造工場の監査を実施し、初回生産にも立ち会うことで、安全で衛生的かつ品質の安定した商品であることを確認しております。
また、店舗衛生に関するルールを統一し、スーパーバイザーの店舗訪問時の衛生チェックや指導、外部専門機関による抜き打ちの衛生調査等により、その遵守状況を確認しております。
さらに、お客様に喜んでいただける美味しいメニュー、お得感、お値打ち感を提供することも大切なことだと考えております。定番メニューに加え、季節限定商品やコラボ商品など、お客様に楽しさを提供できるように、新商品の開発にも注力してまいります。
また、DXの推進によって、お客様の利便性向上やマーケティング機能の強化だけでなく、店舗でのオペレーションの効率化によりQSCも改善させ、お客様の体験価値を高めてまいります。
「人と働きがいに関するテーマ」
多様化するお客様のニーズに対応するために、年齢、性別、国籍などにかかわらず多様な人財がその能力を発揮でき、働きがいを感じる職場環境を整備してまいります。新型コロナウイルス感染症による環境変化が起きる中、お客様のご期待にお応えするためには、FC加盟店を含む店舗スタッフ及び本部社員の人財育成が最重要課題と考え、人財への投資を行ってまいります。
「環境に関するテーマ」
当社グループにとって最も大切な食材の1つであるコーヒー豆をサステナブルに生産された豆に切り替えました。地球温暖化の影響により高品質なアラビカ種は2050年までにその栽培地が半減すると言われており、当社グループにとっても気候変動への対応は重要な課題と認識しております。第一歩として、店舗・工場での再生可能エネルギーの導入などを継続して行っておりますが、これからも再生可能プラスチック素材への切り替えなどにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループが2017年から管理している「コメダの森」の間伐材を利用して、新築や改築の店舗で利用するなど、新たな取り組みも行ってまいります。
「地域コミュニティに関するテーマ」
今後の成長に向けて、国内・海外での新規出店や国内の古くなった店舗の改装などを通じて、お客様に“くつろぐ、「もっと」いいところ”をご提供してまいります。
「VALUES 2025」で掲げた「“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ」を実現するために、日々お客様と接しているFC加盟店及びその店舗スタッフを含めたコメダファミリー全体の活動を通して、お客様の体験価値を高め、それぞれの地域、社会の発展に貢献できるよう努めてまいります。
2.新しい共創価値の追求
ニューノーマルな社会においても、お客様に変わらず「くつろぐ、いちばんいいところ」を提供するには、コメダの「空気感」を磨き続けることが肝心です。体を休めるよりも、心を休めることを重視した、50周年のミッション宣言「心にもっとくつろぎを」は、多様化するお客様の価値観にベクトルを合わせ、より情緒的な新しい「くつろぎ」体験価値をお客様と一緒に共創していくことを宣言したものです。当社グループの新業態である、KOMEDA is □において、全てのメニューをプラントベースの食材で提供する試みは、多様化するお客様のニーズにお応えするための共創価値の一例です。今後もお客様の体験価値を高めるような新しいサービスや商品の開発を行ってまいります。また、既存事業モデルにはない機能や顧客ベースを獲得するために外部との提携や買収も積極的に検討してまいります。
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