業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1)経営成績

 当事業年度におけるわが国経済は、依然として多くの職種で深刻な人手不足感が強く、雇用者数の緩やかな増加が続いていることから、個人消費は堅調に推移しております。消費増税によるマイナス影響は、教育無償化などの負担軽減策により大幅に緩和される見通しで、今後も人手不足による底堅い所得の伸びが個人消費を下支えする見込みです。

 当社が属するリユース業界では、個人間取引でリユース品の売買を行う「フリマアプリ」の浸透などを背景に、市場全体としては広がりが見られます。一方でフリマアプリやシェアリングの流行による中古市場活況の中、ユーザーの選択肢が広がることで、サービスの選別がより厳しくなっていくことが見込まれます。このような環境の下、当社はリユース・ブランド及びファッション商品等(バッグ、洋服、時計、アクセサリ、財布、その他)に特化した買取・販売を、「ネット専業リユース事業」及び「その他事業」として展開してまいりました。

 

 買取面では、プレゼントキャンペーンやWEBページのSEO対策、リピーター施策等による訴求を着実に続けながら、WEB動画広告等を用いてターゲットを明確に絞った広告展開を行ってまいりました。買取商品としては、引き続きセカンドブランド(リユース品としての平均販売価格が1千円以上1万円未満となる商品)が中心でありますが、その中でも比較的高単価の商品(“セカンドハイ”商品)の買い取り強化をプロモーションした結果、買取単価が上昇いたしました。

 その結果、当事業年度における買取申し込み件数は412,714件(前年同期比6.3%減)となったものの、買取金額は7,261,181千円(同13.0%増)となりました。

 

 販売面では、商品単価の上昇等により売上総利益率は42.9%(前年同期比6.1ポイント減)となりました。今期のテーマである自社販路強化の取り組みといたしましては、ブランディア経済圏の機能拡充を目的として、2019年1月には購入金額の一部を手数料として支払うことで、最大10日間自宅で試着することができる「試着サービス」、2019年5月にはブランド品のサブスクリプション型シェアリングサービス「ブランディアレンタル」をそれぞれ開始し、ユーザーの「買う」「売る」の循環促進を図ると同時に、新たな「借りる」という選択肢も加えることで、より一層ユーザーのニーズに合った利用の促進のため努力してまいりました。「ブランディアレンタル」については、2019年7月にブランディアオークションのメニューとして追加し、本格的なサービスを開始しております。

 また、10連休となった今年のゴールデンウィーク中に遅れた未出品在庫は第4四半期会計期間に出品を強化し、売上高の増加を目指してまいりました。

 

 費用面では、引き続き出品業務の在宅ワーク化を進め、業務人件費を削減する一方で、広告宣伝費の費用対効果が改善した結果、当事業年度における広告宣伝費は1,360,464千円(前年同期比17.1%減)となりました。

 

 その他の取り組みとして、2019年9月に㈱wajaの営むマーケット事業の譲り受けを行いました。今回譲り受けた対象事業は、世界のバイヤーが現地で仕入れた商品等を販売する「WORLDROBE」など3つのマーケットが集まるマーケットモール「waja」(https://www.waja.co.jp/waja/)を展開しておりますが、その販路は主に自社サイトに留まっておりました。今回の当社との連携により、当社が既に保有しているさまざまな販売チャネルを同時に利用することで販売強化が図れます。また当社においてもこれまでにない新たな商材(含む新品商材)を取り込むことにより、品揃えの強化が一層進むことになります。

 今後は当社で購入された新品及び中古商品がブランディアの買取に回るというサイクルを作ることが出来ると考えておりますが、これは創業以来、リユース(中古)品に特化してきたサービスからの転換であります。この度の事業譲受が新品商品又はアウトレット商品を買いたいユーザー、海外のレアなブランド品を手に入れたいユーザー等のニーズを満たし、ブランディアが目指す世界観へ近づく、大きな一歩となると考えております。

 

 当社は、中長期的な利益成長のために、自社販路の売上高比率を高めることが必要と考え、期初から戦略的投資を行っておりましたが、第1四半期の暖冬による冬物商材の販売不振及び自社販路の集客の遅れ等により、売上高の伸びに当初の見通しよりも時間を要したこと、また2019年10月1日の消費増税前に増加を見込んでいた中高額商材の販売が想定より伸び悩んだこと等を受け、売上高は11,460,388千円(前年同期比0.9%減)、営業利益は33,877千円(同92.0%減)、経常利益は60,773千円(同85.9%減)、当期純利益は40,338千円(同86.3%減)となりました。

 セグメントの経営成績は次のとおりであります。

(1) ネット専業リユース事業

 ネット専業リユース事業については、引き続き広告宣伝費の投下により買取商品が増加したものの、自社販路の集客の遅れ等による販売の減少、及び売上総利益率の低下によるセグメント利益の減少の結果、外部顧客に対する当事業年度の売上高は10,841,447千円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益(売上総利益)は4,790,876千円(同13.4%減)となりました。なお、当事業は2019年9月に行った事業の一部譲受の影響を含んでおります。

(2) その他事業

 その他事業については、法人向けの卸販売よりも個人向けのインターネット販売(ネット専業リユース事業での販売)を優先したこと等により減少し、外部顧客に対する当事業年度の売上高は618,941千円(同6.4%減)、セグメント利益(売上総利益)は127,220千円(同7.9%減)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて880,884千円減少し、1,114,217千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末において営業活動により使用した資金は796,101千円(前年同期は344,868千円の使用)となりました。これは主に、たな卸資産の増加717,161千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の投資活動により使用した資金は37,959千円(前年同期は134,534千円の使用)となりました。これは主に、事業譲受による支出20,794千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の財務活動により使用した資金は45,520千円(前年同期は10,988千円の獲得)となりました。これは配当金の支払いによる支出45,520千円によるものであります。

 

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)仕入実績

 当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。なお、仕入については、各セグメント共通で行っているため、セグメント別の数値は記載しておりません。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年10月1日

至 2019年9月30日)

(千円)

前事業年度比(%)

共通

7,261,181

113.0

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注実績

 該当事項はありません。

 

(4)販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年10月1日

至 2019年9月30日)

(千円)

前事業年度比(%)

ネット専業リユース事業

10,841,447

99.4

その他事業

618,941

93.6

合計

11,460,388

99.1

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて136,510千円減少し、3,773,694千円(前事業年度末比3.5%減)となりました。これは主に、現金及び預金が988,344千円減少したものの、商品が718,890千円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて58,641千円増加し、496,842千円(同13.4%増)となりました。これは主に、㈱wajaからの事業の一部譲受に伴い、のれんが45,028千円、繰延税金資産が38,712千円増加したものの、有形及び無形固定資産については純額で16,336千円減少したことによるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて76,413千円減少し、519,749千円(同12.8%減)となりました。これは主に、未払金が84,463千円、未払法人税等が52,114千円減少したものの、事業の一部譲受に伴い、預り金が53,457千円増加したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて3,830千円増加し、136,251千円(同2.9%増)となりました。これは資産除去債務が3,830千円増加したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて5,286千円減少し、3,614,535千円(同0.1%減)となりました。これは主に、繰越利益剰余金が4,094千円減少したことによるものであります。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、当事業年度の上半期の暖冬による冬物商材の販売不振及び自社販路の集客の遅れ等により、売上高の伸びに当初の見通しよりも時間を要したこと、また2019年10月1日の消費増税前に増加を見込んでいた中高額商材の販売が想定より伸び悩んだこと等を受け、前事業年度に比べて108,320千円減少し、11,460,388千円(前期比0.9%減)となりました。

(売上原価)

 当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べて643,817千円増加し、6,542,291千円(前期比10.9%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて362,025千円減少し、4,884,220千円(前期比6.9%減)となりました。これは主に、広告宣伝費の費用対効果を高めるためにターゲットを明確に絞って広告展開を行ったことにより広告宣伝費が減少(同279,711千円減少)、出品業務の在宅ワーク化に伴い、直接雇用のアルバイトスタッフを減らしたことにより雑給が減少(同103,688千円減少)、また売上高に連動して物流費用が減少(同6,884千円減少)したことによるものであります。

 以上の結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べて390,112千円減少し、33,877千円(同92.0%減)となりました。

 また営業利益率は、前期比3.4ポイント減の0.3%となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べて2,705千円減少し、28,199千円(前期比8.8%減)となりました。これは主に、前事業年度特有の保育所の内装工事等に対する補助金が当事業年度に発生せず、助成金収入が減少(同14,827千円減少)した一方で、保育料金や前事業年度に係る消費税の払い戻しなどによる収入が増加(同12,131千円増加)したことによるものであります。

 また営業外費用は、前事業年度に比べて23,813千円減少し、1,302千円(同94.8%減)となりました。これは主に、前事業年度特有の東証第一部指定替えに伴う上場関連費用23,359千円が発生しなかったことによるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べて369,004千円減少し、60,773千円(同85.9%減)となりました。

 また経常利益率は、前期比3.2ポイント減の0.5%となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純利益)

 当事業年度及び前事業年度の特別利益及び特別損失は発生しておりません。

 この結果、当期純利益は、前事業年度に比べて254,238千円減少し、40,338千円(同86.3%減)となりました。

 また当期純利益率は、前期比2.1ポイント減の0.4%となりました。

 

(4)流動性及び資金の源泉

(キャッシュ・フロー)

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金需要)

 当社の資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。

 運転資金需要のうち主なものは商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に倉庫の建物附属設備や機械装置等固定資産購入によるものであります。

 

(財務政策)

 当社は現在、運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金又は社債等により調達を行 方針 であります。

 

 

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