課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「私たちは既成概念にとらわれず、新たな価値を見出し、デファクトスタンダードを作り出します。」を企業理念とし、中長期ビジョンとして、ブランド品を“お得”で“便利に”、インターネット上で安心してご利用いただけるサービス構築を掲げ、その実現に努めております。

 

(2)経営環境

 当社が属するリユース業界においては、個人間取引でリユース品の売買を行う「フリマアプリ」の浸透などを背景に、市場全体としては広がりが見られ、中長期的には引き続き更なる市場の成長が見込まれておりますが、一方で短期的には、リユースサービスの利便性が向上し、選択肢が広がる中で、ユーザーによるサービスの選別が厳しくなっていくことが見込まれます。

 当社は、拠点の一極集中及び過去の膨大な買取実績データを基にした買取査定のシステム化による非属人化を強みとして、個人向けブランド、ファッション買取専門サイトの「ブランディア」を運営し、店舗を持たない宅配買取に特化したサービスを提供して まいりました。これにより、オペレーションコストを抑えることで、利幅が低く店舗型のリユースショップでは取り扱えない、 低単価アパレル ”商品(商品ジャンルが洋服であって、リユース品としての平均販売価格が数千円の商品)を主たる収益源として成長してまいりましたが、今後は個人間取引市場(いわゆる 「フリマアプリ」 )等との差別化も意識し、“セカンドハイ”商品(リユース品としての平均販売価格が1万円近辺の商品)の買取及び販売強化が必要と考えております。

 

(3)経営戦略

 当社の今後の業容拡大にあたっては、販売力の強化こそが最重要と考え、以下の対処すべき課題に取り組んでまいります。

 

(4)対処すべき課題

①販売戦略について

 当社が行うリユース品の販売において、これまでは、ヤフー㈱が提供するインターネットオークション「ヤフオク!」を主力として、当社が運営する「ブランディアオークション」、楽天市場、eBay等のオークション・ECサイト等の多数のチャネルに同時出品してまいりました。

 一方、当社運営の販売サイト「ブランディアオークション」の拡大については、今期の重要な戦略テーマと位置づけ、当社売上高に占める構成比は、2018年9月期は売上高全体の31.8%から、2019年9月期は33.4%へと引き上げてまいりました。今後も自社販路をさらに強化する上で、以下の3点が重要と考えております。

 

イ.品揃えの拡大

 当社の取扱商品はセカンドブランド(リユース品としての平均販売価格が1千円以上1万円未満となる商品)が中心でありましたが、今期はその中でも比較的高単価の商品(“セカンドハイ”商品)の買い取り強化を進めて品揃えの強化を図ってまいりました。

 また、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要 (1)経営成績」に記載させて頂くように、2019年9月に㈱wajaの営むマーケット事業の譲り受けを行いましたが、この事業譲受により、自社販路へ国内未発売のインポート商品や新品商材が新たに追加され、品揃えの拡大に寄与いたしました。今後も、wajaを通じて商品拡充を進めてまいります。

 

ロ.サイト利便性の向上と集客

 世の中にはファッション、ブランド品の購入可能なWEBサイトが多数存在いたしますが、大量の商品から自分の趣味趣向に合った商品を選ぶには、まだまだ不便があるものと考えております。当社はブランド品に特化し、画像認識、AI、機械学習などを用いて偶発的な商品との出会いから、より精度の高いレコメンドなどを通して、ユーザーの求める商品が見つけやすいWEBサイトを提供したいと考えております。また、この自社販路への集客においては、当社が創業以来構築したさまざまな販路からの誘導により、効率の良い集客を目指してまいります。

ハ.当社ならではの差別化サービスの創造

 ユーザーは、ブランド品を手に入れる際、また手に入れた後にさまざまな課題を抱えていると当社は考えており、それらを解決するサービスを生み出すことによって、ユーザーに選ばれるサービスを創造してまいります。当事業年度に開始した「試着サービス」は、ユーザーがブランド品を手に入れる前の不安を一部解決できたと考えており、今後も引き続きこのようなサービスを生み出すことで、他社との差別化を図ってまいります。

 

②商品買取の強化について

イ. 新規ユーザーの開拓

 近年、リユース市場は拡大傾向にあるものと考えられますが、2017年3月に公表された「2016年度 使用済製品等のリユース促進事業報告書」(環境省)によると、過去1年間の不用品の売却・引渡しの未経験者の割合は約6割である一方で、リユースの取組意向は約9割と高いことから、リユースに関する潜在的需要は相応の規模であるものと考えられます。

 当社事業においては、これらの潜在的需要を開拓していくことが事業成長において重要であると考えております。特に、新規ユーザーの獲得においては、当社サービスがインターネット専業であり非対面での取引に終始する形態であるため、ユーザーが査定品を当社に預けることに不安を感じるという側面があります。

 当社は、業務フローを整備して商品管理を徹底し、またプロモーション活動において安心・信頼感を醸成していくことで、新規ユーザーの開拓を推進しており、今後も一層の強化を実施していく方針であります。

 併せて、過去、自社販路で商品販売を行った、買取サービス未経験の顧客に対し「下取り」サービス等を訴求することで、循環型のブランディア経済圏の確立も進めてまいります。

 

ロ. 既存ユーザーの活性化

 当社の業容拡大においては、新規ユーザーの開拓と並行して既存ユーザーを活性化することが重要と考えております。既存ユーザーに対してはリピータビリティと買取単価の引き上げを狙うため、メールマガジンやダイレクトメールを中心とした定期的なコンタクトを図っております。その結果、延べ約308万人・約140万ユニークユーザー(2019年9月30日時点)の既存ユーザー中、2度以上当社サービスを利用されるユーザーは約44万人にまで拡大しております。さらに、利用実績に応じたユーザーランク別のアプローチにより、延べユーザー数に対する当社基準による優良顧客(当社との取引において、累計100,000円以上の買取金額が発生しているユーザー)の買取金額割合は、2011年9月期の約19%から2019年9月期には約54%まで高まっており、今後も継続的に引き上げを図ってまいります。

 

ハ.“セカンドハイ”商品に対する戦略的買取値付け

 上記「①販売戦略について」に関連して、自社販路の拡大には幅広い品揃えが重要と認識しております。従来当社が収益源としていた“低単価アパレル”商品(商品ジャンルが洋服であって、リユース品としての平均販売価格が数千円の商品)に加え、今後は“セカンドハイ”商品のさらなる買取強化が必要と考えております。

 そのため、これら“セカンドハイ”商品に対しては、従来よりも高い買取価格を提示する「戦略的買取値付け」を行い、幅広いユーザーから商品を集められるよう努めてまいります。

 

③事業成長に向けた買取・販売体制の強化

 当社では、より多くのユーザーの買取・購買ニーズに迅速に対応するための人材確保が課題と考えております。そのため、各業務に即した自社システムの開発及び活用による業務オペレーションの仕組化・効率化の推進、人材の早期育成のための査定・出品業務等の各種業務に応じた研修カリキュラム策定等により、確保した人材の早期戦力化を図っております。さらに、梱包、配送の業務負担を軽減するため、在宅、社外で業務を行う人材への梱包業務等の在宅ワーク化(アウトソース化)を進めております。

 今後も、パート・アルバイトを含めた多様な人材の確保及び繁忙期及び業務集中時期におけるアウトソースの活用等を推進することで、より効率的に事業を拡大できるよう体制構築に努めてまいります。

 

④技術革新への対応について

 当社は、インターネットを活用したEC事業を展開しておりますが、EC事業は技術革新及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われる変動の激しい業界であります。当社においては、組織的なエンジニアの採用及び育成に努め、自社開発による買取査定アプリのリリースやスマートフォン向け広告施策の実施等を推進しておりますが、今後においても、より一層の開発力の強化に努めてまいります。

⑤新たな事業への取組みについて

 当社は、自社において蓄積するブランド・ファッション分野のリユース品にかかる買取・販売データや査定・真贋鑑定ノウハウ、自社物流拠点を保有していることによる物流ノウハウ、在宅ワーカー管理ノウハウ、「ブランディア」のブランドイメージ及びサイト集客ノウハウ等は有用な資産であり、今後の業容拡大にあたってはこれらの資産を有効活用することが必要と考えております。

 2019年5月に始めた「ブランディアレンタル」では、これまでのユーザーの「買う」「売る」の循環に加え、新たな「借りる」という選択肢も加えることで、より一層ユーザーのニーズに合った利用を模索してまいりました。今後においても、当社保有資産を活用した事業展開について、継続して検討していく方針であります。

 

 

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