課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループでは、日本経済の原動力であり続けたいという想いから、「日本の会社を元気にする一番の力へ。私たちNo.1はトータルビジネスパートナーとしてお客様を支え、日本経済の原動力になります。」を経営理念に掲げ、「皆様のNo.1ビジネスパートナー セキュリティ&ソリューション 最先端の情報活用で企業成長を支援。」を経営ビジョンとして企業価値の向上を図り、当社グループのステークホルダーの皆様のご期待にお応えできるよう事業活動を展開しております。

 

(2) 経営環境

2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令される等、経済活動に大きな制約を受けました。その後、新型コロナ第5波に対する緊急事態宣言の解除や感染者の減少もあり経済活動は徐々に正常化に向かうものの、新たな変異株の出現や半導体や電子部品をはじめとする供給制約によるサプライチェーンの混乱など、国内景気は先行き不透明な状況が続きました。

また、不安定な国際政治情勢による世界経済の混乱や先進諸国の資源価格の高騰などにも引き続き注視が必要な状況となっております。

加えて、ここ数年頻繁に発生する自然災害など気候変動等の環境変化、少子高齢化による人口動態の変化と働き方改革への対応、失業者の増加や経済的格差拡大による社会の分断化など、全産業を取り巻く社会環境は急速に変化しており、企業はこれらの変化をしっかりと見通しながら事業運営を行っていく必要があります。

一方、インターネットが普及して以来、テクノロジーは飛躍的なスピードで進化し、世の中の変革を強力に推し進めてきました。先進国の中でも生産性が低いとされてきた日本の社会、企業においても、少子高齢化や人手不足を解消するため徐々に改善を進めている状況でした。しかし、このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大は、とかく長年の慣習にとらわれがちな日本の社会に根本的な変革をせまり、その背中を強力に押すきっかけになったことは否定できません。

このような経営環境の大きな変化の中で、企業は顧客へ何をどう提供して行かなければならないか、ひいては社会へ何を還元して行かなければならないかを、企業自身が改めて方針と戦略を熟考し、自ら変革して行かなければならない状況にあると考えています。当社の祖業であるOA機器市場は、世界的なペーパーレス、電子化の影響によって年々縮小傾向にあり、今後の市場の成長は期待できない状況にあります。一方、数年前より取り組んできた情報セキュリティ機器市場は、中小企業にもIT化が進みつつある近年、サイバー攻撃が徐々に高度化し、各企業にもその対策の必要性が生じており、ニーズが顕在化してきました。今後「第四次産業革命」と呼ばれる全産業のデジタル化が急速に進行し、中小企業においても情報セキュリティ対策の需要は一層高まって来ると予想しておりましたが、そこへ新型コロナウィルスの感染拡大が押し寄せ、今後はWithコロナを前提とした社会になることは必然であり、企業はそれに基づいた経営戦略を構築して行かなければなりません。

 このような経営環境を前提として、2020年度上期より当社の今後の進むべき方向性について検討を重ねてまいりました。その結果、2024年2月を最終とする新中期経営計画を策定し、2020年11月、内外に発表をいたしました。この計画を着実に実行することによって、変化の激しい経営環境へ対処して行きたいと考えております。

 

(3) 目標とする経営指標

当社は2020年11月に新中期経営計画を立てました。その事業戦略を着実に実行することによって、最終年度である2024年2月期に売上高 (収益認識基準の適用後)13,299百万円(注1)、営業利益1,280百万円、営業利益率 9.6%(注2)、EBITDA 1,367百万円という経営指標の達成を目標としております。特に、営業利益率の改善に向けては、収益性と成長性の高い事業に力点を置き、事業構造を進化させ、収益性の向上と資本の効率性を追求していきます。

 

売上高

13,299百万円

営業利益

1,280百万円

営業利益率9.6%

EBITDA

1,367百万円

(注)1.当初(収益認識基準の適用前)の売上高目標は15,500百万円

   2.当初(収益認識基準の適用前)の営業利益率目標は8.3%

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、OA関連商品の販売、メンテナンスを礎とし事業を成長させてきました。新経営体制に移行した2008年以降、成長スピードを加速し、情報セキュリティ機器の販売やビジネスサポート事業へとビジネスの領域を広げ一定の成果を上げてまいりました。

2019年2月をスタートとする中期3ヶ年計画の目標売上高100億円を1年前倒しで達成できる見込みとなったため、2020年11月に更なる成長を目指し「新中期経営計画」を発表いたしました。

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当社の主たる事業対象である小規模企業(社員数10名未満、国内で約380万社あり)を取り囲む環境は大きく変化し多様化しております。このような環境下、当社グループでは、経営者が直面するあらゆる課題解決に当たるため、従来のハードの販売を中心としたビジネススタイルから、ソフトウェア、サービスまでワンストップでソリューション提案できる体制を整備し、中小企業にとって不可欠なプラットフォームのような存在となるべく「Be a Platformer」というテーマを新中期経営計画の経営戦略として掲げました。具体的には子会社化した株式会社アレクソンの開発・製造機能と連携した高機能かつ低コスト商品のタイムリーな提供、ITサポートから経営相談まで顧客の実質的な利益へ貢献するビジネスサポート、更にはクラウド型のプラットフォームを構築し巧妙かつ複雑化しているサイバー攻撃に対する多層防御セキュリティシステムの強化、外部のクラウドベンダーが提供するIaasとその運用・保守を行うマネージドサービスの提供など、従来の機能を大きく拡充し、新中期経営計画で目標とした経営指標の達成を目指してまいります。経営者へ直接面談できるというのが当社の強みであり、小規模企業特有の決裁の速さが当社のスピードある事業構造の一因でもあります。当社は現時点で約15,000社のアクティブユーザーを保有しており年々その数を増加させております。商品の単一契約ではなく、他の機種や各種サービスによる複合取引につなげ長期にわたる関係を構築して行きたいと考えております。

 

当社グループは経営基盤の更なる安定と企業価値の継続的な向上を目指し、新中期経営計画で示した5つの重点施策を経営課題とし目標の達成を図ってまいります。

 

(5)対処すべき課題

 当社が対処すべき課題とする重点施策は以下のとおりです。

① アレクソン社とのシナジー効果発揮

 2020年7月のアレクソンを子会社化し、ネットワーク・セキュリティ関連機器の企画、開発、製造、販売を行い、当社の販売ルートにて拡販をしてまいりました。以来、当社とアレクソンのシナジー効果が継続し、当社グループの売上・利益の拡大に寄与しております。中でも情報セキュリティ投資の堅調な需要に応え、当社グループの特徴であるマーケットイン型商品の販売が堅調に推移しております。また、世界的な半導体不足が見られる中、部材調達に注力し安定供給を実現した結果、他メーカーからの顧客流入により売上が更に増加しました。

 今後の課題として、ハード機器に同梱するソフト開発を新たに手掛け、製造コストの削減と製品開発スピードの向上を図るとともに、サイバー攻撃の脅威の増大と共に世の中の情報セキュリティニーズに対処するため、開発・製造の体制強化に引き続き取り組んでまいります。

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② ソリューション営業の深化 -ストック収益の拡大-

 当社グループは、新中期経営計画(以下「新中計」という。)におきましても高い成長率を確保する要素として、顧客との信頼関係の強化を図りながら、ストック型収益の増加を重要な課題と認識しております。2020年9月に事業主に対して、ネットワーク関連のサポートや経営相談までのハードの保守にとどまらない課題解決型のトータルソリューションを提供するため、No.1ビジネスサポートの提供を開始しております。

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 今後も増員を行いながらサービスラインナップを拡充させ、ARPUを向上してまいります。また、顧客ごとにビジネスコンサルタントを配置するとともに、コールセンター機能を強化し、顧客との接点を増やすことで課題やニーズの把握を継続的・組織的に行う体制に移行し、マーケットインの姿勢をさらに深化させてまいります。

 

③ ハード✕ソフト -情報セキュリティ領域の拡大-

 IoT機器及びシステム等の発展により利便性が高まる一方で、インターネットを介したサイバー攻撃による事故が多発しております。しかしながら、適切な情報セキュリティやネットワークの環境構築や専門性を有した人材確保については、多くの中小零細企業が手をこまねいているのが現状です。そのような中、当社では、お客様のネットワーク環境のリモート診断を行い、お客様のネットワーク環境の課題に合わせたセキュリティ商品の提供を行っております。2021年4月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるリモート就業の需要に対応し「TeleworkStation」をリリースした結果、販売台数は約1年をかけて堅調な伸びを見せております。

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 今後の商品開発については、アフターコロナを見据えた上で、「情報のセキュリティ」の領域を拡大し、ハード×ソフトの概念を超え、かつ「プロテクト」という観点での商品サービスへの進出を検討してまいります。

 

④ クラウド型サービスの開発

 2020年6月、M&AによりNo.1デジタルソリューションを子会社化し、インターネット関連システム及びアプリの開発事業を手掛けてきました。フルマネージドクラウドサービス「デジテラス」は2022年2月期において大型案件を複数受注し、開発、構築、運用まで一気通貫のサービス提供を開始しており、事業基盤の整備(人的・物理的な投資の実施)がほぼ完了しております。

 今後におきまして、営業部門との連携をより強化することで顧客開拓の強化を行い、更に日本オラクル社との連携強化によりフルマネージドクラウドサービス「デジテラス」の拡販を進めることで、ストック収益の向上を図るとともに、当社グループ各社とのアライアンスも強化してまいります。

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⑤ M&A・事業提携・新規事業

 当社グループは、2019年4月、株式会社光通信との合弁会社としてNo.1パートナーを設立し、主にWebマーケティングによる法人・事業主向けモバイルWi-Fiを販売してまいりました。今後におきまして、ストック収益の更なる増加に向けた商品ラインナップの拡充や、当社グループ各社とも連携を強化することで、IoT・DXの導入に必要となる通信関連商品や新規サブスクモデルのサービスを検討してまいります。

 これまでのM&Aに関しては、アレクソンの業績の牽引が奏功しており、また、同時期にM&AをしたNo.1デジタルソリューションにつきましても、グループ連結の収益貢献に向けた体制整備の投資が概ね完了し、今後の収益貢献を見込んでおります。

 今後も更なる成長に向け、当社とシナジー効果の高いM&Aやアライアンスを行い、事業領域の拡大とビジネスモデルの変革を加速させてまいります。

 

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⑥ 経営理念及び経営ビジョンの浸透と体現

 企業が長期にわたり市場における競争力を確保し、発展していくためには、社会の一員としてステークホルダーの皆様から必要とされる存在であり続ける必要があります。その為、当社グループはその核となる経営理念を従業員一人ひとりが理解し、体現することが重要な課題であると考えております。

 当社グループは、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」を経営理念とし、経営ビジョンには「皆様のNo.1ビジネスパートナー」を掲げ事業運営を行っております。この経営理念及び経営ビジョンは、すべての顧客のビジネスパートナーとして企業を支え、日本経済の原動力であり続けたいという想いを込めたものであり、これらを社員のあるべき考え方と行動規範を示すNo.1フィロソフィに落としこむことで、従業員の理解を向上させるとともに、評価制度や採用基準、社内専用ポータルサイトのコンセプトに取り込み、社内への浸透と体現を図ってまいります。

 

⑦ 人材の採用、育成について

 顧客より末永く支持を受け顧客満足度を向上させるには、商品による物質的な満足だけでなく、顧客が問題とするテーマを発見し、的確なアドバイスと解決策を提示できる人材が必要です。

 当社グループは、これらを実践する為に必要な資質や能力を身に付ける教育システムを継続的に制度化していくことが必要であると考えております。現時点では、入社後の導入研修、定期的なOJTによる商品研修とスキルアップ研修等の各種研修及び従業員が自発的にスキルアップに取組める資格取得奨励制度を整備し、有効に機能していると認識しておりますが、更なる強化を図ってまいります。また、新中計に掲げた「Be a Platformer」を目指すためには優秀な人材の採用が欠かせません。新卒のみならず、中途採用の方にとっても魅力ある会社となるため、人事制度、福利厚生の内容を見直していきます。また、重要施策の一つであるビジネスサポートの要員であるビジネスコンサルタントは、新中計期間を通じて100人の登用を目標とし、増強を進めてまいります。

 

⑧ ESGへの取組み

 今後、企業が長期的に成長するためには、ESG(環境、社会、企業統治)への取組みは必要不可欠なものとなっております。当社グループでは積極的に取り組み、社会へ貢献できる企業を目指してまいります。

イ.コーポレート・ガバナンス体制の強化

 コーポレート・ガバナンス体制を一層強化するために2020年8月に「指名・報酬諮問委員会」を設置し、当委員会における協議を経て、取締役会に対して適宜必要な答申を行いました。また、2021年5月に社外取締役を複数化し、ガバナンス体制を強化しております。

 引き続き、取締役の指名や報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性及び監督機能の強化を図り、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

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ロ.環境、社会への対応

 当社グループでは東京物流センターにおいて障碍者を継続雇用しております。また回収した中古複合機(MFP)のパーツ活用、リファイニングにより、販売もしくはレンタルなどリユースを行っております。安心・安全に働く職場づくりを支援する環境・衛生商材を展開しております。

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 以上により、当社グループは積極的に新たな分野への挑戦を行い、他社との差別化を明確にすることで、より一層の事業の拡大と収益性、資本効率の改善を図り、継続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

 

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