業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、原油・原材料価格の高騰に加え、新型コロナウイルス感染症による度重なる緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の実施から、企業活動や個人の消費行動が制限され、引き続き厳しい状況で推移しました。

 ワクチン接種率の増加や水際対策措置の緩和など、経済活動が再開され景気回復の兆しが見え始めましたが、ロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的な価格高騰・供給不安や新たな変異株による感染拡大第7波への懸念から、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、国内染色加工事業では、抗菌・抗ウイルス・防炎・撥水加工など当社グループの加工技術を活かした商品開発や素材提案に注力すると共に、原材料・エネルギー価格の高騰、小ロット生産に対応するための体制の構築に向け、効率化・合理化を推進しました。

 また、SDGs達成に向け、環境に配慮した節水活動、CO2排出量削減、薬品の再利用や使用量削減などの取組みを続けております。

 海外染色加工事業におきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やエネルギー・原材料価格の高騰など厳しい環境の中、生産性の向上やコストダウン活動の推進、生産体制の見直しを実施しました。

 縫製品販売事業では、抗菌・抗ウイルス商品の提案・販売に注力するも、コロナ禍にて海外縫製品の輸入・販売に苦戦しました。

 保育サービス事業では、認可保育園3件、企業内保育所8件の新規開園に加え、次年度に向けた企業内保育所の運営受託、新規保育園2件の認可取得および事業エリア拡大に注力しました。

 洗濯事業では、ホテルリネンの部分的な回復、その他商材の取込みによる商量増加や生産体制の見直しによるコストダウンに注力しました。

 これらの結果、売上高は11,142百万円(前期比4.9%増、518百万円増)となり、営業利益は73百万円(前期は営業損失148百万円)、経常利益は115百万円(前期は経常損失69百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は48百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失174百万円)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

a.染色加工事業

 染色加工事業は、売上高は7,983百万円(前期比9.8%増、710百万円増)となり、営業損失は71百万円(前期は営業損失260百万円)となりました。

 染色加工事業における部門別(加工料部門、テキスタイル販売部門)の業績は次のとおりであります。

(加工料部門)

 国内では、資材用途やユニフォーム関連、抗菌・抗ウイルスなどの特殊加工受注を取り込み、前年同期比13.8%の増収となりました。海外では、インドネシア子会社において、新型コロナウイルス感染拡大に対する大規模社会活動制限措置の緩和に伴い受注が回復基調にあり、前年同期比45.2%の増収となりました。一方、タイ国子会社においては、輸出及び国内消費が依然として低迷しており大幅減収となりました。

 これらの結果、加工料部門の売上高は6,619百万円(前期比16.5%増、936百万円増)となりました。

(テキスタイル販売部門)

 国内では、カジュアル・ユニフォーム用途の販売不振に加え、前期は国内・海外におけるマスク用途の生地需要があったため、大幅な減収となりました。

 これらの結果、テキスタイル販売部門の売上高は1,363百万円(前期比14.2%減、226百万円減)となりました。

b.縫製品販売事業

 縫製品販売事業は、抗菌・抗ウイルス加工を施した光触媒マスクやユニフォームマスクなどの販売に取り組みましたが、各地でのイベントの中止に伴う関連商品や布製・不織布マスク、海外縫製品の販売が大幅に減少した結果、売上高は208百万円(前期比64.9%減、385百万円減)、営業損失は13百万円(前期は営業利益16百万円)となりました。

c.保育サービス事業

 保育サービス事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による利用者数の減少はあったものの、拠点数増加により増収となりました。また、働き方改革を推進した結果、離職者の減少による新規採用費の削減により、売上高は2,755百万円(前期比5.5%増、143百万円増)、営業利益は82百万円(前期比31.6%増、19百万円増)となりました。

d.倉庫事業

 倉庫事業は、新規取引先の開拓による売上増加に加え、各種費用の見直しに注力した結果、売上高は242百万円(前期比12.8%増、27百万円増)、営業利益は30百万円(前期比193.2%増、19百万円増)となりました。

e.機械販売事業

 機械販売事業では、国内向け営業は一部再開したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による海外渡航制限から海外での保守点検作業や営業活動を実施することができず、新規設備の受注・販売は低迷しており、売上高は33百万円(前期比78.2%減、118百万円減)、営業損失は17百万円(前期は営業利益20百万円)となりました。

f.洗濯事業

 洗濯事業は、新規取引先の開拓及び既存客先との取組強化に加え、自治体による観光事業者支援策によりレジャー用途のホテルリネンが増加しました。取扱数量の増加による生産性の向上、生産体制・生産シフトの見直しを実施した結果、売上高は91百万円(前期比41.9%増、27百万円増)、営業損失は6百万円(前期は営業損失48百万円)となりました。

g.その他事業

 当セグメントには、システム事業、不動産賃貸事業が含まれており、売上高は86百万円(前期比11.7%減、11百万円減)、営業利益は69百万円(前期比12.6%減、10百万円減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、営業活動により57百万円の増加、投資活動により123百万円の増加、財務活動により49百万円の減少となった結果、前連結会計年度末と比べ、186百万円増加し2,321百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益176百万円、減価償却費419百万円、売上債権の増加223百万円、棚卸資産の増加151百万円、未払費用の増加57百万円、法人税等の支払79百万円等により57百万円の収入(前期は319百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出234百万円、投資有価証券の売却による収入133百万円、定期預金の払戻による収入139百万円等により123百万円の収入(前期は359百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入れによる収入900百万円、長期借入金の返済による支出750百万円、リース債務の返済による支出97百万円、配当金の支払額64百万円等により49百万円の支出(前期は114百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における染色加工事業の生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

 至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

染色加工事業      (千円)

7,432,114

16.8

 (注) 金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における染色加工事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

染色加工事業

8,224,976

14.7

747,825

47.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

 至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

染色加工事業

 

 

加工料部門      (千円)

6,619,489

16.5

テキスタイル販売部門 (千円)

1,363,770

△14.2

染色加工事業 計    (千円)

7,983,260

9.8

縫製品販売事業     (千円)

208,727

△64.9

保育サービス事業    (千円)

2,755,194

5.5

倉庫事業        (千円)

242,114

12.8

機械販売事業      (千円)

33,061

△78.2

洗濯事業        (千円)

91,553

41.9

その他事業       (千円)

86,670

△11.7

 小計          (千円)

11,400,583

3.6

セグメント間取引    (千円)

△257,783

 合計          (千円)

11,142,800

4.9

 (注) 主な相手先の販売実績については、総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(連結業績)

 当社グループは、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上を経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標としておりますが、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により国内、海外とも受注が大幅に減少したことで、当連結会計年度のROEは0.8%(前連結会計年度は△2.9%)となりました。

 売上高11,142百万円(6期ぶりの増収)、営業利益は73百万円、経常利益は115百万円、親会社株主に帰属する当期純利益48百万円と各利益段階で黒字となりました。

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、11,142百万円(前期比4.9%増、518百万円増)となりました。

 要因は染色加工事業(前期比9.8%増、710百万円増)の増収であります。

 売上高の71.6%を占める染色加工事業のうち、主力の加工料部門にて、国内においては資材用途やユニフォーム関連、抗菌・抗ウイルス加工などの特殊加工受注を取り込み、海外では、特にインドネシアにおいて、新型コロナウイルス感染症に対する大規模社会活動制限措置の緩和に伴い受注が回復基調にあり、前期比604百万円の増収となりました。

 セグメント別売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、1,501百万円(前期比10.0%増、136百万円増)となりました。また、売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.6ポイント改善し、13.5%となりました。

 染色加工事業の受注増加による生産性の向上により、連結全体で前期比0.6ポイントの改善となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、73百万円(前年同期は営業損失148百万円)となりました。

 

b.財政状態の分析

<資産>

 資産合計は13,384百万円で、前連結会計年度末比476百万円の増加となりました。

 流動資産は5,968百万円で、前連結会計年度末比525百万円の増加であり、受取手形及び売掛金の増加250百万円、原材料及び貯蔵品の増加73百万円、仕掛品の増加96百万円が主な要因であります。

 固定資産は7,415百万円で、前連結会計年度末比49百万円の減少となりました。これはリース資産の減少49百万円、投資有価証券の増加88百万円が主な要因であります。

<負債>

 負債合計は6,228百万円で、前連結会計年度末比181百万円の増加となりました。

 流動負債は3,198百万円で、前連結会計年度末比122百万円の増加であり、これは支払手形及び買掛金の増加30百万円、電子記録債務の増加22百万円、短期借入金の増加60百万円、未払費用の増加52百万円が主な要因であります。

 固定負債は3,030百万円で、前連結会計年度末比58百万円の増加であり、これは長期借入金の増加90百万円、退職給付に係る負債の減少50百万円、繰延税金負債の増加16百万円が主な要因であります。

<純資産>

 純資産合計は7,155百万円で、前連結会計年度末比294百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加48百万円、配当金支払による減少64百万円、投資有価証券の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金の増加81百万円、非支配株主持分の増加149百万円、為替換算調整勘定の増加100百万円が主な要因であります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要の主なものは、染料、薬品などの原材料のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本としております。

 資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借り入れを基本としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得