事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがあります。記載内容のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済情勢の変化に関するリスク

 当社グループの取り扱う商品・サービスは、いわゆる基礎的支出の対象(生活必需品)ではなく、選択的支出(嗜好品)の対象ととらえられており、一般に選択的支出(嗜好品)は、収入面での不安がもたらす家計の防衛意識などから、支出抑制の対象となりやすい傾向にあります。当社グループは、収益の大部分を日本国内で得ているため、日本の経済情勢の影響を強く受けます。このため消費税増税等の政策や自然災害等日本固有の要因はもとより、地政学リスクや原料高等に起因する世界的な経済活動の低迷等が日本の経済情勢に悪影響を与え、当社グループの収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)消費者の嗜好の変化等に関するリスク

 当社グループが取り扱う衣料品、服飾・生活雑貨を中心としたファッション業界は、ファッショントレンドの移り変わりによる消費者の嗜好の変化の影響を大きく受けます。ファッショントレンドについては、SNSの浸透等により情報の発信源が広がっていることや、中長期的にはより低価格の商品が嗜好される傾向にある一方で、近時は相応の品質を備えた商品が好まれるトレンドも一部で見られるなど、消費者の嗜好は多様化しており、これを正確に予測することは従来に比して困難になっております。

 当社グループは多くのブランドを複数の販売チャネルで展開することで消費者の多様な嗜好に対応していく所存ですが、現時点で当社グループがその収益の大半を得ているブランド事業において、当社グループがこのような消費者の嗜好の変化に適時かつ適切に対応できない場合や当社グループ又はその各ブランドの消費者からの評価や支持が低下した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)在庫管理に関するリスク

 当社グループの属するファッション業界では、ファッショントレンドの変化、季節性要因、商品カテゴリーごとのマーケットの状況、各販売チャネルの状況等を勘案し、商品ごとに適時かつ適切な在庫構成を維持する必要があります。

 当社グループは「スパークス(SPARCS)モデル」の構築及び推進により、急速に変化する消費者の需要のスピーディーな把握とこれに基づく適正な在庫管理に努めております。「スパークス(SPARCS)」は、ファッション産業においてビジネスモデルをつなぎ、在庫ロスと機会ロスを最小化すると同時に、当社グループにおいてコアとなる生産系、開発系、マーチャンダイジング系、店舗運営系のそれぞれの業務において再現性のある仕組みをプラットフォーム化することで競争優位性を高め、変化する顧客のニーズにスピーディーに応えることを意味しております。当社グループは、「スパークス(SPARCS)」モデルを日々進化させ、これまで培ったプラットフォームを梃子に、生産から販売に至るすべての業務やリアルとネットのオペレーションを情報で同時につなぐべく、ITで事業基盤を絶え間なくアップデートし続けております。

 しかしながら、過大な在庫を抱える場合には販売価格の大幅な割引や在庫の廃棄を行う必要があり、逆に在庫が過少となる場合には販売機会を喪失することとなり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)出店・閉店に関するリスク

 当社グループでは、アパレルと小売の機能を融合したSPA業態を開発し、店舗での一定の売上を維持・拡大するため、百貨店、ショッピングセンター、駅ビル、ファッションビル等の多種多様なチャネルへ展開を広げています。しかし、出店に際して集客力のある好立地の確保を巡る競争は激しく、出店余地の減少により、当社グループは、計画どおり出店を行えない可能性があります。また、出店した場合でも、当社グループの将来の店舗業績は、当該店舗のブランドイメージに合致した空間を提供できるか、人材、システム及び物流をはじめとする人的・物的インフラを整備・維持できるか、また、販売チャネルの変化に対応できるかといった様々な要因の影響を受けるため、各店舗において、これらの要因に適切に対応できなかった場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ショッピングセンターを中心に、当社グループの店舗の多くは定期賃貸借契約に基づいて出店しておりますが、賃貸人が契約更新に合意しなかった場合、又は、当社グループの店舗が出店する百貨店やショッピングセンター等において売場構成の見直しや閉館が行われる場合には、収益店舗であっても閉店を余儀なくされる可能性があります。これらの場合、閉鎖店舗からの収益を喪失することに加え、従業員の配転・処遇、店舗関連資産や在庫の処分、原状回復費用その他の損失を被る可能性があります。逆に、定期賃貸借契約による場合には、収益性の低い店舗であっても、当社グループの判断で適時に閉店することが困難であるか、期限前の閉店に追加の費用が生じる場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)仕入価格その他の費用の増加によるリスク

 当社グループの事業活動については、製造国・地域の人件費増加、原材料費の増加、為替レートの変動等を要因とした仕入価格の上昇が発生する可能性があり、とりわけ当社グループの商品の多くが製造されている中国をはじめとする新興国における人件費の増加、世界的な物流網の混乱や原料高、米ドルに対する円安の影響を受けやすい状況にあります。

 また、国内においても、都市部を中心とする賃貸物件の賃料の上昇、原油価格の高騰や物流業界における人手不足による輸送費用の増加、各販売チャネルや製造拠点における人件費の増加又は今後の新規出店やシステム投資による減価償却費の増加も見込まれます。当社グループは、このような仕入価格や費用等の増加の影響を価格設定やその他の手段によって抑えるように努めておりますが、かかる措置が功を奏しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)人材に関するリスク

 当社グループでは、人材は企業の競争力の源泉であり、企業は個人の自己実現の「媒体」であるという考えから、「人中心経営」の発展に日々努めております。しかしながら、近年の日本における労働人口の減少やこれに伴う人材獲得競争の激化及び人件費の高騰等により、経営幹部、ITエンジニア、投資人材、デザイナー・パタンナー、販売員等、有能な人材を確保、育成、雇用継続することができず、又は、これに多額の費用を要することとなり、その結果、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)仕入先、製造委託先、物流委託先その他の取引先に関するリスク

 当社グループでは、仕入先、製造委託先、物流委託先その他の取引先の経営状況及び信用度の把握に努めております。しかしながら、取引先の経営状況の悪化や信用不安により、貸倒れ、支払いの遅延や商品の調達・販売の支障が生じる可能性があるほか、出店先である百貨店・ショッピングセンター・駅ビル・ファッションビル等の経営破綻や閉店等により、当該施設に出店する収益店舗等の営業活動が終了し、また、追加的な損失や引当の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)季節変動に関するリスク

 わが国においては気候の季節変化が明瞭であることから、当社グループも季節対応のマーチャンダイジング(MD)を構成しており、第1四半期及び第3四半期に当社グループの売上及び利益が偏重する傾向にあります。したがって、極端な暖冬やトレンドの読み違いにより、当該四半期において十分な売上及び利益を確保できなかった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)競合に関するリスク

 当社グループが属するファッション業界は、常に事業規模や業態、国籍、経営方針が異なる無数の企業間による厳しい競争に晒されており、収益構造の効率化・最適化を目指した業界再編の動きも見られ始めています。このような状況の中、当社グループは、ブランド事業における事業ポートフォリオの再配置も含め機動的に市場の変化に対応することにより成長性を追求していくと同時に、収益構造の更なる効率化と最適化や積極的なM&Aの活用や新規事業への投資によって競争力の強化に取り組んでおりますが、当社グループが、ブランド認知度、商品の品質、価格、消費者の需要の把握と対応、在庫管理、店舗網の整備又は販売活動等の面において、競合他社に対する優位性を確保又は維持できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、近時は、衣料品、服飾・雑貨においてもECサイトによるネット販売の利用が増加する傾向にあります。当社グループは、ECサイトを運営する他社と競合する一方で、当社グループの商品を自社のECサイトであるワールドオンラインストア(WOS)のみならず他社のECサイトでも販売しております。また、デジタル事業においては、他のアパレル企業のECサイトの運営受託やインフラ提供等のデジタルソリューション事業を行う等、様々な方法でネット販売に携わっております。当社グループが増加する衣料品、服飾・雑貨のネット販売に適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)ブランド、商品及び販売チャネルごとの利益率に関するリスク

 当社グループのブランド事業における利益率は、ブランド、商品及び販売チャネルによって大きく異なります。例えば、百貨店では、ハイエンドの顧客をターゲットとするブランドを中心に展開するため、ショッピングセンター・駅ビル・ファッションビルに比して高い利益率を有しておりますが、近年は百貨店の減少・売場構成の変更やショッピングセンターの増設などにより、後者からの売上が高くなる傾向にあります。また、ECサイトは、ショッピングセンターその他の店舗と比べて、多数の販売員を要しないため、これらに係る費用が低くなる傾向にあります。当社グループは、ポートフォリオマネジメントの最適化の観点から経営資源の集中を図っておりますが、顧客のニーズ、店舗の集客力又は出店政策等によっては利益率の高いブランド、商品及び販売チャネルからの売上が低迷し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)新規事業に関するリスク

 当社グループでは、長期的・持続的な企業価値の向上を目指すため、常に顧客のニーズの動向やマーケット・チャネルの効率性の変化を的確に捉えるべく、新たな価値を生み出すための新規事業に積極的に取り組み続けております。新規事業を開発・推進していく過程で事業投資を行う際には、十分な調査・研究を行った上で最終的な判断を下すよう留意しておりますが、市場環境の急速な変化や当社グループの新規事業での経験の不足等により当社グループの期待した成果を上げることができない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)M&Aに関するリスク

 当社グループでは、事業ポートフォリオの最適化又は投資成果の享受を目的として、当社グループが直接行う買収・マイノリティ出資や当社グループの出資する投資ファンドを活用したM&Aによって、設備、人材又は技術・ノウハウ等を保有する企業をグループに迎える等して、事業の継続的拡大を推進しております。しかし、M&Aにおいて、個々の案件の獲得が成功するかどうかは、当社グループが投資にかかる適切な機会を発見できるかということや、資金力のある他社との競争並びに当社グループによる投資機会についての正確な評価及び売主との交渉力に左右される可能性があり、さらに買収後も、当社グループのノウハウやリソースを投入したにもかかわらず、PMI(M&A後統合プロセス)が円滑に進まない、又は、市場経済状態の悪化等の当社グループの影響が及ばない要因により当初期待した収益や効果が得られずに目的を達成できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、マイノリティ出資においては、出資先の経営陣が当社グループの意思に反する経営判断を下す、又は当社グループの意思に反して若しくは不利な条件で、当社グループの投資持分を売却せざるを得なくなる可能性があり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)システム障害によるリスク

 当社グループは、ECサイトや業務システムを構築しておりますが、停電、コンピュータ、ネットワーク又は電気通信の障害、当社グループの従業員による人為的ミス若しくはウイルスや外部からの不正アクセス等により、当社グループのITシステムに障害が発生する可能性があります。かかるITシステムに障害が発生した場合、それらを修復等するために多額の費用が生じるほか、重要なデータ(顧客データ及び営業戦略、商品開発等の企業秘密を含みます。)の消失・毀損や当社グループの業務の中断又は遅延等が発生する可能性があります。また、当社グループは、システム基盤の刷新を行っており、システム基盤の再構築に際してシステムの一時停止等のシステム障害が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 この他、当社は、他のアパレル企業のECサイトの運営受託やインフラ提供等のデジタルソリューション事業等を行っておりますが、システム障害により運営するプラットフォームに混乱が生じた場合、受託先等の重要データの消失・毀損、業務の中断又は遅延が生じる場合があり、また、当社グループは受託先等から補償等の請求を受ける可能性があり、その結果、当社グループの事業、社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報に関するリスク

 当社グループは、直営店舗やECサイトにおける顧客、従業員等の個人情報のほか、経営戦略上の施策、商品開発等に関する重要な機密情報を多数保有しております。

 これら個人情報及び機密情報の取り扱いについては、情報管理者を選任し、データベースへのアクセス環境、セキュリティシステム、紙情報の保管管理等の改善を常に図り、情報の利用・保管等に関する社内規程・基準を設け、情報の取り扱いに対する意識の向上を目的とした社員教育の徹底や、牽制システムの構築等、情報管理体制を整えておりますが、人為的なミス、コンピュータシステムの予期せぬトラブル等による情報流出や不正アクセスやサイバー攻撃等の犯罪行為による情報漏洩が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループは、顧客等からの損害賠償の対象となり又はこれに対応するための費用等が生じうるほか、行政処分の対象となる可能性があり、その結果、当社グループの社会的信用度が低下し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)法的規制に関するリスク

 当社グループの取り扱う商品・サービスの提供にあたっては、販売時や媒体掲載時の表示等について不当景品類及び不当表示防止法等による法的な定めに従う必要があります。また、商品の仕入にあたっては独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法等の規制により取引先との公正な取引が強く要請されております。さらに、当社グループ並びに仕入先、製造委託先、取引先及びフランチャイズ先は、主としてそれらの製造過程において、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。

 当社グループでは、商品・生産に関するコンプライアンスの重要性について社員教育を徹底し、また、仕入先、製造委託先を含めた内部統制の取り組みを高めて行く活動によりリスクの発生を未然に防止する対策を講じておりますが、新たな規制の施行によって多額の費用が発生する場合があり、又は、巧妙な違法行為や取引先等に起因する事由により、違反の効果的な防止が伴わない可能性もあり、これらの問題が発生した場合には、行政処分の対象となること等により当社グループの活動が制限される、消費者の購買行動に悪影響を与える、訴訟を提起され損害賠償の責任を負うこと等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループに直接適用のない法令であっても、百貨店・ショッピングセンター等の販売チャネルに適用される法令や製造委託先に適用される法令の制定・改正により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)知的財産権に関するリスク

 当社グループでは、特許権、商標権等の知的財産権を所有しており、法令の定め及び社内規程に則って関係する国や地域での商標の取得を含む管理体制を整えておりますが、国・地域等によっては知的財産権の保護に関する制度や体制が十分に確保されているとは言えない場合があります。また、国内外において、当社グループ商品の模倣品が市場に流通する等、当社グループの知的財産権が第三者により侵害された場合、当社グループ又はそのブランドのイメージを侵害し、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループが意図せず第三者等の知的財産権を侵害してしまった場合には、当該第三者から訴訟等を提起される可能性があり、損害賠償や補償等、又は訴訟等に対応するための多大な時間、労力、費用を要する可能性があることに加え、当社グループ又はそのブランドのイメージ、評価、社会的信用を害する可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)訴訟その他の法的手続に関するリスク

 当社グループは、その事業の性質上、製造物責任や各種契約違反、労働問題等に関し、消費者、取引先、業務委託先、従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があり、当社グループは、損害賠償や補償等、又は訴訟等に対応するための多大な時間、労力、費用を要する可能性があり、当社グループの事業、社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)ハザードに関するリスク

 当社グループでは事業継続計画(BCP:Business continuity planning)を作成する等BCM(Business continuity management)に関する取組みを行っております。しかし、異常気象や地球温暖化等の影響による天候不順、台風や集中豪雨等の予測できない気象状況の変化が起きた場合、又は、地震及び地震に起因する津波、電力不足等・風水害・落雷等不測の自然災害やパンデミック、突発的な事故、火災及びテロ行為、インフラの断絶、ITシステムの故障等により、事業の一部中断や取引先(仕入先等)に被害が生じた場合、当社グループの売上が減少するのみならず、製造及び出荷の遅滞、又は製造・物流設備の修理、取替え、再製造等に係る費用が増加し、多額の損失をもたらし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)海外に関するリスク

 当社グループは、中国、台湾、タイ、米国での販売事業と中国での生産管理及び貿易業務を行っております。当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は現時点では軽微ですが、今後海外で販売・生産の両面を進める上において、現地における自然災害や感染症、テロや戦争、政変や経済情勢の悪化、為替レートの変動、インフレの発生や生産コストの上昇、運輸・物流の未整備、現地従業員の雇用問題、地政学的問題等の社会情勢、知的財産権訴訟を含む法律や制度及びその改正、消費者の嗜好及び購買行動の差異といったリスクが内在しております。

 海外における事業に関しこれらのリスクが現実化した場合には、取引工場の操業が困難になり、日本国内への商品供給体制(仕入活動)に支障が出る等の問題が発生することや海外での売上が減少することにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)外国為替相場の変動に伴うリスク

 当社グループの商品の多くは海外で生産されていますが、大半の商品は日本国内で販売されているため、当社グループの商品の仕入価格は外国為替相場の変動により影響を受けます。

 また、海外子会社の財政状態及び経営成績、外貨建ての取引並びに資産及び負債は、当社グループの連結財務諸表の作成時に円建てに換算されるため、当社グループの財政状態及び経営成績は外国為替相場の変動により影響を受けます。

 

(21)減損に関するリスク

 当社グループは、2022年3月31日現在、2006年4月のMBOを含む過去のM&A等により生じたのれん64,327百万円を連結財政状態計算書に計上しているほか、その他の有形・無形の固定資産も有しています。今後、これらの固定資産に係る事業の収益性が低下する場合、当該固定資産の帳簿価額と公正価値の差を損失とする減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループが認識しているのれんは、各連結子会社を資金生成単位として配分し、減損テストを実施しております。当社グループにて実施しているのれんの減損テストについては後記「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.無形資産」を参照下さい。

 

(22)多額の借入金、金利変動及び有利子負債の財務制限条項への抵触に関するリスク

 当社グループは、金融機関からの融資契約(シンジケートローン)及び金銭消費貸借契約(永久劣後特約付ローン)を含む借入により事業資金を調達しております。永久劣後特約付ローンは、元本の弁済期日の定めがなく利息の任意繰延が可能なことなどから、国際会計基準(IFRS)における「資本性金融商品」に分類され、本劣後ローンによる調達額は、当社連結財務諸表上、「資本」に計上されることになるため、2022年3月31日現在における総資産に対する借入金の割合は33.6%となっております。

 当社グループは、中長期的に借入金の削減を行っていく予定ですが、かかる削減が進行しない場合、借入金及び金融費用・支払利息の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの借入金のほとんどについては変動金利となっているものの、現在の金利動向等に鑑みて、当社グループは金利変動へのヘッジを行っていないことから、市場金利が上昇等により調達金利が変動した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社グループが締結している融資契約(シンジケートローン)に基づく借入金については、一定の財務制限条項が付されております。かかる財務制限条項は、純資産維持及び利益維持に関する一般的な数値基準を設けるものであり、当該金融機関からの調達以降、本書提出日現在において財務制限条項には一度も抵触しておりませんが、仮に今後これらに抵触し、かつ貸付人の請求がある場合は、当社グループは当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)新型コロナウイルス感染症に代表されるパンデミックの影響に関するリスク

 新型コロナウイルス感染症の状況により、仕入面においてはサプライチェーンの混乱、販売面においては外出自粛による来店客数の減少、政府や行政による休業要請等に基づく直営店舗の臨時休業や営業時間の短縮等の影響を受ける可能性があります。ワクチン接種に伴う感染収束の兆しが見えない限り、または変異ウイルスの流行が起きる場合、今後も回復は緩慢なものになることが考えられます。この結果、在庫消化が想定通り進まない場合には、値引き販売や期末の評価損が拡大する可能性があります。また、従業員の安全確保、衛生管理の徹底について留意しているものの、従業員の感染に伴い、店舗や事業所の安定的な運営に支障をきたす可能性があります。

 さらに、新型コロナウイルス感染症により、リモートワークの拡大等人々の生活は変容し、消費行動を始め価値観にも影響を及ぼす可能性があります。実店舗とECの提供価値の違いや、ファッションの持つ意味など、消費者の捉え方に大きな変化が急速に起こる場合、当社グループがスピードを以て急激に加速する環境変化に対応できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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