業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により緊急事態宣言が断続的に発出され経済活動の停滞が長期化しましたが、ワクチン接種の普及とともに新規感染者が大幅に減少し経済活動に持ち直しの動きも見られました。しかし、新たな変異株が出現するなど、依然として収束の見通しが立たず、先行き不透明な状況が続いております。

 当社の属する決済市場においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、インバウンド需要の回復は当面、見込めない状況が続いておりますが、一方で、越境EC市場の拡大や、感染防止の観点からも、キャッシュレス決済の普及が急速に進んでおり、スマートフォンを利用した非対面決済の需要は、アフターコロナにおいても引き続き拡大が見込めるものと考えております。

 このような状況の下、当社グループは、クイック入金サービスや公共料金支払代行サービスなど既存サービスの着実な運営、また即時口座振替サービスやスマホ決済サービスPayB、キャッシュレス決済端末の開発・販売に取組んでまいりました。

 スマホ決済サービスPayBは、ゆうちょ銀行や各メガバンクを始めとして45の金融機関と提携しております。また利用可能な払込票発行機関(加盟店)は2021年12月末時点で、民間収納企業、地方公共団体合わせ9,352社・団体まで広がり、特に地方公共団体については、1,132団体まで広がっております。この様に、接続金融機関や加盟店数の拡大、また各種決済機関との連携を進めて来た結果、取扱件数も期初計画を上回り順調に伸長しました。

 一方、スマホマルチ決済サービスのWeChat PayやAlipayについては、新型コロナウイルス感染症が収束せず、インバウンド需要の回復が見込めない状況が続いたため、計画を下回る結果となりましたが、アフターコロナを見据え、利用可能な国内外の各種決済アプリ数の拡大に向けた準備を進めました。また、越境EC対応として、前期から提供を始めたWeChatミニプログラムに続き、当期からはAlipayミニアプリのサービス提供も開始しております。

 キャッシュレス決済端末の販売については、飲料自販機市場での販売と共に、駐車場やコインランドリー等への新機能の開発や運営ソリューションの構築を進めました。端末販売は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、期初の販売計画を下回る結果となりましたが、一方で、決済端末関連システムの受託開発案件については、追加開発の受託もあり計画を上回りました。

 既存サービスのクイック入金サービスは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い株式市場や為替市場の変動が大きかったことや暗号資産の取引増加等のため、通期にわたり取扱件数が堅調に推移しました。また、収納代行サービスも新規取引先の取扱件数が当初の見込みを上回って推移したため、期初計画を上回る結果となっております。その他の既存サービスについては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は受けておりません。

 以上のことから、売上高は概ね計画通りとなりましたが、利益率の高いクイック入金サービスが計画を上回ったことなどから、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、期初の計画を上回る結果となっております。なお、前期に、本社移転中止に伴う賃貸借契約解約損を概算計上しましたが、当期において金額が確定したため、賃貸借契約解約損戻入益を特別利益に計上しております。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ6,026,151千円増加し、16,023,257千円となりました。

当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ5,947,843千円増加し、13,928,008千円となりました。

当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ78,308千円増加し、2,095,249千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高3,143,327千円(前年同期比8.9%増)、営業利益345,428千円(前年同期比51.3%増)、経常利益345,237千円(前年同期比48.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益224,024千円(前年同期比57.6%増)となりました。

セグメントごとの経営成績については、決済支援事業サービス以外の区分のサービスについては、重要性が乏しいことから記載を省略しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して6,090,031千円増加となり、残高は14,732,823千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は6,331,237千円(前連結会計年度末は1,895,039千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益349,237千円、減価償却費52,298千円、売掛債権の減少による収入93,704千円及び預り金の増加額5,996,931千円等の資金増加要因が、立替金の増加による支出115,557千円、未払金の減少による支出34,205千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は86,028千円(前連結会計年度は25,095千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出37,803千円、無形固定資産の取得による支出37,092千円、敷金及び保証金の差入による支出11,992千円などの資金減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は155,665千円(前連結会計年度末は81,249千円の支出)となりました。これは、配当金の支払い額55,668千円及び自己株式の取得による支出99,996千円の資金減少要因によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループでは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループでは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

決済支援事業 (千円)

3,142,001

8.9

ファイナンス支援事業 (千円)

1,326

△44.3

合計 (千円)

3,143,327

8.9

   (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、主なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得を検討し、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。

 

b.ソフトウエア

 ソフトウエアについては、将来の収益獲得、費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来大規模な計画の変更や使用状況の見直しにより収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合には、ソフトウエアの減損が必要となる可能性があります。

 

c.投資の減損

 投資価値の棄損が著しく、かつ回収の可能性がないと判断した場合、投資の減損を計上しております。非上場企業への投資の場合、当該会社の財政状態の悪化によりその純資産価値が取得価額に比して50%程度以上下落した場合に将来の回復可能性がなければ、減損処理を行っております。将来の市況悪化・業績不振等により現在の帳簿価額に反映されていない損失や回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態の分析

(資産合計)

当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ6,026,151千円増加の16,023,257千円(前連結会計年度末は9,997,105千円)となりました。これは主に、現金及び預金が6,090,031千円増加したことによるものであります。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ6,001,610千円増加の15,755,168千円(前連結会計年度末は9,753,557千円)となりました。これは主に、現金及び預金が6,090,031千円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ24,541千円増加の268,089千円(前連結会計年度末は243,548千円)となりました。これは主に、工具、器具及び備品(純額)が21,914千円、建物(純額)が3,353千円増加したことなどによるものであります。

(負債合計)

当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ5,947,843千円増加の13,928,008千円(前連結会計年度末は7,980,164円)となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ5,947,843千円増加の13,921,399千円(前連結会計年度末は7,973,555千円)となりました。これは主に、未払金が34,205千円減少する一方、預り金が5,996,931千円、未払法人税等が68,481千円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

固定負債は前連結会計年度と同額の6,608千円となっております。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ78,308千円増加の2,095,249千円(前連結会計年度末は2,016,940千円)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益224,024千円を計上した一方で、自己株式を99,996千円取得したことによる減少及び剰余金の配当55,775千円を実施したことによるものであります。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、収納代行サービス、クイック入金サービス等が順調に推移し、キャッシュレス決済端末の販売においては既存製品の販売に加え、受託開発案件の受注により、売上、営業利益ともに前期比で増加し、売上高は前連結会計年度に比べ8.9%増の3,143,327千円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における売上原価は、上記収納代行サービスの売上増及びキャッシュレス決済端末の販売、受託開発案件の受注に伴い売上原価が増加したため、前連結会計年度に比べ4.3%増の2,112,909千円となりました。

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大や営業体制強化による人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べ8.1%増の684,990千円となりました。

(特別利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、前期に、本社移転中止に伴う賃貸借契約解約損を概算計上しましたが、当期において金額が確定したことによる賃貸借契約解約損戻入益が4,000千円であります。

また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)を115,157千円計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、224,024千円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、株式市場・外為市況動向、銀行法などの法改正、収納代行預り金などがあります。

まず、株式市場・外為市況動向によって、当社グループの提供するクイック入金サービスが売上に与える影響は大きく、クイック入金サービスの収益が当社グループ全体の業績に大きな影響を与えることを認識しております。株式・外為等市況の変動幅が大きい程取引件数が増加する傾向にあり、市況変動幅が小さいと取引件数が減少する傾向にあります。このように株式・外為等市況に当社グループの業績が大きく影響を受けないために、スマホマルチ決済サービスやキャッシュレス決済端末の販売などの新規サービスを展開し事業を拡大していくことで、株式・外為等市況によるリスクを最大限に抑えるよう取り組んでおります。

また、当社グループは、改正割賦販売法のクレジット番号等取扱契約締結事業者に登録し、また、改正銀行法における電子決済等代行業者に登録しており、それぞれの規制を受け事業を行っております。それぞれの法律が改正され、その内容によって当社の提供するサービスが制限を受ける、また、何らかの事情により登録が取り消された場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼすことを認識しております。そのため当社グループは、関連する業界団体等に加入し、研修会やセミナーに参加することで最新の情報を入手できる環境を整えており、事業部門だけなくコーポレート部門も関与し、法改正への対応についても事前に対策が講じることができる体制を整えております。

当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金しております。この際、当該収納代行代金の一次保管中に預貯金口座のある銀行が破綻した場合に、預貯金が目減りするリスクを認識しております。そのため当社グループは、事業者財産保護の観点から金融機関の決済性預貯金口座において決済用資金を分別管理し、ペイオフによる預金目減りのリスクを回避しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、収納代行サービスにかかる金融機関等への支払手数料や、システム開発や運用・維持にかかる人件費や外注費、キャッシュレス決済端末の購入費用などの売上原価のほか、営業や管理部門などの人件費や本社オフィスの家賃などの販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、当社サービスにかかるサーバ構築費用やソフトウエア開発費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,732,823千円となっております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが重視している経営指標は、新しく展開しておりますサービスの売上高です。それぞれの指標の実績及び目標は以下のとおりです。

サービス名

2020年12月期

実績

2021年12月期

実績

2022年12月期

目標

スマートフォン決済サービス

334百万円

526百万円

422百万円

カードリーダーソリューションサービス

413百万円

449百万円

571百万円

※スマートフォン決済サービスの売上高の一部につきましては、2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」が適用されるため、2022年12月期目標売上高は純額で表示しております。前期と同様に総額で表示した場合の売上高は782百万円となります。

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「決済支援事業」以外の事業の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

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