研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループでは、中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。

当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、2,784百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。

 

長引く感染症の影響等により、経営環境、競争環境が劇的に変化する中で、新しい社会ニーズ、社会課題解決につながるテクノロジーをスピーディーにビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端の技術トレンドを幅広く分析しつつ、次に掲げる3つの領域の研究開発に特に注力しております。

(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発

(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発

(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発

 

(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発

2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1技術」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子コンピュータによる開発」および「Data Labeling for AI」を重点テーマとして研究開発を行っております。それぞれ新規事業における差別化技術として研究開発を行い、要素技術の研究開発を国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。

「XR技術」では、社会実装に向けた新しい遠隔コミュニケーション技術の具体化をテーマに東京大学と共同研究を進めております。バーチャル空間における決済の評価も含めまして、2021年度は、東京都港区、大阪府池田市、福島県会津若松市などにおいて実証実験を実施しました。

「Multi-Level Edge Computing研究」では、テレワークの普及などによりネットワーク上での画像等の大容量の通信について多拠点同時接続を可能とする要素技術の研究を行っております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、国際電気標準会議(IEC)において新業務項目(NP)として承認されるなど、国際規格の発行に向けた作業を加速するとともに、ヘルスケア分野のみならず、IoT分野での国際標準に貢献していきます。

 

(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発

当社グループとして注力する社会課題解決に向け、特に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)における要素技術の研究開発に取り組んでおります。

金融、製造、流通分野等では、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスの「プラットフォーム事業者」として主務大臣認定を取得するなど、データ利活用によるDXソリューション開発に力を入れています。和歌山県白浜町においては、「自己主権型アイデンティティ」の実証実験を実施しました。また、一般社団法人ロボットデリバリー協会の設立発起人として活動し、生活支援向けロボットシェアリング型配送サービスなどを開発しております。

エネルギー分野では、MaaS技術を用いたカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素社会を実現するソリューションや、ブロックチェーン技術を使った再エネ由来の電気が有する環境価値の移転管理システムを開発しております。

医療・ヘルスケア分野では、「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」のスマートヘルスシティのコーディネータ企業として大阪府内の市町村の社会課題解決サポートや、京都市の医療・介護等の統合データ分析事業における生活習慣病に係る共同研究を実施しております。

 

(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発

ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発*2、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、クロスプラットフォーム*3に対応したフレームワークを主に活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)や、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化につながるノウハウ(ガイド)の整備を実施しました。

また、量子コンピュータによる開発に対応可能なエンジニアを将来的に確保するため、量子コンピュータのシミュレータ「Qni」を活用したチュートリアルを開発し、エンジニアの育成を開始しました。

*1 XR(Extended Reality)

VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称

 

*2 アジャイル開発

システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。

 

*3 クロスプラットフォーム

Android/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。

 

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