(1)業績等の概要
①業績
我が国における個人のスマートフォン保有率は前年比5.0ポイント増の74.3%(出典:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」)と伸びるとともに、2021年の国内ゲームアプリの市場規模も前年比横ばいの1兆3,001億円(出典:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書 2022」)と堅調に推移しております。しかしながら、国内外経済は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により急速に悪化し、経済活動停滞の長期化も懸念され、予断を許さない状況となっております。
このような環境のもと、当社グループはインターネット・エンタメ事業、投資・インキュベーション事業の各事業において、積極的な投資に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高74,906百万円(前連結会計年度比18.5%増)、営業利益11,498百万円(同5.9%増)となりました。また、当連結会計年度において、当社保有の外貨建資産より生じた為替差益2,657百万円を計上したことにより経常利益14,106百万円(同27.1%増)、前連結会計年度に繰越欠損金の解消等があった影響により当連結会計年度の法人税等が増加し、親会社株主に帰属する当期純利益10,121百万円(同25.2%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、投資・インキュベーション事業に係る収益及び費用等の処理方法に係る会計方針の変更を行っており、遡及適用後の数値で前連結会計年度との比較を行っております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
a.インターネット・エンタメ事業
主力とするゲーム領域においては、既存のスマートフォン向けアプリゲーム(以下、「アプリゲーム」)の長期運営体制による収益安定化及び海外展開による収益力向上に取り組むとともに、新規アプリゲームをリリースし、複数本のヒットを創出いたしました。メタバース領域においては、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY
」の機能強化やコンテンツ拡充、グローバル展開を進め、また、広告・メディア領域においては、メディア力の強化とユーザー基盤の拡大を進めてまいりました。なお、当社グループにおける新型コロナウイルスの影響につきましては、広告・メディア領域において一部のメディアで影響を受けましたが、ゲーム領域及びメタバース領域への影響は限定的でした。
ゲーム領域の新規アプリゲームが貢献した結果、当連結会計年度の業績は、売上高71,877百万円(前連結会計年度比26.6%増)、営業利益9,734百万円(同81.0%増)となりました。
b.投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業においては、インターネット・IT領域を中心に投資するベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資に取り組んでまいりました。当社出資ファンドにおける保有株式の売却による収益が前連結会計年度より減少し、当連結会計年度の業績は、売上高3,029百万円(前連結会計年度比53.0%減)、営業利益1,763百万円(同67.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ28,199百万円減少し、当連結会計年度末の残高は66,624百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、13,218百万円(前連結会計年度比93.1%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益14,598百万円及び預け金の減少2,910百万円があった一方、営業投資有価証券の増加4,192百万円及び法人税等の支払額2,054百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、5,299百万円(前連結会計年度は4,217百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出4,000百万円及び有形固定資産の取得による支出1,350百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、37,516百万円(前連結会計年度比834.7%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出34,886百万円及び配当金の支払額2,637百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
インターネットを利用したサービスの提供及びベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資を事業としており、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
|
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
インターネット・エンタメ事業 |
71,877 |
26.6 |
投資・インキュベーション事業 |
3,029 |
△53.0 |
合計 |
74,906 |
18.5 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
Apple Inc. |
17,865 |
31.5 |
28,895 |
38.6 |
Google Inc. |
16,317 |
28.7 |
21,415 |
28.6 |
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成し
ております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見
積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があり
ます。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結
財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は116,730百万円(前連結会計年度末比24,659百万円減)となりました。
流動資産は100,203百万円(前連結会計年度末比30,816百万円減)となりました。主な減少要因は「金銭の信託」が12,000百万円増加した一方、「現金及び預金」が40,199百万円減少したことによるものであります。
固定資産は16,526百万円(前連結会計年度末比6,156百万円増)となりました。主な増加要因は「投資有価証券」及び「有形固定資産」がそれぞれ4,070百万円、1,246百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は25,800百万円(前連結会計年度末比4,623百万円増)となりました。
流動負債は15,975百万円(前連結会計年度末比4,348百万円増)となりました。主な増加要因は「契約負債」が4,657百万円増加したことによるものであります。
固定負債は9,824百万円(前連結会計年度末比275百万円増)となりました。主な増加要因としては「その他」が275百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は90,930百万円(前連結会計年度末比29,282百万円減)となりました。主な減少要因は、「自己株式」が14,723百万円減少した一方、「利益剰余金」及び「その他有価証券評価差額金」がそれぞれ39,354百万円、2,382百万円減少したことによるものであります。
企業の安定性を示す自己資本比率は、当連結会計年度末は77.4%であります。また、支払い能力を示す流動比率は当連結会計年度末は627.2%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、74,906百万円(前連結会計年度比18.5%増)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)業績等の概要 ①業績」をご参照ください。
売上原価は、30,054百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。
主な増加要因は、協業ゲーム運営に係る業務委託費等の増加によるものであります。
販売費及び一般管理費は33,354百万円(前連結会計年度比24.8%増)となりました。
主な増加要因は、売上高増加に伴う決済代行手数料の増加及び広告宣伝費の増加によるものであります。
営業外収益は、2,751百万円(前連結会計年度比723.0%増)となりました。
主な内容と致しましては、為替差益の増加によるものであります。
営業外費用は、142百万円(前連結会計年度比47.0%増)となりました。
主な内容と致しましては、リース解約損の増加によるものであります。
特別利益は、775百万円(前連結会計年度比73.3%減)となりました。
主な内容と致しましては、投資有価証券売却益の減少によるものであります。
特別損失は、283百万円(前連結会計年度比52.8%減)となりました。
主な内容と致しましては、違約金及び拠点再編費用引当金繰入額の減少によるものであります。
④キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑦資本の財源及び資金の流動性
当社グループは将来の経営環境の変化への対応や新規事業の開発等のために必要な資金を内部留保しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、ゲーム事業における開発費、各事業における広告宣伝費等の営業費用になります。また、重要課題である新たな収益源の確保のため、ゲーム事業の継続成長、広告・メディア事業の強化、メタバース事業の推進に取り組んでいく方針であります。これらの資金需要は自己資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施致します。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は66,624百万円となっております。
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