業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種が進み新型コロナウイルス感染症の拡大が収束に向かったことにより、新規感染者数が減少し3月中旬にまん延防止等重点措置が解除される等、経済活動の本格的な再開の動きが広がりました。しかしながら、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を発端とした世界的な情勢不安に加え、原油価格の高騰や為替の大幅な変動による個人消費への影響等、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移していくことが見込まれます。

 このような状況の中、既存事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策である外出自粛や移動制限等の要請により、大きな打撃を受け、減収傾向で推移しました。一方で、2021年4月1日に連結子会社化した株式会社サークアの売上高が大きく貢献したことにより、グループ全体の売上高は増加しました。利益面では、新型コロナウイルス感染症の影響による既存事業の減収に伴う利益減に加え、2021年8月より改正薬機法が一部施行されたことを受け、広告配信プラットフォーム事業を運営している株式会社サークアの掲載基準の見直しを行った結果、のれん等の償却費を含めた損益分岐点の売上高に届かず、セグメント利益がマイナスとなったため、グループ全体で減益となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は2,891,166千円(前年同期比48.4%増)、営業利益は138,809千円(前年同期比26.3%減)、経常利益は140,911千円(前年同期比31.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80,206千円(前年同期比35.5%減)となりました。

 なお、当社グループでは、M&Aを活用した事業拡大を積極的に推進していく中で、各国の会計基準の差異にとらわれることなく企業比較が可能なEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)を重要な経営指標と位置づけ、当連結会計年度よりEBITDAを業績指標に採用しております。当連結会計年度のEBITDAは319,314千円(前年同期比27.8%増)となりました。

 また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。なお、当該会計方針の変更による影響は軽微であります。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。そのため以下の前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。

①モビリティサポート事業

 新型コロナウイルス感染症の影響による国内外旅行者向けのガイドブック事業の縮小や出張に関連するサービスの利用低下に加え、経済的合理性の観点から、前期下期から実施している新規有料会員獲得のプロモーションを見直したことにより、乗換案内等の有料会員数が減少したため、減収となりました。利益面では、売上高減少分の利益を利益率の高い広告収入で補うための拡大施策を講じた結果、一定の効果が得られたものの、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や移動制限により、乗換案内機能を提供するサイトである「駅探ドットコム」へのアクセス数が計画を下回り、収益拡大は限定的なものにとどまりました。また、コスト面につきましても、プロモーション費用の圧縮やシステム開発の内製化等、徹底的なコスト削減に努めてまいりましたが、売上高減少分の利益を補うには至らず、減益の一因となりました。この結果、売上高は1,635,863千円(前年同期比16.0%減)、EBITDAは622,527千円(前年同期比6.4%減)、セグメント利益は554,574千円(前年同期比9.6%減)となりました。

②広告配信プラットフォーム事業

 売上高は1,255,303千円、EBITDAは19,384千円、セグメント損失は77,228千円となりました。なお、当セグメントは、2021年4月1日付で株式会社サークアの全株式を取得し完全子会社化したことに伴い、新たに追加したものであり、比較すべき前連結会計年度の金額が存在しないため、当連結会計年度に発生した金額のみ記載しております。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,422,696千円となり、前連結会計年度末に比べ442,081千円減少しました。固定資産は1,118,810千円となり、前連結会計年度末に比べ703,403千円増加しました。この結果、総資産は3,541,506千円となり、前連結会計年度末に比べ261,321千円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は403,725千円となり、前連結会計年度末に比べ142,502千円増加しました。固定負債は298,841千円となり、前連結会計年度末に比べ115,748千円増加しました。この結果、負債合計は702,566千円となり、前連結会計年度末に比べ258,250千円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は2,838,940千円となり、前連結会計年度末に比べ3,071千円増加しました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ504,926千円減少し、2,079,577千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、345,490千円の収入(前年同期は226,964千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益140,722千円、減価償却費132,664千円仕入債務の増加額114,053千円があったことなどによるものです

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、772,428千円の支出(前年同期は76,575千円の支出)となりました。これは主に、新規連結子会社の取得による支出730,000千円無形固定資産の取得による支出61,123千円があったことなどによるものです

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、77,987千円の支出(前年同期は24,917千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額76,745千円があったことなどによるものです

 

[生産、受注及び販売の実績]

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業(千円)

17,300

162.5

広告配信プラットフォーム事業(千円)

合計

17,300

162.5

(注)広告配信プラットフォーム事業においては、主に広告配信サービスの提供を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業

37,270

92.1

14,651

2,409.8

広告配信プラットフォーム事業

合計

37,270

92.1

14,651

2,409.8

(注)広告配信プラットフォーム事業においては、主に広告配信サービスの提供を行っており、受注実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

モビリティサポート事業(千円)

1,635,863

84.0

広告配信プラットフォーム事業(千円)

1,255,303

合計

2,891,166

148.4

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

943,659

48.4

759,520

26.3

株式会社アップデイト

360,710

12.5

KDDI株式会社

201,114

10.3

2.当連結会計年度のKDDI株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3.前連結会計年度の株式会社アップデイトに対する販売実績はございません。

 

[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容]

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

イ.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高2,891,166千円(前年同期比48.4%増)、営業利益138,809千円(前年同期比26.3%減)、経常利益140,911千円(前年同期比31.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益80,206千円(前年同期比35.5%減)となりました。

(単位:千円)

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する当期純利益

2022年3月期

2,891,166

138,809

140,911

80,206

2021年3月期

1,947,769

188,456

206,895

124,303

増減率

48.4%

△26.3%

△31.9%

△35.5%

 

(売上高)

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、モビリティサポート事業が減収になりましたが、広告配信プラットフォーム事業が新たに増加したことにより、前年同期比48.4%増となりました。

(単位:千円)

 

 

モビリティサポート事業

広告配信プラットフォーム事業

2022年3月期

1,635,863

1,255,303

2,891,166

2021年3月期

1,947,769

1,947,769

増減率

△16.0%

48.4%

 

・モビリティサポート事業

 新型コロナウイルス感染症の影響による国内外旅行者向けのガイドブック事業の縮小や出張に関連するサービスの利用低下に加え、経済的合理性の観点から、前期下期から実施している新規有料会員獲得のプロモーションを見直したことにより、乗換案内等の有料会員数が減少したため、売上高は前年同期比で16.0%減となりました。

 

・広告配信プラットフォーム事業

 当セグメントは、2021年4月1日付で株式会社サークアの全株式を取得し完全子会社化したことに伴い新たに追加したものであり、売上高は1,255,303千円となりました。

 

(営業利益、経常利益)

 モビリティサポート事業において、プロモーション費用の圧縮やシステム開発の内製化等、徹底的なコスト削減に努めてまいりましたが、売上高減少分の利益を補うには至らなかったことに加え、株式会社サークアにおいて、のれん等の償却費を含めた損益分岐点の売上高に届かなかった影響もあり、減益となりました。この結果、営業利益は前年同期比26.3%減、経常利益は前年同期比31.9%減となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 経常利益の減少により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で35.5%減となりました。

 

ロ.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,422,696千円となり、前連結会計年度末に比べ442,081千円減少しました。これは主に、現金及び預金の減少504,926千円売掛金の減少252,981千円売掛金及び契約資産の増加321,142千円によるものであります固定資産は1,118,810千円となり、前連結会計年度末に比べ703,403千円増加しました。これは主に、顧客関係資産の増加266,546千円のれんの増加413,300千円によるものでありますこの結果、総資産は3,541,506千円となり、前連結会計年度末に比べ261,321千円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は403,725千円となり、前連結会計年度末に比べ142,502千円増加しました。これは主に、買掛金の増加113,653千円によるものであります。固定負債は298,841千円となり、前連結会計年度末に比べ115,748千円増加しました。これは主に、繰延税金負債の増加125,529千円によるものでありますこの結果、負債合計は702,566千円となり、前連結会計年度末に比べ258,250千円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は2,838,940千円となり、前連結会計年度末に比べ3,071千円増加しました。これは主に、剰余金の配当77,135千円、親会社株主に帰属する当期純利益80,206千円の計上によるものであります。この結果、自己資本比率は80.2%となり、前連結会計年度末に比べ6.3ポイント低下しました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ504,926千円減少し、2,079,577千円となりました。当連結会計年度の区分ごとのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー345,490千円、投資活動によるキャッシュ・フロー△772,428千円、財務活動によるキャッシュ・フロー△77,987千円であります。

 当社グループの主な資金需要は、人件費や外注費等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、配当金の支払、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。

 当社グループは、事業活動に必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄っており、今後も営業活動によるキャッシュ・フローから継続的に調達することが可能であると考えております。

 当連結会計年度末現在、借入金の残高は100,000千円であります。また、当社は、取引銀行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越契約の極度額の総額は500,000千円であり、借入実行残高はありません。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

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