課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)ビジョン

 「世の中にない新たなサービスを創り出し、社会の役に立つ」

 

(2)事業コンセプト

 「From the Stations~駅から始めよう~」

 事業コンセプトにあります「Stations」とは、鉄道の駅だけではなく、バスの停留所、MaaS(Mobility as a Service)基地など、今後MaaS領域で展開されるマルチモーダルの「起点・中継点・終点」を指し示しています。「Stations」を基点に、高齢化、過疎化、都市への人口集中などの社会問題や、新型コロナウイルス感染症により生じたライフスタイルの変化を捉えて、人々の健康で活き活きした生活を支え、社会の役に立つサービスを創り出していきます。

 

(3)経営環境

 当社の主要事業である乗換案内事業は、日常生活での人々の移動をサポートする、利用頻度の高いサービスとして世の中に広く定着しておりますが、コモディティ化や新型コロナウイルス感染症による移動の制限など、事業環境の変化が生じている一方で、『MaaS』と呼ばれる利用者の目的や嗜好に応じた最適な移動手段を提供し、利用者の利便性を高めるサービスが各交通機関の事業者において実証実験段階に入り、新たなフェーズを迎えております。

 また、2021年4月1日に株式会社サークアを連結子会社化したことで、新たに参入した広告配信プラットフォーム事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下でもインターネット広告市場全体が順調に拡大する一方で、事業環境の変化が非常に早く、それによりクライアント企業のニーズが絶えず変化しております。

 

(4)経営戦略

 当社グループは2023年3月期から2025年3月期における中期経営計画を策定しており、2025年3月期に71億円の売上高、利益面では5億円の営業利益、8億円のEBITDAの達成を目指してまいります。この実現のため、当社の目指す方向性として、「地域マーケティングプラットフォーム」構想を掲げており、これを具体化するために、以下の5つの事業戦略を推進してまいります。

①ハイブリッド型バーティカルメディアの展開

 当社グループのバーティカルメディアであります「駅探PICKS」の更なるサービスカテゴリーの追加に加え、従来のテーマ別にキュレーションしたバーティカルメディアに、他サイトからAPI等で提供頂いた店舗情報を拡充し、さらに乗換案内技術を活用したメディア展開といった、ハイブリッド型でのバーティカルメディア展開を進め、これらを実現することで、メディア集客及び内部回遊性を向上させ、収益性を高めてまいります。

 

②広告配信事業の展開

 株式会社サークアが保有する、女性向け広告配信に強みのあるアドネットワークのさらなる事業拡大を目指すとともに、今後は、地域軸での広告配信量の拡充を行うことで、当社グループが保有するメディアの収益拡大を図ってまいります。

 

③MaaS事業の展開

 様々な地域での実証実験で得たノウハウを集約し、MaaSパッケージの開発を行ってまいります。MaaSパッケージ開発においては、高齢者向けのサービスとして、音声入力型のオンデマンド配車予約サービスの提供を行うなど、ユニークなサービスを提供し、SDGsの17の目標にあります「(高齢者が)住み続けられるまちづくりを」に貢献するため、MaaSパッケージを更なる地域へ展開を行ってまいります。

 

④地域ターゲティング事業の展開

 従来のターゲティングに乗換案内技術、乗換検索結果データを加えることで、「ユーザーが現れる可能性のある場所」、「ユーザーの移動中の経路」、「店舗(サービス)への所要時間」など、ユニークなターゲティングの仕組みを構築し、自社メディア収益拡大、他社へのSaaSサービス提供などを行い、収益拡大を図ってまいります。

 

⑤M&A・アライアンス戦略

 「中期経営計画の売上/利益貢献」「地域マーケティングプラットフォーム構想実現の不足機能の取得」「戦略的な事業ポートフォリオの構築」の3つを狙いとして、積極的なM&A、アライアンスを行ってまいります。

(5)目標とする経営指標

 当社グループは、売上高及び営業利益、EBITDAを重要な経営指標と考えており、中期経営計画の数値達成に向け、「地域マーケティングプラットフォーム」構想の実現を目指してまいります。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営目標達成のためには、以下の事項を重要課題と捉え、その対応に引き続き取り組んでまいります。

 

①事業戦略

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による人々の外出・移動の減少により大きな影響を受けております。感染症拡大が収束に向かい環境は改善傾向にあるものの、持続的な成長に向けた事業展開が必要であり、既存事業の展開に加え中期経営計画に示す「地域マーケティングプラットフォーム」構想の具体化を推進してまいります。

 

 モビリティサポート事業では、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や移動制限によりサイトへのアクセス数が計画を下回り、またプロモーションの見直しによりコスト削減効果を得られたものの乗換案内等の有料会員は減少しております。機能改善や集客手法の改善によりアクセス数の増加、有料会員減少傾向の改善に取り組んでまいります。一方で、利用者の目的や嗜好に応じて最適な移動手段を提示し、利便性を高めるサービスである「MaaS」が新たな成長分野として拡大しており、今後のMaaS対応も見据えたサービス強化によりユーザー拡大に努めてまいります。法人向けサービスでは、働き方改革に貢献すべく法人業務効率化のためのソリューションサービスやシステム開発を推進し、またMaaS分野においては既存技術を生かしたパッケージ開発を行い、積極的な展開を推進してまいります。

 

 広告配信プラットフォーム事業では、2021年4月1日に株式を取得し、完全子会社とした株式会社サークアの事業資産を活用し、「地域マーケティングプラットフォーム」構想への貢献を加速化し収益拡大を目指してまいります。株式会社サークアにおいては2021年8月より改正薬機法が一部施行されたことを受け、掲載基準の見直しを行った結果、当初想定していた売上高を下回り、利益が縮小いたしましたが、2021年12月からの新たな運用体制のもと回復傾向にあり、さらなる収益拡大を目指しております。また各種サービスカテゴリーについて駅ごとに実店舗を掲載する「駅探PICKS」において、最寄りの「駅」を基点にしてサービスを探すユーザーの多いサービスカテゴリーを追加し成長を目指してまいります。

 

②技術開発

 事業戦略で定めた成長戦略を実現するためのエンジンやサービスの開発をスピード感を持ち、柔軟に遂行できる体制構築が重要な課題と考えております。採用の強化と社内体制改善や、技術力アップのための教育研修に加え、提携やM&Aの活用による体制強化を進めてまいります。

 また、サービスの多様化に伴ってサービスやデータ、システムの運用コストが肥大化することを防ぎ、効率的な運用の仕組みを構築することが収益性を確保する上での重要課題と認識しています。運用の効率化、自動化を継続的に取り組んでまいります。

 

③コーポレート・ガバナンス体制の強化

 当社グループは、株主をはじめ、顧客、従業員、地域社会等のステークホルダーに対する社会的責任を果たすとともに、企業価値の最大化を図るためには、各ステークホルダーの立場を踏まえた上で、透明性が高く、公正かつ迅速で、果断な意思決定を行うための仕組みとしてのコーポレート・ガバナンス体制の構築と改善、強化が重要であると認識しております。業容拡大に伴う業務の増大に対応して、常に見直しを図り、内部統制の仕組みを改善し、連結子会社を含む当社グループ全体への教育や啓蒙を行い、必要に応じて管理部門の人員を強化することで、より強固なコーポレート・ガバナンス体制を構築してまいります。

 

④人材の育成

 当社グループは、中期経営計画を達成するためには、会社を支える優秀な人材の確保と育成こそが最も重要であると考えております。豊かな経験と高いスキルを持つ人材や、潜在能力の高い人材の獲得に向けて採用活動を強化するとともに、社員の役割に見合ったスキルの獲得のための教育研修の実施、また適正な評価がなされる企業風土の構築が必要であると認識しており、そのために階層別、職能別の研修を実施し、個々の総合的な能力を高め、結果として組織力を向上させることに努めてまいります。あわせて、テレワークの環境整備や各種制度の改善により、社員がその能力を十分に発揮でき、モチベーションを高められる環境整備に取り組んでまいります。

 

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