(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
当社グループは「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」を経営理念としております。この経営理念のもとすべての役員及び従業員が一丸となり、様々な技術領域・ビジネス領域において、インターネットを通じて個人の利用者の皆様に支持・利用していただけるゲームコンテンツ、比較サイト・情報サイトやECサイトなどの企画・開発及び運営を行っています。具体的には、「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」、人生のイベントや日常生活に密着し、有益な情報を提供する様々なウェブサービスの企画・開発及び運営を行う「ライフスタイルサポート事業」、様々な商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発及び運営を行う「EC事業」の3つの事業軸でビジネスを展開しています。
2022年7月期の連結売上高は、エンターテインメント事業の既存ゲームアプリが減衰傾向を辿るも、ライフスタイルサポート事業においてこれまで投資していた新規サービスの成長と一部既存サービスでの好調な推移により前期比で増加したことに加え、EC事業においてもモール型ECサイトでの好調な販売により前期比で増収となり、全体では前期比で微増しました。営業利益及び経常利益につきましては、エンターテインメント事業での新規ゲームアプリとEC事業での新商品リリースへの投資が重なり、前期比で大きく減少しました。
親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩しを行ったため、前連結会計年度比で大きく増加しました。
具体的には、当連結会計年度の売上高は31,790百万円(前連結会計年度比1.7%増)、営業損失は298百万円(前連結会計年度は701百万円の営業利益)、経常損失は219百万円(前連結会計年度は895百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,337百万円(前連結会計年度は877百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
<エンターテインメント事業>
エンターテインメント事業では、主に自社で開発したスマートデバイス向けゲームアプリケーション(以下「ゲームアプリ」という。)をApple Inc.が運営するApp Store及びGoogle LLCが運営するGoogle Play等の専用配信プラットフォームを通じて、世界中の人々に提供しております。ゲームアプリ自体は基本無料で提供しており、主な売上はユーザーがゲームをより効率よく優位に進めるためのゲーム内アイテム購入代金であります。
近年のグローバルにおけるゲーム市場環境及びユーザーニーズの変化、そして技術の進化等を踏まえ、エンターテインメント事業はスマートフォンゲームのみならず、グローバルのデジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)全体をターゲットに、グローバルで人気のIPと連携し、展開することを中長期方針とし、さらなる成長を狙います。また、今後は、これまでのゲームアプリ開発で培ったスキルやノウハウを活かし、NFTゲームやメタバースといった新領域での企画・開発・運営も進めてまいります。
2022年7月期においては、売上高につきましては引き続き主要既存ゲームアプリでの減少に加え、2021年11月にリリースした新規ゲームアプリ『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER(ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー)』の売上高が既存ゲームアプリのダウントレンドを補完するに至らず、前期比で減少となりました。セグメント利益につきましては、新規ゲームアプリの広告費及び開発費が上期から軽減し、第4四半期連結会計期間では黒字化達成となるも、当連結会計年度では前連結会計年度比で大幅に減少しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業の売上高は6,316百万円(前連結会計年度比13.1%減)、セグメント損失は894百万円(前連結会計年度は369百万円の利益)となりました。
<ライフスタイルサポート事業>
ライフスタイルサポート事業では、様々な事業領域において個人の利用者に向けてサービスを展開する事業者と連携し、「三方よし」のサービス理念のもと、人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト・情報サイト等様々な便利なウェブサービスを展開しております。
「デジタルマーケティング支援ビジネス」は、オウンドメディア等を通じて、提携事業者へ見込顧客を送客するデジタルマーケティング支援を中心に、スピーディに事業を横展開できる特徴を持っています。多様な事業領域におけるサービスを急速に立ち上げ、拡張させることで、収益を積み上げるビジネスモデルです。
個人の利用者へは基本無料でサービスを提供しており、主な売上はパートナー企業に当該利用者を見込顧客として紹介することに対する紹介手数料及び成約報酬であります。
「プラットフォームビジネス」はアプリケーションやウェブサイトなどを通じて情報を集めた「場」を提供し、ユーザーデータの蓄積と活用、そして独自価値の向上により、市場での優位性を構築し、さらにデータを活用したソリューションを提供することで、価値向上のサイクルを図っていくビジネスモデルです。
主な売上は広告収入や有料会員向けの利用料、ツールやEC等のソリューション提供によるものであります。
現在、ヘルスケア・エンジニア領域においてプラットフォームを展開しています。
2022年7月期は、売上高・セグメント利益ともに前期比で増加となりました。これは主に、車の査定・買取サイト「ナビクル」の好調及びこれまで投資フェーズであった新規サービスの成長が全体の増収増益を支えたことが影響しております。売上高につきましては、引越し関連事業において電力価格の高騰による取引先からの送客制限により前期比で減少となるも、引き続き中古車市場の活況に伴い「ナビクル」が好調に推移し、またこれまで投資フェーズであった転職メディア「CAREER PICKS」が大きく成長しました。なお、当該サービスについては、2021年2月に運営会社であった株式会社リンクス(現 株式会社エイチームフィナジー)のM&Aを実施し、双方が持つWebマーケティングの強みを掛け合わせたことにより、当連結会計年度で目覚ましい売上高成長を実現いたしました。セグメント利益につきましては、「ナビクル」の増収に伴う増益と、金融メディアの一部新規サービスが下期で黒字化し、全体として前連結会計年度比で増加となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるライフスタイルサポート事業の売上高は21,147百万円(前連結会計年度比3.7%増)、セグメント利益は1,610百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。
<EC事業>
EC事業では、様々な商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発及びを運営しております。「cyma-サイマ-」は東海、関東、関西3カ所に物流倉庫を構え、完全組立自転車をオンラインで販売、自宅までお届けする独自性の高い自転車専門通販サイトです。また、2021年8月より新商材として、ペットフードブランド「Obremo(オブレモ)」をリリースしました。
今後も引き続き品揃えや販売方法、配送品質を日々改善し、ユーザーの期待を大きく超える購買体験ができるサービスを提供してまいります。
2022年7月期においては、売上高につきましては「cyma-サイマ-」においてモール型ECサイトでの販売が好調に推移し、前連結会計年度比で大きく増加しました。セグメント利益につきましては、新規サービス「Obremo(オブレモ)」でのラインナップ拡充に向けた新商品の開発へ投資し、前連結会計年度比で減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるEC事業の売上高は4,326百万円(前連結会計年度比20.3%増)、セグメント損失は77百万円(前連結会計年度は84百万円の利益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ811百万円減少し、当連結会計年度末には5,223百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、302百万円(前連結会計年度は451百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費377百万円、減損損失591百万円及び未払金の増加836百万円があったものの、税金等調整前当期純損失734百万円及び法人税等の支払額786百万円等の影響によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、332百万円(前連結会計年度は440百万円の収入)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入542百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、867百万円(前連結会計年度は1,343百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出537百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
エンターテインメント事業 |
0 |
104.2 |
- |
- |
ライフスタイルサポート事業 |
- |
0.0 |
- |
- |
EC事業 |
- |
- |
- |
- |
合計 |
0 |
6.9 |
- |
- |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
エンターテインメント事業 |
6,316 |
△13.1 |
ライフスタイルサポート事業 |
21,147 |
3.7 |
EC事業 |
4,326 |
20.3 |
合計 |
31,790 |
1.7 |
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
Apple Inc. |
3,441 |
11.0 |
2,852 |
9.0 |
Google LLC |
3,380 |
10.8 |
2,928 |
9.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
a.資産
当連結会計年度末における総資産は14,762百万円となり、前連結会計年度末に比べ988百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金の減少811百万円によるものであります。
b.負債
当連結会計年度末における負債は4,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ711百万円増加いたしました。これは主に、未払金の増加839百万円によるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産は9,882百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,700百万円減少いたしました。これは主に、利益剰余金の減少1,640百万円によるものであります。
② 経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度における売上高は31,790百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。
エンターテインメント事業では、主に主要既存ゲームアプリの減収により、売上高は6,316百万円(前連結会計年度比13.1%減)となりました。
ライフスタイルサポート事業では、主に車の査定・買取サイト「ナビクル」及び新規サービスの成長により売上高は21,147百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。
EC事業では、主に「cyma-サイマ-」においてモール型ECサイトでの販売が好調に推移し売上高は4,326百万円(前連結会計年度比20.3%増)となりました。
b.売上原価
当連結会計年度における売上原価は、ライフスタイルサポート事業において電力会社紹介サービスの仕入原価の増加等により、8,463百万円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、主にエンターテインメント事業の広告宣伝費の増加により、23,625百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
d.営業損益
当連結会計年度における営業損失は、エンターテインメント事業での新規ゲームアプリ及びEC事業での新規サービスへの投資が重なり、298百万円(前連結会計年度は701百万円の営業利益)となりました。
e.経常損益
当連結会計年度における経常損失は、営業外取引として、為替差益40百万円が発生したものの営業損失298百万円により、219百万円(前連結会計年度は895百万円の経常利益)となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損失は、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩しにより、1,337百万円(前連結会計年度は877百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、通常の運転資金のほか、オフィス及びIT関連の設備に関する投資資金であります。
c.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則としておりますが、金利動向や負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。
資金の流動性については、グループ間の資金管理契約によりグループ各社における余剰資金の有効活用に努めるとともに、さらに金融機関との間で当座貸越契約を締結する等により、急な資金需要の不足の事態にも備えております。
なお、当連結会計年度末において借入金の残高はありません。また、現金及び預金5,223百万円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。
④ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(4.会計方針に関する事項)」に、コロナ影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績や一定の仮定のもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
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