業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに対する感染拡大防止策やワクチン接種の普及により、持ち直しの動きが見られました。しかしながら、新たな変異株の出現による感染の再拡大が見られることから、感染症による影響や供給面での制約 、原材料価格の動向を背景とした下振れリスクが懸念され、先行き不透明な状況が続いています。

当社グループが属する情報サービス産業においては、テレワークや非接触対応をはじめとした「新しい働き方」の実現に向けた企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が拡大しました。その一方で、先行き不透明な景況感を背景に、非戦略領域に該当する新規投資には慎重な姿勢も見られ、IT投資需要は強弱感が混在しています。また、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、半導体需給のひっ迫やサプライチェーンへの影響が続いているため、パソコン等ハードウェアの一部は不安定な供給となっており、今後も注視が必要な状況となっています。

このような環境のなか、当社グループは企業理念である「感謝と喜び」の心を根本として、お客様の事業継続や事業創造に貢献するための活動を続けています。当連結会計年度においては、業務ソフトウェアの販売に加え、グループウェアをはじめとしたDXソリューションを拡充し、お客様のDX対応を支援しました。また、2022年から本格提供を開始する新たなクラウド業務ソフトウェア『.cシリーズ』への切り替えを、早期かつ円滑に行うことができるよう、一部のお客様を対象にソフトウェア販売での月額サブスクリプション契約への転換を開始しました。さらに、自動車メーカー系の金融会社との協業を開始するなど、今後のモビリティ社会の動向を見据えた施策を推進しました。これらの活動と並行して、提供サービスの多様化に備え社内システムを拡張したほか、営業活動のオンライン化やテレワークの定着を進めるなど、当社グループ事業運営基盤のDX化を進めました。

月額サブスクリプション契約への転換は、当社グループの売上収益を安定化させるだけでなく、中長期的な成長をもたらします。しかしながら、当連結会計年度は転換の初期段階にあることから、売上収益の低下要因となりました。一方で、お客様のDX対応を支援するための提案力を強化したことにより、DXソリューション売上に加えて業務ソフトウェアの付帯サービスであるネットワーク利用料や保守サービス料など、各種の月額売上が増収となりました。コスト面におきましては、『.cシリーズ』等への開発投資やサービス提供基盤の強化をはじめ、オンラインプロモーション用のコンテンツ制作等、今後の事業成長につなげるための先行費用が増加しました。

これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益206億52百万円(前期比2.4%減)、営業利益33億95百万円(前期比17.9%減)、税引前利益32億33百万円(前期比15.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益21億73百万円(前期比11.9%減)となりました。

なお、財政状態の状況については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (a) 財政状態の分析」に記載しております。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金が37億83百万円、投資活動により使用した資金が33億88百万円、財務活動により使用した資金が1億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億90百万円増加の35億22百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、主に法人所得税の支払額13億31百万円、営業債権及びその他の債権の増加額5億3百万円による資金の減少があったものの、税引前利益32億33百万円、減価償却費及び償却費23億35百万円の計上により37億83百万円(前期比25.2%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、主に無形資産の取得による支出34億52百万円により33億88百万円(前期比22.1%増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、主に短期借入金の純増額18億2百万円による資金の増加があったものの、配当金の支払額9億30百万円、リース負債の返済による支出8億84百万円、コミットメント関連費用の支出62百万円により1億8百万円(前期比94.8%減)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当社グループは、単一セグメントのため、製品及びサービス分野ごとに記載しております。

区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

プラットフォーム      (千円)

11,478,645

107.4%

アプリケーション      (千円)

9,172,904

87.6%

合計(千円)

20,651,549

97.6%

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注実績

当社グループは、主に業務アプリケーション製品の開発、販売及び保守の事業を行っており、個別受注に基づく製品の生産の割合が少ないため記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当社グループは、単一セグメントのため、製品及びサービス分野ごとに記載しております。

区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

プラットフォーム      (千円)

11,478,645

107.4%

アプリケーション      (千円)

9,172,904

87.6%

合計(千円)

20,651,549

97.6%

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱HCビジネスリース株式会社(注)3

2,505,007

11.8

3,157,234

15.3

株式会社リコーグループ

2,827,756

13.4

2,197,281

10.6

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

3.日立キャピタルNBL株式会社は、2021年10月1日付で三菱HCビジネスリース株式会社に商号を変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

なお、重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営成績及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

当連結会計年度における取組みとして、クラウド版新モデルの市場投入ついては、デジタルビジネスプラットフォーム「Broadleaf Cloud Platform」上で稼働するサービスを拡充するため、業種特化型アプリケーション「.NS(ドット エヌ エス)シリーズ」の後継バージョンである自動車アフターマーケット事業者向けクラウドサービス「.c(ドット シー)シリーズ」のうち、自動車整備事業者向けクラウドサービス「Maintenance.c(メンテナンスドットシー)」の機能拡張を実施し、本格リリースするとともに、自動車鈑金業向けクラウドサービス「Repair.c(リペアドットシー)」をリリースいたしました。当社グループは、「Broadleaf Cloud Platform」をベースに稼働するクラウドサービス「Maintenance.c」、及び「Repair.c」を皮切りに、今後、自動車アフターマーケット事業者向けに開発・提供するITソリューションのクラウド化を進めるとともに、さまざまな企業との連携を進めることで、事業者のみなさまにとって利便性の高いサービスを提供してまいります。

新型コロナウイルス感染症により、様々な業種、業態においてテレワークが推進され、ニューノーマルな働き方が求められる中、当社グループが提供するサービスをご活用いただくクライアントの企業活動においても、デジタル化によるペーパーレスや、商談のオンライン化などのニーズが高まりを見せています。当社グループの顧客業種、及び業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のため、Google CloudTMの統合型ワークスペース Google Workspaceの取り扱い、及び当社グループが提供するクラウドサービスとのシームレスな連携を開始しております。Google Workspaceは、使いやすい生産性向上アプリがすべて含まれており、当社グループが提供するクラウドサービスとシームレスに連携させることで、より快適で効率的な業務、及び働き方支援を行うこと進めてまいります。

また、2021年10月にはトヨタファイナンス株式会社と自動車アフターマーケットを中心としたモビリティ金融サービスを実現する事を目的に協業を開始することで合意いたしました。今回の協業は、当社グループが開発・提供する「Broadleaf Cloud Platform」とトヨタファイナンス株式会社が提供する「モビリティ金融サービス」の連携により、おクルマを利用するお客様に個々最適なサービスの提供を目的としております。当社グループは、この度の協業により「Broadleaf Cloud Platform」上の決済ゲートウェイを活用し、新たな金融サービスを提供いたします。この取り組みによって、カーオーナーへ利便性の高い金融サービスを提供するとともに、当社グループが提供するクラウドサービスのさらなる機能拡充を目指してまいります。

なお、上記の取組みを推進したものの、2022年からの「.c(ドット シー)シリーズ」への切り替えをスムーズに移行するため、一部の顧客に「.NS(ドット エヌ エス)シリーズ」を月額サブスクリプション契約で販売を行った結果、当連結会計年度の業績は減収減益となりました。

 

当連結会計年度の目標の達成状況は、以下のとおりとなりました。

 

2021年12月期

目標

2021年12月期

実績

達成率(%)

売上収益(百万円)

20,100

20,652

102.7

営業利益(百万円)

2,400

3,395

141.5

親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円)

1,550

2,173

140.1

プラットフォーム売上比率(%)

51.7

55.6

107.5

 

 

(a) 財政状態の分析

ⅰ.資産

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より22億2百万円増加の344億76百万円(前期比6.8%増)となりました。流動資産は6億53百万円増加の84億5百万円(前期比8.4%増)、非流動資産は15億50百万円増加の260億71百万円(前期比6.3%増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、棚卸資産が1億48百万円減少したものの、営業債権及びその他の債権が4億96百万円増加、現金及び現金同等物が2億90百万円増加したことによるものです。非流動資産の増加の主な要因は、有形固定資産が5億49百万円減少したものの、無形資産が21億23百万円増加したことによるものです。

ⅱ.負債

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末より6億90百万円増加の83億62百万円(前期比9.0%増)となりました。流動負債は10億80百万円増加の75億12百万円(前期比16.8%増)、非流動負債は3億89百万円減少の8億50百万円(前期比31.4%減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、契約負債が2億58百万円減少、その他の流動負債が1億68百万円減少、未払法人所得税が1億49百万円減少したものの、短期有利子負債が17億32百万円増加したことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、その他の非流動負債が43百万円増加したものの、長期有利子負債が4億50百万円減少したことによるものです。

ⅲ.資本

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より15億12百万円増加の261億14百万円(前期比6.1%増)となりました。資本合計の増加の主な要因は、利益剰余金が12億23百万円増加、自己株式が1億18百万円減少したことによるものです。

 

 

(b) 経営成績の分析

ⅰ.売上収益

当連結会計年度の売上収益は206億52百万円(前期比2.4%減)となりました。これは、主に2022年からの「.c(ドット シー)シリーズ」への切り替えをスムーズに移行するため、一部の顧客に「.NS(ドット エヌ エス)シリーズ」を月額サブスクリプション契約で販売を行ったことによるものです。なお、プラットフォーム売上比率は55.6%(前年は50.5%)となりました。

当社グループはITサービス事業の単一セグメントでありますが、売上区分別の状況は次のとおりです。

 

(単位:百万円)

区 分

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

前期比(増減率)

SaaS

692

858

24.0%

PaaS/IaaS(基本)

7,555

7,830

3.6%

EDI・決済

692

702

1.4%

PSF

554

543

△2.0%

BLP

138

159

15.3%

サポート

1,596

1,866

16.9%

保守

878

1,083

23.3%

サプライ品

719

784

9.1%

その他(DX)

157

222

41.6%

プラットフォーム合計

10,692

11,479

7.4%

 

(単位:百万円)

区 分

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

前期比(増減率)

業種別

8,868

7,868

△11.3%

自動車系

7,607

6,779

△10.9%

非自動車系

1,261

1,089

△13.6%

OTRS

204

223

9.6%

機器類

1,398

1,082

△22.6%

アプリケーション合計

10,469

9,173

△12.4%

 

ⅱ.営業利益

売上原価は57億53百万円(前期比5.5%減)となりました。これは、主にソフトウェア償却費が増加したものの減収に伴い仕入高が減少したことによるものです。販売費及び一般管理費は115億21百万円(前期比4.6%増)となりました。これは、主にクラウドサービス基盤費用及び人件費が増加したことによるものです。その他の営業収益は30百万円(前期比63.0%減)となりました。その他の営業費用は12百万円(前期比77.7%増)となりました。

これらの結果、営業利益は33億95百万円(前期比17.9%減)となりました。

ⅲ.当期利益

金融収益は85百万円(前期比123.2%増)となりました。金融費用は2億41百万円(前期比25.9%減)となりました。持分法による投資損失は6百万円(前期比78.3%減)となりました。法人所得税につきましては10億59百万円(前期比21.9%減)となりました。

これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は21億72百万円(前期比11.9%減)となりました。

 

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績は、外部要因としては①自動車アフターマーケット市場の環境変化②法的規制③訴訟等により影響を受ける可能性があります。

一方、当社グループの経営成績に影響を与える内部要因としては、①システムトラブル②商品不具合③情報管理④知的財産の保護⑤人材の獲得及び育成等が挙げられます。当社グループは、継続的に内部管理体制の改善、組織体制を整備することでこれらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。

なお、経営成績に重要な影響を与える要因についての詳細につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

運転資金及び設備投資資金につきましては、内部留保又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。金融機関からの資金調達につきましては、長期借入のほか、効率的な運転資金の調達を図るため、総額125億円のコミットメントラインを設定しております。

 

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