課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、著作物を公正利用のもと、出来るだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展、及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。また、日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化されて数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の一翼を担うことを目的に事業を行っております。

 

(2)中長期の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2018年7月に2023年2月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、既存事業の競争力強化や新たな事業領域への展開等、取次から“Publishing Platformer”への転換を目指して取り組んでまいりました。前中期経営計画期間においては、2017年3月に子会社化した株式会社出版デジタル機構のPMIを完遂するとともに、大手海賊版サイトの閉鎖、新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要増加並びに社会全体のデジタルシフト進展の追い風を受け、中期経営計画3年目にあたる2021年2月期の売上計画を1年前倒しで達成することができました。更に、2021年3月の紙出版取次大手の株式会社トーハンと資本業務提携、2021年10月のNFTマーケットプレイス「FanTop」のサービス開始、2021年12月の小説投稿サイトを運営する株式会社エブリスタの子会社化など、新規事業創出のための布石を打つことができました。

 一方、当社グループが事業を展開する電子書籍業界においては、縦スクロールコミックといった新たなスタイルの電子書籍の勃興やボーダレス化の加速、競合企業の台頭など、市場環境や顧客ニーズ、競合の状況は常に変化しております。また、当社グループが事業領域を拡大させておりますコンテンツ業界においては、コンテンツ制作・流通・消費がデジタル基点となったことで、コンテンツへの世界的な需要が急増し、大手資本によるグローバルでのコンテンツ獲得競争が激化する等、今後も変化の激しい事業環境になると想定されます。

 これらを踏まえ、事業と経営の両面を進化させ、Media Do 3.0への移行を実現する(Publishing Platformer=コンテンツ業界のDXを支える存在を目指す)べく、2023年2月期を初年度とする5ヵ年(2023年2月期~2027年2月期)の新中期経営計画を策定いたしました。

 当社グループが持つ最大の「強み」は、電子書籍流通における圧倒的なポジションだと考えております。具体的には、当社グループの取引先は、出版社2,200社以上、電子書店150店以上を数え、当社グループの2022年2月期の流通総額は2,000億円(当社試算)となり、流通の中核機能を担っていること、加えて4大出版社(KADOKAWA、講談社、集英社、小学館 ※50音順)や紙書籍取次大手トーハンが当社株主として参画しており、業界からの支援を得られることなどがあります。そして、これらにより構成される圧倒的なポジション=正規版を取り扱うことができる取引先との「信頼」と人や情報へのアクセスであると考えております。

 当社グループは、「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに、電子書籍取次No.1として、正規版の流通を推進し、市場拡大に貢献してまいりました。新中期経営計画においては、当社のポジションを生かすとともに、これまで培ってきた「信頼」を土台として、新たな収益の柱の構築を目指してまいります。

 

 [経営戦略]

 ① 紙書籍も含めた出版業界における地位固めと新規事業の収益化による第二の事業軸の確立

 2023年2月期からの新事業セグメントである、電子書籍流通事業及び戦略投資事業を、更に5つの戦略上セグメントに分類し、新中期経営計画において、以下に取り組んでまいります。

 

イ.電子書籍流通事業

 

 a)電子書籍流通事業

更なる流通カロリー抑制と機能追加により、業界のインフラとしての役割の強化を目指すべく、以下

の施策を実施。

・流通カロリーの抑制による電子書籍市場拡大

・データマーケティングなど新たな機能追加

・新規商材の確立と文字もの電子書籍市場拡大

 

ロ.戦略投資事業

 

 b)インプリント事業

グループ連携によるコンテンツ制作と出版プラットフォーム機能の強化・拡大を目指すべく、以下の

施策を実施。

・コンテンツを生み出す新たな仕組みを確立

・出版プラットフォーム機能の強化

・アライアンスによるインプリント事業拡大

 

 c)出版ソリューション事業

業界連携による新たな事業機会模索と縦スクロールコミックのエコシステム構築を目指すべく、以下の

施策を実施。

・トーハンとの連携による紙書籍も含めた出版DXの推進

・POD事業合弁会社設立など新たなアライアンス推進

・縦スクロールコミックのエコシステムを構築

 

 d)国際事業

Publishing Service Platformとして、世界におけるメディアドゥグループの存在感の向上を目指すべ

く、以下の施策を実施。

・出版インフラ機能としてのグローバルでの地位確立

・新規サービスの世界展開/日本へのDX事例導入

・Media Do Internationalの機能・体制拡充

 

 e)ファンマーケティング事業

IPホルダーやファンとのつながりの深化と日本発の正規版NFTコンテンツ流通の実現を目指すべく、以下

の施策を実施。

・IPホルダーとの協業により、コンテンツのNFT化を促進

・差別化されたNFTエコシステムの実現

・IPホルダーとファンのダイレクトコミュニケーション

 

 ② 経営基盤の強化

イ.連結経営の強化

ロ.優秀な人材の確保

ハ.ミッション・ビジョンを軸にしたESG重点テーマへの対応

「環境」

・当社グループが事業活動において利用する資源・エネルギーの効率化

・電子書籍の利用拡大による紙使用量削減と物流に係るエネルギー消費量の抑制

「社会」

・企業理念に基づく事業活動の遂行(著作物の公正利用と頒布)

・著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できるシステム基盤の構築と強化

・地方創生と地域社会活性化

「ガバナンス」

・サステナビリティ推進委員会(2022年6月設置予定)による統合型リスク管理と社会課題を踏まえた事業機会の最大化とリスクの極小化

・様々なステークホルダーとの対話を通じたコーポレート・ガバナンスの強化

・コンプライアンス及びリスクマネジメント強化

 

 [財務戦略・資源配分計画]

 当社グループは、高い資本効率と財務健全性のバランスを重視し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。また、中期的には事業の収益創出力の強化と規律あるキャッシュ・フローマネジメントにより、持続的な成長サイクルの実現を目指しております。

 なお、当社グループは、前連結会計年度のみずほ証券割当型第三者新株予約権、当連結会計年度のトーハンとの資本業務提携により、総額約75億円の資金調達を行ったことで、財務体質を改善し、資本業務提携・M&Aやブロックチェーン開発等、今後の成長ドライバーに資する投資を実行いたしました。

 引き続き、有利子負債の返済や利益積み上げを通じた自己資本比率の改善により財務健全性を向上させていくほか、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減を図ってまいります。また、財務レバレッジを考慮しつつ負債の規律ある活用も進めることにより、資本効率を向上させながら企業価値の創出に努めてまいります。

 設備投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資、特にシステム開発を積極的に推進してまいります。なお、各年度の設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、強固な財務体質を維持し、十分な水準の手元流動性を確保してまいります。

 

イ.経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、当連結会計年度においては連結売上高の94.8%を電子書籍流通事業にて計上しております。電子書籍市場は将来にわたって拡大が見込まれることから、経営資源(人材、投資)は今後も一定程度、電子書籍流通事業に投下する方針であります。

 一方で、グループ全体における電子書籍流通事業への偏重がリスクにもなり得るとの認識から、その他事業への経営資源の配分が、グループ全体の企業価値向上にも資するものと考え、回収可能性や、手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フローを十分に考慮したうえで、投資を実行してまいります。

 更に当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識するとともに、将来の持続的な成長に必要な設備投資等や経営基盤の強化も重要な経営目標と考えております。そのため、内部留保を確保しつつ、財政状態及び業績動向等、経営状態を総合的に判断して利益配当を行っていくことを基本方針としております。

 この方針に基づき、株主の皆様への利益還元については、配当及び自社株式の取得による総還元性向(注)30%以上を念頭に置き、配当と自己株式の取得の配分は、株価水準等に応じて判断致します。

(注)総還元性向=(配当支払総額+自己株式取得総額)/親会社株主に帰属する当期純利益

 

ロ.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、事業運営にかかる人件費や業務委託費、広告宣伝費などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、競争力の維持・強化に向けたシステム開発などがあります。

 

ハ.資金調達

 当社グループにおける設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としております。そのため、事業活動の維持拡大において外部資金が必要となる可能性は低いものと認識しております。

 一方で、今後は更なる企業価値向上に資するM&A等を実施する場合に必要となる可能性があり、その場合には、内部資金及び外部資金を有効に活用する必要があるものと考えております。その際には、M&A案件の事業計画の確からしさの検証に加え、高い資本効率と財務健全性のバランスを重視して検討を行います。

 

 [経営目標]

連結

2022年2月期

実績

2023年2月期

計画

2025年2月期

計画

2027年2月期

計画

売上高

1,047億円

1,000億円

1,200億円

1,500億円

営業利益

28.1億円

20.0億円

40億円

85億円

EBITDA

39.2億円

35.9億円

55億円

100億円

当期純利益

15.7億円

8.5億円

28億円

60億円

RОE

10.9%

5.2%

15.0%

23.0%

 

 [対処すべき課題]

 当社グループが属する著作物のデジタルコンテンツ流通市場は、高速通信網の整備によるスマートフォンをはじめとした各種デバイスの普及などを背景に、市場が急速に拡大するとともにサービス内容が多様化しております。

 こうした環境のもと、当社グループは、“Publishing Platformer”として、電子書籍の流通拡大による貢献だけでなく、新たな技術を用いたコンテンツの制作や流通・利用を促進し、コンテンツ業界のDXを支える存在となることで、更なる業績の拡大及び業界における信頼度向上を図ってまいります。

 そのためには、当社グループとして最大の「強み」と考える電子書籍流通における圧倒的なポジションと、デジタル・テクノロジー分野における開発能力といった競争優位の一層の強化・高度化が不可欠となります。これらを実現していくために下記事項を対処すべき課題として認識し、積極的に取り組んでおります。

 

 ① 基盤システム・情報セキュリティの強化

 当社グループの主力事業である電子書籍流通事業において、出版社や電子書店の業務負担を軽減し、コンテンツの創作や販売により注力できる環境を整え、電子書籍市場、ひいては出版市場全体のDXを推進していく存在として、当社の電子書籍取次システムへの期待要件や重要度はますます高まっております。当社の電子書籍取次システムは、処理能力の向上に加え、冗長化やセキュリティ強化を目的としてオンプレミスからクラウドへと移行しております。今後も出版業界のDX推進をけん引し、一層の業界発展を支えるべく、新たな機能を盛り込んだ新電子書籍取次システムの開発に着手しております。また、多様化するクライアントニーズやインターネットのWeb3への移行を踏まえて、ブロックチェーン技術やVRといった先進技術を活用した新たな流通プラットフォーム、サービスの構築・提供も進めております。

 他方、当社グループが今後も安定した事業運営を行うためには、情報及びデータセキュリティ強化が重要であると認識しております。その取り組みとして、異常値やインシデントに対して社内独自の基準を設け、担当部門がデータやシステムに対するアクセスを常に監視し、実際に異常が見られた場合には、情報セキュリティ管理統括責任者と密に連携を取りながら、問題への迅速な対処並びに再発防止に努める等しております。今後も市場環境や技術動向の変化に対応すべく、適切な投資や開発・運用体制の整備に取り組んでまいります。

 

 ② 事業の基盤強化

 当社グループが、市場での競争優位性を確立し企業として成長を持続するためには、経営資源の確保と高度化に努め、既存事業の強化を図りながら、更に、新規事業に対する積極的な取り組みが必須であります。そのための課題点と対応の方向性は、以下のとおりであります。

 

a)電子書籍流通事業における付加価値提供並びに効率的な運用

 当社グループの主力事業である電子書籍流通事業において、当社は国内最大の電子書籍取次事業者となっております。今後も出版社、電子書店、読者のニーズに応えながら電子書籍市場を拡大させていくためには、出版営業、書店営業、運用管理総勢300名以上となった組織において、技術革新やノウハウ共有等によって組織の効率化と強化を進め、オペレーショナル・エクセレンスを確立する必要があります。

 具体的には、電子書籍取次システムの機能拡充、複雑なキャンペーン施策管理などのサービスによる付加価値提供、電子のみならず紙出版も含めた売上・印税管理システムの開発提供など、出版バリューチェーンの上流・下流を問わず効率化・高度化の実現に注力します。加えて、当社内の業務プロセス見直しや社内DX、管理コスト抑制策を推進し、利益率の改善を図ってまいります。

 

b)M&A・資本提携への取り組み

 当社グループが事業を展開する電子書籍業界においては、縦スクロールコミックといった新たなスタイルの電子書籍の勃興やボーダレス化の加速、競合企業の台頭など、市場環境や顧客ニーズ、競合の状況は常に変化しております。また電子書籍に限らず、NFT等のデジタルコンテンツも含めると、今後も変化の激しい事業環境になることが想定されます。このような事業環境において、電子書籍取次に次ぐ新たな収益軸の構築や非連続な成長を実現するためのM&Aや資本提携が重要な課題であると考えております。

 当連結会計年度においても複数のM&Aや資本業務提携を実施しており、買収した子会社や投資先のなかには当初の計画以上に業績が好調に推移している企業も存在している一方、PMI(注)が想定通りに進んでいない案件もあります。現在、当社グループは明確な投資方針や厳格な投資基準を有し、子会社や投資先の事業成長を実現するための適切な人材を配置することで管理体制の強化を図っております。また、策定した新たな中期経営計画のもと、中長期の競争優位の確保に向けた新たな投資・M&Aに加え、グループ内における投資効率の最適化を実現するべく事業ポートフォリオの見直しに取り組んでまいります。

(注)Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)。経営統合に伴って、計画したシナジー効果を獲得するためのプロセス統合とマネジメント

 

c)将来に向けた研究開発・新規事業への取り組み

 スマートフォンの普及や、5Gの高速通信環境整備に伴ってユーザーのライフスタイルは一層変化し、出版業界のみならず、社会基盤や産業構造全体がDXによって大きくパラダイムシフトしています。また、新型コロナウイルス感染症の影響により社会全体のフィジカルとデジタルの融合は一層進展し、ステークホルダーの価値観やニーズも多様化しております。

 こうした環境の変化を捉え、当社グループは自らのDXへの挑戦と実践によって、多様なステークホルダーの多様な価値観に応じたプロダクトやサービスを提供していくことこそが当社グループの存在意義であり、提供価値であると認識しております。これらを踏まえつつ、将来を見据えた上で、第二の収益軸となる新規事業の創出や研究開発が重要な課題と考えおります。

 また、著作物を取り扱う企業として、知的財産の保護と適正利用等、出版エコシスエムの発展に資する取り組みを欠かすことはできません。デジタル化が進展する中で、コンテンツ市場の量的・質的な構造変化・多様化が進行しており、当社グループはこれらに対応する基盤システムのリニューアルといった既存資産の高度化に向けた投資、コンテンツを生み出すIPや原作を獲得するための投資や業務提携を進めているほか、事業区分と管理方法の見直し、投資規律の再検証、人員増強を含めた体制の強化等の改善策を実施してまいります。

 

d)海外事業展開の推進

 当社グループの主力事業である電子書籍流通事業は主に国内で事業を展開しており、依然として当社売上高のほとんどが国内市場からもたらされていることから、収益構造の事業的・地理的な分散を図る必要があると認識しております。

 一方で、新たな中期経営計画下では、子会社であるMedia Do International, Inc.を通じたM&Aによりグループ化した企業群を軸に海外事業の一層の拡大を図る方針を掲げております。具体的には、2021年1月に買収した米Quality Solutions, Inc.(Firebrand Technologies)並びに米NetGalley, LLCを中心として欧米出版社とのネットワーク構築、日本及びアジアの出版業界への出版IT技術導入といった出版バリューチェーンを支えるSaaS型ソリューションビジネスの拡大を図り、Global Publishing Platformの確立を目指します。

 加えて、当社は2018年よりインターネット技術の世界的標準化推進団体である「W3C (World Wide Web Consortium) 」に加盟、更にMedia Do International, Inc.にてPresident & CEOを務める塩濵大平は2019年2月よりW3C内のPublishing Business Groupの共同議長を、2021年1月からは日本人初となるW3Cのエヴァンジェリストを務めています。こうした海外ネットワークを活用し、当社グループは電子書籍の国際標準規格策定への提言活動をより強化することで、日本の出版文化の維持・保護に努めてまいります。また、アジアの代表として出版業界全体のデジタル化を推進することで存在感を発揮し、海外事業の成長に繋げてまいります。

 

 ③ 優秀な人材の確保

 当社グループは、イノベーターとして電子書籍市場の成長促進、既存事業にとらわれない新規事業創出、グループ会社管理体制強化に貢献する人材を確保し育成することが、更なる業容拡大や業界におけるポジションの差別化及び強化にとって重要であると考えております。

 また、サステナブルな事業体の実現に向けては、財務的な観点のみならず、人的資本や技術開発投資をはじめとした非財務的な観点を含めた経営資源の適正な配分が不可欠と認識しております。特に人的資源については、出版業界全体のDXを進めていくにあたって不可欠となるエンジニアの確保・育成・定着を重点領域として、評価・報酬制度設計や職場環境向上に向けた投資を実施しています。今後も、「本」文化を育て、出版市場の拡大に寄与することができる点や、テクノロジーの進化の最前線に立ち、社会課題の解決や業界変革に挑戦できる点について説くことで、会社の魅力訴求に取り組んでまいります。また、新たに定めた「人材基本方針」を踏まえ、働き方改革への対応、社内教育制度の整備を図っていくことで採用及び定着の強化につなげてまいります。

 

 ④ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、これまでに、執行役員制度及び取締役の任期1年制の導入による責任体制の明確化、社外取締役2名を含む、独立役員の要件を充足する社外役員の招聘による監督・監査機能の強化、取締役会付議基準の見直しによる意思決定の迅速化及び取締役会全体の機能向上などコーポレート・ガバナンスの実践に努めてまいりました。今後も持続的な成長を遂げ、ひいては中長期的な企業価値の向上を図るためには、更なるコーポレート・ガバナンスの実践・強化が重要な課題のひとつであると認識しています。

 このような認識のもと、経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上及びガバナンスの中核を担う取締役会全体の更なる機能及び実効性の向上に向けて、当社グループにおける「コーポレート・ガバナンス基本方針」及び「コンプライアンス基本方針」の策定や取締役・監査役の資質の明示(スキルマトリックス)、ダイバーシティを意識した取締役構成、2021年6月より任意の指名報酬諮問委員会の設置といった改善策を実施しております。また、財務情報をより正確に、かつ分かりやすく提供することはもとより、経営戦略、ガバナンスや社会・環境問題に関する事項などいわゆる非財務情報を具体的かつ積極的に提供するなどの情報開示の充実、株主との建設的な対話を促進することを含むIR活動の更なる強化に努めてまいります。

 

 ⑤ サステナビリティ推進

 当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献するという責任と自負をもって、役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことだと考えております。こうした考えのもと、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境問題・社会課題に対してもミッション・ビジョンを軸にした経営・戦略を推進し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の切り口で事業機会とリスクを整理しながら、社会課題の解決と持続的な成長を両立させ、企業価値の向上を果たしていくことをサステナビリティ方針として掲げております。

 なお、当社では環境問題や社会課題を、事業活動及び企業価値創造にインパクトを与え得るファクターとして、当社内により取り込んでいくべく、2022年6月1日付でリスク管理委員会を改組し、サステナビリティ推進委員会を設置することを2022年5月19日の取締役会で決議しております。

 サステナビリティ推進委員会は、コーポレート部門を管掌する取締役CSO兼CFOを委員長、人事部門、経理部門のそれぞれを管掌する執行役員を副委員長として、その他事業部門責任者や委員長が指名する当社役職員で構成し、原則年4回(四半期毎に1回)開催します。同委員会は、気候変動問題等を含む、当社の持続可能性向上に資する機会とリスクの検討・整理、サステナビリティ戦略や施策についての評価、監督及びモニタリング機能の強化を目的とし、開催ごと適切な時期に取締役会に報告します。また、同委員会は、事務局である経営企画室及び総務部と連携し、社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、自社の中長期的なミッション・ビジョン及び経営戦略との整合を図りながら、当社グループにおける重要課題(マテリアリティ)の特定、見直しを行います。同時に、マテリアリティの特定プロセスにおいて整理された機会とリスクを踏まえ、各部門やグループ会社が取り組むべき具体的なサステナビリティ戦略や目標を設定し、推進主体が定期的にモニタリングすることで推進を図ってまいります。

 

a)環境問題への対応

 当社グループは「電子書籍市場の拡大」を推し進め、電子書籍の認知・利用拡大を図ることが自社の企業価値向上に直結するだけでなく、紙資源や流通に係る物流エネルギー、返品・廃棄等による環境負荷の低減にも寄与すると考えております。当社が強みとするテクノロジーを最大限活用し、電子書籍の利便性を一層高めることで、持続可能な出版インフラの構築と提供に取り組んでまいります。

 

b)社会的価値の創出

 当社グループは、2つの観点で社会との調和・相互発展を図ってまいります。

 一つ目は著作者、出版社、書店、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できる仕組みの構築を目指して、電子書籍規格の国際標準化活動への寄与、海賊版サイトへの対応、出版のアクセシビリティ研究等、当社を取り巻くステークホルダーが電子書籍を安心・信頼して利用できる環境の整備に取り組むことで、著作物の健全なる創造サイクルの実現を目指します。また、2021年3月には、紙書籍取次大手の株式会社トーハンと資本業務提携を行い、2021年10月からはNFTデジタル特典付き書籍を販売するなど、苦境が続く紙書店の活性化に向けた取り組みを開始いたしました。電子書籍を紙書店の店頭で販売するなど、今後も様々な取り組みを通じて、日本の出版文化の発展に貢献してまいります。

 二つ目は日本が直面する労働人口減少や超高齢社会という大きな社会的課題に対し、将来にわたって成長力を確保し、「活力ある日本社会」を次世代へと受け継いでいくために、積極的な地方創生活動に取り組みます。2020年1月に起業家を支援する「一般社団法人徳島イノベーションベース(TIB)」を地元メディア・金融機関と共同で設立し、その後も各都道府県において同様の組織の立ち上げ支援を行っております。引き続き、起業家が起業家を生み育てる環境を整備してまいります。

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