業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、企業収益は全体として高水準で推移し、業況感は横ばいとなっており、基調としては持ち直しております。

当社グループを取り巻く事業環境については、新型コロナウイルス感染症の影響によりライフスタイルが大きく変容し、ボイスチャットやWeb会議ツールなどオンラインコミュニケーションツールの活用は常態化しております。また、メタバースと呼ばれる仮想空間が注目を集めるとともに、テレワークやオンライン授業、ライブコマースなど、さまざまな分野でデジタル変革が進行しており、音声・映像を活用したオンラインサービスへの要求水準も高度化してきております。

これらの状況下、当社グループは、オンラインコミュニケーションプラットフォーム「CRI TeleXus(シーアールアイ テレクサス)」の開発を行うとともに、今後成長が見込める事業、市場を見据えた研究開発体制を整備し、事業基盤の拡大、グループシナジーの創出に注力いたしました。

当連結会計年度の業績は、売上高2,840,897千円(前期比1.8%減)、営業利益97,424千円(前期比65.8%減)、経常利益138,506千円(前期比58.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失の計上により339,600千円(前期は199,702千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

セグメント毎の経営成績は、次のとおりであります。

(ゲーム事業)

当社製ミドルウェア「CRIWARE(シーアールアイウェア)」等のライセンス売上は、第1四半期において大手顧客からの一括ライセンス契約の受注があったものの、スマートフォン向けF2P売上減等により、国内は減少いたしました。また、海外は、中国におけるロックダウンの影響等によるコンテンツ制作の受注減が響き、減少いたしました。株式会社ツーファイブが行う音響制作は、第3四半期で大型案件を受注したこと等により、増加いたしました。株式会社アールフォース・エンターテインメントが行うゲーム開発/運営は、第4四半期に新規案件の売上が計上されたものの、既存アプリ運営の赤字幅増加により、増収減益となりました。当セグメントの売上高は2,164,074千円(前期比0.4%増)、セグメント利益は153,762千円(前期比52.6%減)となりました。

(エンタープライズ事業)

組込み分野は、モビリティがライセンス売上・開発案件ともに引き続き好調に推移したことに加え、コロナ禍で止まっていたカラオケ案件が始動し始めるなど事業環境は好転しているものの、ネットワーク組込みシステム開発の大規模フェーズ終了の影響が大きく、減少いたしました。新規分野は、オンライン上でコミュニケーションを行うゲーム開発者交流イベントやファンエンゲージメント向上に寄与するシステムなど、複数案件を受注し新たな可能性を開拓したものの、前期第1四半期にあったデジタル展示会プラットフォーム「CRI DXExpo(シーアールアイ ディーエックスエキスポ)」の大口売上がなくなった影響が大きく、減少いたしました。当セグメントの売上高は676,822千円(前期比8.2%減)、セグメント損失は56,338千円(前期は40,000千円のセグメント損失)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度の資産の部は、前連結会計年度末に比べて515,651千円減少し、5,016,660千円となりました。これは主に、「現金及び預金」の減少(前連結会計年度末に比べて575,386千円の減少)、「その他流動資産」の減少(前連結会計年度末に比べて50,232千円の減少)及び「投資その他の資産」の減少(前連結会計年度末に比べて167,003千円の減少)があった一方、「売掛金及び契約資産」の増加(前連結会計年度末に比べて112,012千円の増加)、「有形固定資産」の増加(前連結会計年度末に比べて75,398千円の増加)及び「無形固定資産」の増加(前連結会計年度末に比べて99,812千円の増加)によるものであります。

(負債の部)

当連結会計年度の負債の部は、前連結会計年度末に比べて90,135千円減少し、1,480,446千円となりました。これは主に、「未払法人税等」の減少(前連結会計年度末に比べて43,082千円の減少)、「その他流動負債」の減少(前連結会計年度末に比べて81,728千円の減少)及び「賞与引当金」の減少(前連結会計年度末に比べて11,220千円の減少)があった一方、「買掛金」の増加(前連結会計年度末に比べて48,779千円の増加)によるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度の純資産の部は、前連結会計年度末に比べて425,516千円減少し、3,536,213千円となりました。これは主に、「親会社株主に帰属する当期純損失」の計上及び配当金の支払いによる「利益剰余金」の減少(前連結会計年度末に比べて448,736千円の減少)及び「その他有価証券評価差額金」の減少(前連結会計年度末に比べて8,100千円の減少)があった一方、「為替換算調整勘定」の増加(前連結会計年度末に比べて23,500千円の増加)によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ575,787千円減少し、3,317,767千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は23,320千円(前連結会計年度は546,151千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費の計上131,792千円及び減損損失の計上217,324千円並びに投資有価証券評価損の計上215,799千円の資金の増加要因があった一方、税金調整前当期純損失の計上314,937千円、売上債権の増加額106,209千円及びその他流動資産の増加額24,418千円並びに法人税等の納付額90,146千円の資金の減少要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は527,021千円(前連結会計年度は39,878千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出98,761千円、有形固定資産の取得による支出87,986千円及び無形固定資産の取得による支出344,774千円並びに敷金及び保証金の差入による支出13,400千円の資金の減少要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は97,013千円(前連結会計年度は32,070千円の獲得)となりました。これは主に、配当金の支払いによる支出96,925千円の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度の当社グループに係る生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

なお、当社グループは、ミドルウェア使用許諾及びサポートによる売上が主でありますが、生産、受注という概念と馴染まないため、下記、生産実績及び受注状況の表については受託売上について記載しております。

 

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績を分野ごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度(千円)
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

ゲーム事業

837,273

△4.6

エンタープライズ事業

348,553

△17.0

合計

1,185,827

△8.6

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b. 受注状況

当連結会計年度の受注状況を分野ごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

890,555

+5.0

53,281

エンタープライズ事業

352,953

+22.5

11,000

+66.7

合計

1,243,509

+9.4

64,281

+874.0

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績を分野ごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度(千円)
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

ゲーム事業

2,164,074

+0.4

エンタープライズ事業

676,822

△8.2

合計

2,840,897

△1.8

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2020年10月1日
 至 2021年9月30日)

当連結会計年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社セガ

158,001

5.5

147,878

5.2

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

ゲーム事業においては、ミドルウェア一括ライセンス契約の受注や新規ゲーム開発案件にかかる売上計上があったものの、スマホ向けF2P売上の減少や中国ロックダウンの影響等によるコンテンツ制作の受注減及び既存アプリ運営の赤字幅増加により増収減益となりました。またエンタープライズ事業においては、モビリティのライセンス売上及び開発案件が好調に推移するとともに、カラオケ案件の再始動があったものの、ネットワーク組込みシステム開発の大規模フェーズ終了の影響が大きく、減収減益となりました。その結果、売上高は2,840,897千円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価は1,493,363千円(前連結会計年度比4.4%増)となりました。これは主に、新卒採用等による人件費の増加及び既存アプリ運営における外注費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,347,534千円(前連結会計年度比7.9%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は1,250,109千円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。これは主に、新卒採用等による人件費の増加、減価償却費の増加及び貸倒引当金の繰入によるものであります。なお、当連結会計年度における研究開発費は76,946千円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。この結果、営業利益は97,424千円(前連結会計年度比65.8%減)となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は、主として為替差益、受取配当金及び補助金収入等により47,409千円(前連結会計年度比17.5%減)となり、営業外費用は、主としてオフィス移転費用等により6,327千円(前連結会計年度比2.2%増)となり、この結果、経常利益は138,506千円(前連結会計年度比58.7%減)となりました。

(特別損失及び税金等調整前当期純損益)

特別損失は、減損損失及び投資有価証券評価損により453,443千円(前連結会計年度比913.8%増)となり、この結果、税金等調整前当期純損失は314,937千円(前連結会計年度は291,002千円の税金等調整前当期純利益)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

税金費用は、21,480千円(前連結会計年度比73.9%減)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は339,600千円(前連結会計年度は199,702千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループにおける中長期的な事業拡大と企業価値向上のために必要な資金需要の主なものは、人件費等の原価、販売費及び一般管理費の営業費用及び研究開発費であり、自己資金により賄っております。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの主な増減要因につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」欄に記載のとおりであります。

 

c. 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中長期的な事業拡大と企業価値向上をめざしており、売上高の持続的な成長と20%程度の営業利益率を重要な経営指標としております。

当連結会計年度は、売上高2,840,897千円(前期比1.8%減)、営業利益97,424千円(営業利益率3.4%)となりました。売上高は5期連続の増収とはならず微減、営業利益率は子会社アールフォース・エンターテインメントの赤字幅拡大やエンタープライズ事業の赤字が影響し、悪化いたしました。引き続き、子会社とエンタープライズ事業の収益改善に取り組み、中長期的に20%程度の営業利益率をめざしてまいります。ただし、当面はCRI TeleXusへの研究開発投資や、モビリティへのソフトウェア投資を優先して行うため、営業利益率は一時的に低下する見込みです。

 

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