課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社の経営理念は「世界の子供達と夢と感動を共有するエンタテインメント企業でありたい」であります。世界に発信するアニメ作品を創り、子供達の心が通じ合ってほしいという当社の夢が込められており、具現化に向けて着実に歩んでまいります。

 当社の経営方針は、第一にアニメーションキャラクターを創り、育成することです。そのためパートナー企業とともにアニメ作品をプロデュースし、二次利用としての版権ビジネスを展開してまいります。当社の収益及び財産は、当社が関わったアニメーション番組を支持していただいたファンの方々に支えられて形成されております。健全な経営を継続し、ファンの方々に新しいアニメ作品やアニメーションキャラクター、新しい夢や感動を提供し続けることが、企業としての第一の社会的意義であると考えております。

 二つめの方針は、社員全員がプロデューサーであるということです。プロデューサーの大きな役割は、個々のエンタテインメントコンテンツに関わるスポンサー・制作会社・放送局・出版社等のパートナー企業のメリットやニーズを調整することです。このようなプロデューサーの役割は、エンタテインメントコンテンツを創り出すうえで益々重要性を増しております。当社は少人数の会社ではありますが、社員全員が創業者マインドを持ち、誠実に業務を推進し、プロデューサー集団としてパートナー企業の信頼を得られるよう、努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループの中長期的な経営戦略は、中核であるアニメーション事業を拡大させるとともに、エンタテインメント企業として事業の多角化を図り、事業領域を広げていくことを基本的な考え方としております。アニメーション事業における持続的成長に、新規事業の業績を上乗せすることで企業の中長期的成長力を推進し、企業価値の向上を図ることを目標としております。

 

[アニメーション事業の拡充]

 当社グループは、アニメーション事業拡大のため、積極的なコンテンツ投資を行い、アニメーションキャラクターの版権獲得に注力する方針を堅持してまいります。その中で、事業全体の投資回収率を高めることと、中長期的なヒット作品及び人気キャラクターを創り出すことが課題となります。

 当社グループではヒットコンテンツを創り出す一つの方法論として、数年前から自社原作のオリジナル作品のプロデュースに注力してまいりました。自社原作のオリジナル作品は企画から完成までに手間と長い時間を要し、また知名度が低い等のリスクを伴いますが、全く新しい世界観を創り出すチャンスでもあります。年間2~3作品の自社原作のオリジナル作品をコンスタントにプロデュースできるよう、中長期的な経営戦略として継続してまいります。

 また、アニメーション事業の投資回収スキームやアニメファンのニーズが多様化する事業環境において、海外の配信事業者やゲーム会社等新規事業パートナーとの協業による作品創りが急務となっております。それらの事業会社との取引実績は十分とは言えませんが、アニメ作品の協業を通じて中長期的な関係性を構築してまいります。

 

[海外事業領域の開拓]

 当連結会計年度の海外売上は版権収入とイベント収入が中心であります。

 海外事業の促進を目的として、中国に創通(上海)娯楽発展有限公司を設立いたしました。また、当社が主催するキャラクターイベント「C3」と株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるSOZO Pte.Ltd.が開催する「AFA」を統合した、参加型エンタテインメントイベントである「C3AFA」を2017年6月から継続的に海外を含めた主要都市で開催しております。海外イベントの企画実施を増進させることでイベント収入の拡大を図ってまいります。

 イベント事業を通じて構築した日本企業・現地企業との関係性をもとに、次の段階として、アニメーション事業、キャラクターグッズのプロモーション事業及び版権ビジネス等のプロデュース事業を展開してまいります。海外事業領域でのビジネスはリスクを伴い、実現までに手間と時間を要しますが、当社グループの成長には欠かせない事業分野として取り組んでまいります。

 

[アライアンス、M&Aの実現

 既存事業の派生ビジネスに留まらず、エンタテインメントという事業領域において多角化をすすめ、中長期的な成長を目指してまいります。その実現のために、アライアンス、M&Aは有効な手段と考えております。新規事業領域として最も重要な領域である海外事業においても、具体的な事業展開の方法論としては、現地企業との合弁、アライアンス、M&Aを想定しております。

継続した当社グループの課題ではありますが、積極的に情報収集を行い、引き続き実現を目指してまいります。アライアンス、M&Aはリスクを伴いますが、中期的な経営指標の達成にも必要なこととして取り組んでまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な成長と利益の確保を経営目標としております。アニメーションビジネスにおいては、1プロジェクトの金額が大きく単年度の業績に与える影響が大きいこと、利益の回収までの期間が比較的長期に渡ることから、毎期の営業利益率を経営指標としており、連結ベースで15%を目標としています。短期での継続的な収益の改善が難しく、当期では芳しい結果を残せておりませんが、アニメーション事業の環境の変化への対応、オリジナルアニメーション作品への挑戦、海外等の新規事業領域の開拓といった中長期的な経営戦略を着実に実現させることで、中期的な経営指標の達成に努めてまいります。

 また、当連結会計年度末における当社グループのROEは8.3%となっております。ROEにつきましては具体的な数値目標は定めておりませんが、営業利益率の改善を図ることで、ROEの向上を目指してまいります。

 

(4) 経営環境

  当社グループを取り巻く事業環境におきましては、動画配信・サブスクリプションサービスの普及が本格化し、DVD、Blu-rayディスク等のパッケージ商品市場が縮小して久しく、またテレビアニメーションの放送枠が多く深夜時間帯に集中し、一部の例外を除き、アニメーション作品の大ヒットを作り出すことがより困難な状況となっていることなど、アニメーションをめぐる事業環境が変化してきております。このような事業環境において、アニメーション事業への投資を回収するためには、従前のキャラクターグッズの販売のみならず、中国をはじめとする海外での展開や、いわゆる2.5次元ミュージカル等の興行、舞台など、アニメーション作品の特性に適合した利用形態を企画段階から検討し、計画することが必要とされております。さらに、新しいパートナー企業との関係構築を目指すなど、事業環境の変化への対応が急務となっております。

 

(5)事業上の対処すべき課題

 当社グループは、創業以来誠実に事業を推進し、当社グループが保有するキャラクターの利用促進を図るとともに、取引先と当社が共に利益を分かち合う良好な関係を保つことができるよう努力を積み重ねてまいりました。当社グループが保有するこれらの有形無形の資産を最大限に活用し、以下の中長期的な事業課題をクリアすることで持続的な成長と企業価値の最大化を図ってまいります。

 ①ヒットコンテンツの創出

  当社の主要キャラクターである「機動戦士ガンダム」に並ぶキャラクターを生み出し、将来の事業の柱となるようなヒットコンテンツを創出すべく、今後ともオリジナルアニメーション作品の製作に挑み続けること、業界内外を問わず新しい事業パートナーとの協業実現を目指すこととともに、アニメーション作品の製作に関して、単なる投資資金の回収を目指すのではなく、選択と集中をもって、より戦略的かつ大胆な投資を行うことで、ヒットコンテンツ創出への挑戦を続けてまいります。

 ②海外市場の開拓

  当社は、アニメーション業界、キャラクター業界にとって海外市場の開拓の重要性が増してきているとの認識に基づき、中国の拠点として創通(上海)娯楽発展有限公司を設立いたしました。今後、この新たな拠点を足がかりに事業を開始し、イベント事業及び版権事業を中心として、海外事業を積極的に展開してまいります。

 ③M&A、アライアンスによる事業の多角化

  エンタテインメントに関するファンのニーズ、メディアの多様化等の変化に対応するため、当社グループの事業を多角化し、経営基盤を強固にすることが中長期的な課題であります。

  事業の多角化の手段の一つとして、国内外を問わず、M&A、アライアンスの可能性を検討するため、これらに関する情報収集を引き続き行うことによって新規事業の開拓を模索してまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得