業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

当連結会計年度(令和3年1月1日~令和3年12月31日)における我が国の経済は、内閣府による令和3年12月の月例経済報告で、「景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられる。」としながらも、先行きについては同報告の中で「先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」と報告されており、依然として不透明な状況が続いております。

このような環境の下、当社は当連結会計年度において以下の施策に取り組んでまいりました。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

 <テクノロジー事業>

テクノロジー事業については、IoTプラットフォーム開発などを手掛けるジャスミー株式会社や、スマホアプリ・WEB サービス開発などのシステム開発やブロックチェーン関連のソリューションを手掛ける株式会社ピー・アール・オーと協業を開始したほか、株式会社ソラコムや株式会社アットマークテクノが提供するパートナープログラムのパートナー認定を取得する等、当社が強みとする組込み&エッジからクラウドまでワンストップで開発できる技術力を活かした活動を積極的に推進しました。

また、当社の製品売上については、主要製品であるロケーションビーコン「MyBeaconシリーズ」が株式会社タツノやトキコシステムソリューションズ株式会社等のセルフサービスステーション用タブレット端末給油許可装置を提供する企業等に対する出荷が増加した結果、前年度の製品売上高93百万円から令和3年12月期は156百万円と、約66%増加する結果となりました。

しかしながら、受託開発大型案件の一括計上を第4四半期に行った前年度に対して、本年度は第3四半期以降顧客の予算削減等により案件数及び案件規模が縮小した等により、売上高は516百万円と前年度より26%減少する結果となりました。

 

<ソリューション事業>

ソリューション事業においては、主に連結子会社であるスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社のMVNOブランド「スマモバ」において、OEM販路を活用した携帯電話端末やSIMカードの販売を積極的な展開したほか、クラウドSIMを用いたモバイルWiFiルーターサービス「THE WiFi」、また法人向けIoTデータ通信サービス「unio(ユニオ)」など、顧客ニーズに応じたデータ通信サービスの拡販に注力しました。その結果、月額利用料金等の安定的に収益を獲得できるストック収益が順調に積み上がり、当連結会計年度においては、連結売上高に対するストック収益比率は約76%と、前連結会計年度における同比率約58%から大きく上昇する結果となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度のテクノロジー事業の売上高は516,677千円(前連結会計年度の売上高699,674千円)、ソリューション事業の売上高は2,992,458千円(前連結会計年度の売上高2,685,038千円)となりました。

営業損益につきましては、テクノロジー事業の営業利益は86,508千円(前連結会計年度の営業利益123,159千円)、ソリューション事業の営業利益は17,224千円(前連結会計年度の営業利益141,425千円)となりました。

また、当連結会計年度においてセグメント利益の調整額が205,786千円(前連結会計年度のセグメント利益の調整額210,303千円)発生しております。セグメント利益は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は3,504,680千円(前連結会計年度の売上高3,384,712千円)となりました。

営業損益につきましては、102,053千円の営業損失(前連結会計年度の営業利益54,280千円)となりました。

経常損益につきましては、104,204千円の経常損失(前連結会計年度の経常利益39,686千円)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、106,739千円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益84,221千円)となりました。

 

当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して365,655千円減少し2,766,895千円となりました。これは、売掛金が344,067千円減少したこと等によるものです。

 負債につきましては、前連結会計年度末と比較して253,314千円減少し712,999千円となりました。これは、買掛金が81,546千円、未払金が91,516千円それぞれ減少したこと等によるものです。

 純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して112,341千円減少し2,053,896千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を106,739千円計上したことに伴い利益剰余金が減少したこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して5.2 ポイント増加し、73.4%となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して34,049千円増加し1,341,244千円となりました。
 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動の結果増加した資金は59,862千円(前連結会計年度は285,901千円の減少)となりました。これは主に売上債権の減少344,067千円等によるものであります。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動の結果減少した資金は、34,746千円(前連結会計年度は14,004千円の減少)となりました。これは主に、敷金・保証金の差入による支出17,897千円等によるものであります。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 財務活動の結果増加した資金は、3,064千円(前連結会計年度は197,769千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入3,141千円等によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 令和3年1月1日
  至 令和3年12月31日

前年同期比(%)

テクノロジー事業(千円)

456,348

△14.8

ソリューション事業(千円)

合計(千円)

456,348

△14.8

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比
(%)

受注残高(千円)

前年同期比
(%)

テクノロジー事業

673,289

△19.3

143,800

+76.7

ソリューション事業

 ―

合計

673,289

△19.3

143,800

+76.7

 

(注) 1.IoTソリューション関連事業に関する受注について記載しております。

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 令和3年1月1日
  至 令和3年12月31日

前年同期比(%)

テクノロジー事業(千円)

516,677

△26.1

ソリューション事業(千円)

2,992,458

+11.4

合計(千円)

3,509,136

+3.6

 

(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとお
りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 令和2年1月1日

至 令和2年12月31日

当連結会計年度

(自 令和3年1月1日

至 令和3年12月31日

金額(千円)

構成比(%)

金額(千円)

構成比(%)

スターサービス株式会社

687,544

20.3

1,392,331

39.6

ネスレ日本株式会社

526,457

15.6

株式会社ネットワークコンサルティング

366,908

10.8

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度のネスレ日本株式会社及び株式会社ネットワークコンサルティングに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1.重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響に関する会計上の見積りへの反映につきましては、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕の「追加情報」に記載しております。

当社グループは連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りは、過去の実績や現在の状況を勘案し様々な要因に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載するとともに、以下の点についても重要と認識しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できること、また繰延税金資産の資産性があることを慎重に判断したうえで計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存することから、その見積額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

 2.当連結会計年度における経営成績の分析

前連結会計年度と比較して売上高は3,504,680千円(前連結会計年度の売上高3,384,712千円)と3.5%増加しましたが、営業損失102,053千円(前連結会計年度の営業利益54,280千円)、経常損失は104,204千円(前連結会計年度の経常利益39,686千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は106,739千円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益84,221千円)といずれの損益についても損失を計上しました。詳細については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。

 

3.当連結会計年度における財政状態の分析

当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して365,655千円減少し2,766,895千円となりました。これは、売掛金が344,067千円減少したこと等によるものです。

負債につきましては、前連結会計年度末と比較して253,314千円減少し712,999千円となりました。これは、買掛金が81,546千円、未払金が91,516千円それぞれ減少したこと等によるものです。

 純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して112,341千円減少し2,053,896千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を106,739千円計上したことに伴い利益剰余金が減少したこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して5.2 ポイント増加し、73.4%となりました。

 

4.資金の流動性及び資本の源泉の分析

(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して34,049千円増加し1,341,244千円となりました。

詳細については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (業績等の概要) (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
 

(2)資金需要の内容及び資金調達の方針

当社は、受託開発やビーコン等のハードウェア製品の提供を行うテクノロジー事業と、子会社におけるMVNO事業及び通信サービスやクラウドを用いたソリューションの提供を行うソリューション事業にて構成されており、これら事業の発展に必要となる経営資源に資金を投入しており、これら事業を更に推進するための資金の確保、及び財務基盤の健全化並びに安定化を目的として、必要に応じて資金調達を検討してまいります。

 

5.戦略的現状と見通し

当社では、当社が20年以上に渡って展開してきた組込みソフトウェア事業、及び10年以上に渡る半導体開発を含む組込みハードウェア事業の知識と経験による「総合的な組込み技術」をその根幹として、まだ繋がっていないモノとモノ、モノとサービス、サービスとサービス等を繋ぐことが当社の中核競争力(コアコンピタンス)であると再認識するとともに、当社の立ち位置、並びに現在市場から求められている技術及びサービス等をより的確に把握し、広範に対応できるようにすることが当社IoTソリューション事業の更なる成長のために必要であり、それらを実現するための新たな事業ビジョンの策定が必要不可欠と考えたことから、平成29年11月9日にIoTソリューション事業における新事業ビジョンを発表いたしました。当該新事業ビジョンにおいては、当社の役割を「まだ繋がっていないモノ・コトを繋げるコネクタ」であると再認識するとともに、同じ意味を表す「Connecting the Unconnected」をスローガンとして定めております。当社では、このスローガンを踏まえ、今後、より多くの市場ニーズ及び局面に対応した製品及びサービスを提供していくことを可能にするために、「広範な技術分野への対応等」、販売と取り扱いを容易にする「応用分野毎のサービス等のパッケージ化」、及び「販路拡大」の3点の施策を打ち出し、このうち、「広範な技術分野への対応等」については、令和元年8月15日付でMVNO事業を営むスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下「SMC」)を株式交換の方法により完全子会社化したことで、これまで当社のIoT製品・サービスに主に使用していた近距離無線通信技術のBluetooth Low Energyに加えて、SMCが保有する無線通信システム(3G、4G等)を用いた新たな新製品・サービスや、費用対効果の高いサービスの開発・提供に向けて取り組みを開始する等、当該3点の施策の実現に向けて積極的に取り組んでおります。またSMCを取得したことで当社グループに基盤が作られたストックビジネスを推進するための取り組みについても開始しております。今後、これらの取り組みを更に強化することで、当社グループの中長期的な業績向上及び企業価値の向上が実現できるものと考えております。

なお、当社には継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。当社グループはこうした状況を解消するため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した施策を実施し、当該状況の解消又は改善に努めております。

 

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