業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループは、安心・安全で持続可能なまちづくり「Save the Earth, Make Communities Green」を目指しております。地球環境を取り巻く問題を解決すること、そして技術革新が開く新たな社会や市場を先見しその革新を支援・推進すること、によって持続可能なまちづくりへ貢献しております。

この基本方針の下、事業構造の変革を進めてきた当社グループは、「世界規模の“グリーン・コミュニティ創造会社”として気候変動対策とSDGs行動を通じて企業価値向上と社会課題解決を実現すること」を中期的な経営目標の中心に据えております。事業のセグメントとして、「空間情報事業」、「グリーン・エネルギー事業」、「森林活性化事業」の3つに分類しております。

当社グループの業績は、グリーン・エネルギー事業において、売電事業は順調に拡大し、安定した収益を計上したものの、新型コロナウイルス禍により、株式会社ザクティにおいて2020年3月期後半に収益の下支えとなった新商品(360°ドラレコ)が消費低迷の影響を受けたことや、価格競争力の低下で利益が計画を下回ったことに加え、株式会社エオネックス及び株式会社利水社の株式譲渡に伴う非連結化、さらにはJAG国際エナジー株式会社の新電力事業における電力仕入れ価格の高騰に伴う費用増加もあり、前期比で売上高は減収、営業利益は減益となりました。

  一方、経常利益は、雇用調整助成金や借入金圧縮による支払利息の減少もあり、前期比で増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に実施した所有する不動産及び保有有価証券の売却による特別利益の反動、欠損金を抱える株式会社ザクティが連結納税対象外であることから、前期比で減益となりました。

このような結果、当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)の当社グループの業績は、売上高が前期比6.9%減の91,146百万円(前期の売上高97,887百万円)、営業利益は2,318百万円(前期の営業利益2,456百万円)、経常利益は1,026百万円(前期の経常利益553百万円)となりました。また親会社株主に帰属する当期純損失は310百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益1,991百万円)となりました。

 

各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

<空間情報事業>

当セグメントにおいては、国際航業株式会社がSDGsを先導するアジアNo.1の空間情報技術企業を目指し、2030年ビジョンとして「情報をつなげる力で、人・社会・地球の未来をデザインする」を掲げ、航空測量技術や建設コンサルティングのノウハウを連携させた事業を多くの領域にて展開しております。目的に応じ衛星や航空機、ドローン、車、船等で「測(量)る」、それらにより取得した情報(データ)を技術者が「分析・解析する(診る)」、収集・分析した情報をもとに、国土保全や地球環境保護、都市開発、防災対策等、私たちの生活に結び付く課題解決に「役立て」ています。株式会社ザクティでは、デジタルムービー/カメラを中心とした従来からのOEM/ODM供給は継続しながら、新たな市場開拓としてウェアラブルカメラ等、自社ブランドの業務用製品(マシン・アイ)の開発・製造・販売にも注力しております。

国際航業株式会社では、「防災・減災対策、国土強靭化のための公共事業予算」の順調な執行に伴う案件確保、大型のデジタルツイン案件の受注や、ファシリティマネジメント関連のデータ整備事業等が好調であった一方、前述した株式会社エオネックス及び株式会社利水社の株式譲渡に伴う非連結化もあり減収となりました。コスト面では継続した生産性改善や営業活動などに関わる費用の低減により一層努めました。株式会社ザクティにおいては、デジタルカメラ市場の縮小によりOEM/ODM製品の販売数減少による受注減の影響が大きいことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオリジナルブランドのウェアラブルカメラを中心とした業務用製品(マシン・アイ)の営業活動が抑制されたこと等により、売上高は大幅に減少し、損失が継続する結果になりました。

  このような活動の結果、当連結会計年度の業績は、受注高は前期比12.6%減の61,450百万円(前期の受注高70,281百万円)、売上高は前期比14.1%減の58,748百万円(前期の売上高68,351百万円)、セグメント損失は1,299百万円(前期のセグメント損失1,376百万円)となりました。

 

<グリーン・エネルギー事業>

当セグメントにおいては、JAG国際エナジー株式会社を中心として、再生可能エネルギーを源とした売電事業のほか、自治体と協力して地産地消型の電力供給を目的とする地域創生関連事業を行っております。

第4四半期においては、太陽光を中心とした発電施設開発を進めた結果、千葉県印西市本埜小林(0.9MW)、熊本県阿蘇郡高森町(1.9MW)で太陽光発電所を新たに竣工しました。これにより当社グループの稼働済み発電所は、合計で108箇所となり、出力規模で252.4MWを超える規模となりました。地域活性化に寄与する新電力会社も含めた電力小売事業は、供給量ベースで72,896kWを超える規模に拡大しましたが、電力仕入れ価格の上昇に伴い収益性が急速に悪化しました。

このような活動の結果、昨年度末に竣工した大型発電所の貢献や今年度に竣工した発電所の増加及び、好天による影響で太陽光発電所が安定して稼働したことにより、売上高は前期比17.3%増の18,234百万円(前期の売上高15,542百万円)となった一方、新電力事業での電力仕入れ価格の高騰に伴う費用の増加等もあり、セグメント利益は前期比4.0%減の3,243百万円(前期のセグメント利益3,378百万円)となりました。

 

<森林活性化事業>

当セグメントにおいては、JAGフォレスト株式会社が森林を自社で保有し、地域の林業事業体と連携した林業生産事業に取り組んでいるほか、森林不動産売買サイト「森林.net」の運営事業を展開しております。また、新潟県の株式会社坂詰製材所が製材、プレカット、木造建築事業を、岩手県の株式会社木村産業が木造住宅用下地材の製造・販売事業を、さらに、兵庫県の株式会社KHCがマルチブランド戦略による戸建住宅事業をそれぞれ展開しております。

第4四半期においては、株式会社坂詰製材所及び株式会社木村産業においては、大雪の影響で経済活動に一部制限がかかり生産力は低下しました。株式会社KHCは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新規受注活動が大きく制約を受けたほか、着工遅延も発生するなど、厳しい経営環境下での事業活動となりました。しかしながら、第2四半期後半から顧客の反応も徐々に改善し受注も回復したことから、受注済み工事の進捗管理を徹底し、売上高の確保に努めました。またJAGフォレスト株式会社の自社保有林では、林業生産での新たな施業方法に挑戦、森林不動産事業では「森林.net」サイトを活用し、森林不動産取引支援の拡大に努めました。

このような活動の結果、売上高は前期比1.2%増の14,127百万円(前期の売上高13,955百万円)、セグメント利益は前期比17.1%減の436百万円(前期のセグメント利益525百万円)となりました。

 

 

受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自  2019年4月1日
  至  2020年3月31日)

当連結会計年度
(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

増減

受注高
(百万円)

受注残高
(百万円)

受注高
(百万円)

受注残高
(百万円)

受注高
(百万円)

受注残高
(百万円)

空間情報事業

70,281

21,525

61,450

23,731

△8,830

2,205

グリーン・エネルギー事業

7,380

1,322

6,221

223

△1,159

△1,099

森林活性化事業

12,903

6,932

15,143

7,948

2,239

1,015

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自  2019年4月1日
  至  2020年3月31日)

当連結会計年度
(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

増減

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高増減
(百万円)

対前期増減率
(%)

空間情報事業

68,351

69.8

58,748

64.5

△9,603

△14.1

グリーン・エネルギー事業

15,542

15.9

18,234

20.0

2,691

17.3

森林活性化事業

13,955

14.3

14,127

15.5

171

1.2

その他

38

0.0

36

0.0

△1

△4.8

合計

97,887

100.0

91,146

100.0

△6,741

△6.9

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  財務戦略の基本的な考え方

今般の世界的に猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)が惹き起こしたリーマンショックを上回る経済活動の低迷や市場の混乱が懸念されるなか、世界的な景気後退や低迷が予想されています。一方、金融市場においては、様々な政策が発動されることで、十分な流動性や超低金利政策が維持するものと見通されています。

当社では、こうした景気先行き不安やマイナス金利継続などの金融政策を前提として、財務健全性に留意しつつ、収益力の拡大(ROE向上)を図り、中長期的なEPSの成長を目指すことで企業価値の一層の向上と株主価値の最大化に努めていくための財務戦略が重要だと考えます。

一方で、当社子会社における資金ニーズの性格がそれぞれ異なっており、適正で効率的な資金供給が行われるように、事業年度毎に財務施策を企画立案し実行しています。更に、今般のパンデミックによる影響も注視しています。

空間情報事業の国際航業株式会社は、主に年度末に集中する官公庁や自治体に対する売上回収と各種支払いサイトのギャップを埋めるための機動的な短期運転資金借入とキャッシュマネジメントを行うことが求められています。事業構造改革中の株式会社ザクティでは、短期的な運転資金のみならず、中長期的な設備投資や研究開発への資金供給及び効率的な外貨管理が重要と考えます。

グリーン・エネルギー事業のJAG国際エナジー株式会社は、主に太陽光発電所の企画開発・運営におけるプロジェクトファイナンスによる資金調達とプロジェクトへの出資のための自己資金捻出が主な資金需要です。現在に至るまで、プロジェクトファイナンスにおいてはレバレッジ効果の高い借入となっていますが、長期にわたる固定金利で、かつ比較的低コストで資金調達を実施できています。その結果として再生可能エネルギー事業からの収益性が高く、また長期的に、安定的にもたらされる構造となっています。

森林活性化事業の株式会社KHCでは、販売用不動産の仕入れや住宅建築に係る運転資金等機動的かつ効率的なキャッシュマネジメントが求められます。

こうした個々の子会社の事業特性や資金計画に則った資金ニーズを正確に把握し、適正で効率的な資金供給を行いつつ、当社の連結財務健全化を指向する戦略を取っています。

具体的には、プロジェクトファイナンスを活用している再生可能エネルギー事業の急速な立ち上げの影響から、比較的財務レバレッジの高い状況ですが、自己資本比率、負債比率(DER)や(純)有利子負債/EBITDA倍率の悪化を防ぎつつ、収益の最大化、金融収支改善、債務の圧縮や長短負債比率の改善に注力して財務の健全性維持に努めています。

また、再生可能エネルギー事業や次世代テクノロジー技術開発など中長期的に当社の利益成長を牽引する有望な事業分野への資金供給については、当社の規程に基づき取締役会等において、それら事業におけるリスクとリターンや社会的有意性等について十分な検討を重ね、加えて、財政健全性への影響を見極めた投資判断に基づいて、その資金調達や資金拠出の検討を行います。

当社は、当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策の一つとして、当社の子会社であるJAG国際エナジー株式会社(以下「JAG国際エナジー」といいます。)及び国際航業株式会社(以下「JAG国際エナジーと併せて「対象子会社」といいます。)の株式の大部分を入札形式で売却する方針を決議しておりますが、JAG国際エナジーの売却につきましては、JAG国際エナジーの当社グループにおける重要性に鑑み、JAG国際エナジーの株式の売却に係る契約について本定時株主総会後の臨時株主総会で株主の皆様のご承認をいただく方針に変更いたしました。
 対象子会社の株式の売却代金をもって、株主の皆様への大幅な還元策を実施すること、及び「第二の創業」を実行する上での事業資金とすることを予定しておりましたが、対象子会社の株式の売却に係る契約については、いずれも本定時株主総会後の臨時株主総会で株主の皆様のご承認をいただく方針といたしました。このため、今後の資金調達に支障が生じる可能性があり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、金融機関との協力体制を構築し、十分な運転資金が見込める状態であることから、資金繰りの懸念はありません。

当社の配当政策については、「第4  提出会社の状況  3  配当政策」をご確認ください。

②  重要な会計上の見積り

当社の連結財務諸表を作成する際には、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社の連結財務諸表における見積りは次の場合において会計上非常に重要な見積りとなります。すなわち、当社が見積りを行った時点ではその対象となった事象が非常に不確実な状況にも関わらず見積りを行う必要があった場合、また、当該期間において当社が実際に採用したものとは異なるが当社が採用することができた見積りがある、もしくは複数の会計年度にわたって変更が発生すると予想される見積りがあり、その見積りが当社の財政状態及び経営成績の開示に重要な影響を及ぼす場合です。当社は会計情報の開示を行う上で、下記の項目を重要な会計上の見積りとして認識しています。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウィルス感染症に係る見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(3) 財政状態

①  流動資産について

流動資産については、69,838百万円と前期末比4,258百万円の減少となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が3,365百万円減少及びたな卸資産が800百万円減少したことなどによるものです。

②  固定資産について

固定資産については、88,624百万円と前期末比793百万円の増加となりました。これは主に、減価償却により有形固定資産が1,175百万円及び無形固定資産が289百万円減少、愛知田原バイオマス発電合同会社にバイオマス発電所の建設資金の貸付を行ったことによる関係会社長期貸付金の増加などにより投資その他の資産が2,258百万円増加したことなどによるものです。

③  繰延資産について

繰延資産については、太陽光発電所の開発に係る繰延資産が333百万円減少しました。

④  負債について

負債総額は133,948百万円となり前期末比2,546百万円減少しました。これは主に仕入債務が701百万円増加した一方で、太陽光発電所の工事代金支払いによる未払金が4,463百万円減少したことなどによるものです。

⑤  純資産について

純資産合計は繰延ヘッジ損益の減少等によりその他の包括利益累計額が654百万円減少したことなどにより、前期比1,251百万円減少の25,636百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。

また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資、投融資資金については、運転資金は原則として金融機関からの短期借入金及び社債による調達を行っており、設備資金につきましては案件ごとに手元資金で賄えるか不足するかについての検討を行い、不足が生じる場合は金融機関からの長期借入金等による調達を行っております。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によるキャッシュ・フローは、11,769百万円のプラスと前期比7,912百万円の増加(前期は3,857百万円のプラス)となりました。これは主に、減価償却費5,088百万円(前期比761百万円収入増加)、売上債権の減少3,306百万円(前期比22百万円収入増加)、たな卸資産の減少870百万円(前期比2,483百万円収入増加)、仕入債務の増加857百万円(前期比1,102百万円収入増加)、その他営業キャッシュ・フロー714百万円のプラス(前期比2,032百万円収入増加)などによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 

  投資活動によるキャッシュ・フローは、10,852百万円のマイナス(前期は3,789百万円のプラス)となりました。これは主に、太陽光発電所の建設などによる有形固定資産の取得による支出7,260百万円、愛知田原バイオマス発電合同会社にバイオマス発電所の建設資金の貸付を行ったことによる貸付による支出3,400百万円などによるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 

  財務活動によるキャッシュ・フローは、878百万円のマイナス(前期は8,738百万円のマイナス)となりました。これは主に有利子負債(リース債務含む)の減少による支出438百万円によるものです。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ119百万円増加し、18,482百万円となりました。

今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。

 

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