課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

  当社グループは、「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」とのミッション及び「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビジョンの実現を通じ、技術革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速することによって、地球と地域の持続性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持続可能なまちづくり「グリーン・コミュニティの創造」との基本方針として事業を進めています。

 

(2) 目標とする経営指標

  上記基本方針の下、「世界規模の“グリーン・コミュニティ創造会社”としてSDGs行動の強化を通じて企業価値向上と社会課題の解決を実現」を中期的な経営目標と定め、その実現に向けて収益性とともに、経営理念に沿った社会問題解決能力の向上に努めております。また、ROE(Return on Equity、自己資本当期純利益率)やEPS(Earnings Per Share、1株当たり当期純利益)等の従来の経営指標のみに留まることなく、ステークホルダーの皆様との対話を通じ、例えば二酸化炭素の削減量等をはじめとした社会価値の向上への貢献度についても測定・報告するなど、より幅広く、ステークホルダー価値としての企業価値の最大化を目指す経営を心掛けてまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

  当社グループは、2021年3月1日に「当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策等に関するお知らせ」に記載した通り、中心的事業会社株式の大部分を売却した後の当社グループを「第二創業期」と捉え、現経営陣のリーダーシップの下、当社グループの株主の皆様に加え、顧客、取引先及び従業員や地域社会の方々も含む全てのステークホルダーの皆様の利益に資するべく、ステークホルダー価値としての企業価値の最大化を図りつつ、地球的課題に挑む「グリーン・コミュニティ創造」会社を目指します。従来から掲げていた当社グループの3つのセグメント(森林活性化事業、空間情報事業及びグリーン・エネルギー事業)については、さらに一歩進めて、「森林活性化事業」を「スマート・フォレスト事業」として当社グループのコア事業と位置づけた上で、「空間情報事業」を「イメージ・センシング事業」とし、「スマート・フォレスト事業」とともに育成、成長させる社会価値追求型の新たなベンチャー事業と位置づけ、「グリーン・エネルギー事業」については引き続き再生可能エネルギー開発の推進に向け取り組んでまいります。

  また、株式の大部分を新たなパートナーへ売却することを想定しているJAG国際エナジー株式会社及び国際航業株式会社についても、両社がJAG継続事業と事業上のシナジーを有していることに鑑み、新パートナーとの協業を追求することで、JAG国際エナジー株式会社及び国際航業株式会社の事業価値をともに高めていく方針です。また、両社とJAG継続事業とのシナジーが継続的に創出され、対象子会社の企業価値向上及び当社グループの価値向上だけでなく、JAG継続事業のステークホルダー価値としての企業価値も高まると考えております。

 

(4) 経営環境

  日本国内経済は、国土強靭化関連の公共投資、オンライン需要の増加を背景に輸出が増加基調での推移、製造企業の回復や半導体市場の上振れ、テレワーク対応やEC拡大、非接触対応需要の増加や米国・中国を中心とした海外の設備投資の回復等が見込まれる一方、感染再拡大に伴う緊急事態宣言の再発出や変異株の感染拡大による影響の長期化等による対人接触型のサービス消費の減少の可能性や求人意欲が弱い中で失業率の高止まりを日本経済の景気悪化リスクとして注視していく状況にあります。

  当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大による部材調達遅延による生産・納品遅延、外出抑制に伴う電気需要量の増減に起因した電力調達コストの変動の恐れは引き続き注視していくことが必要ですが、気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に対する強靱な国土づくりのための「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、公共投資は引き続き堅調に推移することが見込まれております。  

  また再生可能エネルギー分野では、世界的なカーボンニュートラルに向けた取り組みの活発化に伴い、更なる再生可能エネルギー需要が見込まれており、当社を取り巻く経営環境は堅調に推移することが予想されます。

 

(5) 会社の対処すべき課題

 前述した通り、当社グループは、「イメージ・センシング事業」、「グリーン・エネルギー事業」、「スマート・フォレスト事業」の3つの事業をコアとして独自の技術、金融ノウハウおよび顧客基盤を通じて、コンサルティングに止まることなく新規の事業、サービスを創造していく力を活かし、グループの付加価値を最大限に高め、各事業会社の潜在力を顕在化し、収益力向上を実現いたします。またSDGs行動の強化を通じ持続的な企業価値の向上と社会課題の解決に向け、財務指標と非財務指標の設定/達成の実現を目指しております。
① 新型コロナウイルス感染症拡大による影響への対策
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による、我が国における一般消費者の消費マインドの低下に伴い、民間企業からのOEM/ODM製品等の大幅な需要減少や出荷停滞及び部材不足による納品の遅れ、国内外の各事業への投資の先送りなど、関連事業が受ける影響は今後も拡大することが予想されます。
 このように先行き不透明な状況の中、当社グループは、各事業について、成長可能性に対して正面から取り組み、成果を上げるために必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投入が必要であると認識しております。

② 事業資金の調達
 当社は、当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策の一つとして、当社の子会社であるJAG国際エナジー株式会社(以下「JAG国際エナジー」といいます。)及び国際航業株式会社(以下「JAG国際エナジーと併せて「対象子会社」といいます。)の株式の大部分を入札形式で売却する方針を決議しておりますが、JAG国際エナジーの売却につきましては、JAG国際エナジーの当社グループにおける重要性に鑑み、JAG国際エナジーの株式の売却に係る契約について本定時株主総会後の臨時株主総会で株主の皆様のご承認をいただく方針に変更いたしました。
 対象子会社の株式の売却代金をもって、株主の皆様への大幅な還元策を実施すること、及び「第二の創業」を実行する上での事業資金とすることを予定しておりましたが、対象子会社の株式の売却に係る契約については、いずれも本定時株主総会後の臨時株主総会で株主の皆様のご承認をいただく方針といたしました。このため、今後の資金調達に支障が生じる可能性があり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、金融機関との協力体制を構築し、十分な運転資金が見込める状態であることから、資金繰りの懸念はありません。
 以上により、継続企業の前提に関する不確実性は認められないものと判断しております。
③ 空間情報事業における事業基盤の強化
 建設関連業界における将来の担い手不足に加え、激甚災害対策等、日々変容を遂げる社会課題への対応策として、省人化/デジタル化といったニーズが日本国内において求められており、測量に加え、空間情報に紐づいた事業領域分野でもデジタル化の重要性が増してくることが予想されます。そのような中、DX(デジタル・トランスフォーメーション)化が深化する中でのAI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、IoT等の及ばない領域での協業や水平・垂直のオープンな取組みを推進する必要性を認識しております。また、収益管理を含めた経営の見える化やそれを実現/管理する経営人財の育成、また、同社の強みの源泉である技術力及び人財力をさらに磨き上げることで、中長期的な成長のための事業基盤を整える必要性があると認識しております。
④ イメージ・センシング事業における事業改革
 従来コア事業であった消費者向けデジタルカメラの需要は、スマートフォンの普及により需要が減退していることに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により下落が加速され、事業変容による業績の回復はさらに遅れる見込みとなり、現時点では協業や補完作業の成果は得られておりません。その一方、IoT時代のセンサーとしてのデジタルカメラ技術は、マシン・アイ等の「社会の眼」を実現する技術として、ますますその存在価値を増していくことが見込まれます。これまでカメラ製造業として培ってきたASIC(特定用途向け集積回路)開発技術や、ジンバル(安定化)技術等の独自の技術を活用した自社ブランドの業務用イメージ・センシング製品や、製造業や現場での映像ソリューションの提供を通じた新たな市場開拓が急務であると認識しております。
 上記の課題に適切に対処することにより、さらなる発展のための事業構造の変化と企業価値の向上を図る所存です。

 

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