(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済の停滞等、先行きが不透明な状況となっております。
当社グループの主要顧客分野である流通・サービス業界は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出の自粛やインバウンド市場の消失など、消費者のライフスタイルが大きく変化しており、各店舗における営業時間やサービス形態の見直しを余儀なくされています。またその影響は、業種業態によって明暗が大きく分かれるような状態となっております。一方、「ニューリテール」と呼ばれるAIやIoT等の新技術を利用した新たな小売業が模索され、新しい無人店舗技術等、技術競争が活発化しております。
このような環境の中、当社グループは、「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」を経営ビジョンとして、「ニューリテール事業の具現化」及び「既存事業の高度化」を重点施策として、更なる事業成長と安定的収益の確立に注力し、企業価値の一層の向上に努めてまいりました。
当連結会計年度において実施した主な施策といたしましては、次のとおりとなります。
・ 関東地方を中心として展開する大手スーパーより、次世代キャッシュレス・セルフPOSシステム及びスマートフォンを利用したPOS等のスマートPOSシステムの導入拡大案件を受注いたしました。
・ 大手化粧品ブランドより、SalesforceクラウドによるECバックオフィスシステムの構築案件を受注いたしました。
・ 関東地方を中心として展開する大手ドラッグストアより、ポイント連携システムの構築案件を受注いたしました。
・ 大手総合小売業グループより、店舗関連業務に関する基幹システムのリプレイス案件を受注いたしました。
・ 関東地方を中心として展開する大手スーパーグループより、基幹システム構築支援案件を受注いたしました。
・ 関東地方を中心として展開する大手ディスカウントストアより、物流センター統合案件を受注いたしました。
・ 関東地方を中心として展開する大手スーパーより、基幹システムのリプレイス案件を受注いたしました。
・ 大手総合小売業グループより、ファシリティ関連の基幹システムのリプレイス案件を受注いたしました。
・ 大手卸売業グループ企業より、ITインフラ及び運用の支援案件を受注いたしました。
c. プロダクト事業の強化
・ 近畿地方の生協グループより、「MDware自動発注」の導入案件を受注いたしました。
・ 関西地方を中心として展開する鉄道会社グループより、基幹システム「AP-Vision」の導入案件を受注いたしました。
・ 関東・北陸地方を中心として展開する食品スーパーより、基幹システム「MDware」の導入案件を受注いたしました。
・ 関西地方を中心として展開するドラッグストアより、基幹システム「MDware」の導入案件を受注いたしました。
・ 北陸地方を中心として展開する食品スーパーより、基幹システム「MDware」の導入案件を受注いたしました。
・ 全国に展開する大手ファストフードより、キャッシュレス対応案件を受注いたしました。
・ スーパーマーケット・アパレル・ドラッグストア等9社より、RPA(注2)の導入案件を受注いたしました。
・ 大手アパレル・ファッションブランド企業より、会計システム及びポイントシステム案件を受注いたしました。
・ 中国及び四国地方を中心として展開するドラッグストアより、基幹システムのインフラ案件及びスマホアプリ導入案件を受注いたしました。
・ 全国に展開する大手調剤・ドラッグストアより、次期POSシステム案件を受注いたしました。
・ 関東地方を中心として展開する大手食品スーパー2社より、次期POSシステム案件を受注いたしました。
・ 日本及び中国で展開するファッションブランドより、ポイントシステムの統合案件を受注いたしました。
・ 北陸地方・西日本を中心として展開するスーパー・ホームセンターより、次期POSシステム案件を受注いたしました。
・ マレーシア大手財閥グループのホテル向けチェックインシステムの導入展開案件を受注いたしました。
・ ASEANに進出する大手カルチャーストア向けPOSシステムの導入支援案件を受注いたしました。
・ 全国に展開する大手ドラッグストアより、アジア展開案件を受注いたしました。
・ クラウド型サービスの提供拡大や利用料型サービスなどストック型ビジネス(サービス事業)の拡大を推進しました。
・ 当社グループにおけるシステム開発の生産性向上を図るべく、オフショア開発や経営管理体制とプロジェクト管理体制を確立するために必要な各種施策を実施してまいりました。また、プロジェクトマネージャーの育成にも注力し、各プロジェクトにおける運用・品質管理を強化するためにPMO(注3)を中心として、品質を保持しながら計画的且つ効率的にプロジェクトを遂行することに取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度に関する業績は次のとおりとなりました。
売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により海外売上の減少はあったものの、国内小売業におけるDXのニーズの高まりと、既存顧客への更なる深耕が奏功したこと等により、298億67百万円(前年同期比7.7%増)と増収となりました。
利益面につきましては、生産性の向上等により、営業利益25億26百万円(前年同期比18.7%増)、経常利益25億37百万円(前年同期比21.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16億16百万円(前年同期比32.2%増)と増益となりました。
(注1)特定顧客
各業種業態の有力企業であり、当社が主要ITパートナーとしてプロダクトの提供やソリューション開発に加え、保守・運用業務まで含めて総合的にサービスを提供している顧客のことをいいます。
(注2)RPA(Robotic Process Automation)
これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化することをいいます。
(注3)PMO(Project Management Office)
組織におけるプロジェクトマネジメントを統括・管理することを専門として設置された部門のことをいいます。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は205億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億36百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が前連結会計年度末比7億64百万円の増加、受取手形及び売掛金が前連結会計年度末比15億32百万円の増加、工具、器具及び備品が前連結会計年度末比2億23百万円の減少、ソフトウエアが前連結会計年度末比3億円の減少となったことによるものであります。
当連結会計年度末の負債総額は93億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ24百万円の増加となりました。これは主に、買掛金が前連結会計年度末比10億64百万円の増加、短期借入金が前連結会計年度末比4億86百万円の減少、長期借入金が前連結会計年度末比5億49百万円の減少となったことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は111億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億11百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が前連結会計年度末比13億72百万円の増加、為替換算調整勘定が前連結会計年度末比2億2百万円の増加となったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は73億24百万円となり前連結会計年度末に比べ5億93百万円増加いたしました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果増加した資金は23億22百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上25億10百万円、減価償却費の計上10億29百万円、仕入債務の増加額10億74百万円によるものであります。主な減少要因は、売上債権の増加額15億29百万円、法人税等の支払額6億41百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果減少した資金は4億99百万円となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出3億32百万円、定期預金の預入による支出1億70百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果減少した資金は13億93百万円となりました。主な増加要因は、短期借入れによる収入27億65百万円によるものであります。主な減少要因は、短期借入金の返済による支出32億52百万円、長期借入金の返済による支出7億19百万円、配当金の支払額2億43百万円によるものであります。
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への生産実績に関する情報の記載を省略しております。
2.金額は製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注状況は、次のとおりであります。
(注)1.当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への受注状況に関する情報の記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への売上高に関する情報の記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
当社の事業運営上必要な運転資金、設備投資資金については、自己資金または、状況に応じた金融機関からの借入等により資金調達を行い、対応することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19億59百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は73億24百万円となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産×100
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産×100
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息・割引料
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a. 工事進行基準の適用
受注制作ソフトウエア開発に関して、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる契約については、工事進行基準(ソフトウエア開発の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の契約については工事完成基準を適用しております。
当社グループでは、工事進行基準の適用にあたって、プロジェクト管理体制を整備し、適時・適切に総製造原価の見積りの見直しを行っており、売上高計上額には、相応の精度を確保していると判断しておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b. 工事損失引当金
受注制作ソフトウエア開発に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末において損失の発生が見込まれ、かつ、金額を合理的に見積ることができる案件について、損失見込額を計上しております。ただし、想定以上の費用が発生することによりプロジェクトの採算性が悪化する場合は、損失額が増加する可能性があります。
c. 市場販売目的のソフトウエアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウエアの減価償却は、製品ごとに見込販売期間(3年以内)における見込販売収益に基づく償却額と販売可能な残存有効期間に基づく均等配分額を比較し、いずれか大きい額を計上する方法を採用しております。見込販売収益が減少した場合、ソフトウエアの減価償却費が増加する可能性があります。
d. 固定資産の減損
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能性まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
また、子会社の株式取得により発生したのれんについては、10年間で均等償却しておりますが、当該子会社の将来における収益によっては、減損処理が必要となる可能性があります。
e. 投資有価証券及び関係会社株式の評価
時価のない投資有価証券及び関係会社株式については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損の要否を検討することとしております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券及び関係会社株式の減損処理が必要となる可能性があります。
f. 退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用については、各連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき引当計上しており、退職率、割引率、昇給率、死亡率等の見積りを加味して計上しております。見積数値と実績数値との差異や見積数値の変更は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
g. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 経営方針、経営成績、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、売上高の前期増減率、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標としており、その達成状況は以下の通りであります。
売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により海外売上の減少はあったものの、国内小売業におけるDXのニーズの高まりと、既存顧客への更なる深耕が奏功したこと等により、計画及び前期実績を上回りました。営業利益と営業利益率につきましても、生産性の向上等により計画及び前期実績を上回りました。今後も事業の持続的な成長を目指して経営数値目標の達成に取り組んでまいります。
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