業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 当連結会計年度の売上高は1,156百万円(前期は1,119百万円の売上高)、売上原価は414百万円(前期は396百万円の売上原価)となりました。販売費及び一般管理費は、611百万円(前期は661百万円の販売費及び一般管理費)となり、営業利益130百万円(前期は61百万円の営業利益)となりました。
 営業外収益でカイカエクスチェンジHDの持分法による投資利益29百万円及び暗号資産売却益100百万円を計上したことなどにより、経常利益は239百万円(前期は127百万円の経常損失)となりました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益にCAICA DIGITALによるカイカエクスチェンジHD子会社化に伴う持分変動利益592百万円、CAICA DIGITALがカイカエクスチェンジHDを株式交付子会社とする株式交付に伴う関係会社株式交換益4,853百万円を計上したこと、特別損失にCAICA DIGITALの投資有価証券売却損を349百万円計上したこと、また、関係会社株式交換益に対する繰延税金負債を計上したことによる法人税等調整額を1,536百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,801百万円(前期は66百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

   当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。

① 情報サービス事業

金融・経済情報配信サービス分野におきましては、法人向けリアルタイムサービスおよびアウトソーシングサービスが前期比で減少しているものの、個人向けサービスである、「クラブフィスコ」の売上が引き続き伸長しているほか、期首からの暗号資産マーケットの急伸に伴った広告売上が大幅に増加したことなども加わり、前期比で194百万円増加し、売上高は617百万円(前期は423百万円の売上)となりました。
 上場企業を対象としたIR支援及びコンサルティングサービス分野におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から、順調に回復しており、中核サービスであるスポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)の受注および東証新市場区分に向けた開示資料・翻訳等の受注によって概ね計画通りに推移し、売上高は564百万円(前期は608百万円の売上)となりました。
 この結果、当連結会計年度の売上高は1,182百万円(前期は1,031百万円の売上高)となり、セグメント利益は470百万円(前期は304百万円のセグメント利益)となりました。

 

② 広告代理業

広告代理業分野では、従来媒体による定期広告出稿は順調に推移しており、ネット広告・制作を含め計画以上に推移しました。特に動画制作においては前年比130%と伸長し、オンライン広告関連の売上が全体の3割強を占める割合になりましたが、案件の小型化が進み、クライアントもコロナ禍でのベース整備から個別のキャンペーン用のバナーやLP制作が主流となっております。また、リーフレットやポスター制作等の制作案件、媒体との編集タイアップ案件等の受注も回復しつつあることから今後幅広い分野での受注に向けた営業力強化に注力してまいります。この結果、売上高は48百万円(前期は65百万円の売上高)となり、セグメント利益6百万円(前期は18百万円のセグメント利益)となりました。

 

③ 暗号資産・ブロックチェーン事業

株式会社フィスコ・コンサルティングは、暗号資産に対する自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上に計上しております。2021年5月から7月にかけてビットコインを中心とした暗号資産市場の大幅な下落から回復基調にありましたが、保有する暗号資産の評価損などにより、売上高は△73百万円(前期は22百万円の売上)、セグメント損失は78百万円(前期は20百万円のセグメント利益)となりました。また、自社発行暗号資産のフィスココイン(FSCC)の決済通貨の利用促進やレンディングなどFSCC経済圏の拡大およびFSCCの価値向上を通じて、フィスコの企業価値の向上を目指しています。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比して 2,662百万円増加 し、 5,383百万円となりました。これは、CAICA DIGITALによるカイカエクスチェンジ HDの子会社化に伴い持分変動利益の計上および、CAICA DIGITALがカイカエクスチェンジ HDを株式交付子会社とする株式交付に伴う関係会社株式交換益を計上したことで、投資有価証券が1,799百万円増加したことなどが主因であります。

 

(負債)

負債につきましては、前連結会計年度末に比して335百万円増加し、1,758百万円となりました。短期および長期借入金等が85百万円減少したこと、CAICA DIGITALがカイカエクスチェンジ HDを株式交付子会社化する株式交付に伴い、持分法適用に伴う負債が1,125百万円減少した一方で、株式交付に伴う関係会社株式交換益に対する繰延税金負債を1,500百万円計上したことなどによるものであります。

 

(純資産)

純資産につきましては、前連結会計年度末に比して2,326百万円増加し、3,624百万円となりました。これは、利益剰余金が3,664百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が1,322百万円減少したことなどが主たる要因であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比して145百万円増加し、296百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は 219百万円の増加 (前連結会計年度は 41百万円の減少 )となりました。これは主に関係会社株式交換益4,853百万円、持分変動利益592百万円及び投資有価証券売却損349百万円を計上した上で税金等調整前当純利益5,342百万円計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は147百万円の増加(前連結会計年度は172百万円の増加)となりました。これは主に、暗号資産の売却による収入102百万円、短期貸付金80百万円及び長期貸付金5百万円の回収があった一方で、有形固定資産の取得による支出22百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は221百万円の減少(前連結会計年度は89百万円の減少)となりました。短期借入金の純減額が19百万円、長期借入金の返済による支出が65百万円及び配当金の支払額が136百万円あったことによるものです。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。

 

 

(4) 今後の見通し

当社は、引き続きブランド力を生かし安定的な収益の確保に加え、成長に向けた新規事業領域への取り組みの推進とコスト削減を中心とした構造改革を継続し、収益性の向上に努めます。2022年12月期の連結業績予想は、売上高1,313百万円、営業利益232百万円、経常利益231百万円、親会社株主に帰属する当期純利益227百万円を見込んでおります。

 

セグメント別の見通しは以下のとおりです。

① 情報サービス事業

主力事業である金融・経済情報配信サービス分野において、個人投資家向け販売サイト「クラブフィスコ」では、サイトリニューアル以降、売上も堅調に増加しております。自社の投資レポートのほか、投資教育、暗号資産など今後も個人投資家の関心が高い分野において、フィスコソーシャルレポーターをはじめとした著名な個人投資家の投資手法をまとめた投資教育教材の拡販の推進、「Zaif Research」への暗号資産コンテンツ提供を行ってまいります。また、従来の金融機関に加え、機関投資家向けのアナリストレポートの販売にも注力いたします。さらに、フィスコブランドを活用した広告収入が大きく売上を伸ばしたことから、幅広い広告主へフィスコブランドを訴求するなど、今後もブランド価値を活かせる事業を探求し、安定的な収益の確保に努めてまいります。

企業IR支援サービス分野では、組織力強化やブランドの強化を図ることで、統合報告書ならびに英文翻訳業務の拡大を図り、気候関連財務情報開示(TCFD)支援サービス、環境情報開示(CDP)質問書支援サービス、株式報酬制度支援サービス、コーポレートガバンス対応支援サービス等、企業のIR に関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事業拡大を目指しております。このほか、バーチャル株主総会および議決権行使アプリケーションサービスや株主優待サポートサービスの新規受注、サービス提供による新たな事業収益の獲得を図ってまいります。

2022年度のセグメント売上については、2021年度と同水準の1,266百万円の売上を見込んでおります。

 

② 広告代理業

広告代理業では、新型コロナウイルス感染症による企業広告およびクライアント企業の広告活動の自粛の緩和に伴い、契約案件数も回復傾向にあります。従来の紙媒体での広告に代わり、オンライン広告の割合が増加傾向にあるため、引き続きバナー広告、ネット動画制作等の広告におけるトレンドや媒体特性なども踏まえて、企業IRや広告において、提案力の強化を進めながら、利益率の高い案件の獲得につなげてまいります。セグメント売上高については43百万円を見込んでおりますが、売上および利益の確保を目指し、広告制作の収益性の向上につなげてまいります。

 

③ 暗号資産・ブロックチェーン事業

フィスコ・コンサルティングでは、引き続き暗号資産に対する自己勘定投資を予定しており、暗号資産の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ってまいります。当社発行暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、FSCCの価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しています。

また、フィスココイン(FSCC)の取扱い交換所である「Zaif」を中心に、今後もCAICA DIGITALグループとの暗号資産分野において、営業促進の連携、暗号資産ビジネスの強化、フィスココイン(FSCC)の利用範囲の拡大を図り協業体制を継続していきます。2022年度のセグメント売上については、暗号資産取引相場の動向に影響を受け、業績予想が困難なため来期連結業績予想には織り込んでおりません。

 

 

(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績

重要性の観点から生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

② 受注実績

生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

情報サービス事業

1,182,215

114.5

広告代理業

48,422

73.9

暗号資産・ブロックチェーン事業

△73,762

報告セグメント計

1,156,875

103.3

その他

合計

1,156,875

103.3

 

 

    (注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績等は、売上高は 1,156百万円 (前期は 1,119百万円 の売上高)となりました。売上原価は、414百万円(前期は396百万円の売上原価)となり、販売費及び一般管理費は、611百万円(前期は661百万円の販売費及び一般管理費)となりました。

営業利益は、130百万円 (前期は61百万円の営業利益)となりました。

  また、経常利益は、239百万円(前期は127百万円の経常損失)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、3,801百万円(前期は66百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 詳細は、「経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

  経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

  当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。また、新型コロナウイルス感染症による影響等の不確実性については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (15) 新型コロナウイルス感染症による影響について」に記載しております。

 

(繰延税金資産)

企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(貸倒引当金)

当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

 

(有価証券)

当社グループは、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券を保有しております。これらの投資有価証券につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

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