当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における、当社の主要顧客である電子部品業界の状況は、半導体に対する旺盛な需要が世界的に高まり続けた結果、半導体不足のために最終製品の出荷が滞る事態が頻発しており、その結果特に半導体の製造分野への設備投資が盛んに実施されています。こういった半導体製造分野における好況の波は、当社の顧客が多数存在する設計分野にも到達しており、設計品種の拡大や設計設備への投資拡大の傾向が見受けられるまでになって来ました。しかしながら、世界及び日本の経済は、新型コロナウイルス感染拡大のダメージから回復しつつある中、欧州で勃発した大規模な紛争及びそれに対する経済制裁の影響等により、先行きが極めて不透明な状態に置かれており、予断を許さない状況が継続しております。
このような状況の中当社は、EDA製品の研究開発活動に社内外のリソースを集約することにより、当社主力製品SX-Meisterの拡張オプションとして、アナログ半導体向け設計自動化ツールのACC(Analog Chip Compiler)を順次リリースするとともに、自動車のEV化に伴い需要が急速に拡大しているパワーデバイスの設計を強力にサポートするPower Generatorをリリースしました。販売促進活動においては、新型コロナウイルス感染症による厳しい社会環境下において、状況により「Web」と「リアル」を使い分けつつ、あるいは複合(ハイブリッド)によるセミナー開催等の情報発信や営業活動を機動的に実施しました。デバイス設計受託分野では、拡大している設計委託需要に顧客層の拡大効果も重なった結果、順調に売上が伸長しました。また海外市場においては、前事業年度から慎重に進めておりました大型商談を、無事にクロージングすることができました。なおこの大型商談の計上は、案件全体をライセンスと保守に分離した上で、ライセンス部分は出荷が発生する都度(概ね半年に1回)計上し、保守部分は月次按分で計上する方法を採っております。一方固定費に関しては、コロナ禍による移動制限等の影響で低めに推移したことに加えて、第3四半期までは予算の施行を制限していたこと等により、抑え気味の結果となりました。
また当事業年度から当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用し、特にTBL(Time Based License)製品等の売上計上方法を、契約期間に亘る月次按分計上からライセンス部分相当額の一括計上に変更しました。この会計基準変更の影響は、特に第1四半期において一時的に大きく顕在化しましたが、年間を通じて概ね平準化されております。
これらの活動の結果、当事業年度の売上高は19億73百万円(前期比8.7%増)となりました。営業利益は、大型商談獲得と全般的な利益率向上に、抑え気味の固定費の効果が重畳して2億18百万円(前期比63.0%増)となりました。経常利益は、投資事業組合運用益と為替差益及び助成金収入等を計上した結果2億76百万円(前期比83.5%増)となり、当期純利益は1億69百万円(前期比66.8%増)となりました。
種目別の売上状況は次のとおりであります。
(製品売上高)
製品売上高は10億97百万円(前期比7.8%増)となりました。
製品売上高増加の主な理由は、特に海外において主力製品であるSX-Meisterの売上高が順調に伸長したことによるものであります。引き続き国内外の市場に向けた積極的な営業活動を展開してまいります。
(保守サービス売上高)
保守サービス売上高は3億99百万円(前期比5.8%減)となりました。
保守サービス売上高が減少した主な理由は、国内市場の縮小傾向に逆行するべく、積極的な新機能提案活動に加えて保守契約の締結促進活動を実施しましたが、新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦等の影響も若干受けて、保守契約の減少をカバーし切れなかったことによるものであります。引き続き顧客ニーズに合わせたサポート・サービスの向上に努めてまいります。
(ソリューション売上高)
ソリューション売上高(受託開発等)は4億76百万円(前期比27.5%増)となりました。
ソリューション売上高が大幅に増加した主な理由は、前事業年度において、デバイス設計受託事業の業績が、新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦等の影響により一時的に大きく落ち込みましたが、当事業年度に入り、デバイス設計委託需要の拡大を受けて、急速に回復してきたことによるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べて7億39百万円(41.4%)増加し25億25百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前期比7億33百万円(1,168.9%)増加して7億95百万円となりました。主な内訳は、海外企業との大型受注による前受金の増加7億1百万円及び税引前当期純利益2億76百万円を計上したことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、13百万円(41.3%)減少して19百万円となりました。主な内訳は、投資有価証券の取得による支出9百万円及び、有形固定資産の取得による支出8百万円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、前期比0.7百万円(2.1%)増加して37百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払であります。
当社はEDAソフトウェアの開発・販売及びコンサルテーション業であり、生産実績の把握が困難でありますので、記載を省略しております。
当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 当社は仕入実績を売上原価の区分別で記載しております。
当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。
(注) 当社は受注実績を売上区分別で記載しております。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1. 当社は販売実績を売上区分別で記載しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況並びに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りを採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。但し当社の場合、それらの会計上の見積りに変動が生じたとしても、当社の経営成績に大きな影響を及ぼさないため、重要性は低いと判断しております。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」中、「1財務諸表等(1)財務諸表」の「注記事項」の「重要な会計方針」に記載しております。
当事業年度の経営成績等は次のとおりであります。
(売上高)
当事業年度における当社の売上高は、前期比1億57百万円(8.7%)増加の19億73百万円となりました。
種目別の内訳といたしましては、製品及び商品売上高は、前期比79百万円(7.8%)増加の10億97百万円、保守サービス売上高は、前期比24百万円(5.8%)減少の3億99百万円、ソリューション売上高は、前期比1億2百万円(27.5%)増加の4億76百万円であります。
市場別にみますと、半導体市場においては、海外市場において大型商談が成立し、またデバイス設計受託関連の顧客層が拡大した結果、前期比2億20百万円(18.5%)増加の14億10百万円となりました。液晶パネル等のFPD市場につきましては、国内液晶メーカーの液晶事業撤退の影響を受け、前期比62百万円(10.0%)減少の5億62百万円となりました。
(売上総利益)
売上原価は前期比30百万円(4.5%)増加の7億9百万円となりました。売上総利益は、自社開発製品の売上が伸長した一方で、代理販売品の売上が縮小したこと等により利益率が向上した結果、前期比1億27百万円(11.2%)増加の12億64百万円となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費に関しては、引き続き主力製品である「SX-Meister」の開発投資を集中的に行った結果、前期比45百万円(15.7%)増加の3億34百万円となり、売上高比率としては16.9%となりました。その他経費については継続的な見直しを行い、販売費及び一般管理費合計は前期比42百万円(4.3%)増加の10億45百万円となりました。
以上の結果、営業利益は84百万円(63.0%)増加の2億18百万円となりました。
(経常利益)
営業外収益は、助成金収入が20百万円(630.7%)増加、投資事業組合運用益が4百万円(34.8%)増加、為替差益が14百万円(1,717.4%)増加したことにより、40百万円(232.4%)増加の57百万円となりました。
営業外費用は、為替差損が発生しなかった(前年同期は0.8百万円)ことにより、前期比0.8百万円(100.0%)減少し7円となりました。
以上の結果、経常利益は前年同期比1億25百万円(83.5%)増加の2億76百万円となりました。
なお、当社が目標とする経営指標は経常利益率10%以上でありますが、大型商談の獲得と全般的な利益率向上に加え、助成金収入等を計上した結果、経常利益率14.0%(前年同期は8.3%)となり、目標を達成いたしました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は、前年同期比1億25百万円(83.5%)増加し、2億76百万円となりました。法人税、住民税及び事業税として1億64百万円(前年同四半期比261.6%増)、法人税等調整額を57百万円減算(前年同期は加算3百万円)したことにより、当期純利益は前年同期比67百万円(66.8%)増加の1億69百万円となりました。
当事業年度の財政状態の分析は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前期比9億13百万円(29.1%)増加の40億55百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が前期比7億42百万円(27.4%)増加し34億56百万円になったこと及び、売掛金が前期比1億96百万円(114.1%)増加し3億67百万円になったことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前期比65百万円(31.4%)増加の2億75百万円となりました。固定資産の内訳は、有形固定資産が前期比1百万円(2.2%)減少の45百万円、無形固定資産が前期比1百万円(24.2%)減少の6百万円、投資その他の資産が前期比68百万円(44.2%)増加の2億24百万円となりました。投資その他の資産の増加の主な要因は、繰延税金資産が35百万円(103.1%)増加69百万円となったこと及び、投資有価証券が前期比28百万円(35.7%)増加し1億8百万円となったことによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前期比7億95百万円(190.3%)増加の12億14百万円となりました。その主な要因は、前受金が前期比6億44百万円(340.9%)増加し8億33百万円となったことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前事業年度末と同額の6百万円となりました。内訳は、資産除去債務であります。
(純資産)
当事業年度末の純資産残高は、前期比1億83百万円(6.3%)増加し31億10百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が前期比1億82百万円(14.0%)増加し14億85百万円となったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前事業年度末の87.3%から71.8%となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析は次のとおりであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析は、(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況 に記載のとおりであります。
なお当社は、事業の更なる拡大に向けて将来的にM&Aや技術提携ならびにIP調達等を行う方針であり、そのための資金の調達源として当社が現在保有している現預金等を充当する予定であります。それらの資金に関しましては、案件が発生した場合に速やかな資金調達を実現するべく高い流動性を維持しております。
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