(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、厳しい状況となりました。ワクチン接種の進展や緊急事態宣言等の解除により、景気の持ち直しが期待されたものの、年明け以降は新たな変異株による感染再拡大もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する情報サービス業界におきましては、そのような環境の中でも、AIやIoTなどのデジタル技術を利用したデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが増加する一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による情報化投資の抑制・延期や半導体等の部品供給不足によるプロジェクトの延伸など影響が見られました。
このような状況のもと、当社グループは23中期経営計画(2021年度~2023年度)の基本方針である「攻め~コスト・人材を注いでチャレンジし、発展に直接つなげる」「守り~管理強化とそれを下支えする制度の構築、次の成長の準備」のもと、主要事業の推進に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、機器等販売及びソフトウェア開発のセグメントで減収となりましたが、システム販売及びシステム運用・管理等のセグメントで増収となったため、10,643,541千円(前期比0.5%増)となりました。利益につきましては、売上高の増収により営業利益は763,644千円(同5.8%増)、経常利益は771,491千円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は521,354千円(同32.4%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により売上高は584,684千円減少、売上原価は580,625千円減少、営業利益は4,058千円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,659千円減少しております。
なお、当社グループは「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる事項)4 会計方針に関する事項 (5) 重要な収益及び費用の計上基準」に則り売上高を認識しております。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりです。
機器等販売
収益認識会計基準等の適用により売上高は大きく減少しましたが、グループウェア等のソフトウェアの受注が増加したことや前年度に特需となったGIGAスクールの残納入分が今期に売上となったことにより、売上高は2,275,041千円(前期比16.8%減)となりました。セグメント利益は219,996千円(同2.1%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は466,767千円減少し、セグメント利益は53千円増加しております。
ソフトウェア開発
前年度から継続している大型プロジェクトが終盤に向かい売上減少となったこと、顧客の設備投資の延期等による受注減少があり、売上高は2,050,352千円(前期比6.2%減)となりました。セグメント利益は売上高の減少に加え、不採算案件が発生したことにより、323,132千円(同20.4%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は56,300千円減少し、セグメント利益は1,761千円減少しております。
システム販売
インフラサービスや医療事業などで設備投資の中止や延期が発生したものの、GIGAスクール関連のネットワーク工事、DX関連の大型プロジェクトの受注があり、また前年度低迷していた画像処理システムが回復したことにより、売上高は2,926,852千円(前期比16.6%増)となりました。セグメント利益は売上高の増加及び利益率の回復により、348,890千円(同71.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は59,027千円減少し、セグメント利益は2,350千円減少しております。
システム運用・管理等
システム運用支援業務・データセンタ業務等が増加したことにより、売上高は3,391,294千円(前期比7.5%増)となりました。セグメント利益は売上高の増加等により、1,090,563千円(同13.5%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は2,588千円減少しましたが、セグメント利益への影響はありませんでした。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,203,691千円と前年同期と比べ714,776千円(48.0%)の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が778,674千円と前年同期と比べ収入が189,887千円(32.3%)の増加となり、非資金項目である減価償却費の増加、売上債権の減少、棚卸資産の減少等を加え、仕入債務の減少等を差し引きました結果、1,702,981千円と前年同期に比べ収入が1,283,084千円(305.6%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したため、△507,514千円と前年同期と比べ支出が33,391千円(7.0%)増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出及び配当金の支払額が増加したため、△480,690千円と前年同期と比べ支出が122,025千円(34.0%)の増加となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日(2022年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にしたがって作成しております。連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1.(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高10,643,541千円(前期比0.5%増)、営業利益763,644千円(同5.8%増)、経常利益771,491千円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益521,354千円(同32.4%増)となり増収・増益でありました。
売上高は、機器等販売及びソフトウェア開発のセグメントにおいて減収となりましたが、システム販売及びシステム運用・管理等のセグメントにおいて増収となりました。利益面につきましては、売上高の増収により増益となりました。また、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は、顧客の情報化投資の抑制・延期などの影響が一部継続しているものの、前年度と比較して回復したため、システム販売のセグメントにおいて増収増益となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下の事項が考えられます。
・情報化投資の急激な減少(今後、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等の影響が生じるなど)
・急速な技術革新の進展や市場ニーズの変化
・価格競争の激化
・受注後予見していなかったことによって生じる開発工数増大によるコスト増
・顧客都合の納期変更
④ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
a. 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.7%減少し、5,647,463千円となりました。これは、主に現金及び預金が714,776千円増加したものの、仕掛品が865,002千円、受取手形、売掛金及び契約資産が545,374千円減少したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、3,063,304千円となりました。これは、主に建物および構築物が52,652千円、有形固定資産その他に含まれる建設仮勘定が49,994千円、リース資産(有形)が35,500千円、リース資産(無形)が30,914千円減少したものの、有形固定資産その他に含まれる賃貸資産が183,585千円増加したことによります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて7.8%減少し、8,710,768千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて25.4%減少し、2,578,290千円となりました。これは、主にその他に含まれる未払消費税等が189,040千円、未払法人税等が116,564千円増加したものの、買掛金が1,172,806千円減少したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて16.4%減少し、564,121千円となりました。これは、主にリース債務が74,788千円減少したことによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて23.9%減少し、3,142,411千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて4.7%増加し、5,568,356千円となりました。これは、主に利益剰余金が269,598千円増加したことによります。
b. キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの内容分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
a. 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料費、ソフトウェアライセンスの購入費及びサービス提供のための設備投資によるものであります。
b. 財政状態
当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入により資金調達することとしております。また、グループ内資金の効率化を目的として当社及び連結子会社間での資金調達を行う方針です。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
⑥ 経営戦略の現状と今後の見通し
a. 経営戦略
b. 今後の見通し
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染再拡大やウクライナ情勢等
の影響により、国内外の景気において、依然として不透明な状況が継続すると思われるものの、従来以上に各企業
におけるICT(情報通信技術)の役割は重要性を増し、情報化投資意欲は益々高まっていくものと考えられます。ま
た技術の発展・応用が様々な分野で拡大していくことや人材不足の問題などIT業界を取り巻く環境も常に変化し、
その変化に臨機応変に対応していくことが重要になってきます。
このような事業環境のもと、当社グループの次期(2023年3月期)の連結業績予想につきましては、機器等販売の特需の反動等の影響により、売上高は当連結会計年度と比べ、4.2%減の10,193百万円、営業利益は同3.6%減の736百万円、経常利益は同3.9%減の741百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.2%減の509百万円を見込んでおります。なお、実際の業績は新型コロナウイルス感染症の収束時期や世界情勢等、様々な要因により変動する可能性がありますが、足許では影響の長期化に備え、手許資金と資金調達枠(当座貸越契約とコミットメントライン)を準備しております。
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